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化学物質排出把握管理促進法の基本事項に関するQ&A

化学物質排出把握管理促進法の基本事項に関するQ&A

化学物質排出把握管理促進法の基本事項に関するQ&Aの回答編

(法律の目的と効果)

問1 (第1条関係)
この法律の目的は何ですか?どのような効果を期待しているのですか?

答 この法律は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止しようとするものです。

解説

本法の第1条では「環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置(PRTR)並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置(SDS)等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止すること」を目的として規定しています。以下に、この条文が示している本法の特徴を解説します。

1. 国際的な動向を踏まえてできた制度であること
第1条は「環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ」、と規定しています。これは、平成4年の地球サミット(国連環境開発会議)で採択された行動計画「アジェンダ21」に化学物質の管理の重要性が位置づけられたこと、平成8年2月にOECD(経済協力開発機構)がPRTRの法制化を勧告したことなどの国際的な動向に配慮しながら、本法に基づく施策を進めることを示しているものです。(諸外国における導入の状況は、問2を参照してください。)
2. 幅広い化学物質を対象としていること
我が国では数万、全世界で10万とも言われる化学物質が使われており、その中には動物実験等により発がん性、生殖毒性、生態毒性などの様々な有害性が明らかとなっても、それが環境中に出て、人や生態系に悪影響をもたらす状況にあるかどうかが不明なものも少なくありません。このような状況を踏まえて、第1条は「化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ」ることを規定しており、動物実験等によって得られた有害性のデータ、分解性などの物理化学的性状、製造等の状況から見て、継続的に環境中に広く存在していると考えられるもの、又は将来環境中に広く存在することが見込まれるものを対象とすることとしています(具体的な物質選定の考え方は問5を参照してください)。
3. 国民の理解の増進
本法のPRTR制度によって届け出られた個別事業所の排出量等のデータは、ホームページ上で公開することとしております。このデータについての誤解によって混乱が起きないように、化学物質の性状、排出の状況、管理の状況などについて国民の理解を増進しながら、本法に基づく施策を進めることとしています。
4. 事業者の自主的な管理の改善の促進
本法は、事業者の化学物質管理の改善の促進を一つの目的としています。例えば、PRTRの実施の過程で、事業者は、自社の化学物質の排出量等を把握することとなり、また、国が集計し公表する排出量データ等との比較から、自社排出量が国内、地域内、業界内で占める割合などを確認することができるようになり、管理活動の必要性や進捗状況が明らかになります。また、SDSの交付を受けた事業者は、化学物質の性状や取扱いについての知識を高めることができます(問4の解説を参照してください)。
5. 環境行政を進めるための情報源
本法は、環境の保全上の支障の未然防止をもう一つの目的としています。PRTRの実施によって、事業者の自主的な管理の改善が促進されることにより、化学物質の排出量が低減する等の環境保全効果が期待されること、また、環境行政として、PRTRデータの活用等により、国、地方公共団体が環境保全施策の企画、立案を行うことなどができます。

(PRTRとはどのようなものか)

問2 (第1条関係)
PRTRとは何でしょうか?我が国に導入された理由・背景は?外国では実施されているのですか?

答  PRTR (Pollutant Release and Transfer Register)とは、化学物質の環境への排出量、廃棄物に含まれて事業所外に移動する量(移動量)を、事業者の報告や推計に基づいて行政庁が把握し、集計し、公表する制度で、アメリカ、カナダ、オランダ、イギリス等の諸外国で実施されています。

解説

1. PRTRの基本的な仕組み
PRTRは、化学物質を取り扱っている事業者などが、環境中に排出する当該化学物質の量(排出量)や、その事業所の外に搬出される廃棄物に含まれて移動する化学物質の量(移動量)を、事業者自らが把握し、その把握された化学物質の排出量等の情報を行政庁が取りまとめて、行政庁自ら、あるいはその情報に関心のある者が活用できるようにすることを基本的な仕組みとしています。
2. 導入の理由・背景
PRTRは、1992年にブラジル・リオディジャネイロで開催された「地球サミット」(国連環境開発会議)で採択された行動計画「アジェンダ21」で取り上げられたのち、1996年にはOECD(経済協力開発機構)からその加盟国に対して、導入するよう勧告が行われたものです。既に、アメリカ、カナダ、オランダ、イギリス等の諸外国で法制化されています。このようにPRTRの導入が国際的に進んでいる背景には、数万の化学物質が製造・使用されることにより、日常生活が便利になった一方で、化学物質による環境汚染に対する国民の関心が高まっていることがあります。このようなことを背景に、我が国においても、幅広い化学物質を対象として、事業者の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するための新たな手法として、1999年に特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化管法)を制定し、PRTRを導入したものです。

