ITSの推進に向けた取組の現状

(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)


                                                  通商産業省 
    機械情報産業局
    ITS推進室 1.ITSの概要  ITSは高度な情報通信技術等を駆使して実現する次世代の道路交通システム。IT
Sの開発分野を鳥瞰すると以下のとおり。
2.ITS導入の意義  ・渋滞による日本の経済損失は12兆円/年といわれている。ITSは人流を効率化し、
経済損失を激減させるのみならず、省エネルギー、環境負荷低減、事故防止等にも寄与。  ・ITSは道路や自動車と情報通信技術を結びつけるものであり、その市場規模は国内
  だけでも60兆円といわれ、大きな新規産業を創出する。
 ・道路交通システムの情報化は、自動車のユーザーや事業者の生活やビジネスの形態や
  利便性を大きく変える(生活空間の増大)。 3.推進状況及び推進体制  (1) 最近の推進状況  1993年7月 5省庁連絡会議を設置         (関係省庁:警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省)
  同  年   ISOにおける標準化活動開始(ISO/TC204発足)  1994年   民間側組織としてVERTIS(道路・交通・車両インテリジェン
ト化推進協議会)を組織。  1995年2月 高度情報通信社会推進本部(本部長:総理)がITSの推進を決定   同  年8月 高度情報通信社会推進本部がITSの実施指針を策定         (全体構想を策定し、研究開発、インフラ整備等を行うことを公約)  1996年7月 ITS全体構想(長期ビジョン)を5省庁が策定         (9つの開発分野について、産学官における研究開発等推進のための共通目標)  1999年7月 ITS推進議員連盟が発足(114名、会長:綿貫民輔議員)   同 年11月 ITSシステムアーキテクチャ(全体設計図)の策定

 (2) 推進体制
 4.ITSの早期実現に向けての課題と対応
    警察、通産、運輸、郵政、建設の関係5省庁は、密接な連携の下に、研究開発、実証試
  験、標準化、法規化、インフラ整備等を進めることとなっている。
    特に通産省が進める施策は以下の通り。 
       

   

