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METI 経済産業省 Ministry of Economy, Trade and Industry
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審議会・研究会

産業構造審議会基本政策部会(第1回) 議事録

平成17年4月15日
於・経済産業省本館17階 国際会議室


1.開会

○橘木部会長 ただいまから、産業構造審議会第1回基本政策部会を開催いたします。
 本日は御多忙のところを御出席いただき、まことにありがとうございます。
 私が当部会の部会長を務めさせていただきます橘木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は第1回目の会議でございますので、事務局から委員の皆様の御紹介をお願いしたいと思います。
○古賀経済産業政策課長 おはようございます。経済産業政策課長をしております古賀と申します。よろしくお願いします。
 それでは、お一人ずつお名前だけ呼ばさせていただきますので、それで御紹介とさせていただきます。
 まず、UIゼンセン同盟副会長、逢見直人委員、本日は代理の高石様に御出席いただいております。
○逢見委員(代理・高石氏) 高石でございます。
○古賀経済産業政策課長 よろしくお願いします。
 次に、株式会社資生堂執行役員CSR部長、大矢和子委員。
○大矢委員 大矢でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社日本総合研究所調査部主席研究員、翁百合委員。
○翁委員 翁でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 神戸大学大学院経済学研究科教授、小塩隆士委員。
○小塩委員 小塩でございます。よろしくお願いします。
○古賀経済産業政策課長 明治大学政治経済学部助教授、加藤久和委員。
○加藤委員 加藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社フジテレビジョン編成制作局アナウンス室主任、木幡美子委員。
○木幡委員 木幡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 三菱商事株式会社執行役員イノベーションセンター長、小松孝一委員。
○小松委員 小松でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 クレディスイスファーストボストン証券会社チーフエコノミスト兼経済調査部長、佐藤ゆかり委員。
○佐藤委員 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 慶應義塾大学商学部教授、清家篤委員。
○清家委員 清家でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社ニッセイ基礎研究所上席主任研究員、武石恵美子委員。
○武石委員 武石でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 トレンダーズ株式会社代表取締役、経沢香保子委員。
○経沢委員 経沢でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社ローソン代表取締役社長兼CEO、新浪剛史委員。
○新浪委員 新浪です。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長、野原佐和子委員。
○野原委員 野原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 東京大学大学院経済学研究科教授、福田慎一委員。
○福田委員 福田でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 株式会社東芝執行役常務経営企画部長、不破久温委員。
○不破委員 不破でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 学習院大学経済学部教授、宮川努委員。
○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 一橋大学大学院商学研究科教授、守島基博委員。
○守島委員 守島です。よろしくお願いします。
○古賀経済産業政策課長 東京大学大学院総合文化研究科教授、山脇直司委員。
○山脇委員 山脇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 一橋大学経済研究所教授、渡辺努委員。
○渡辺委員 渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 なお、遅れて出席される方がございます。
 新日本製鐵株式会社常務取締役、太田順司委員。株式会社山邦代表取締役社長、社団法人日本青年会議所関東地区協議会会長、平将明委員。慶應義塾大学経済学部助教授、土居丈朗委員。このお三方は遅れて来られます。
 それから、本日、御欠席の方がお2人いらっしゃいます。トヨタ自動車株式会社常務役員、金田新委員。キャノン株式会社常務取締役企画本部長、渡部國男委員。このお二方は残念ながら欠席されるということでございます。
 なお、本日の事務局からの参加者については紹介は省略させていただきますが、座席表にあるとおりでございます。会場の都合により、一部後ろの席から参加をする者もおりますが、よろしくお願いいたします。

 

2.経済産業政策局長挨拶

○橘木部会長 さて、本部会の審議に当たりまして、経済産業省を代表して、北畑経済産業政策局長に御挨拶をお願いしたいと存じます。
 北畑局長、よろしくお願いいたします。
○北畑経済産業政策局長 御紹介いただきました経済産業政策局長の北畑でございます。
 橘木先生を初め各委員には大変御多忙な中、またこのように早朝からお集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。心より御礼を申し上げたいと思います。
 基本政策部会を立ち上げることにつきまして、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。
 もう皆様、御案内のとおりで改めて申し上げることもないのかもしれませんが、我が国経済はようやく長い不況から脱しまして、一昨年の後半から景気回復の軌道に乗っておると思います。昨年の秋以降、いささか長い踊り場という状況にはありますけれども、中期的にはかつてのような不況は脱したということであろうかと思います。
 また、90年代にさまざまな構造問題というのが指摘されました。その最たるものは不良債権問題でございます。不良債権問題につきましてはある程度のめどが立ったという状況にあるのではないかと思います。こういった明るい兆しをこれから中期的に確固たるものにしていきたいというのが我が経済産業省の願いでございます。これから10年、20年先のことを考えて、引き続き活力のある経済社会というものを我が国でぜひ築いていきたい、こういうふうに考えております。
 ただ、20年ぐらい先を考えますと、容易ならざる事態も随分あるわけでございます。最大の問題が少子高齢化の問題でございます。2025年には高齢化人口が3割になるということでございます。他方、若者の数は急速に減ってまいります。2020年までに、いわゆる若手、34歳以下の働き手が約3割減少するという大変厳しい状況になります。そういった中で、日本は引き続き経済のもとに国を立ち続けていくことができるのかどうか、非常に問題があると思います。
 それから、国及び地方自治体の財政赤字、GDPをはるかに上回る巨額の財政赤字をこういった若者が少なくなる社会で返済をしていくことができるのかどうか、これは国にとって大変大きな問題でございます。
 目を外に転じますと、日本は長い間、経済大国と言っておったわけでありますけれども、隣国中国が大変な勢いで追い上げてきておりまして、我が国と同じように加工組立型産業を国の産業の中核に据えて日本を追い上げ、追い抜こうとしておるわけであります。GDPだけで言いますと、今の状態で推移をいたしますと、20年後には間違いなく中国が世界第2位の経済大国、日本は3位以下ということになるわけであります。そういった中で日本というのは引き続き量で負けても質で中国に勝てる産業を国内にとどめておくことができるのかどうか、それは将来の国民の豊かさとか、それから財政を再建できるのかどうかといったことに関わってくるわけであります。
 それから4番目は、さまざまな構造改革を進めてきた中で、従来と違った問題が日本の経済社会に生じておるということを感じております。例えば、景気は回復をいたしましたけれども、景気がいいのは東京と名古屋と九州だけでありまして、それ以外の地域は引き続き不況のままという状態がございます。かつては国土の均衡ある発展ということで、日本全体が豊かになるということだったわけでありますけれども、構造改革というのは豊かな地方と豊かでない地方、企業も同じでございまして、強い企業と弱い企業、こういったことの格差の拡大といったことが起こっております。それは個人にも反映をしておりまして、景気はよくなったと申し上げましたけれども、片方で生活保護世帯の数は圧倒的に増えていっているわけでありまして、所得の格差も日本社会に新しい問題を投げかけているのではないかと思います。
 こういった中で、私ども産業を育てるということとあわせまして、これから日本政府全体の課題であります税制、財政の改革、社会保障の改革、雇用システムの改革、それから個人の問題、教育の問題などについて活力ある経済社会の確立という観点からも、こういった改革にいろいろ議論をしていきたいと考えております。
