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アジア諸国との協力

アジア諸国との協力

協力の背景:化学物質管理を巡る国際的動向

2002年に開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD: World Summit on Sustainable Development, ヨハネスブルクサミット)において、「透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順とリスク管理手順を用いて、化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成することを目指す」WSSD2020年目標が合意されました。

これを受けて、EUでは2007年にREACHが施行され、我が国においては改正化審法が2009年に5月に成立、2011年4月に施行され、続いて中国、韓国、台湾でも、化学物質管理制度の改定・強化が行われました。ASEAN各国においても、化学物質管理のための制度構築に係る取り組みが行われていますが、十分に検討・運用されているとは言えない国もあります。

アジアン・サステイナブル・ケミカル・セーフティ構想 (Asian Sustainable Chemical Safety Plan)

上記のような化学物質管理における国際的な流れを背景に、2010年の日ASEANサミットにおいて、WSSD2020年目標の実現とアジアにおける化学物質管理制度の相互調和の推進を目指す「アジアン・サステイナブル・ケミカル・セーフティ構想」を我が国から提案しました。同構想の下、2011年より、アジア各国の化学物質管理向上を図るための取り組みを、製品評価技術基盤機構(NITE)及び日本化学工業協会の協力を得て進めています。  

1. 二国間協力

化学物質管理制度の構築を支援するための協力文書をベトナム及びタイとそれぞれ締結し、対話と支援を通じた化学物質管理制度の強化に向けた取り組みを進めています。

(1) ベトナム商工省との協力文書締結

2015年7月3日、経済産業省において、宮沢経済産業大臣とヴー・フイ・ホアン商工大臣との間で、「化学物質管理の強化に関するベトナム商工省と経済産業省間の協力に関する覚書(MOC)」への署名が行われました。本MOCの締結は、2012年7月15日に締結したMOCの成果を受けたものであり、日ベトナム間での一層の化学物質管理の協力が期待されます。

<参考>プレスリリース

ベトナム商工省写真

MOCの署名に引き続き、具体的な協力内容(ローリングワークプラン(RWP))への署名が、化学物質管理課長とベトナム化学品庁長官との間で、製品評価技術基盤機構(NITE)と日本化学工業協会の立ち会いの下、行われました。

ベトナム商工省写真

ベトナム商工省写真

<参考>
MOCおよびRWP(英文)
MOCおよびRWP(仮和訳)
<参考>プレスリリース(2012年7月15日に締結したMOCについて)

(2) タイ工業省との協力文書締結

2015年12月22日、当省の福島大臣官房審議官(製造産業局担当)とパスー工業省工場局長との間で、化学物質管理の強化に関するタイ工業省と経済産業省間の協力に関する覚書(MOC)への署名を行いました。本MOCは、2012年8月30日に締結したMOCの成果を受けたものであり、日タイ間での一層の化学物質管理の協力が期待されます。今次MOCでは、官民による協力を強化するため、(独)製品評価技術基盤機構(NITE)及び(一社)日本化学工業協会に立会人としてご署名いただきました。

<参考>プレスリリース

タイ写真

左から木井NITE化学物質管理センター所長、福島大臣官房審議官(製造産業局担当)、パスー工業省工場局長、斎藤日本化学工業協会化学品管理部 部長

<参考>
MOCおよびRWP(英文)
MOCおよびRWP(仮和訳)
<参考>プレスリリース(2012年8月30日に締結したMOCについて)

(3) これまでの協力状況

べトナム、タイの両国とは、上記協力文書(MOC)に基づき、2012年より相手国政府機関(ベトナム:化学品庁、タイ:工業省工場局)との政策対話を毎年実施し、協力活動の進捗を確認するとともに、相手国政府機関との間でワークショップを開催し、化学物質のインベントリ作成や化学物質データベースの構築、リスク評価やGHS分類の実施等について、日本政府や製品評価技術基盤機構(NITE)の知見を先方政府と共有し、ベトナム及びタイの化学物質管理制度構築の発展を支援してきました。具体的には、以下の内容を含みます:

●ベトナム・・・ベトナム化学品法(Law on Chemicals)の実施の強化を目的として、化学品法におけるインベントリ作成の支援、GHS混合物分類システムの提供等によるGHS導入支援
●タイ・・・タイにおける化学物質管理制度の強化を目的として、日本の化審法の制度及びスクリーニング・リスク評価手法の紹介

2. 人材育成

1. 各国現地セミナーの開催

タイ、ベトナム、インドネシア及びマレーシアに専門家を派遣し、政府関係機関や産業界等を対象にリスク評価手法に関するセミナーを、海外産業人材育成協会(HIDA)の協力を得て実施しました。2011年から2013年にかけて、タイ及びベトナムについては計6回、インドネシア及びマレーシアについては計3回のセミナーを開催し、各回それぞれ70名程度の参加を得ました。セミナーでは、リスク評価手法の基礎概念から化学物質管理に関する幅広い知識の習得を目指し、政府側および企業側において、各国に化学物質管理の知識を有した人材が育成されました。2016年度にはGHSに関する知識の習得を目的としてインドネシア及びマレーシアに専門家を派遣し、現地講師を育成するための研修及び現地セミナー等の実施を予定しています。