(SDSとはどのようなものか)

問3 (第1条関係)
SDSとは何でしょうか?法制化された理由・背景は?外国では実施されているのですか?

答  SDS (Safety Data Sheet)とは、化学物質等の性状、取扱上の注意等についての情報を記載した安全データシートのことです。本法では、諸外国での法制化の状況も踏まえて、政令で指定した化学物質等を取り扱う事業者に、事業者間の取引を行う際、その提供を義務付けています。

解説

1. SDSの仕組み
SDSとは、化学物質及びそれらを含有する製品(以下「化学物質等」という。)の物理、化学的性状、危険有害性、取扱上の注意等についての情報を記載した安全データシートのことです。本法では、政令で指定された第一種指定化学物質及びこれを含有する製品、第二種指定化学物質及びこれを含有する製品(以下「指定化学物質等」といいます)を取り扱う事業者(本法第2条第6項でいう「指定化学物質等取扱事業者」です。)は、指定化学物質等を他の事業者に譲渡・提供するときは、その相手方に対してSDSを提供することを義務付けています(第14条)。これに違反し、SDS の提供を行っていなかったり、虚偽の記載を行ったりしている指定化学物質等取扱事業者に対しては、経済産業大臣が勧告、さらに、これに従わなかったときには、その旨公表することができることを規定しています(第15条)。また、経済産業大臣は、第14条の規定に違反しているか否かについての事実確認を行う等のために、指定化学物質等取扱事業者から報告を徴収することができることを規定しています(第16条)。
さらに、第16条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者には、20万円以下の過料に処する罰則を規定しています(第24条)。
2. 導入の理由・背景
化学物質等を取り扱う事業者には、本来、規制の有無に関わらず、人の健康や環境への悪影響をもたらさないよう化学物質等を適切に管理する社会的責任があります。しかしながら、化学物質等の種類やその有害性は多様であり、化学物質を取り扱う事業者がその性状、有害性、適切な取扱方法に関する情報を全て把握することは困難です。他方、化学物質等の譲渡・提供事業者は、譲渡・提供先の事業者に比べて化学物質等の有害性等の情報を入手しやすい立場にありますが、化学物質等の有害性等の情報は、商品情報と異なり、取引の際に積極的に提供されにくい性質の情報があるので、有害性等の情報の伝達に係るルールが存在しなければ、化学物質等の取引の際に有害性等の情報が譲渡・提供先の事業者に伝達されることを確保することが困難です。また、国際的には、ILO(国際労働機関)条約における取決め、ISO(国際標準化機構)での標準化をはじめとする国際的な枠組みが整備されており、欧米等多くの国でSDSの提供が義務化されている状況です。このようなことを背景として、我が国においてもSDSに関する法制化が行われました。

(本法に基づく排出規制はあるか)

問4 (第1条関係)
この法律に基づいて、国や地方公共団体が、事業者に対して、排出ガスや排水などの排出量を削減するよう規制を行うのでしょうか?

答  本法は、大気汚染防止法や水質汚濁防止法などの規制法とは異なり、この法律に基づいて排出ガスや排水の規制を行うものではありません。

解説

1. 本法は、環境中に対象化学物質を出すこと自体を問題として規制を行うというようなものではなく、規制措置が必要になる前の段階の措置、すなわち環境保全上の支障が生ずる前の段階で、事業者に化学物質の排出量を把握してもらい、それぞれの事業者に自主的な化学物質の管理の改善を図ってもらうことを目的としています。本法では、このような考え方から、PRTRの届出、SDSの交付は義務化していますが、排出ガスや排水等についての測定義務、排出口での濃度に係る排出基準の設定、排出基準に適合しない排出の禁止、禁止違反に対する罰則、行政による立入検査など、排出量削減のための規制的な措置を実施するための規定は置いていません。
2. また、本法では、国が化学物質管理指針を定め、指定化学物質等取扱事業者は、この指針に留意して指定化学物質等の管理を行うこととしていますが、この指針は事業者が化学物質管理を進める上でのガイドラインであり、違反に対する罰則はありません(化学物質管理指針については問9の解説を参照してください)。