 そういった趣旨からこの基本政策部会を立ち上げさせていただきました。大変幅広い分野の専門家の皆様に委員に御就任いただきまして、大変心強く思っております。橘木先生のもとで、ぜひいろいろな提言をお取りまとめいただきますようお願いを申し上げます。私ども、経済産業省の政策でそれを具体化していくのはもちろん、政府全体の政策の中にそれを反映させていきたいと思っております。
 少々長くなりしまたが、最初の基本政策部会の立ち上げた趣旨を申し上げまして御挨拶に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。
○橘木部会長 ありがとうございました。
 次に、本部会の議事及び議事録の扱いについて確認させていただきます。
 お手元の資料3をごらんください。
 本部会につきましては、委員の皆様にできるだけ自由闊達な御議論をいただく観点から、議事は非公開とし、議事録は委員各位に御確認頂いた後に公開することといたしたいと存じますので、あらかじめ御了承いただきたいと思いますが、御意見はございますでしょうか。
 もしございませんようでしたら、そのように扱いさせていただきます。
 次に、本部会においては委員御本人が出席できない場合には、代理出席を可能とし、また出席、欠席のいずれかに関わらず、委員が当日の議題に関するコメント等の資料の配付を希望される場合、事前に事務局に御提出いただいた上で、席上配付を行うことといたします。

 

3.事務局説明(問題意識について)

○橘木部会長 それでは、本日の資料について、事務局より説明をお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 説明に入らせていただく前に、今、慶應義塾大学経済学部助教授、土居丈朗委員、先ほど御紹介できませんでしたけれども、到着されましたので、御紹介だけさせていただきます。
○土居委員 土居でございます。よろしくお願いいたします。
○古賀経済産業政策課長 それでは、お手元の資料に沿いまして御説明をさせていただきます。お手元に資料4の「問題意識ペーパー」、資料5として、表題は同じですが、「概略版」という1枚の横長の紙、それから資料6「参考資料」というものが入っております。「問題意識ペーパー」の方は事前に皆様に送らせていただいており、これは繰り返し御説明すると重複になってしまいますので、それにつきましてはこの「概略版」で簡単におさらいだけさせていただいて、その後、関連のデータを集めました参考資料の方にざっと目を通していただきたいと思います。
 まず「概略版」の方ですが、これも今中身の方は北畑局長の方からほとんどコメントをさせていただきましたので、繰り返しになりますから簡単にさせていただきますけれども、「問題意識」は今申し上げましたとおり、短期的には非常に明るくなって、史上最高益というようなことで企業の景況感も非常に回復してきているのですけれども、中長期的に見て日本経済は本当にどうなるのか、あるいは個人のレベルで雇用とか老後、そういったものに対する不安といったようなものが漠然としてではありますが、かなり広がってきているのではないかというようなことがございます。
 背景として考えられます大きな構造的変化、いろいろございますけれども、大きなものとしてここに挙げられておりますような4つのポイントがあるのではないかというふうに考えております。こういう中で、今まで確かに日本の経済社会において、改革は着実に進んできているわけですけれども、いろいろな変化に対して十分な仕組みの変更というものができていない部分があるのではないかというのが1つ、それからもう一つ、個人のレベルで選択の自由という意味で非常にポジティブにとらえられる面も広がってきているわけですけれども、一方で若いときからのリスクの増大というようなものについて個人レベルで十分対応できていいないのではないかというようなことが考えられます。
 そこで、こういった問題について経済社会の持続的な活力の向上ということをキーワードにしまして、日本の経済社会のあり方について広く検討していただきたいということでございます。
 その際に、それぞれの問題については今までもいろいろなところで検討が行われているわけですけれども、そうした制度ごと、あるいは分野ごとの見直しにとどまらないトータルな視点から長期的、かつ体系的なグランドデザインというものを提示していかなければいけないのではないか、そういった視点でぜひ御検討いただきたいということでございます。
 もう一点は、経済全体としてはこう回りますよという絵を描くだけではなくて、その中で、特に個人を中心としましてそれを取り巻く政府、あるいは企業、あるいは地域社会といったものも入ると思いますけれども、そういったいろいろな組織と個人の生き方、働き方といった側面についても検討をしていただきたいということでございます。
 「当面の検討課題」ですけれども、これも先ほどの局長のコメントの中にほとんど入っておりましたので詳しくは申し上げませんが、一方で、一定程度の成長力というものを確保していくということが重要ではないか。これ自体もGDPで見るのか1人当たりで見るのか、あるいはもっとほかの視点が必要ではないかと、いろいろ広い御議論もあるかと思いますけれども、成長の問題、それから一方で適切なマクロ経済運営といったものも、これもかなり厳しい細い道を何とかつくっていかなくてはいけない。その両面相まってうまく好循環が築けるようにといったことを考えていかなければいけないというのが1つでございます。
 他方で、そうした経済政策をうまくやっていく一方で、そうしたことが持っている社会的な側面にも注目をして、そうしたものも含めて経済社会全体として真に長期的に持続可能だ、活力が持続的に維持、発展できるという社会をどう構築するかという視点もぜひあわせて検討していただきたい。その中でも、ここでは3つほどポイントを挙げておりますけれども、一方で政府をスリム化しようというニーズがある。他方、個人というのはリスクにさらされる部分がどんどん増えているという中で、政府に何でも頼るということではなくて、民が担う公共というような、官民二元論だけではなくて、それを超えたコンセプトというものを検討していただけないかというようなことが1つでございます。
 それから、将来世代のことを考えていかないと、どうしても先送りになってしまうわけですけれども、将来世代をどうやって育てていくのか、社会全体として。そういう視点で世代間のバランスの問題、あるいは長期的な少子化対策の問題、そういった問題についてもぜひ検討していかなければいけないのではないかということでございます。
 その際、リスクが拡大する中で、そのリスクの前に立ちすくむということではなくて、多様な選択肢をどうやって活用して頑張れるのかというような方向で個人がその意欲、能力を向上させ、発揮できる、そしてそれがまた企業、社会の活力の向上につながっていくという、そういう社会をどうやって築けるのかといったあたり、個別の問題としては正規社員、非正規社員の問題とか企業人材マネジメントの改革の問題など、そういった問題についてもぜひ御議論いただきたいということでございます。
 以上がポイントでございますけれども、参考資料にざっと目を通していただければと思います。
 資料6のまず2ページでございます。先ほど申し上げました成長のところでございますけれども、これは「経済財政白書」の推計ですが、潜在成長率がどういうふうに動いているのかということを見てみますと、この90年代以降、これは時間と就業者に分けておりますけれども、労働投入の部分はずっとマイナスに寄与するという動きになっておりまして、支えているのは資本投入と全要素生産性、「全要素生産性」というのは問題意識の長い方のペーパーの3ページの上の注に書いてありますが、一言で言えば労働投入と資本投入以外の要素で付加価値を向上するようないろいろな取り組み、技術開発とかそういうものもありますけれども、もっとソフト的なイノベーションも含めてそういう生産性、それを「全要素生産性」と呼んでおりますけれども、その向上で支えられてきているということでありまして、こういうところをどうやって上げていくかというのが1つの課題になるということでございます。
 それで、次のページの全要素生産性上昇率の推移でございますけれども、各国比較でみると90年ぐらいまで相対的に日本は結構いいパフォーマンスを示しておりましたが、それ以降、伸びが鈍化しております。アメリカは、比較的低いところから徐々に上がってきているとか、フランスもずっと下がる傾向があったのですが、最近、少し上がってきているとか、イギリスは結構いいパフォーマンスを出しており、他方ドイツは下がっているというようなことを見ていただければと思います。
 それから、その生産性以外の労働と資本というのは先ほど申し上げましたけれども、労働力を見る前提となります人口減少の見通しでございます。ここに高位推計、中位推計、低位推計とございますけれども、いずれの推計でもかなり大きく減少をしていくということが見込まれるわけでございます。低位推計だと2005年から、中位推計でも2007年から減少するということでございます。
 5ページでございますけれども、この3つの推計があっていろいろな議論がございますが、これは合計特殊出生率という1人の女性が子供を何人産むかということでございますが、その推計によって上下するわけですが、過去の推計を見てみますと、一貫して中位推計よりも低く出る傾向がある。どちらかと言えば低位推計ないしはそれを下回るような実績が出ているという、このあたりも少し注意をしていく必要があるだろうということでございます。