2.アジア諸国からの受け入研修の開催

アジア諸国から、政府関係機関や産業界における化学物質管理の責任者を日本に招聘し、化学物質管理に関する受入研修を実施しました。具体的な内容は、以下のとおりです。

① 国際協力機構(JICA)による受入研修(対象:アジア諸国の政府関係機関および民間企業等)

アジア諸国の政府関係者を対象とし、世界および日本における化学物質管理の動向や日本で実施しているリスク評価手法について網羅的な知識を取得するとともに、化学物質管理政策の立案を通して、化学物質管理の推進に関する能力の向上を目指す研修を実施しました。
これまでに実施した研修の具体的な実績は、以下のとおりです。

  • 2011年11月(東京) 3ヵ国(ベトナム、インドネシア、ミャンマー)が参加
  • 2012年11月(東京) 4ヵ国(タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー)が参加
  • 2013年11月(東京) 3ヵ国(タイ、インドネシア、マレーシア)が参加
  • 2015年 1月(東京) 6ヵ国(タイ、ベトナム、カンボジア、フィリピン、インドネシア、マレーシア)が参加

② 海外産業人材育成協会(HIDA)による受入研修(対象:民間企業等)

アジア諸国の民間企業関係者を日本に受け入れ、各企業が取り扱う化学物質のリスク評価・管理の手法、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)分類の仕方等の講義を通じて、化学物質管理に関する知識の深化を目指す研修を実施しました。
2011年から2013年まで、毎年12月に実施し、各国における化学物質管理の状況を共有するとともに、日本における化学物質管理の知見を習得しました。
これまでに実施した研修の具体的な実績は、以下のとおりです。

  • 2011年12月(横浜) 5ヵ国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン)が参加
  • 2012年12月(北千住) 5ヵ国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン)が参加
  • 2013年12月(北千住) 3ヵ国(タイ、ベトナム、インドネシア)が参加

3. 日ASEAN化学物質管理データベース

1. データベース構築の背景

2010年から2012年にかけて、ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)(*1)を活用して、アジアの経済成長に資する最適な化学物質管理制度の在り方、化学物質管理制度の経済影響分析を実施しました。この研究の結果、アジア共通の化学物質情報基盤を整備することの重要性が指摘されました(*2)。

*1. ERIA(東アジア・アセアン経済研究センター)外部リンク
*2. ERIA報告書外部リンク

2. 日ASEAN化学物質管理データベースの構築

上記を受けて、ASEAN各国の化学物質規制情報や有害性情報を日・ASEANで共通基盤化することを目指して、AMEICC(日ASEAN経済産業協力委員会)の枠組みの下、日本とASEAN諸国の政府関係者、産業界等が一堂に会して、データベースの構造、収載データの内容、ユーザビリティ(操作性)の向上等について検討を進め、2015年4月6日に試行版としてASEAN Japan Chemical Safety Database (AJCSD)を公開しました。その後、2回のAJCSD技術ワーキンググループにおいて正式版運用に向けて検討が重ねられ、2016年4月28-29日のAMEICC WGCI(化学ワーキンググループ)において、2016年4月28日に検索機能等を強化した正式版の運用開始が承認されました。 AJCSDには、日本とASEAN各国の政府から直接提供された化学物質関連規制情報が収載されており、トップページ及び一部の検索画面は、日本語及びASEAN各国言語にも対応しています。特定の化学物質に対する各国の規制状況や、各国の法律における規制物質を一覧で見ることができます。また、GHS分類結果や参考SDS等も収載しています。今まで入手が必ずしも容易でなかったASEAN各国の規制情報に誰でもアクセスできるようになり、日本及びASEAN域内の化学品貿易の円滑化に寄与するものと期待されます。なお、正式版は、NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)を構築・運用しているNITE(ナイト)[独立行政法人製品評価技術基盤機構]が、運用を行います。

3. 日ASEAN化学物質管理データベースの概要

●正式名称:ASEAN-Japan Chemical Safety Database (略称AJCSD)
●URL:http://www.ajcsd.org/
●言語:英語(トップページ及び多言語対応の検索画面のみ日本及びASEAN各国言語)
●運用機関:NITE(ナイト)[独立行政法人製品評価技術基盤機構]
●収載情報:化学物質に関する一般情報(化学物質名称、CAS番号、構造式等)、関連規制情報(日本及びASEAN各国)、リスク・ハザード情報、GHS分類結果、参考SDS
●使用料:無料
●パンフレット:日本語版 英語版

お問合せ先

製造産業局 化学物質管理課
電話:03-3501-0080(直通)
FAX:03-3501-6604
E-mail:
qqhbbf@meti.go.jp

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