 (3) ITSの国際標準化推進
  @ITS規格化事業
    消費者の便益の最大化を図るため、また、国際貿易ルールを遵守するという意味か
らも、マーケットアクセスの観点は不可避。ITSはインフラ整備も含む巨大投資を
伴い、重複投資を回避し早期導入を促進する観点から、開発段階からISOにおける
国際標準化活動を積極的に推進。   具体的には、標準化のために必要な自動車及び車載機器・システム(制御ソフト等
を含む。)に関する試験、研究等を実施。   11年度予算:5億円 12年度予算:約5億円 (参考)  ISOにおける標準化の検討  1993年に米国の呼びかけによりISOにTC204が発足。我が国におい
ては、TC204国内委員会(委員長:慶應大学川嶋教授、事務局:(社)自動車
技術会(運輸、文部と共管の学会組織))の下に、委員会等を設置し、また、各専
門分野を担当するWGが我が国のスタンスを決定。 A人と機械のインターフェース構築のための情報提供マネージメント技術に関する標
準化 基準創成研究開発の一環として、人間の適切なリアクションを引き出すために必要な
情報提供方法について、人間工学の面から標準化を推進。 12年度予算:1.2億円 (4) 社会実験、実証研究の推進   @ITSモデル地区実験     ITSの本格的導入に先駆けて、信頼性、安全性等に関する知見を集積するために、
   モデル地区実験(デモンストレーション)を実施している(5省庁連携事業)。    平成9年度から、実験場所、実験内容、スケジュール等に関するフィージビリティ・
スタディを実施。    11年度予算:74百万円(予算は郵政省と共同で手当。11年度限り)
 (参考) 内外における社会実験の取組  ■ 渋谷(日本)    1973〜1978年、先の工技院大型プロジェクト(自動車総合管制技術)と
  して実施。現在既に一般化しているカーナビゲーション、可変情報表示板、バス優
  先レーン等について実験を行った。  ■ シュツットガルト(ドイツ)    1994年〜。カーナビゲーション、緊急時通報(事故通報)システム、自動料
  金収受システムについて実験。車載機500、ビーコン150規模。  ■ モデルデプロイメント(米国)    米国の4都市で連邦政府の方針に沿ったモデル地区実験を実施。   AITS+CEV構想(クリーンエネルギー自動車を用いたITS技術の研究開発)     航続距離が短い、燃料供給インフラへのアクセスが不便等のデメリットをITS技術で補
完しクリーンエネルギー自動車(CEV)の良さを最大限引き出すと同時に、ITSの実用化
に向けた課題を抽出し高度化を図ろうとするもの(別添1)。 横浜みなとみらい、多摩ニュータウン、神戸等において実証研究を実施。  10年度予算(第一次補正予算):10億円(11年度も延長) B物流情報管理システム開発   物流の効率化を図るため、全ての荷主事業者、運送事業者がトラックの位置情報、
荷物情報を把握し、最適な運行・配車計画、物流業務を可能とする情報処理システム
の開発を実施。   10年度予算(第一次補正予算):25億円(11年度も延長) CETCの早期導入に向けた研究開発等   有料道路等に導入されるノンストップ自動料金収受システム(ETC)の早期導
入を図るとともに、物流、駐車場管理等他分野への展開も促進し、ユーザーの利便
の向上に資するため、研究開発、プラットフォームの整備を行うもの(DSRC/
ITS車載器の応用技術研究開発:別添2)。   このほか、ITSを搭載したデマンドバスシステムの構築等、公共交通との連携
を促進し、また、運行管理を効率化させるための開発を実施。   10年度予算(第三次補正予算):30億円(11年度も延長) D高度情報化対応型車内情報基盤技術研究開発  自動車に提供される各種情報提供サービス、ETC等の様々なサービスが一つのIT
S車載システムで利用できる環境を実現するため、ITS車載システムのソフトウェア
共通基盤の開発等を実施。 11年度予算(第二次補正):2.5億円 EITSの社会的有効性向上に係るシステム最適化研究開発 交通情報や駐車場情報等の情報提供システムやP&Rシステムなど、渋滞緩和効果が
期待できる各種システムを組み合わせ、総合的かつ効果的な渋滞緩和システムを構築す
ることを目的として実フィールドでの研究開発を実施することを予定。 12年度予算:25億円の内数
5.ITSの国際的な展開  ●平成6年よりITS世界会議がスタート。    年1回、欧州、アジア、米国の三極で開催を持ち回り(我が国においては、平成
  7年に横浜で開催)。本年は11月に第6回がトロントにて開催。    2004年にまたアジアに回ってくるので、日本開催も一つの手(2005年の
  万博を前にした愛知、オリンピック立候補に関連して大阪などでそれなりに動きあ
  り。特に前者については組織的な動きが始まりつつある状況。)  ●平成8年よりアジア太平洋地域セミナーがスタート    年1回開催。第1回は平成8年に日本で開催。平成11年度は、7月4日〜7日に
  マレイシア(クアラルンプール)にて開催。日本の先進技術をアジアへアピールしビジネ
  スチャンスにつなげる格好の機会。  ●アジア諸国におけるITSの導入可能性調査の実施    アジアにおける自動車市場は、通貨危機の前まで急速に拡大してきたが、それに
  伴い、環境・渋滞等が社会問題として顕在化。自動車市場発展の障害となり始めて
  いるところ。    これらの対策の一環として、昨年度にタイ(バンコク)、マレイシア(クアラルン
  プール)に対してITS導入を想定したF/S調査を実施。具体的には、文字情報
  板、図形情報板、カーナビゲーションシステム、インターネット等による道路交通
  情報提供システムの導入を検討。    併せて、中国(北京)においてもITS導入可能性調査を実施。政府、民間関係
  者にアンケート調査、ヒアリング調査等を実施することにより、北京におけるIT
  S導入のための提言を行う。     平成10年度:30百万円(JETRO地球環境総合開発計画調査/タイ及びマレイシアを調査)          40百万円(NEDO研究協力推進事業環境技術総合研究協力/中国を調査)    平成11年度は、昨年度の提言に基づき、タイにおけるITS事業化計画の中心とし
  て、道路交通情報の提供システム(道路情報板、主要地点までの所要時間表示、ラ
  ジオへの渋滞情報提供等)を想定してF/Sを実施し、円借款プロジェクトへつなげることを目指す。