 次のページでございますが、人口が減少していくということで、単純に行くと労働力が下がっていくだろうということであります。ここに出ている3つの推計のうち、1つは厚労省の見通し、それから中位推計、低位推計をベースに、単純に各年齢別の労働力率が2003年実績値で一定とした場合の数字を示しておりますが、放置すると低い方に行ってしまう可能性がある。いろいろな政策努力とかそういうことをやって上に持ち上げていく必要があるだろうということでございます。
 それから、そういうことによっていろいろ若年層に負担がかかるのではないかという議論がありますが、現役世代が支えるべき高齢者数が7ページにございます。従属人口指数というものを、15歳未満と65歳以上を「従属人口」というふうに定義して比率で見てみますと、2000年の4人で1人を支えるという構造が、2050年には、これは単純に延ばしていったものですけれども、1.5人で1人を支えなければいけないというような推計もございます。
 続きまして、労働力率の国際比較です。男性の労働力率、日本は男性は国際的に見ても高い。特に高齢者のところでも結構高いということでございますけれども、女性の方は明確にまだM字型のカーブが残っておりまして、30代から40代に入るところあたりまではガクンと落ち込んでいるというのが見てとれまして、ここが上がっていくことによって相当、女性の労働力というのはまだまだ増える可能性があるということでございます。
 次のページですが、一方で高齢者はどうかということであります。日本は就業意欲が非常に高いのが特色でありまして、理想の引退年齢というものの調査ですが、日本の場合は65歳ぐらいがピークで、さらに70歳ぐらいという比率も非常に高い。アメリカも65歳というところが高いのですけれども、それに比べても日本はやはり70歳ぐらいというのが非常に高いというのが特色であります。ドイツ、スウェーデンなどはどちらかと言えば60歳ぐらいという方がより多いというような傾向でございますから、こういったところの働きたい意欲をうまく労働力率の上昇につなげていくことができるのではないかということでございます。
 次のページ、一方で若年の失業の問題ですが、90年ぐらいから全体の失業率に比べて20代の失業率が非常に上がっております。直近では少し下がっておりますが、これは全体も下がっておりますので、格差はそれほど縮まっておりません。それから、以前は30代は働き盛りですから失業率は全体より低かったのですけれども、最近では全体の失業率に近づいて来ているというような動きもございます。
 以上が労働関係のデータでございます。
 それから、次の11ページでございます。これは資本の蓄積という面でどうなるかということですが、貯蓄率の推移が示されております。いろいろなデータがあるわけですけれども、90年代以降は低下傾向にある。単純な推計で延ばしていくと、高齢化が進むに従って、どういう数字を使っても、かなり貯蓄率は下がっていくだろうという推計がございます。そういう中でどうやってうまく経済成長に資するような資金の循環というものをつくっていくのかということも1つのポイントになるということでございます。
 それから、12ページでございます。グローバル化の視点、中国の脅威というようなことがありますが、脅威なのか、あるいはチャンスなのかという視点でございますが、グローバル化が左側、どんどん進んでおる。特に、貿易では非常に伸びが高くなっております。そういう中で、今、いろいろなレベルで国家間の競争というものも始まっているというふうに言われておりますが、1つの例示として法人税率の推移が、大きな流れとして各国とも引き下げの方向に動いている。もちろんこれはそれだけの要素で動いているということではございませんけれども、そういうことが見てとれるわけでございます。
 それから、その中でも東アジアのプレゼンスというのは高まっているということでございまして、アジア地域が世界経済に占める比率というのは2004年、もうすでに4分の1を超えているということですし、これは内閣府の見通しですけれども、2030年まで見ても中国、ASEANなどはアメリカや日本よりはるかに高い成長率を維持するであろうというような見通しがあるわけで、ますますプレゼンスはたかまっていくだろうということでございます。そういう厳しい国際競争というのが展開するということでございます。
 次のページ以降は財政の関連でございますが、14ページは国の一般会計の歳出、これはずっと一本調子で増えてきたのが2000年を境にやや減少していますが、80兆円を超えて高止まりをしている。それから、税収の方は90年以降、不景気、あるいはそれに対して減税等で15兆円ぐらい減少していまして、当然のことですけれども、その差として多額の国債発行が続いているということでございます。
 これを基礎的財政収支という、プライマリーバランスと言われるものですけれども、これは歳入の方から公債の収入、歳出の方はその元利払いをそれぞれ取り除いて、つまり借金関係の数字を除いてバランスを見てみたものでございます。国の方は、92年度以降はずっとマイナスでございます。地方は一応最近プラスに出ておりますけれども、これは交付金制度などで中央から地方に財政移転をしたことによってプラスを維持しているということ、これは制度の見直しを行えば、まだまだ脆弱なものであるということに変わりはないということでございます。
 16ページに入りまして、額だけでなく、GDP比率で見ても日本は非常に高いレベルになってきているということでございます。150%を超えております。これはグロスですけれども、ネットで見ろという議論もありまして、ネットだと、一番悪いわけではないという議論もありますけれども、それでも先進国の中では、ここには出ていませんけれども、イタリア、ベルギーに次ぐ悪さでございまして、50%を超えているのはその3ヵ国のみということで、いずれにしても非常に高いレベルであるということでございます。
 次に、その財政との関係でこれから最も負担の増大が予想されます社会保障の方でございます。17ページ以降でございますが、一貫して伸び続けているというのが左のグラフで見てとれます。これが将来的に、厚労省の見通しですけれども、年金は少し改革されましたので若干その伸び方は少なくなっていきますが、まだまだ増えていくという見通しでございますし、医療のところが特に高齢化で大きく負担が増えるであろうというようなことで、社会保障給付は放置すれば相当増えていくということでございます。
 そういったことで、国民の負担がどうなっているかということでございますが、18ページですが、租税負担率の方は比較的抑えられてきているわけですけれども、社会保障負担率というのは少しずつ上がってきている。さらに財政赤字というのを加えて潜在国民負担率ということで考えると、もう50%に近いところまで来てしまっているという状況でございます。
 こうした負担が経済成長とどう関係があるのかということですけれども、19ページ、いろいろな議論があるわけですけれども、まず日本の潜在的国民負担率で見た数字が一番左にありまして、アメリカよりは高い。ただ、ヨーロッパの国に比べると、イギリスよりもちょっと低いですし、ドイツ、フランス、スウェーデンというところに比べるとかなり低いということでございます。これが経済成長にどういう影響を与えるかということで、「経済財政白書」では、非常にゆるい相関ではありますけれども、国民負担率が高いと経済成長率が低いというような議論もあります。一方、高負担、高福祉でも高い成長をしている、あるいは競争力が高いと評価されている国もあるのではないかというような見方もございますので、ここら辺も議論が必要かと思います。
 20ページ以降は、先ほど申し上げた構造変化の1つの中の個人化の流れでございます。そこに出ておりますのは単独世帯の比率、これは黄色ですけれども、一貫して上昇しているということで、このまま行くと2025年、これは国立社会保障・人口問題研究所の推計ですが、34.6%というような数字がございます。かつては過半を占めていました夫婦と子供で構成される世帯というのは逆に4分の1ぐらいまで減っていき、2010年代には単独世帯が一番多くなるというような見通しでございます。
 さらに、個人の意識として、親戚との付き合い、職場の同僚との付き合い、近隣との付き合いということで21ページに出ておりますが、そういった周りの社会との付き合い方というのは、全面的なお付き合いというのがずっと下がってきておりまして、部分的、あるいは形式的な付き合いに過ぎないというものがどんどん上がってきているということで、やはり個人化の流れというのは進んでいるだろうということでございます。次のページ、22ページが、では、それで個人化が進んでみんな自分勝手に生きていこうということになっているのかというと必ずしもそうではなくて、社会貢献したいという意識というのは90年代ぐらいに、70年代、80年代に比べるとかなり上の方にシフトしているというのが見てとれるわけでして、右がNPOの数ですけれども、ずっとかなりのペースで増え続けているということで、政府がスリム化を進めていかなければいけないという中で、民がどの程度公共を担えるのかというようなことについて1つのヒントになっているのではないかということでございます。
 次に23ページ以降ですが、将来世代に何を残して、どう育てるのかという視点ですが、世代間の受益と負担の格差という議論がございます。これは内閣府が出した資料でございますけれども、50代、60代は生涯を通じて受益超過だけれども、20代、あるいは将来世代というのは負担超過になるという分析がございます。ただ、こういう単純な比較で論じるということはどれほど意味があるのかというような議論もございまして、この世代間のバランスというところも1つの大きな論点かと思います。
