1.日 時 平成14年5月24日(金) 午前8:00~9:30
2.場 所 経済産業省本館17階 国際会議室
3.議事概要
【事務局説明①】
○資料1-(1)~(3)、2~4に沿い、経済財政諮問会議における税制改革の審議状
況及び地方における法人課税の在り方について報告・説明。
【佐藤委員(三井不動産(株)特別顧問兼(社)不動産協会政策推進委員長)による
プレゼンテーション】
○資料5に沿い、地方資産課税の現状と課題について説明。
【自由討議①】
○事務局及び佐藤委員の説明の後、自由討議。その際、各委員から以下の発言あり。
◆ 地方税制は、国税と異なり、税目が多岐にわたるため個々の複雑な問題があ
り、非常に分かりにくくなっている。個別税目ごとではなく、地方税全体とし
ての基本論をしっかり議論した上で、論点を整理すべき。
経済税制諮問会議で示された、公正・活力・簡素の3原則は今後重く受け止
めていくべき。今後の税制の基本命題は、空洞化をいかに阻止するか等の国際
競争力強化の問題と、少子化と社会保障制度の問題の2点である。企業は従来
の高度成長を前提とした成功モデルを見直し、不退転の決意で破壊的創造を行
うことが急務。公的セクターは、改革の手を緩めれば国民生活が成り立たなく
なるという危機感をもって、慣れ親しんだ地方税制を時代のニーズに合致した
形で改革していくべき。
外形標準課税は、赤字法人対策として総論では理解できる部分もある。ただ
し、外形標準課税問題は、都道府県の財源不足という徴税側のニーズから端を
発している話であり、自治体の財政需要が妥当であるか等の検討が必要である。
固定資産税については、土地・事業用資産が時価という観点から整理されて
いるのにもかかわらず、建物は時価評価が適用されていない。地方財政のバラ
ンスを保つと同時に、活力という観点も加味して考えねばならない。
不動産取引関係の税については、もはや政策的意義を失っている。
いずれにせよ、地方における歳出をさらに抑制することが最優先課題。
◆ 事務局に対する質問が2点。
地方自治体が自主的に税を減免して競争を行うという発想は興味深い。経済
特区の議論との関連で、地域間競争をどう捉えるのか。政策手法として規制緩
和が柱とされる中、税制をどう活用していくのか。
(事務局から、税制を含めて地方の活性化に資する真に実効性のある施策を模
索する由回答。)
固定資産税収について。土地に関する議論は尽きないが、特に建物・家屋が
問題。再建築価格はどんどん上昇していくうえに、経年補正率では実態と乖離
した使用年数を想定している。最近頭打ちになっている土地のかわりに税収の
穴を上物で取り返されている。建物・家屋についての評価方法の見直しは、ど
のような観点から求めていくのか。
(固定資産税の評価方法の見直しに当たっては、納税側の視点に立ち、より簡
素で、かつ予見可能性のある評価方法を検討すべきとの回答。また、固定資
産税については、今年度(15年度)改正にて評価替えが行われるため、年末
に向けて検討をさらに深めていく必要がある旨発言。)
◆ プレゼンテーションの方法をもっと工夫して欲しい。地域間競争というキー
ワードを全面に押し出しているが、島国の中の47都道府県、その他の市町村
が国内で切った張ったで競争したところで限界がある。あくまでも必要なのは
競争相手としてアジアを含めた世界各国を想定したグローバルな視点。その点
を強調してほしい。中国をはじめとするアジア諸国では、各地域における熾烈
な企業誘致の競争が繰り広げている。地方自治体にも受け入れやすい税制を構
築すべき。
外形標準課税について。約3,000の商工会議所関係企業が提出したアンケー
ト結果に基づき、総務省案による法人事業税の増減税規模の試算を行ったとこ
ろ、黒字企業の84%(赤字企業は100%)が増税、平均増税額約460万円とい
う結果が出た。企業の自主的なサンプルなので全体の正確の数値を表してると
は言えないかもしれないが、調査結果がまとまり次第、本研究会の場で報告さ
せて頂きたい。
◆(固定資産税に係る)償却資産への課税に大きな問題がある。企業は、その構
築物、器具備品及び機械装置等、家屋に密着した償却資産に係る税を法人税の
ルールに沿って会計処理している。これらは家屋の方の評価に取り込んでいる
にもかかわらず、企業は会計台帳の分類に基づいて申告してしまう。つまり、
企業は結果的には建物に含まれている償却資産の部分について重複課税を行っ
ている。地方税プロパーで区分けするのではなく、法人税法の規定に基づいて
納税できるような処理方法を整備する必要がある。具体的には、家屋・償却資
産については申告納税方式に改めるべき。
