次世代低公害車の燃料及び技術の方向性に関する検討会
第2回 議事要旨



1.日 時:平成14年12月4日(木)

2.場 所:経済産業省本館17階 第1特別会議室

3.出席者:
石谷委員長、浦田委員、小川委員、尾崎委員、大聖委員、高木委員、中西委員(植田代
理)、林委員、藤元委員、松村委員、御園生委員、森委員

4.議 題:(1)エネルギー資源・環境問題から見た自動車技術の展望
(2)大気環境改善と自動車燃料の動向
      (3)その他

5.議事概要
(1) エネルギー資源・環境問題から見た自動車技術の展望について
@東京理科大学 森教授より
エネルギー資源・環境問題から見た自動車技術の展望ついて(資料1)を東京理科大学 森教
授が説明。
A委員からの主な質問・意見
【シミュレーションの前提、設定条件について】
○このシミュレーションでは途上国は経済的に成り立つ前提になっているのか。(石谷座長)
⇒経済成長が前提で、人口と経済成長から需要が出て、需要を満たすために技術が選択さ
れる。但し、資源逼迫するようであれば経済成長も落ちるという前提である。(森教授)
○BAU(自然体)ケースでも、CO2制約が入っているのか。(小川委員)
⇒IPCCの共通シミュレーション条件設定で、BAUであってもそれほどCO2が増えないよ
うな設定になっている。(森教授)
○化石燃料回収コストも、技術進歩によって下がってくるという要素も考慮すべきではな
いかと思う。また、バイオマスが大規模で導入されると、バイオマスのために相当の面積
が必要となると思われるが、面積的な制約条件は考慮しているのか。(小川委員)
⇒土地利用モデルの中で考慮している。従って、十分供給可能な量である。(森教授)

【原油価格とシミュレーション結果について】
○代替燃料は原油価格40[ドル/バレル]以上でないと厳しいということであったが、色々な
意見があって25[ドル/バレル]という意見もある。また、オイルサンド、オイルシェールが
入っていないように見えるが、もし25ドルというレベルでオイルサンドなどが使われると
した場合には結論は変わるのか。(高木委員)
⇒産出コストの高い、質の悪い石油資源の中にオイルサンド等は入っている。25ドルとい
うレベルだとしても、オイル系の量は全体では変化なく、その内訳が変わるだけという事
になる。(森教授)

【前回小川委員御発表との結果の乖離について】
○輸送用エネルギー源で、バイオマスを重視しており、2030年時点でもかなり入ってくる
事になっている。前回の小川委員の発表では殆んどなしということで、これは利用可能な
バイオマス燃料についてどう考えるかという事になるかもしれないが、この乖離はどこか
ら来るのか。また、輸送用エネルギー消費が今後100年間で25倍という事であるが、これ
も前回の小川委員の発表では10倍以下ということで、この乖離についてもどう考えればよ
いか。(御園生委員)
⇒25倍という予測は、過去のトレンドと途上国が2%の経済成長を続けるという前提条件
から算出している。経済成長をどのように考えるかによって結果は大いに変わってくるが、
途上国については2%成長しないと持続可能でないのではと考えている。バイオマス燃料
の供給安定性についてどういうシナリオを考えるかはかなり難しいが、2%成長前提とい
うこと、資源量は一定という事を考えると足りないところをバイオマスで埋めざるを得な
いという結論になる。従って、バイオマス燃料は現段階では難しいかもしれないが、2050
年以降のことを考えると2030年ごろにはある程度入っていないと厳しいのではないかと考
えている。(森教授)
○今回のシミュレーションでは2030年時点で化石燃料価格上昇するという考えになってい
るが、前回の私の発表では2030年時点では実質価格はそれほど変化しないという事が前提
になっているので、ここが大きな違いになっていると思う。(小川委員)
○前回の小川委員の発表と、今回の森教授の発表との相違は、2030年以降の経済成長の考
え方、2030年の燃料価格に対する考え方、CO2制約の3点から生じていると思う。(石谷
座長)

【バイオマスが輸送部門エネルギー供給の一翼を担うという結果について】
○輸送部門では、バイオマスがほぼ半分という事になっているが、これは、バイオマスエ
ネルギーは輸送部門にしか使われないという仮定が入っているのか。それとも、民生、産
業等他部門でも使うという前提は入っているのか。(小川委員)
⇒他部門で使うという前提は入っているが、バイオマス由来流体燃料の優先度が高いのが
輸送部門で、輸送部門でバイオマスが競争力を持つという構造になっている。(森教授)
○バイオマスエネルギーがこれだけあるとすると、発電用に最も使いたいと考えられるが
そうならないのはなぜか。(小川委員)
⇒量的に発電用を全てカバーするほどはない。また、発電については色々なオプションが
あってバイオマスに頼らなくても良いということもある。(森教授)
○輸送用エネルギーとして、バイオマスをどのような形態で使う想定なのか。(高木委員)
⇒メタノールであるが、メタノール改質から先については色々なオプションがあり考えて
いない。(森教授)

【一人当り輸送用石油消費と一人当りGDP(購買力平価換算)の相関について】
○輸送用石油消費とGDPの関係が出ていたが、これは自動車保有台数とGDPの関係と良
く似ている。但し、保有台数とGDPの関係では、GDP増加に伴いカーブが3段階になっ
ていて、最後の段階ではほぼ飽和してくる。今回のように飽和を考えずに100年延ばすと
オーバーシュートするのではないだろうか。(林委員)
⇒先進国は伸びる設定になっていないが、途上国は、100年経っても今の先進国レベルにし
かならないという計算結果だった。(森教授)