 それから、世代間の問題を考えるときに、さらに将来世代、少子化をどう考えるのか、どう止めていくのかという議論がございます。そこには、日本の合計特殊出生率は1.29という数字がございますけれども、どの国でも基本的には減少傾向にあるわけですけれども、一部の国、例えばアメリカで反転してきている。あるいは、フランスでもずっと下がってきたのですが、最近、反転してきているというようなことでございまして、そのあたり、反転の可能性というものを探っていかなければいけないだろうということでございます。
 25ページ、少子化の要因について、内閣府の「少子化社会白書」で整理をしたものでございます。少子化の直接の原因として、未婚化、晩婚化、それから夫婦の出生力の低下というようなものが示されております。さらにその原因として、育児・教育コストの負担、機会費用の増大というようなところが目につくところでございます。26ページに参りますと、どれぐらい子供が欲しいかという理想の子供数というのは一番下にありますとおり、それ程減っているわけではないのですが、現実には子供の数は減ってきている。その理由を聞いた調査ですが、子育てや教育にお金がかかり過ぎるというのが圧倒的に多いという結果が出ております。その右側は出産・子育てで女性が就業を中断すると就業所得の逸失額がどれぐらいになるかということで、8500万円というような試算もあるということであります。
 次のページは今の子供たちの問題です。1つは子供たちの学習意欲がなくなっているのではないか。そこに格差が出てきているのではないかという問題意識でございまして、学習態度、意欲の国際比較ということで、日本は宿題をする子供が少ない、逆にテレビ、ビデオを見る子供が多いとか、そういうような数字が出ております。右側が、これは苅谷先生の調査でございますが、階層別に格差が拡大してきているのではないかということで、79年と97年で比べると、格差の幅が広がってきているというようなことがございます。それから、一番下は父親の職業と本人の学歴、別に学歴が高い方がいいということではないのですけれども、父親の職業が経営者・役員、自営専門職、ホワイトカラーの場合に子供が高等教育を受けている割合が半分前後から半分以上ということになっているのに対して、それ以外の職業階層ではかなり低い割合になっていて、このあたりも1つの論点になるかと思います。
 先ほど当面の検討課題の中で申し上げました、どうやって個人の意欲や能力を向上させていくのか、それをうまく生かす働き方というのはどういうことを考えればいいのかというような論点であります。28ページで、雇用形態の多様化が非常に進んでいるというグラフです。この言葉がいいか悪いかという議論もありますけれども、正規社員、非正規社員というふうに分けてみますと、正規社員が今63%ぐらいまで下がって、非正規社員が3割ぐらいにまでかなり増えてきている。趨勢的にその差が縮まっていくという傾向があるということでございます。
 ただ、これは単に従来型の正規を増やせという単純な議論になるわけではないだろうと思いますのは、就職に関する個人の側の変化というものもあるということでありまして、就職先の選択の理由、29ページですが、自分の能力、個性を生かせるからとか、仕事が面白いからというような理由が、時間の経過とともに非常に増えているというような傾向が見てとれます。個人の個性とか関心との合致というようなものが重視されるということですから、そういうところも考えながら、この先のことを検討しなければいけないということでございます。
 30ページでございますが、最近、非常に強い関心を呼んでいます正規と非正規の面ですけれども、賃金格差があるのではないかということで、縮小傾向にあったものが最近また格差がつく傾向にあるというのが左側でございます。それから、正規、非正規で年金、退職金、賞与、福利厚生施設、自己啓発援助制度というようなことについて適用される割合がどれぐらい違うかということについて示しておりますが、年金のところはもちろん非常に大きな差がございますし、自己啓発援助制度というような、自分の能力アップというようなことの援助を受けられる割合というのも非常に低いというような格差という問題がございます。
 それから、次のページですが、また一方で非正規というものも、その中でも多様化がさらに進んでいる、ないしこれからも進むであろうということでございまして、非正規の中で定型的業務の代替要員というのが今までは圧倒的に多かったわけですけれども、今後の活用の仕方としては、非定型の業務、あるいは高度な専門技術を要する業務にも活用の幅を広げていきたいというような企業も増大しているということでございます。
 次のページですけれども、正社員は基本的には年功賃金という要素が強いわけですが、90年代以降はこれは徐々にフラット化する傾向があり、年功賃金でどんどん上がっていくという傾向が強ければ強いほど、企業としては正社員で採用するというのはしにくいということになるわけですけれども、フラット化するということは、逆に採用しやすいということにもなるわけでして、ここら辺の正社員の扱いの変化ということについても、よく見ておかなければいけないということでございます。
 それから最後のページ、国民の将来不安についていろいろな調査がありますけれども、ごく典型的なものを出しております。左が内閣府の調査で、「今後の生活の見通し」ということで、大して変わらないのではないかというのはベースにかなりの割合あるのですけれども、悪くなっていくというのと良くなっていくというのを比べると、90年代後半から悪くなっていくという方がどんどん増えてきているという傾向がございます。それから左下では、これは山田先生の調査ですけれども、将来、日本経済はどうなりますかと若い人たちに聞いたところ、今より豊かでなくなっているという割合が非常に多くなっているということです。また、小中学生についての東京都の調査では、小学校5年生でさえ、良くなるというのは半分ぐらいしかいない。悪くなるのと半々という感じで、中学2年生になると良くなるという方は圧倒的に少なくなって、7割以上がそう思わないという回答になっているということで、若い人にそういう不安感が広がっているというところをどう考えるかということがございます。
 以上、参考資料の御説明でございます。先ほどの問題意識と検討課題についての参考にしていただければと思います。
 それから、先ほど御紹介ができませんでしたが、遅れていらっしゃいました新日本製鐵株式会社常務取締役、太田順司委員がお見えですので、御紹介をさせていただきます。
○太田委員 太田でございます。よろしくお願いいたします。
○橘木部会長 ありがとうございました。

 

4.自由討議

○橘木部会長 それでは、ただいまの事務局からの御説明を踏まえて、委員の皆様からそれぞれ2〜3分、最大5分以内で自己紹介を兼ねて自由に御意見、御質問をいただきたいと思います。
 御発言の際にはお手元のマイクのボタンを押してから御発言をお願いいたします。
 それでは、逢見委員代理、高石様より座席順によろしく発言をお願いいたします。
○逢見委員(代理・高石氏) UIゼンセン同盟の高石でございます。逢見の代理でございます。逢見は出張しておりますので。
 私どもは労働組合の立場で、この問題につきましてこれから積極的に、やはりいわゆる働く者の目でこれからこういう形の中で意見を反映させていきたいなと思っているところでございます。特に、今日の資料に出ていますように、やはり少子高齢化の中でこれからいわゆる労働力人口が減っていく、これらの対応はまさに我々もどうしていくか。それから、今、やはり進んでおります二極化の問題、これはすべての面に出てきている。特に、働く側にも今これが非常に多く、いわゆる正規、非正規ということだけではなしに、企業規模の関係、同じ業種の中でもいわゆる勝ち組、負け組の中で二極化が起こる。そういうもとで働く者の立場の中からこの二極化の是正にどのように取り組んでいくか、これは経済との関係の中でどのように整理していくのかなと。いろいろこれから多くの課題があるかと思いますけれども、積極的に皆さん方と一緒になりまして検討していきたいと思います。
 また、逢見の方はいろいろとこういうものにつきましては非常に詳しく、知識もありますので、そういう意味では逢見の方から、積極的に参加していくと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○橘木部会長 それでは、続いて御発言をお願いいたします。
○太田委員 遅れまして、誠に申しわけございません。新日鐵の太田でございます。
 私どもは名前のとおり、製鉄事業を国内を中心に営んでおりますので、何点か最初、基礎的な視点を御披露したいと思います。
 製造業の視点から、どのようにコントリビューションができるかということをまず心掛けていきたいということであります。ちょっと基礎的なデータを少し御披露申し上げますが、今、世界の鉄鋼消費というのは大体10億トンです。このうちアジアが5割のちょうど5億トン、この中で中国が現在急成長しておりまして3億トン、したがいまして、世界の3割、あるいはアジアの6割を占める、こういうまずポジションにあるということです。ちなみに、日本の消費量はこれにはるかに及びませんが、7500万トン、世界の7.5%、こういうことであります。しかしながら、生産は約1億トンをやっておりますので、7割を国内で消費し、3割を輸出をするというのが製鉄事業の基礎的なデータだということを最初に御披露しておきたいと思います。
 一方、製鉄事業を営む場合に忘れてなりませんのは、私どもの産業は極めて加工型産業である。つまり、鉄鉱石、あるいは原料炭、石炭ということなのですが、これはすべて100%海外依存ということでありまして、国内調達ができます原料は石灰石のみ、こういう状況であります。
 今申し上げましたような基礎的なデータを背景に2点ほど指摘をしたいと思います。