◆ 外形標準課税は、明らかに徴税側の論理に偏った税制。納税者たる企業の担
税力に配慮し、事業税の範疇だけでなく他の法人住民税を含め議論していくべ
き問題である。
国と地方の関係の見直しに際しては、地方自治体における受益と負担の関係
や国を中心とした財源調整機能の問題を踏まえて考えるべき。具体的には、地
方税における標準税率をやめ、制限税率を取り払って、地方自治体が住民本位
の観点から、税制を自由に上げ下げできる仕組みをつくるべき。そのためには、
地方交付税制度・補助金の問題を見直す必要がある。
◆ 事務局、佐藤委員の説明は評価する。今までの地方税の議論は、その時々で
大きな課題となる個別税目のみの議論に終始し、また税源配分・財源調整の問
題も部分的なものであった。今後は、将来のに世の中をどう変えていくのか外
形標準課税を巡る諸問題、固定資産税の評価の問題及び国・地方の税源配分や
財政調整の問題等を含めて、座標軸を決めて総合的に議論しなければならない。
個別の税目について議論しても、問題点は多岐にわたるため、意見が分かれて
しまい決着がつかない。総務省の本当のねらいが何なのか考える必要がある。
◆ 企業関係税制を検討する際には、国税のみならず地方税を含めていかに国際
的に魅力ある税制とするかという観点が不可欠。
公平・活力・簡素の3原則のうち、特に簡素という点を重視すべき。企業に
とって複雑な申告書や納付書を作成・提出することは、ただでさえ過大な事務
負担となっているが、さらに各自治体が独自の税制を導入することにより制度
が複雑化すれば、納税側・徴税側双方にとって、簡素という観点からは全く逆
行することとなる。
税制を構築する際は、How to ではなく、What toという、より大きな視点に
立ち税制のあるべき姿を描かなければ企業負担のさらなる増大を招くことにな
る。
◆ 地方税について抜本的に検討すべき。ただ、地方税財政について議論する際、
現状の歳出を前提としたら危険である。地方歳出の総額は年々相当程度増加し
ている。バブル以降、地方税収はほとんど変化していないにもかかわらず、歳
出は相当増えている。歳出の中味や、増加している原因について分析した上で、
地方税のあり方を検討すべきである。また各自治体の税収実績が伸びると、逆
に国からの地方交付税収入が減るというのは、インセンティブ付与の観点から
問題がある。
【事務局補足説明】
○ 地方行政のあり方等の本質論を前提として議論すべきとの委員の方々の御指摘
はしかと受け止める。地方税財政を検討するに当たっては、パッチワーク的な税
制措置のみならず、歳出、交付税及び財政規律を含めた形で総論についての検討
が不可欠である。あわせて、今後は競争という概念を有効に活用して、何とか実
態をあるべき方向に変えてまいりたい。
外形標準課税問題については、中小企業と密に連携をとってまいりたい。総務
省案導入による増減税規模試算の成果を期待している。
【事務局説明②】
○資料6に沿い、(本研究会の)中間報告書骨子案について説明。
【自由討議①】
○事務局説明の後、自由討議。その際、各委員から以下の発言があった。
◆ 研究開発税制は、対象を(経済財政諮問会議 平沼大臣提出資料に明記され
ている)重点4分野に限定する方向で検討していくのか。
(事務局より、研究開発はその性質上、対象分野を特定することは困難である
ため、横断的制度として、全ての業種・分野を対象として拡充していく方向
で検討していく由回答。)
◆ 中間報告書の骨子案の方向性は正しいと考える。ただ、税制そのものの位置
づけ、取扱について明確に打ち出してほしい。
日本の法人税制自体が抜本的に変わりつつある。租特のパッチワーク的な見
直し等矮小化された議論ではなく、是非本則に切り込んで法人税制そのものを
改正、立法化して頂きたい。
【座長による全体総括】
○ 地方税制を検討するに当たって、公正・活力・簡素の3原則を重視すべき、地
方財政の本質論を議論すべき、how to ではなくwhat to、localではなくglobal
な視点をもつこと、自治体の公的サービスを受ける住民の立場に立つこと等、多
様な指摘を頂いた。
いずれにせよ、現在の市場大競争の時代においては、国家と地方のcocreation
(共生)があるべき姿。地方税制の議論は大変意義深いが、必ず国家論に帰着する。
今後は、中央集権的でmechanisticな国家観から、有機的でorganicな国家観
へ移行していくことが望ましい。
【今後のスケジュールについて】
○次回、第5回は6月14日(金)に開催し、中締めとする旨連絡があった。(次回
のテーマ(予定):年金と税制、国際租税)
(以 上)
|