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違反事例の分析−具体的特集例

違反事例(その1)

 

 

          外為法に関する違反事例の紹介及び分析(NO.1

 

      経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部

安全保障貿易管理課 安全保障貿易検査官室

 

 当室では、企業等における違法輸出等を未然に防ぐことを目的として、今回より「外為法に関する違反事例の紹介及び分析」について連載をしていきたいと思います。

 読者の皆様におかれましては、これから紹介する事例等について社内や関係者に周知され、輸出管理への取り組みに役立てていただければ幸いです。

 

 近年、不注意等による無許可輸出等が目立ってきております。その要因としては「該非判定の誤り」、「社内教育の不徹底や輸出許可等の知識不足」、「許可証の種別、少額特例等の適用誤り」、「海外研修生受入れ、仕様書等提供時等における役務許可の認識不足」、「出荷管理の不徹底」、「一般包括許可証の適用誤り」、「仕向地の解釈の誤り」などが挙げられます。

 はじめに、これらのうち要因として最も頻度の多い「該非判定の誤り」について、今回から数回に分けて紹介していきたいと思います。

 

 

〈「該非判定の誤り」による違反の事例〉

 「該非判定の誤り」による違法輸出等としては、以下のような例が挙げられます。

(1) 製造メーカーの誤判定を鵜呑みにし、自ら判定確認を行わなかったことによるもの。

(2) 輸出者が自ら該非判定した際に、メーカー等に判定内容の確認を怠ったことによるもの。

(3) 法令改正や通達(注1)改正を見落としたことにより規制強化に気づかなかったり、政令等の解釈(注2)を認識しなかった又は正しく判断しなかったことによるもの。

(4) 装置に組み込まれている主要部品や貨物等の部分品の見落としによる該非判定ミスや貨物等の部分品規定の解釈(注3)の誤りによるもの。

(5) 民生用途のため規制品にはならないとの誤認識によるもの。

(6) 化学品等において含まれている成分等による判断を行わず、通称により該非判定を行ったことにより該当項番を見落としたことによるもの。

(7) 原材料が非該当であったため、加工した時点でも非該当であると思い込んだことによるもの。

(8) 品質向上やシステム変更により規制対象貨物になったことに気づかなかったことによるもの。

(9) 複数項番に該当する貨物等の一部項番の見落としによるもの。

(10) 該当する省令項番を誤ったことにより、適用可能な許可証の種別を誤ったことによるもの。

(11) 貨物に内蔵されているプログラムや暗号装置に係るデータ等の該非判断又は通達における許可不要に関する記述(注4)の理解の誤りによるもの。

(12) サンプルであったために通常の該非判定を行わなかったことによるもの。

 

また、これらの単体の要因ではなく、いくつかの要因が重なって違法輸出等になる事例もしばしば見受けられます。

(注1)通達:「輸出貿易管理令の運用について(運用通達)」又は「外国為替及び外国貿易法第25条第1項第1号の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引について(役務通達)」

(注2)政令等の解釈(解釈を要する語):運用通達中1-1(7)の「輸出令別表第1中解釈を要する語」又は役務通達中別紙1「外為令別表(貨物等を含む)中解釈を要する語」

(注3)部分品規定の解釈:「運用通達中1-1(7)

(注4)通達における許可不要に関する記述:役務通達「3許可を要しない技術提供取引」

 

〈具体的事例〉

 これらの「該非判定の誤り」の中で最も多く見受けられるのは、(1)の「製造メーカーの誤判定を鵜呑みにし自ら判定確認を行わなかったことが原因となったケース」です。

 具体的には、

 @ 輸出者は、製造メーカー等に該非について問い合わせたが、メーカーから口頭のみで「非該当」と返答をもらい、それを鵜呑みにして具体的な該非内容の確認は行わず違法輸出

 A 輸出者は、該非について文書でもらっているものの、単に「非該当」である旨が記載されているだけで必要なパラメータシートがついておらず、具体的な該非内容の確認は行わず違法輸出

 B 輸出者は、製造メーカー等に該非について問い合わせ、パラメータシート等はもらっているが、「非該当」と記載されていることを確認したのみで、最新の貨物等省令による該非判定が行われているか、部分品も含む必要なパラメータシートが全て添付されているか等の確認は行わず違法輸出

 などがありますが、これ以外にメーカーからのパラメータシートの内容を確認したものの、確認が十分でなかったため結果的に違法輸出になったケースもあります。

 これらの違法輸出は、製造メーカー等における該非判定の結果により左右されることが多く、メーカーによる

 ・政省令改正や通達改正の見落とし

 ・「解釈を要する語」(注2)の解釈の間違った理解又は見落とし

 ・貨物に組み込まれている主要部品や部分品を見落とし該非判定を未実施

 ・化学品等における名称(通称ではない名称)のチェックミスや成分の未表示

等が原因になることがあります。

 特にメーカーが自ら輸出を行った経験が少なかったり、規模が小さく十分な輸出管理体制が取れていない場合に上記のようなケースが多く起こっています。

 メーカーは直接輸出を行うわけではありませんが、該非判定を誤ると販売先に多大な迷惑をかけ、メーカーとしての信用を落とすことにもなりかねないため、メーカーの社内においてダブルチェックを行うなど自ら輸出をする際と同様に正確な該非判定を行うことが大切です。

 