(2) 大気環境改善と自動車燃料の動向 について
@御園生委員より
御園生委員から大気環境改善と自動車燃料の動向について(資料2)の説明。
A委員からの主な質問・意見
【発表の中の数値データについて】
○各種燃料についての価格シミュレーションは、今回説明のあったもので妥当ではないか。
二酸化炭素発生量の分析はよく精査されたもので、今後の検討ではこれを参考にすれば良
いのではないか。(松村委員)

【燃料中のアロマの影響】
○今回の発表で、燃料中の硫黄分を減らせば、NOx、PMを後処理で減少できることがよく
わかった。ところで、欧米で検討されている燃料中のアロマやオレフィンに対する規制は
どのような影響があるのか。(小川委員)
⇒アロマは燃料中の含有量がゼロでなくても対応は可能。今後20~30年ぐらいは大丈夫で
はないか。(御園生委員)

【2015年以降の環境問題について】
○2015年には自動車からの大気汚染物質の問題は少なくなるとの理解でよいのか。(小川
委員)
⇒JCAPでの検討では、一般局での環境基準の達成は可能との結果となっている。その時点
では、自動車ではなく他の排出源が問題になってくる。自動車に関しては、その後は二酸
化炭素の排出や燃費対応が重要な問題になってくるであろう。(御園生委員)
○環境基準の達成の問題は時間をかけて対応すべき問題ではなく、今後10年程度内に解決
すべき問題である。あとは粛々と対応していくべきであり、対応のためのコストが非常に
大きいわけではなく、そこそこのコストアップで対応が可能との検討結果になっている。
これからは、自動車単体からの排出を極限的にゼロに近づけるのではなく、交通流対策や、
固定発生源対策が重要になってくるであろう。JCAPの検討結果は、交通流のシミュレーシ
ョンも行なっており、今後は予測の精度を上げていくべきであろう。二酸化炭素対策とし
てもこれまでにJCAPで作成したシミュレーションはツールとして使える。行政のフォロ
ーアップが今後も不可欠である。(大聖委員)

【低燃費技術の重要性】
○資源は偏在しており、米国の場合は国内にエネルギー資源もあり、現状では安い石油の
利用が可能なことから、低燃費技術が出てきにくい。日本は、資源もないことから、低燃
費技術の開発が盛んであり、同じことは欧州にも言え、今後こうした低燃費技術の開発は
日本の技術競争力を強めることになるであろう。(大聖委員)
○米国でも省エネルギー技術開発は進められているのではないか。(石谷委員)
○米国はそうした取り組みを確かに進めてはいるが、結果がない。(大聖委員)

【JCAPの大気シミュレーションについて】
○JCAPでは、大気シミュレーションのメッシュの間隔を5kmとしているが、これでは粗
いのではないか。(石谷委員)
○メッシュの間隔も重要だが、境界条件の設定も重要である。(高木委員)

【その他】
○燃料の選択に際しては、地域特性を考慮することが重要である。例えば、スイスでは電
気自動車のみ走行可能として環境を守っている地域もある。場所が変われば、最適な燃料
は変わるであろう。中国で最適なものが日本でも最適とは限らない。エネルギー需給構造
における地域特性を考慮することが重要であろう。(尾崎委員)
○技術的にはSULEVレベルは達成が可能。コストの上昇もやや現状を上回る程度であろう。
今後重要になってくるのは、大聖委員が述べたように省エネルギー・燃費性能向上技術で
あろう。直噴エンジン技術の開発、省エネルギーのための燃料品質の改善といったころが、
今後の方向として必要であろう。代替燃料に関しては、実用化の現状を踏まえた方向性の
チェックは必要である。(松村委員)
○既存燃料の選択のみならず、代替燃料の選択も重要である。(森委員)
○2010年以降は二酸化炭素対策の重要度が高まるであろう。これまでは一般的にディーゼ
ル機関にはどのような燃料が適しているかといった検討がなされてきているが、今後は
CO2排出削減の観点からどのような燃料が最適かといった視点が必要である。日本とアジ
ア諸国の両方を検討すると焦点がボケてしまうのではないか。(浦田委員)
○これまでの発表から、ポイントは、資源、エミッション、CO2の三点になるのではない
か。資源については、2025年~2030年には不足してくる。CO2については、欧州では
欧州委員会との自主協定で2008年に140g-CO2/km、2012年には120g-CO2/kmとい
うように厳しくなる見通しである。特にガソリン乗用車の問題をどう解くかが重要である。
将来的にはHEVやFCEVへとつながっていくであろうが、燃料はどのような燃料が良いの
か。長期とどうつなげるかが重要である。エミッションについては、特に大型車において、
微粒子や窒素酸化物といったように身近に起きる問題のシリアス度が、CO2とは異なる。
大型車のエミッションをどうしていくか、ディーセルをどうしていくかといったこともあ
る。(林委員)

(3)その他
○事務局より次回は水素エネルギーについて検討することが発表された。
○今回議事録は2週間以内に各委員に送付する。
○次回の日程については、本日欠席している委員の都合も考慮して後日決定する。
以上