 1点目は、私どもの製鉄事業、製造業の課題ということなのですが、1つはやはりものづくりという製造業の基本課題でもあります技能とか、あるいは技術の伝承ということに対して大変な危機感を持っております。具体的に申し上げますと、製鉄事業は24時間のフル操業でありますので、いわゆる三交代勤務といいますか、まだ私どもは古い業種なものですから、「甲、乙、丙」というような呼び方をしておりますけれども、三交代の24時間勤務、こういう仕事にはなかなか若者がついてこないという状況がまずあります。つまり、人不足ということであります。
 もう一点は、今ほど申し上げましたように、日本は資源のない国であります。したがいまして、原料を輸入し、付加価値をつけて輸出をし、ちょっと大げさな言い方ですが、国富を増大するという観点で仕事をしている面もございます。しかしながら、産業政策面で言いますと、先ほど申し上げましたように、日本の7500万トン、あるいは生産での1億トンというマーケット観が非常に時代遅れになっておりまして、むしろ申し上げたいのはアジア、つまり5億トンのマーケットの中で日本は1億トンしか生産をしていない。つまり、市場という観点をホームマーケット、あるいはセミホームマーケットと私どもは呼んでおりますが、中国を含めたもう少し広域的な市場感覚でとらえないと、国家政策としての産業政策を間違うのではないか。もう少し具体的に申し上げますと、独禁法の運用基準緩和、こういったことについてもまた時間が許されれば提案をしていきたいというふうに思います。
 以上、2点であります。
○大矢委員 資生堂の大矢と申します。現在、CSR部の担当をいたしておりますので、少しお話をさせていただきたいと思います。
 CSRというのは企業の社会的責任というものでございますけれども、企業価値を最大化して、企業リスクを最小化するというような立場で業務をいたしております。そういう面では、国の価値を上げるためには社会や経済側面だけではなくて、社会、文化、人間性といった、そういった側面の価値をいかに上げていくかというのもすごく重要ではないかと考えておりますし、また日本の先ほど資源のお話がありましたけれども、資産の中では文化的な価値というものがかなり高いのではないかと思っております。この辺をいかに上げていくかということも、経済的側面に貢献できるのではないかということが考えられます。また、こういった機会を与えられましたので、今回、こういった政策案に対しましては、やはり進め方としてはぜひ時間軸を持って具体的にいろいろな議論ができればというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○翁委員 日本総研の翁でございます。よろしくお願いいたします。
 4点ほど申し上げたいのですが、1つは「中長期」と言ってもどのあたりの年代を念頭に置くのかということで、いろいろ議論も変わってくるのではないかというふうに思います。例えば、2020年、2030年というところであれば、例えば「少子化」と言ってもある程度与件になっていて、「少子化対策」と言ったときも、少子化を前提にするのか、それとも前提とした社会でどうしていくのか、それとも少子化を食い止めるのか、そういう意味合いも大分違ってくると思います。また、人口減少もすぐ始まりますけれども、高齢化社会の問題点というのも2025年以前と2025年より後というのでは、また相当イメージも違ってくると思います。ですから、「中長期」と言った場合にどのあたりをイメージするのかということで、議論の方向も大分違うのではないかというのが1点です。
 それから2点目は、これは経済産業省で議論するということでございますので、例えば経済産業省として今までの産業政策とか、それから企業との関わりというのをこれからどういうふうにしていくのか。パイを大きくしていくこと、それから競争力を高めていくことというのは依然として重要な日本経済にとっての課題だと思うのですけれども、それに対して政府がどういうふうに関わっていくのか。例えば、本当にフロントランナーと思われるところに対してシグナリングをして、それを育てていくということを本当に腰を入れてやっていくのか、それとも環境整備に徹するのか、こういった政府の関わりということも重要な論点になってくるのではないかなと思います。
 それから3点目ですが、私は日本経済にとって最も大きな今後の問題はやはり財政赤字の問題だというふうに思っております。この歳出削減をするに当たっては、ここで論点として挙げられています公とか官の概念の整理というのは極めて重要だと私も思いますので、ぜひ議論していくことが必要だと思います。
 ここでは、例えば公共性とは何かというふうなこともそうだと思うのですけれども、例えば、それに対して政府が関与することがどういう場合に認められるのか、また政府が関与することが認められるとしても、その手法というのはいろいろあると思います。民間がやって、それに対して規制でやるとか、またはどうしても事業性がない場合には民営化ということは無理でも民間委託でやるとか、そういったいろいろな概念を整理をしていくことが大事だと思いますが、大きな考え方としては公共性のあるものであっても、民間が担い得る、それに対してどういうふうに関わっていくのかということで大きく財政の歳出削減につなげていくような議論ができればというように考えております。
 それから、資金の流れということでもちょっと書いてありますけれども、資金の流れというのは極めて重要なのですが、同時にだれがどういうリスクを負担するのか。民間が負担できないリスクを恐らく政府が負担するということで、例えば政府保証とか、そういうことが今まで随分大きくなってきていて、政府債務の大きさということがありましたけれども、これは国債だけではなく、公的債務全体の話だと思います。そういう意味では政府、民間が担い切れないリスクというのは何なのだろうかというようなことについても議論していければと思っています。
 最後になりますが、やはり私はこれからの少子化の時代において人間力というか、人間1人1人の力を高めていくということが非常に重要だと思っています。企業においての人間力ということも書いてありますが、やはり重要なのは初等教育、中等教育、高等教育からどういうふうに人間を育てていくかという大きなビジョンが重要だと思いますので、その点についても議論させていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩委員 神戸大学の小塩です。3点ほどコメントさせていただきます。
 1つは、この基本政策部会では公と民の役割分担というのが大きなテーマになると思うのですけれども、高負担・高福祉、低負担・低福祉とか、そういうのはかなり価値判断の入ってくるテーマなので、異なる意見を出して収束しない可能性があると思うのですけれども、やはり収束させるためには少子化という人口動態を明示的に議論に入れる必要があるだろうというふうに思います。かなりの程度、少子化のもとでは「公」と言った場合、その「公」が将来世代に負担を先送りするというふうな、そういう構造になっているというふうに思いますので、それを意識する必要があるだろうというふうに思います。これが1点目です。
 2点目ですけれども、そうは言っても、ただ単に公の役割をどんどんと減らしていってみんながハッピーになるというわけではありません。やはり今まで以上に公の役割を強めるところはあると思います。その点で申しますと、特にこの審議会は企業が大きなテーマになると思うのですけれども、企業がこれまで果たしてきた役割を果たせなくなった、その肩代わりをするという面が公に求められてくるのではないかと思います。具体的に言いますと、1つは企業が今まで果たしてきた学校という役割です。人材育成という面においては学校と共に企業というのは非常に重要な役割を果たしてきたわけなのですけれども、それがうまく機能しなくなって、これをどうするかということ。もう一つの企業がなかなか果たせなくなってきている役割というのは所得再分配の役割です。最近では成果主義とか能力主義等々というのが時代の流れになっておりますし、私も効率性の向上という点ではそれは悪い話ではないかと思いますけれども、その一方で今まで企業が非定型的な形で果たしてきた所得再分配の機能というのは弱っていて、最近ではジニ係数等々を見てもかなり早いペースで上昇しているというふうな形で、格差という問題は重要になってきていると思います。ただ、それも今までのような再分配の仕組みでうまくいくのかという議論がありますので、そういう話も必要だろうと思います。
 それから3番目なのですけれども、これはどこに力点を置くかということです。先ほどのお話では、非常によくわかるのですけれども、余りにテーマが幅広くて、一歩間違うと総花的になってしまうということがあるのですけれども、私は来年、報告書を出されるということなので、戦略的に考えたらいいと思うのです。それで、どういうふうにやったらいいかと思うのですけれども、世代を意識しましょうということです。もうじき、団塊の世代の人たちが引退生活に入ります。そういう団塊の世代の人たちがどういう働き方をするのか、生き方をするのかというのは日本経済に大きな影響を及ぼすというように思いますので、団塊の世代を意識する報告書をつくる。団塊の世代だけではなくて、20代、あるいはもっと若い人かもしれないのですけれども、いわゆるニートとかフリーター等々いろいろな問題がありますけれども、そういう若い人を意識した政策提言を行うということです。簡単に言うと、就学から就業に入る入口のところ、それから、就業から引退に向かう出口のところ、この2つをかなり意識した政策体系をつくるというのが1つの考え方かなというふうに思います。
 以上です。
○加藤委員 明治大学の加藤です。私は人口と経済を専門にやっているということで、少子化対策等について意見を出すことが求められているのかなというふうに思っております。
