日 時:平成15年1月17日(金) 9:30~10:45
場 所:経済産業省本館 第3特別会議室 (17階西1)
委 員:島田座長、石原委員、伊東委員、垣田委員、亀田委員、菊地委員、久野委員、近藤
委員、今野委員、手塚委員、樋口委員、星 委員、三ッ谷委員、森 委員
事務局:林商務情報政策局長、松井審議官、石井サービス政策課長、熊谷サービス産業課
長、岡倉医療・福祉機器産業室長
概 要:冒頭、事務局より資料の確認及び本研究会の議事の取扱について審議、その後、
委員からの発言は以下のとおり。
○ 日本は高齢化が進んだ成熟社会。ある意味「豊かな社会」と言えるが、国民一人一人
からみれば、健康になりたいと思っても、誰に相談すればいいのか、何処に行けばいい
のか、何をすればいいのか、と考えてもほとんどアクセスするところがない。
○ 国際的に見れば、非常に安い負担で国民皆保険制度が実施できている。誰でも平等と
いう制度はもはや時代遅れ。いわゆる悪平等。世界の先進国では、「自らの健康」に関
し自分のためのサービスを求めている。日本のような国では「かゆいところに手の届く
ようなサービス」を健康保険に求めても無理。
○ サラリーマンは、年間一人あたり40~50万円も健康保険を払っているのに、健康
に気をつけて病気をしない人は個人的なサービスを全く受けられない。これからは、健
康でいるために自分に投資する時代であり、それは何十兆円規模の産業になる。しかし、
代替医療に代表されるように、この業界は世間にはわけのわからない世界に映る。
○ 全国で初めて介護情報の総合的な提供と推進に関する条例を作った。外出の機会を増
やすことが大事だという観点から予防に力を入れている。65才以上の老人の方々にス
ポーツ教室(マシンスタジオ)を開設し、筋力トレーニングをやってもらった。結果、
平成12年度の調査では65才~75才までの医療費が平均で月10万円安くなった。
○ スポーツとは見て楽しむものから体力づくりまで様々なものがあるが、体力作りや健
康増進で非常に重要な役割を果たしている。高齢者の話も大事だが、右肩下がりで体力
が落ちている子供達の問題も視野に入れていくことが大切ではないか。
○ 日本男性の平均寿命は、OECDの国々から追い抜かれている。東京の女性の平均寿
命は全国で33番目で、最も長生きなのは無医村である。22,000人の高齢者の追
跡をすると、化粧など身だしなみを整えて外出する高齢者が元気である。
○ 厚生労働省は健康日本21の中で、「インフォームド・チョイス」と「ピープルズ・
ファースト」という考え方を提示している。イギリスでは、サッチャー元首相が「患者
第一主義」という言葉を作り、ブレア首相は病院ごとの死亡率を公表している。効果を
住民に情報提供して、選んでもらうインフォームド・チョイスの考え方だけでなく、ア
ウトカムを情報提供するシステムがないところが日本の最大の欠点。
○ 雇用については、シミュレーションだけでなく、実際の事例を集めて議論することが
必要。
○ 全ての世代において、カルテの自己管理が出来て、それを医者に見せる時代になれば、
ペイシェント・ファースト(患者第一主義)はもっと進む。パソコンに命令されてする
ようなシステムではなく、例えば、メーリングリストに参加したり、楽しくできて簡単
に毎日見られるようにするためにIT活用の面からアプローチしたい。
○ 健康産業は有望だが、信頼性は低い。これから成長産業にしていく上で、実証とそれ
を説明できる専門家の育成が必要。
○ 男性ビジネスマンに向けての健康情報雑誌は売れないが、ビジネス誌での健康情報は
他のどんな記事よりも注目を浴びる。男性は、健康に関心はあるが、お金を払ってまで
健康の情報を得たいというニーズはまだない。
○ 健康については、男性より女性のほうが関心が高い。今後、女性が健康産業市場の主
体になるべきである。また、「辛いこと」は誰もやらないが、手軽なエステティックや
マッサージはする。ある腸洗浄の施術師は、サービス業という点においては、ライバル
はディズニーランドかリゾート地だと言っている。健康産業はサービスが基本になる。
○ エステティックは、「美容産業」であると同時に、「健康産業」である。太った人が
痩せてプロポーションがよくなることによって、積極的になり、社交性が出てきて、精
神的にも変わっていく、すると次のステップを目指したくなる。肌が美しくなるには、
体が健康でないと美しくならないと言うことに気がつくので、結果的に美容を求めるこ