(本法の対象化学物質の選定の考え方)

問5 (第2条関係)
どのような化学物質がPRTR、SDSの対象化学物質となっているのですか。

答  本法では、人の健康を損なうおそれがある等の性状(有害性)があり、継続して環境中に存する化学物質又は将来環境中に継続して存することが見込まれる化学物質が対象となり、PRTRとSDSの両方の対象となる化学物質(第一種指定化学物質)、SDSのみの対象となる化学物質(第二種指定化学物質)を政令で定めることとしています。

解説

1. 本法では、人の健康を損なうおそれ、動植物の生息・生育に支障を生ずるおそれ、オゾン層を破壊し太陽紫外放射の地表に到達する量を増加させることにより人の健康を損なうおそれがある等の有害性があることを、第一種指定化学物質、第二種指定化学物質の共通の選定要件としています。第一種指定化学物質は、このような有害性があることに加えて、相当広範な地域の環境で継続して存することを要件として選定することとされています。これに対して、第二種指定化学物質は、このような有害性があることに加えて、現時点では相当広範な地域の環境に継続して存在していなくても、将来、そのような状態になることが見込まれれば、選定することとされています。
2. 第一種指定化学物質、第二種指定化学物質は、薬事食品衛生審議会、化学物質審議会、中央環境審議会の意見を聞いて、政令で指定することとされており、現行では、第一種指定化学物質として462物質、第二種指定化学物質として100物質が指定されています。

(既存の規制法の対象物質は本法の対象物質となるか)

問6 (第2条関係)
大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法、化学物質審査規制法など、化学物質の製造、使用、廃棄に関する既存の法令の対象物質となっている化学物質は、すべてPRTR、SDSの対象物質になるのですか。

答  本法では、有害性が判明している化学物質について、環境を経由して人体等への悪影響を生ずる因果関係の判明の程度にかかわらず施策の対象とするという、これまでの法律にない新たな考え方をとっています。このため、既存の法令の対象物質が対象となる場合も、対象とならない場合もあります。

解説

1. これまで、化学物質による環境汚染を防止するために、化学物質の製造、使用、廃棄のそれぞれの段階で、製造・使用規制、大気、水などの環境への排出規制等が行われてきていますが、これらの対策は厳格な規制を中心としたものであることから、対象物質も限定されています。一方で、数万の化学物質が製造・使用されることによって、環境を経由して人体等への悪影響を生ずるか否かの因果関係が科学的には解明されていない化学物質による環境汚染に対する国民の関心が高まっています。本法は、このようなことを背景に、既存の法令の対象物質となっているか否かに関わらず、幅広い化学物質を対象として、事業者の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するものです。
2. 本法の措置は、事業者の自主的な管理の改善を促進するものであり、排出規制などの厳格な規制措置ではありませんので、既存の規制法とは対象物質とする範囲が大きく異なります(問1、問4の解説も参照してください)。

(PRTRの対象業種の選定の考え方)