 幾つか、問題意識ペーパーを読ませていただきまして、非常によくまとまっておりまして、私なりに考えたことを二、三、ちょっと話をさせていただくと、例えば今の少子化の問題、それは女性の選択の幅を狭めている従来型システム、その背景には男女共同参画社会の実現の遅れといいますか、伝統的価値観が根強くあるということなのですが、そういった旧来型制度、人口増加社会を前提とした制度と現在とがうまく一致しないというところに大きな問題がある。言えば、そういう柔軟な制度設計をどうするかというのが一番大きな問題だろうと思います。単純に言えば、人口動向に左右されないような年金制度をどうするのだとか、例えば今後の貯蓄率は低下する、労働力人口は減少する中で海外から人や金をどうやって持ってくるのか、そういったことが一番大きな問題になりますし、社会保障制度を現行のまま持っていくということは、逆に言えば企業の負担を高めていくことが前提となっていますので、国際競争力との関係でどういうふうにして考えていかなければいけないのかというのは、当然のように出てくるかと思います。
 また、マクロ経済の持続可能性の話の中で出てくる、よくある1人当たり成長率という問題なのですが、個人的に見れば、やはり1人当たり成長率というのは人口が減少すれば減少するほど高くなってしまうということもあり得るわけです。やはり私は規模や範囲の経済やマーケットの確保という意味では、総体としてのマクロ経済の成長というものを考えていかなければいけないということを思っております。
 さらに少子化対策ということで、将来世代の育成ということで問題意識ペーパーにもいろいろ書かれていらっしゃるわけですが、もちろん労働力人口の減少という供給面からの減少というのはだれが見ても当たり前のことですが、もう一つは顧客としての新たな層の確保というところからも考えていかなければいけないだろう。人が減るということを需要面から考えていくということも非常に大事なことであるというふうに思っております。
 また、少子化、出生率に関して言えば、今、1.29というレベルがちょっとぐらい上がってもこの状況というのは全く変わらないわけでして、2.07ぐらいまで上げれば今の人口が維持できるということですから、1.5になろうと1.6になろうと人口が減るということは全然変わらない。ですから、人口を増やすということではなくて、人口の減少をどこまで抑制するかという視点で物事を考えていく必要もあるのではないだろうかというふうに思っております。これは単純な私の試算なのですけれども、合計特殊出生率が2025年度までに、今の段階よりも少し、0.1ポイント上がれば平均して2025年から残りの25年間、2050年までの年平均成長率にすると0.05%ぐらい上がる、あるいは国民負担率も1%弱ぐらい緩和することができるというようなこともあります。ですから、そこら辺の人口と経済とをどうやって絡めて考えていくかということも大事ですが、総体としての経済を考えていただければなと思います。
 もう一つ、女性の就業継続の話というのが先ほど資料の中にも出てきまして、いわゆる就業が継続できないことのコストというのが非常に大きくなってきている。日本の場合、M字型カーブというのが昔に比べて若干修正されつつあるのですが、しかしながら、男女の賃金格差が縮小してきていることによって逆に機会コストというのは増えてきてしまっている。それが少子化の大きな原因なので、そういった問題もぜひ議論していただきたいと思います。さらに、企業の方から考えてみると、今、ファミリー・フレンドリーな企業ということでやっているのですが、通常の企業にしてみれば次世代支援とかいうことはコストになってしまう。リストラのときにもいろいろ言われているのですが、コストとなってしまうような政策をみんながやるかやらないか、へたをすると囚人のジレンマ的な結果に陥るようなことがある。企業はどういうふうにして少子化対策なり次世代支援を自分の問題として考えていくか。将来の顧客を確保するという視点で物事を考えていくことが必要なのかなと思います。
 最後に財政赤字の問題なのですけれども、世代会計でも先ほど見せていただきましたが、将来世代がどんどんつけを背負っていく。例えば、これから生まれてくる子供たちが経済的困窮となって可処分所得が低下してきて、そういうことによってさらに彼らの結婚であるとか家族形成というものが足を引っ張られてしまって少子化を促進してしまう。つまり、政府赤字というのは経済だけの面はなくて、将来世代にとっての家族形成にも影響してくるというような、これはイースタリン仮説というのがあるのですけれども、そんなところとも絡めて考えていく必要があるのかなというふうに思っております。
 以上です。
○木幡委員 皆さん、こんにちは、フジテレビアナウンサーの木幡美子と申します。
 私は入社以来、現場の取材ですとかリポート、またキャスターとしてニュースを伝える仕事をしております。また、プライベートでは今4歳の女の子の母親でもあります。正直言って、私には経済の専門的な知識というのは余りないので、ほかの皆さんとは若干違った視点からのアプローチになるのではないかと思っております。
 今、日本経済がいま一つ元気がない、これには本当に当然さまざまな要因があると思うのですけれども、私は日本を元気にするには、まず人を元気にすることが大事なのではないかというふうに思います。このところニュースを伝えていると、どうも人と人との対話、コミュニケーションがうまくいっていないのではないかと感じることが多々あります。コミュニケーションの手段が多様化してきて世の中が便利になった反面、人間関係がドライになってきていて、社会に温度がないというふうに感じます。これは職場ですとか家族、地域コミュニティ、また教育現場、友人関係、医療の現場、思いつくだけでもあらゆる場面に生じているように思います。
 私たちが日々取材をする際には、必ず現場に行きます。もちろん、ネットとか電話でも情報は得られるのですが、やはりそこにいる人たちの話を聞いて、事実を肌で感じるということが絶対に不可欠なのですね。ですから、どんな世の中になっても、こうした温度のある言葉で人間同士がコミュニケーションをとることの重要性、これは変わらないのではないでしょうか。
 また、今、核家族化、コミュニティの消失、またみんなが個人単位になってきている。それが及ぼす影響が少なからずあるのではないかと感じております。私自身、育児休暇中に非常にいい経験をしました。初めての育児で不安だらけの中、夫も帰りが遅い、毎日、泣くことしかない赤ん坊と1対1で過ごしていますと、本当に気持ちが落ち込んでくるのですね。どっちかとい言いますと私はポジティブシンキングな方なのですが、そんな私でも何か気が滅入ってきて、気力がわいてこない、そんなふうになってきてしまいました。恐らくこういう疎外感、孤独感を感じている人が、今社会の中にたくさんいるのではないかと思うのですね。
 そして、そのことが引きこもりですとか自殺、鬱病など心の病の増加にもつながっている。また、もちろん少子化の原因の1つにもなっているのではないかと思いますし、ニートの中にもコミュニケーションがうまくとれない人たちが大変多いというふうに聞いております。年金などの社会保障、財政の安定、これは重要なのはもちろん言うまでもないのですけれども、その一方で社会を構成する人間同士のつながりにいま一度目を向けてみるべきでないでしょうか。活性化するには、やはり人々の意欲、エネルギーが必要です。とりわけ、若い人たちの元気を取り戻して、そのエネルギーを社会に生かす工夫や試みが急がれているのではないかと思います。人と人とがもっと言葉を交わして、もっと互いに触れ合うことができる環境づくりをすることで、一人、一人が社会に守られているというか、何かぬくもりのようなものを感じてもらえる社会に近づけていくことが求められているのではないでしょうか。
 それからもう一つ、今回のこういう審議会の出口、取りまとめの部分なのですけれども、私の経験から言いますと、こういった審議会の提言、非常にニュースになりづらいのですね。特に、テレビにおいては。その理由の1つとして、やはり映像になりにくいですね。ビジュアルで訴えるものが少ない。それから、言葉がちょっと難しくて、1分とか1分半なりの時間内で内容が伝え切れないのです。これはいつも私、ジレンマを感じておりますけれども、例えばこのネーミングも、これを読むだけで5〜6秒かかるのですが、「日本を元気にするプロジェクト」、こんな名前だったとしたら目的が非常に明確ですし、また3秒ぐらいで済みます。友人などに言うときは、私は勝手にこの名前で今PRをしておりますけれども、この方がマスコミの食いつきもいいはずです。こうやってせっかく専門家の方々が何回にもわたって議論をするわけですから、いい成果が出ても、最終的にそれが世の中に伝わらないのではもったいないと思いますし、意味がないと思います。ぜひこの会議の終わりには、国民に明るいメッセージを、国民にわかりやすい言葉で発信したい、そのように思っております。
 ありがとうございました。
○小松委員 プロのキャスターの後で大変不利なところに配置されておりまして経産省の方を恨んでおりますが、三菱商事の今イノベーションセンター長という、これは余りはっきりしないのですが、今のビジネスというか、5年後、10年後のビジネスを考えろというセクションでございますので、今日のようなこと、翁さんが先ほどおっしゃった超長期とまではいかないのですけれども、5年から10年ぐらい先のことを考えておりますので、これは大変勉強になると思っております。
 先ほど太田さんもおっしゃっていたのですけれども、日本はものづくり、技能、技術ということを大変まだ競争力は高いと信じております。半導体・電子産業等でもまだ、韓国、中国、台湾等にやられていれるということもございますが、これは実はやられていなくて、その中の重要部品はほとんど日本から行っておりますし、中国、韓国等のものの歩留まり等、あるいは品質等をチェックしても、日本は決して負けておりませんので、そういう技能、技術、これを日本には絶対に残しておくべきだというふうに考えております。