とは、健康を求めることにつながる。美容を健康産業の切り口にしたい。
○ 電話やインターネットによる各種健康相談を通じて、数百万人の人たちと健康につい
て語り合ってきたという立場から参加させていただいた。一般的に女性は男性に比べて
健康情報に対し非常に関心があり、反応がよい。
○ 生涯学習の視点からみると、学習の環境が変わってきている。従来は、学校や公民館
などの公共施設での学習や、eラーニングというメディアを使った学習だったが、今後
は、偶発的に楽しく学習するということがでてくる。例えば、観光に行ったときに健康
作りをやってみる、低カロリーのフランス料理を食べながら、健康について学んで、快
適な時間を過ごすといったことである。また大学等をうまく使った健康サービスづくり
が必要。地域と健康サービスをうまくつなげて、地域のボランティアの人たちが健康サー
ビスの分野で活躍できるようになって欲しい。
○ 茨城県大洋村と共同事業を立ち上げ、自治体で初めて高齢者の筋力トレーニングに取
り組み、医療費削減に成功した。その成功例を全国に発信したいが、研究成果を事業化
することと大学の間にはギャップがあった。大学は研究を受けるところで、自治体が事
業を委託する場合には受け皿にならない。そこで、ベンチャーを立ち上げたという経緯
がある。
○ 大学は現場を知らないとよく言われるが、企業のほうが意外と現場の実態を知らない
場合がある。企業は大学に対し、権威付けのために開発した製品を持ってくるのだが、
その時点では既に変更がきかず、市場に出ても使えないため、結局その製品が売れない。
様々な製品はあるが、充分なサービスがついていない。
○ 現在、高齢化によりニーズが大幅に変わっており、医療のサービス化という視点が必
要。アメリカはメディカルケアと呼ばず、ヘルスケアデリバリーという言葉で全てを包
含して、医療技術、健康技術開発をやっている。昨年の秋、ISO/IECガイド71
ができた。これから全ての先進国が高齢社会になるので、全てのプロダクツに対して、
高齢者・障害者を意識した方向で、ものづくりが進んでいく。これは21世紀の日本の
製品作りの精神的な規範になるのではないかと期待している。
○ 医療については、西洋医療一辺倒等というような、「押しつけ」的なものを感じてい
る。豊かになってニーズが多様化している今、健康保険の自己負担分を増やすなど様々
な取り組みも考えられているが、今の行政の対応は遅い。消費者、生活をエンジョイす
る本人の内因性(意欲)の力を、私たちがどうサポートできるか考えている。
○ 福祉用具などのデザインやコストをみると、他製品と違うところがありすぎる。普通
の商品は、ニーズを元に開発、実証してから市場に出して、レベルアップしていくとい
うスパイラルアップができているが、福祉分野はスパイラルアップができていない。
300万人の要介護者の高齢者に比べて、2000万人の介護を必要としない高齢者と
の市場のリンクで、より質の高い産業に発展できると思う。
○ 介護施設においては、入所者の要介護度が高い方が収入が上がる仕組みになっている。
施設にとっては入所者を元気にしない方が得。在宅も同様。福祉用具などは本当は自立
を手助けするものが必要なのに、できるだけそうさせない器具のほうが売れている。
○ 障害者の6割が60才以上であり、高齢者である。介護を必要としている人であって
も旅行に行かせたりすれば元気になるのに、ショートステイを利用する人がなんで旅行
に行くのだと福祉行政からクレームが付く。思想が間違っているのではないか。思想改
革をすることが必要。
○ スポーツクラブは全国で1800弱。またスポーツクラブに通っている人はおよそ3
40万人でアメリカの約1/3で、今後も伸びると考えている。
○ 新日鐵は鉄鋼業、トヨタは自動車というように産業の切り口がはっきりしているもの
と比べ、フィットネス産業は医療・予防医学的な要素や、レジャーの要素、また教育産
業的要素もあり、産業としての切り口が多い。
○ 医学と予防医学はわけるべき。需要がはっきりしていて、ちゃんと取り組めば隠れて
いる需要が見えるはずなのに、わからないのは提供者側が悪い。
○ 体力は加齢にともない衰え、貯金が効かない。継続的に続けることが必要。人の習慣
を踏まえた取り組みの検討を。
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