問7 (第2条関係)
PRTRの対象となる業種は、どのような考え方で決められたのですか。

答  PRTRの対象業種は、第一種指定化学物質を環境中に排出すると見込まれる業種を、届出義務による事業者の負担も勘案して選定しています。

解説

1. PRTRの対象業種については、これまでのPRTRパイロット事業や化学物質の使用実態調査によって得られたデータ等を踏まえ、第一種指定化学物質を環境中に排出すると見込まれる業種を政令で明示することにより、自らの業種が届出対象であり、排出量等の把握が必要であることを事業者に認識してもらい、確実に届出を行ってもらうこととしています。
2. 対象業種の指定に当たっては、PRTRの届出による効果と、事業者の負担を勘案して、事業者に過重な負担にならないように配慮することとしています。具体的には、業種ごとに第一種指定化学物質の取扱いの態様を勘案して、定点における排出量の把握が困難な場合、業の特性として個々の事業者による取扱量が少ない場合などは、そのような業種については個々の事業者に届出義務を課さずに国が推計により排出量を把握することにしています。
3. 具体的な業種については、以下の業種が政令で指定されています。
(1) 金属鉱業
(2) 原油及び天然ガス鉱業
(3) 製造業
(4) 電気業
(5) ガス業
(6) 熱供給業
(7) 下水道業
(8) 鉄道業
(9) 倉庫業(農作物を保管するもの又は貯蔵タンクにより気体若しくは液体を貯蔵するものに限る)。
(10) 石油卸売業
(11) 鉄スクラップ卸売業(自動車用エアコンディショナーに封入された物質を回収し、又は自動車の車体に装着された自動車用エアコンディショナーを取り外すものに限る)。
(12) 自動車卸売業(自動車用エアコンディショナーに封入された物質を回収するものに限る。)
(13) 燃料小売業
(14) 洗濯業
(15) 写真業
(16) 自動車整備業
(17) 機械修理業
(18) 商品検査業
(19) 計量証明業(一般計量証明業を除く。)
(20) 一般廃棄物処理業(ごみ処分業に限る。)
(21) 産業廃棄物処分業(特別管理産業廃棄物処分業を含む。)
(22) 医療業
(23) 高等教育機関(附属施設を含み、人文科学のみに係るものを除く。)
(24) 自然科学研究所

(取扱量、含有量、製品の形態による裾切り)

問8 (第2条関係)
製品の一部や、取り扱う化学物質の混合物として対象化学物質が含まれている場合、ごく微量の含有量であっても法の対象となるのですか。

答  取扱量が少量の場合や、製品中の対象化学物質の含有率が低い場合など、排出量・移動量の届出やSDSの交付が必要なくなる場合があります。

解説

1. PRTRの対象事業者は、前の問でお答えしたように、政令で定める業種に属し、かつ取扱量や従業員数などで定める要件に該当する事業者です。ですから、対象化学物質を取り扱っている場合であっても、取扱量が少量の場合(年間取扱量が事業所単位で1t未満の場合。ただし発がん性の物質であることが知られている化学物質(発がん性クラス1の指定化学物質、特定第一種指定化学物質)については0.5t未満の場合)には排出量・移動量の届出は必要ありません。
2. また、製品の一部や取り扱う化学物質の混合物として対象化学物質が含まれている場合、その製品の性状や、対象化学物質の含有率によっては、対象化学物質を含む製品を取り扱っていても、排出量・移動量の届出やSDSの届出が必要ない場合があります。たとえば、一概に対象化学物質を含有する製品といっても様々なものがあり、事業者が取り扱っている過程では、ほとんど環境に対象化学物質を排出しない形態のものもあります。また、対象化学物質の含有率が非常に低いものについては、事業者による当該化学物質の把握が困難になる割には、環境中への排出量が小さく、結果として法が目的とする効果に比して事業者の負担が過大になるおそれがあります。さらに、含有率について国際的な水準より低くした場合には、輸入した製品中に含まれる対象化学物質を把握できない可能性があります。
3. このため、法第2条第5項第1号に基づき、どのような形態の製品を取り扱った場合に、またどの程度の含有率で対象化学物質を含む場合に、排出量・移動量の把握・届出やSDSの交付が必要かを政令で定めています。具体的には、第一種指定化学物質を1質量%以上(特定第一種指定化学物質の場合は0.1質量%以上)含有するものとしています。ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品等は除きます。

(化学物質管理指針とはどのようなものか)

問9 (第3条、第4条関係)
化学物質管理指針とは何ですか?どのような内容のものでしょうか?違反に対する罰則はあるのでしょうか?