 そのために何をしたらいいのかということで、いろいろなことがあると思うのですけれども、その中の1つが皆さんよくおっしゃっておりますけれども、産官学、あるいは産学連携。ただ、これはお題目のように述べていても、実際の事業にはなりません。ここにも大学の先生方がたくさんいらっしゃるのですが、大学の方でも本当に技術を事業化するという受け皿があるのかとか、企業の方もそれで大学の方がどうなっているかよくわからないとか、あるいは法律等の面でも、じゃあ国立大学は出資していいのかとかいけないのとか、先生に給料を払っていいのか、いけないのかとか、いろいろな問題がまだたくさん残っていると思います。ただ、やはり産官学、この辺が一緒になってやらないと、この技術というのは企業だけでやるということもあるとは思うのですが、やはり産官学連携がうまくいくようなシステムを考えなければいけないのではないかと思います。
 それと、先ほど団塊の世代とか若い人とおっしゃっていましたけれども、私もそろそろ引退する団塊の世代の人間なのですけれども、アクティブシニア向けビジネスというのも十分考えられると思いますし、最近のヨン様ブームを見ても、女性の方は大変アクティブで、こういうことも続けていけば、元気はつらつの1つの援助にはなるのではないかと思います。
 私、それと個人的な話なのですけれども、私は「帰国子女」という言葉のないころの帰国子女で、アメリカに10年いて、私の子供が3歳半ぐらいから10歳、10年ぐらいいましたので、欧米の教育、決して日本の教育が悪いと言っているわけではなくて、私も日本で受けた教育は大変よかったと思っているのですけれども、やはりその辺、お互いのいいところをとって、教育問題というものを真剣に検討していく必要があると思うのです。やはり先ほどのデータを見ても、子供が将来を悲観しているとか、大変ディスカレッジングなデータが出ておるのですけれども、やはりこの辺も教育の問題からいろいろ考えていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○佐藤委員 クレディスイスファーストボストン証券会社の経済調査部の佐藤でございます。よろしくお願い申し上げます。恐らく金融業界者といたしまして、そういった視点も含めまして意見の方をさせていただけるのかなという気がいたしております。
 まず所得構造の方から若干、所得構造とそれから将来的な経済成長につきまして2点だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、昨今の所得構造、先ほどお話もございましたように、個人のリスクをどう受け止めるかと、そのあたりの観点で1つお話をしたいと思います。
 1つは昨今、雇用の流動化というものが進んでおりまして、そういたしますと、ややそこのあたりのミスマッチといいますか、パーセプションの問題というのがあるのではないかと考えております。要するに、雇用の流動化が進みまして、ただその一方で給与所得、勤労者の視点から考えますと、まだまだ給与所得に対する依存度がマインドの中で高いというような観点が申し上げられるかと思います。ですから、このあたりが勤労者への観点からパラダイムシフトがある程度必要ではないかということで、雇用の流動化の進展とともに給与所得に対する依存度をやや減らす形で、やはり勤労者そのものが所得体系をみずから構築していくというようなパラダイムシフトもあって、初めてミスマッチも解消に向かうのかなという気がいたしております。
 その関連ですが、その一方で、やはり日本企業のビジネスモデルを考えますと、振り返りまして、80年代にはマーケットシェア重視という形でどんどん、どんどん拡大していく。その結果、設備投資も増えて雇用も拡大したというような時代がございましたが、やはり90年代後半になりますと株主重視型経営という形に転換してきているという中で、企業が20兆、30兆円というキャッシュフローを毎年、毎年積み上げているというような状況になっております。
 この利益の還元ですけれども、要するに利益をどんどん上げて株主重視で還元するわけですから、給与所得が増える、あるいはボーナスもそれに連動して1対1の関係で増えていくというのではなく、むしろ株の配当、増配、復配という形で株主の方に流れ出ていってしまう。あるいは、今の状況ですと海外の投資家に逃げていってしまうというような状況だと思います。ですから、利益、収益性を上げる上で日本の勤労者がいわゆる労働リストラ、あるいは雇用コストの低減という意味で収益性に対しては極めて貢献してきていると見られるのですが、その一方で受益に対しましてはなかなか給与所得、あるいはボーナスに反映されないというこの収益性の拡大において、勤労者の観点から見ますと負担と受益のミスマッチがここでも起きているのではないかと考えております。
 ですから、この給与所得をいかに市場のメカニズムを通じながら家計に所得移転していくか。要するに、財政再建の問題から考えますと、家計に対する増税が不可避でありまして、企業に対する法人税を引き上げますと、企業は外に出ていって産業空洞化がまた起きるという状況ですから、家計に対する増税は避けられない中で、企業のキャッシュフローをいかに国内の家計に所得移転していくかという市場のメカニズムの構築というのがやや税制面も含めて検討が必要ではないかと考えております。
 あと経済成長の方も1つだけ申し上げさせていだきますと、やはりこれも大きな流れで経済のパターンは変わってきているようでして、その以前の50〜60年代、70年代のいわゆるマスプロダクションの量産の時代につくられました生産性という概念ですけれども、これは1人当たりいかに生産量を増やすかというようなことで生産性が上がった、下がったというような見方をしておりましたが、先ほどもありましたように、これからは量ではなくてやはり質の向上、付加価値の向上という、知識集約型の経済を考えるに当たりまして、この生産性の尺度というものをもう一度見直す必要もあるのではないかと考えております。要するに、1人当たりいかに量を増やすではなくて、いかに付加価値額に寄与するかというような形で尺度を変えませんと、また生産性が上がった、下がったで一喜一憂するというような状況も続くのではないかと考えております。
 また、やはり人口減少いたしますので、そういう意味では移民政策なしには、日本経済はやはり海外の需要にある程度依存して、もう一度外需主導型の経済に長期的には戻っていかずには、なかなか一定の成長率を維持できないのではないかというような危機感も感じております。
 以上でございます。
○橘木部会長 ありがとうございました。
 福田委員が退席されますので、先に発言いただきたいと思います。
○福田委員 東京大学の福田です。私の専門はマクロ経済学でありますので、ざっと言えば全体的な経済成長のメカニズムみたいなことに非常に関心がありまして、そういう意味では非常に有意義な部会だと思います。持続的な経済成長という話が事務局の方からなされましたけれども、長い人類から見ると、本当に持続的な経済成長をした時期というのは非常に短いのですね。過去、日本でもせいぜい百数十年ということで、それ以外は本当に経済というのはほとんど成長していない時代をずっと人類は経験してきたということです。そういう意味では、持続的成長をするというのは当たり前のように我々は思っていますけれども、長い人類から見ると本当にごく最近のことだということであります。
 それを支えたものというのは何かと言えばやはり技術進歩でありまして、技術進歩があったからこそそれまで全く成長できなかった人類というのは経済成長できたということが言えるのではないかと思います。それは技術進歩と言っても広い意味で考えなければいけなくて、ただ単なる技術、技能の発展だけではなくて、ヒューマンキャピタルの蓄積等も含めた形のものということを考えなければいけないし、国際比較をする上でも、先ほども何人かの委員からも指摘されましたけれども、日本というのは特に資源のない国ですので、そういう意味ではヒューマンキャピタルの役割というのは非常に重要なのだろうというふうに思われます。
 そういう問題を考えたときに、翁委員からも御指摘がありましたように、どういうタイムスパンで問題を考えるかということによってもインプリケーションはいろいろ変わってくるのだとは思います。例えば、少子化対策とかと言って、うまく成功したとしても20年間は逆にマイナス、赤ちゃんがたくさん生まれても、長期的にはいいかもしれないけれども、20年間は逆にそれは非労働人口が増えるわけですので、逆に社会的にはコストになるということにもなります。それから、先ほどの事務局からの図にもありましたけれども、アメリカなども最近でこそ非常に高い技術進歩をそれなりに達成していますけれども、10年ぐらい前は生産性のバラドックラスと言って、R&Dとかにかなりお金を使っているのにかかわらず全然技術進歩がない、それはどうしてですかということもかなり議論されているわけで、どういうタイムスパンでその問題を考えていくのかということによっても、議論は全然違ってくるとは思います。
 最後に、経済学者というのは概して資源配分の問題を中心に議論することになって、なかなか価値判断の問題まで立ち入って議論することは難しい学問なわけですけれども、当然、資源配分とそれから分配の問題、資源の効率性の問題と分配の問題というのはトレードオフの関係があって、資源の効率性を追求すればその分、分配の問題にも歪みが出てくるということもありますので、そういう問題というものはなかなか経済学者は議論することは難しいのですけれども、この部会でいろいろな形で議論していただけるとありがたいと思っております。
 以上です。
○橘木部会長 では、清家さん、お願いします。