 一方、輸出者は、メーカーからもらったパラメータシート等を鵜呑みにせず、該非判定の内容が最新の法令等により判断が行われているかについて、輸出者として自ら確認する必要があります。この際に、貨物及び技術の内容が法令に該当するものかどうかを記載したチェックシートである「輸出管理品目等パラメータシート」、「輸出貿易管理令別表第1項目別対比表」及び最新版の「安全保障貿易管理関連貨物・技術リスト及び関係法令集」により判定に不明な点がないかチェックすることが重要です。言葉の解釈・法令の解釈でわからないものがあった場合には「輸出管理品目ガイダンス」を参考にするのもよいでしょう。これらの出版物はいずれもCISTECから発行されています。さらに不明な場合等はメーカーに再度確認するか、経済産業省又はCISTECに相談を行うことをお勧めします。

 

 次に多く見受けられるのは、(2)の「輸出者が自ら該非判定をした際に、メーカー等に確認を怠ったことが原因となったケース」です。

 具体的には、

 @ 輸出令別表第1 5の項の先端材料において、輸出者は貨物の製造メーカー等に該非を問い合わせず、政省令の「〜用に使用することができる液体」を間違って解釈し、「輸出貨物の使用方法は、規制にあるような使い方はしない」ことから「非該当」として違法輸出

 A 輸出者はメーカーへ該非判定の依頼を行っていたにも関わらず、納期が迫っていたことから、メーカーからの該非判定の結果を待たずに、独自に「該当するようなものではない」と判断し「非該当」として違法輸出

などがあります。

 これらの該非判定の誤りは、

 ・社内教育の不徹底や輸出許可等の知識不足

 ・輸出管理部門と営業部門の意志疎通の欠如

 ・社内におけるダブルチェック体制の欠如

等により生じていることが多いのが現実のようです。

 これらは、社内における自主輸出管理が周知徹底されていれば違法輸出等に至らなかったであろうと思われるケースも少なくありません。社内に輸出管理を行う部署(担当者)を設置したり、輸出管理部門に携わる者への教育を行うなど、安全保障貿易管理関連法規を遵守する体制作りを行うことが重要です。

 

 さらに、(3)の「法令改正、通達改正の見落としや政令等の解釈の見落としなどが原因となったケース」が挙げられます。

 具体的には、

 @ 省令改正等が全体的に規制緩和の方向であったため、その中に規制強化にあたるものがあったにも関わらず緩和の方向と思いこみ、さらに、判定者が長期不在だったため該非判定が遅れ、違法輸出

 A 政令改正に伴い輸出令別表第1 3の項(1)の化学品についての濃度算出方法が変更になったことにより「非該当」から「該当」になるはずであったが、その改正自体を会社として見落としたため規制に気づかず違法輸出

 B 輸出管理部門が運用通達の改正内容を社内に周知しなかったため、該非判定を担当する部門は工作機械の位置決め精度に関する測定の方法が変わったこと(保証値から実測値)に気づかず、結果的に違法輸出

 C マルエージング鋼については輸出令別表第1 2の項及び4の項に規制があったが、4の項が非該当であったため、2の項も非該当と思い込み2の項の省令の解釈を確認しなかったため「熱処理後の引張り強さ」による該非判断を行わなかったことにより違法輸出

  (注:2の項の規制は輸出時の状態ではなく、製造業者が当該貨物の熱処理を行った場合に規制値以上になることを保証するものをいう。4の項は輸出時点の状態で規制値以上になるか判断を行う。)

 

 これらは、最新の法令等のチェックや、社内への周知徹底を怠ったり、省令の解釈を理解しなかったこと等により生じています。前述同様、社内における輸出管理体制の不備による問題と言わざるを得ません。

 

 以上のことから、違法輸出又は提供になるケースの要因は様々ですが、これらの根底には、各企業における安全保障貿易管理体制の問題が大きく関わっていますので、各企業において、十分な輸出管理を行うことが重要になってきます。

 

 当省では、法令改正や通達改正を行った場合には、CISTEC及び日本機械輸出組合主催の説明会において、当省の担当官が講師として企業の方々を対象に説明を行っています。

 また、政令改正の閣議決定日に当省のホームページ(http://www.meti.go.jp)に改正の概要を掲載しています。また、閣議決定日から土日祝祭日を除いた平日4日後の公布日には、経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部 安全保障貿易審査課の窓口において、新旧対照表も含めた改正文全文を配布していますので、是非ご活用くだい。

 

法令集等が最新のものであるかどうかの確認は、CISTECのホームページの中にある「総合データベース」(http://www.cistec.or.jp)を活用するのも一つの方法です。これらの中には、平成9年8月から現在までの政省令改正の内容が記載されている「別一関連政省令改正等情報コーナー」があり、どなたでも無料で見ることができます。またCISTECの賛助会員の方には有料で「国内法令コーナー」の最新の政省令等を見ることができます。これは改正内容が一目でわかり、関連部分は全てリンクされているので必要な情報がすぐに入手できるよう非常に使いやすくなっております。また、顧客情報は「CHASER」で照会することもできます。これは有料ではありますが、どなたでも照会できますのでご活用下さい。

 

 これらの輸出管理に関し、当室及びCISTECでは、皆様のご相談等をお受けいたしておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 今回は、「該非判定の誤り」の違反事例として(1)から(3)について紹介しましたが、次回は、(4)以降の「該非判定の誤り」について具体的なケースを掲載していきたいと思います。

 

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