答  化学物質管理指針は、対象化学物質やそれを含む製品を取り扱う事業者がそれらを管理するときに留意すべき措置を定めたもので、違反に対する罰則はありません。

解説

1. 本法では、主務大臣(環境大臣と経済産業大臣)は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するため、化学物質の物理的化学的性状についての科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱い等に関する技術の動向を勘案し、指定化学物質等取扱事業者が講ずべき指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針(化学物質管理指針)を関係行政機関の長に協議した上で定めるものとしています(第3条)。
2. 化学物質管理指針では、以下の事項を定めるものとされており、それぞれ括弧内の内容を指針として平成12年3月30日付けで告示しています。
(1) 指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに係る設備の改善その他の指定化学物質等の管理の方法に関する事項(化学物質の管理の体系化、情報の収集、整理、工程ごとの対策を含めた管理対策など)
(2) 指定化学物質等の製造の過程における回収、再利用その他の指定化学物質等の使用の合理化に関する事項(化学物質の管理の体系化、情報の収集、整理、工程ごとの対策を含めた使用合理化対策など)
(3) 指定化学物質等の管理の方法及び使用の合理化並びに第一種指定化学物質の排出の状況に関する国民の理解の増進に関する事項(体制の整備、情報の提供、国民の理解の増進のための人材の育成など)
(4) 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項(体制の整備や情報の活用方法)
3. 本法では事業者の責務として、指定化学物質等取扱事業者は、その属する業種や規模、取扱量によらず、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質が人の健康を損なうおそれがあるものであること等第2条第2項各号のいずれかに該当するものであることを認識し、かつ、化学物質管理指針に留意して、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱い等に係る管理を行うとともに、その管理の状況に関する国民の理解を深めるように努めなければならないと規定しています(第4条)。

(国民の理解を増進するための取組)

問10 (第3条、第4条関係)
地域住民の理解を得るために、どのような取組を行えばよいのでしょうか。国や、地方公共団体のサポートはあるのでしょうか。

答  指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱い等に係る管理を行うとともに、その管理の状況に関して国民の理解を深める責務があります。また、国や地方公共団体も、化学物質のデータベース整備、事業者への技術的支援、国民の理解増進等の取組を行うこととしています。

解説

1. 指定化学物質等取扱事業者は、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質が有害性を有するものであることを認識し、かつ、化学物質管理指針に留意して、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱い等に係る管理を行うとともに、その管理の状況に関する国民の理解を深めるよう努める責務があります。このため、事業者においては、指定化学物質の管理の改善に努め、その管理の状況についての説明会を開催すること等を通じて、自主的・積極的に国民に対する理解増進の取組を行うことが望まれます。
2. 国においては、化学物質の性状及び取扱いに関する情報のデータベースの整備、利用の促進に努めることとしています。また、国及び地方公共団体においては、事業者に対する技術的支援として、例えば、化学物質の排出量の把握のみならず化学物質の管理方法や管理技術に関する講習会の開催等に努めることとしています。国民の理解増進の観点からは、化学物質の性状や管理の状況について、教育活動の一環として冊子を配布したり、広報活動としてパンフレットの作成や講習会を開催するほか、例えば事業者から要請があれば、リスクコミュニケーションの場を設定すること等を含め、支援のあり方を検討することとしています。(詳しくは、問19の解説を参照してください。)

(都道府県による届出の指導)

問11 (第5条関係)
届出は、都道府県知事を経由して主務大臣に対して行うこととされていますが、都道府県に相談したり、届出方法を教えてもらったりすることはできるのでしょうか。

答  できます。

解説

1. 原則として事業者からの届出は都道府県知事を経由して行うものとされていますので、都道府県知事は、事業者から主務大臣への届出書類を受理し、主務大臣に対して届出書類を送付します。
2. その際、都道府県知事は、事業者からの届出が着実に行われるように、届出の内容や方法についての事業者からの問い合わせへの対応、届出書類へ記載された内容のチェック、届出義務のある事業者への注意喚起等の指導を行います。

(届出内容の正確性の確保)

問12 (第5条関係)
届け出る数値が正確かどうかは、都道府県がチェックするのですか?

答  届け出られた排出量、移動量等の数値の正確性は、都道府県知事の意見等を踏まえて、国(主務大臣)が判断します。

解説

1. PRTRの届出の相手方は国(主務大臣)であることから、届け出られた排出量等の数値が正確かどうかの判断は、主務大臣が行います。
2. 都道府県においては、事業者からの届出が着実に行われるように、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等の規制を受けている事業所の所在、事業の実態等を勘案しながら、届出の内容や方法についての事業者からの問い合わせへの対応、届出書類へ記載された内容のチェック、届出義務のある事業者への注意喚起等の指導を行います(問15を参照してください)。
3. また、都道府県においては、例えば自らが把握している個々の事業所における化学物質の使用や管理の状況等に鑑みて、届出義務の履行状況に関する事項や、届出内容の正確性の確保を判断する際の資料を有する場合には、主務大臣に対してその資料等から推定される事項等の意見を付することができますので、これらを勘案して主務大臣が判断します。

(届け出られた排出量等のデータの処理の流れ)

問13 (第7条関係)
届け出た排出量等のデータはどのように処理されるのですか。

答  届け出られたデータに関しては、環境大臣・経済産業大臣によってファイルに記録され、それをもとに集計・公表されることとなります。また、届け出られた個別事業所の排出量等のデータは、ホームページ上で公開しております。

解説

1. 事業所管大臣は、第一種指定化学物質等取扱事業者から第一種指定化学物質の排出量及び移動量に関する届出があったときは、当該届出に係る事項を環境大臣及び経済産業大臣に通知することとされています。ただし、営業秘密に係る届出については、対象化学物質の名称に代わる化学物質分類名をもって通知します(第7条第1項)。(なお、営業秘密に関しては、問21、問22の解説を参照して下さい)
2. 環境大臣及び経済産業大臣は、事業所管大臣から届け出られたデータを電子計算機に備えられたファイル(電子ファイル)に記録することとされており、記録された事項(ファイル記録事項)のうち、事業所管大臣が所管する事業を行う事業所に係るものを当該事業所管大臣に、その管轄する都道府県の区域に所在する事業所に係るものを都道府県知事に通知することとされています(第8条第1項及び第2項)。また、環境大臣及び経済産業大臣は、ファイル記録事項を集計し、集計した結果を公表することとされ(第8条第3項、第4項)、国はファイル記録事項を請求に応じて開示することとされています(第10条)。(集計結果の公表、請求開示については、問20を参照して下さい)。

(営業秘密の要件と届出の方法)

問14 (第6条関係)
どのような場合が営業秘密となるのでしょうか?営業秘密と考える場合には届出をする必要はないのですか?

答  営業秘密は、秘密性、有用性、非公知性の3つの要件に照らして、当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣(以降、事業所管大臣)によって厳格に判断されます。また、営業秘密と考える場合でも届出は必要です。

解説

1. 第一種指定化学物質等取扱事業者は、第一種指定化学物質の排出量等を届け出るにあたって、事業所管大臣に対して、対象化学物質の取扱いに関する情報が営業秘密に該当するとして、その化学物質の名称に代えて化学物質分類名をもって環境大臣及び経済産業大臣に通知するよう請求することができます(第6条第1項)。営業秘密の認定の請求に係る届出については、都道府県知事を経由せず、事業所管大臣に届け出ることとされています(第5条第3項かっこ書き)。
2. 営業秘密の要件は、不正競争防止法に倣い「秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないもの」と規定されており、秘密性(秘密として管理していること)、有用性(生産方法その他事業活動に有用な技術上の情報であること)、非公知性(公然と知られていないこと)の3つの要件に照らして、事業所管大臣が厳格に判断します。
3. 営業秘密の認定の請求に係る届出については、事業所管大臣は、事業者から届け出られた事項のうち対象化学物質の名称に代わる化学物質分類名をもって、環境大臣及び経済産業大臣に通知します。国(環境大臣、経済産業大臣、事業所管大臣)は、営業秘密が認められた届出については、化学物質の名称ではなく、化学物質分類名をもって開示を行うこととなります。
4. また、営業秘密が認められた年度以降、対応化学物質分類名を維持していく場合、営業秘密に関する請求は、毎年度行う必要があります(第6条第8項)。この請求が行われなかった年度における届出や開示は、当該第一種指定化学物質の名称で行われることとなります(第7条第3項)。

(環境保全施策の推進と営業秘密)

問15 (第6条関係)
営業秘密が認められた場合、環境保全施策を進めるためのデータとしては不完全なものになるのではありませんか。

答  営業秘密は厳格に判断される上に、環境大臣、都道府県知事が営業秘密とされた届出事項について説明を求めることができるので、環境保全施策に支障は生じません。

解説

1. 営業秘密に関しては、米国等と同様の判断基準に従い厳格に判断することとされていることから、営業秘密が認められる件数は極端に多くなるとは考えられません。このため、営業秘密が認められるからと言って、環境保全施策を進めるために大きな支障が生ずる事態は実際には想定しがたいものです。
2. また、営業秘密であると認められた場合も、その物質の名称が対応化学物質分類名に変更されてファイル化され、個別事業所ごとの情報として開示請求の対象となりますし、集計されて公表されることにもなります。
3. しかも、環境保全の観点から環境大臣が営業秘密とされた情報を入手する必要性があると判断した場合には、環境大臣は事業所管大臣に対して届け出られた事項について説明を求めることができ(法第7条第4項)、また、都道府県知事も、営業秘密と判断された届出事項についての説明を求めることができます(法第7条第5項)。このように、本法のPRTRは、環境保全施策の推進に支障がない制度となっています。

(国が推計する排出量)

問16 (第9条関係)
「届け出られた排出量以外の排出量」とは何ですか?これを国が推計することにどんな意味があるのでしょうか。

答  自動車、家庭、農地や、届出対象規模に満たない事業者などからの排出量がこれに当たります。これを国が推計することにより、我が国における対象化学物質の排出量の全貌を明らかにすることができます。

解説

1. 化学物質は様々なところから環境へ排出されており、本法では一定の要件を満たす事業者からの排出量等の届出を義務化したところですが、対象化学物質の環境への排出量全体を把握するためには、それ以外の排出量についても算出する必要があります。
2. このような排出量には、例えば以下のようなものが挙げられます。
(1) 自動車、航空機、船舶等の移動発生源
(2) 家庭
(3) 第一種指定化学物質等取扱事業者として政令で定められた業種に属さない事業を営む事業者からの排出(例えば農業に伴う農薬散布、建設現場からの塗料中の溶剤の排出)
(4) 第一種指定化学物質等取扱事業者の規模に満たない小規模事業者・小規模取扱事業所からの排出
3. このような排出量については、個々の事業者あるいは発生源に対して届出を求めることが困難であることから、国において排出量の推計を行うこととしており、具体的にはPRTRの集計・公表に国の機関として責任を有する環境大臣及び経済産業大臣が、関係行政機関の協力を得て、実施することとしています。なお、その際、移動量の算出は、技術的に困難であり実施の意義も少ないので行われません。
4. このように算出された排出量については、集計の後、その結果を、届け出られた排出量の集計結果と併せて公表することとしています。

(従来のSDSと本法に基づくSDSの関係)

問17 (第3章関係)
従来行われているSDSと、本法に基づくSDSとの関係はどうなるのですか?

答  従来より実施しているSDSについては、その記載事項等をISOの規定に則した形で見直し、JIS化を行いました。これは、環境面での化学物質管理のみならず、労働安全等広く利用できる規定となっております。一方、本法のSDSの詳細は、指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供の方法等を定める省令(平成12年12月22日通商産業省令第401号)で定められています。

解説

1. 1992年に、SDSに関して、労働省、厚生省及び通商産業省においてその記述すべき事項等につき告示を定め、事業者が同告示に基づき、SDSの提供を自主的に推進してきました。さらに、SDSに関しては国際的にもISOにおいて標準化されており、我が国も同標準に基づき、再度項目を見直し、平成12年2月21日にJIS化を行ったところです。
2. 一方、本法に基づく指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質等を他の事業者に対し譲渡・提供するときは、その相手先に対し、当該指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報を文書又は磁気ディスクの提供等により提供しなければならないこととされています(第14条)。
3. なお、本法に基づくSDSの義務化にともない、従来行われているSDSの告示を廃止することは考えていません。

(SDSを廃棄物に添付する必要があるか)

問18 (第3章関係)
この法律において廃棄物として処理業者に引き渡す際に、SDSを提供する必要はあるのでしょうか?

答  廃棄物を引き渡す際にSDSを提供する必要はありません。

解説

平成12年2月に開催された中央環境審議会環境保健部会及び化学品審議会安全対策部会の合同部会において「廃棄物については、種々雑多なものの集合体であり、その割合も一定しないことから、通常、どのような化学物質が含まれているか把握することが困難である。また、そもそも製品ではないことから、法律上の「製品」としては扱わないことが適当である。」との結論を得ています。廃棄物を引き渡す際にSDSを提供する必要はありません。

(国と地方公共団体の役割)

問19 (第17条関係)
この法律に基づく、国と地方公共団体の役割はどのようなものでしょうか?

答  事業者における化学物質管理の改善・強化や化学物質の性状、管理・排出状況等に関する国民の理解増進に対する支援に努めていきます。

解説

1. 国においては、以下の事業を行っていきます。
(1) 化学物質の安全性の評価に関する国際的動向に十分配慮しつつ、化学物質の性状に関する科学的知見の充実に努めるとともに、化学物質の安全性の評価に関する試験方法の開発その他の技術的手法の開発に努めます。
(2) 化学物質の性状及び取扱に係るデータベースの整備及びその利用の促進に努めます。
(3) 指定化学物質等取扱事業者が行う指定化学物質等の自主的な管理の改善を促進するため、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めます。例えば、化学物質の排出量の把握のみならず、化学物質の管理方法や管理技術に関する講習会の開催等を行います。
(4) 教育活動、広報活動等を通じて化学物質の性状、管理・排出状況等に関する国民の理解増進の支援に努めます。例えば、化学物質の性状や管理の状況について、教育活動の一環として冊子の配布、広報活動としてパンフレットの作成や講習会の開催等を行います。
(5) (3)及び(4)のための人材育成に努めます。
2. 地方公共団体においては、以下の事業を行っていきます。
(1) 指定化学物質等取扱事業者が行う指定化学物質等の自主的な管理の改善を促進するため、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めます。
(2) 教育活動、広報活動等を通じて化学物質の性状、管理・排出状況等に関する国民の理解増進の支援に努めます。
(3) (1)及び(2)のための人材育成に努めます。

(罰則の適用)

問20 (第24条関係)
どのような場合に罰則が適用されるのですか?

答  第一種指定化学物質等取扱事業者としての要件を満たしているにもかかわらず、排出量等の届出を行わなかったり、虚偽の届出を行った場合、また、SDSに関する報告徴収に従わなかったり、虚偽の報告をした場合に罰則が適用されます。

解説

1. 法第5条第2項において「第一種指定化学物質等取扱事業者は、排出量及び移動量に関し事業所管大臣が省令で定める事項を届け出なければならない」ことが規定されていますが、この規定に基づく届出をしなかったり、又は虚偽の届出をした者は、20万円以下の過料に処することが規定されております(第24条)。
2. また、法第16条において「経済産業大臣は、指定化学物質等取扱事業者に対し、その指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供に関し報告をさせることができる」ことが規定されていますが、この規定による経済産業大臣の報告徴収に従わない、または、虚偽の報告をしたような場合にも同様に20万円以下の過料に処することが規定されています。

(本法の見直し)

問21 (附則第3条関係)
この規定の意味は?対象物質や対象業種等の見直しは、法律の施行後7年を経過しない場合には行わないのですか?

答  本規定の意味は制度全体、つまり、法律の運用に関する検討、必要な措置を行うため設けられています。個別の対象物質や対象業種の見直しについては、科学的知見の充実等により、7年を経過せずとも、必要に応じ見直しを行っていくこととなります。

解説

1. 化学物質は、生産、使用等の動向が一定しているものではなく、また、有害性に関する情報も試験の実施等により科学的知見が充実することによって変化していくものです。また、対象業種に関しても、化学物質の利用の多様性を踏まえると必要に応じ見直しを行うことが必要です。
2. また、国会附帯決議においても「本制度の検証については、運用状況を勘案しつつ対処すべき事項についての整理を行うとともに、実効性を高める観点から積極的な検討を加え、制度の必要な整備・改善に機動的に取り組むこと」とされています。

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