○清家委員 慶應大学の清家でございます。労働経済学が専門でございまして、特に人口の高齢化が労働市場に与える影響の研究をしております。
 先ほど古賀さんの方から御説明があった日本の経済をこれから大きく変えていく構造変化、高齢化とか、あるいはグローバル化とか、知識経済化、これはこの資料4のところに書かれていますけれども、それらが非常に深刻な問題を引き起こすことは一面事実ですけれども、しかし実はこの高齢化にしても、グローバル化にしても、知識経済化にしても、それは豊かさの結果であり、あるいはまた豊かさの原因になるわけですね。今、いみじくも福田さんが言われたように、技術進歩が我々の豊かさをもたらしてきたわけですし、あるいは成長をもたらしてきたわけです。それから、そもそも高齢化というのは長寿化と少子化とによって進行してきたわけですが、人々が長生きをするようになる、あるいは出生率が低下するということと、1人あたりの所得の上昇の間には非常に高い相関があるということは明らかなわけですから、そういう面では高齢化、グローバル化、あるいは知識経済化といったようなものはもちろんさまざまな問題、あるいは摩擦を引き起こしますけれども、基本的にはこれは豊かさの結果であり、源泉であるということをしっかりと確認する必要があると思うのですね。これは別に難題が降りかかってきたのではなくて、我々の経済が成功した結果として高齢化したのであり、あるいは我々がこれからも豊かであり続けるために、このグローバル化とか、知識経済化が必要だということをまず確認しておく必要があると思います。
 その中で、特に北畑さんが最初に言われたように、高齢化というのはこれから一番大きなマグニチュードで、なおかつ確実に予測される形で起きる構造変化なわけです。10年後には65歳以上の人口が総人口の4の1を占めるわけですし、この10年間で例えば20代の人口が320万人ぐらい減ると予想されていますが、これは1960年代に団塊の世代の人を中心に20代の人がふえたふえ方とほぼ同じぐらいの数の若年人口が減るわけですから、非常に大きなインパクトを与えると思います。
 最近、いわゆる団塊の世代の引退の問題とか2007年問題とかいろいろ賑やかに言われているわけですが、ただそれらは団塊の世代が過ぎ去ったり、2007年が過ぎ去ったら終わる問題ではなくて、むしろ長期的な構造変化の最初のウェーブというか、最初の第一波というふうにとらえるべきものです。そもそも団塊の世代とか2007年そのものが問題なのではなくて、それとインコンシステントな、整合しない制度が問題の核心なわけですね。団塊の世代そのものが問題の核心ではないし、いわんや2007年という年自体が問題の核心ではない。問題の核心は、そこでそういった変化と整合性を欠くような制度の問題なわけですから、ポイントはやはりそういった構造変化に対応して制度をどう変えていくのか。特に、雇用制度で言えば定年制度であるとか、あるいはそれを必要としている年功的な賃金、処遇制度であるとか、教育訓練制度、これをやはり抜本的に変えていく、基本的には年齢というものを基準としない、少なくとも雇用の世界ではですね。そういう仕組みをつくっていくことが不可欠だろうと思います。
 人口というのは歴史的に見ても非常に大きなインパクトを与え続けてきたわけで、歴史的に一番有名なのはヨーロッパのペストですね。中世にペストが発生して、ヨーロッパで人口が急激に減った。労働経済学の典型的な教科書のコラムなどに必ず出ているような、例題ですけれども、ヨーロッパでペストがはやって人口が減ったときに、例えば市場による調整実現して賃金が上がったとか、そういうようなことも事実観察されているわけです。これに関して、ヨーロッパ人の研究者、特に高齢化は日本とヨーロッパは深刻ですので、ヨーロッパ人の研究者と議論するといつも彼らが言うのは、ペストと高齢化の最大の違いは、ペストも高齢化も同じように大きなインパクトを与えるのだけれども、ペストは要するにディズアスターといいますか、災難として降りかかってきたものであり、しかも予測不可能な急にあらわれた災難だったわけですが、高齢化については先ほども言いましたようにこれは豊かさの結果として、つまり好ましいものの結果としてあらわれる、しかも長期的にあらゆる経済変数の中で一番予測がしやすいものですから、これに対応できないはずはないと、いうわけです。
 それから、グローバル化とか知識経済化、これがさまざまな摩擦を起こすことは間違いありませんけれども、ではこれをまた元に戻して、例えばそれらに対応して、例えばさっき言ったような年功制度だとか、そういうようなものは変えなければいけないわけですが、それを変えるといろいろな問題が起きるからこれをもとに戻すというのは、これもまた19世紀の、これも歴史的に有名なラッダイド運動というのでしょうか、機械打ち壊し運動、新しい織物機械ができたことによって従来の労働者が仕事を失うというので、その機械を打ち壊そうとした運動があるわけですが、それと同じようなことになりますので、やはり最初に言いましたように、変化はあくまでもポジティブに受け止めて、それに対してどういうふうに制度を変えていくかを考えることが大切だと思います。
 最後に、翁委員等も言われたように、焦点をどこに置くかということが大切だと思いますが、私はどちらかと言えば焦点は少し長めの中長期的なところに置いて、そこの焦点から逆算して、1年後、2年後、5年後に我々は何をしなければいけないのかということを考えるのが良いと思います。つまり、積み上げ方式よりは最初に長期の焦点のところから遡る形でシナリオを書いていく形にした方がいいのではないかと思っています。
 以上です。
○古賀経済産業政策課長 平委員が来られましたので御紹介申し上げます。株式会社山邦代表取締役社長、社団法人日本青年会議所関東地区協議会の会長でいらっしゃいます。
 よろしくお願いします。
○平委員 ただいま御紹介いただきました平でございます。
 私は中小企業のオーナー経営者で社長としては連帯保証をし、お金を資金繰りをしながら借りているという立場と、去年日本振興銀行を設立いたしまして、そちらの方では、銀行のガバナンスを担う役員として、「こんな中小企業に貸してはいかん」とか、そういうことを言っている立場にあります。あわせて、私の所属する社団法人日本青年会議所は、全国に4万5000人ほどのメンバーを擁する40歳までの若い経営者の団体でありまして、さまざまな社会活動をしている団体であります。
 まずは、青年会議所の仲間と話していると、中小企業の方で景気回復という実感は全くないというところがまず1つあります。そんな中で、青年会議所もボンボンの団体だという認識もあるかと思いますが、もう政府に頼るのはやめよう、物乞いをするような提言はやめようということで、中小企業の意識改革、経営改革を通して、法人数の99.7%を占める個々の中小企業が元気になることによって日本全体の再生を図っていこうと、腹をくくったところであります。
 そんな中で特に感じるのは、特に中小企業の経営をして感じるのは、やはり中小企業の今までの政策が非常に弱者保護という観点が強いと思います。現在、実は中小企業の経営者というのは2世、3世で極めて高学歴で、社会の潮流なども実はよくわかっていて、決して弱いものではないのですね。しかしながら、出てくる政策というのは中小企業の現場の皮膚感というのがないですね。ですから、すごいミスマッチを起こしてしまっている。そんな中で日本振興銀行というミドルリスクの担保によらない銀行もつくったわけでありますけれども、そういうような観点から行くと、もう少し中小企業の経営者の力を中小企業経営のみならず、社会全体の力としていく必要があるのではないかと考えます。日本での社会ではめずらしく、中小企業の経営者というのは最終責任を負う覚悟を持っています。会社をつぶすと、連帯保証という制度がありまして、家は取られる、へたしたら離婚、私立に行っている娘は公立に行ってもらわなければいかんというようなシビアな現実が待っており、非常に覚悟を持ってやっている人種でありますので、そういう力をぜひ活用をしていくべきだろうと思っています。
 社会全体のお話ですが、まずは非常に危機感を持っているのは財政赤字と、財政赤字から発生する金利の上昇というものが実はもう待ったなしではないかという非常に危機感を持っています。先ほども言ったように、中小企業は今非常に厳しい状態でありますので、この状況で金利が上がるとほとんどアウトという認識を持っています。しかし財政赤字の削減に向けた方向性というのは全く示されていない、非常に危機感をまずは感じているところであります。その件に関してはもう大幅な支出の見直しをしていただいて、革命的な支出削減をした上で、やはり国民に負担増を求めていくということが重要だろうと青年会議所では考えています。
 人材育成という部分で翁委員からも発言がありましたけれども、青年会議所は教育事業をたくさんやっているという関係もあって非常に感じるのは、やはり若年層の教育に大きな誤りがあって、結局社会に出て困らないようにしてあげるのが教育であるにもかかわらず、ありもしない社会観を教えてポンと社会へ出すわけですね。これは本当にあった話かどうか知らないですが、私が伝え聞いた話によると、例えば徒競走をやって勝ち負けができるとかわいそうだからということで、ゴール手前で1度皆が立ち止まって、みんなで手をつないでその後ゴールをする。そのような、社会に一歩出たら厳しい競争社会が待っているにもかかわらず、ありもしない社会観を前提にして教育をするわけですね。
 みんな自分のわがままは個性だと思っていて、自分の個性は尊重されると思って社会に出たらそんなことはないわけでありまして、そうすると、ちょっとした挫折ですぐ引きこもるのです。ですから、そのようなありもしない社会観とか世界観を前提にした教育は即刻やめるべきだと思いますし、本当に社会に役に立つ教育をしないと、社会全般にわたる問題の解決に至らないと思います。腑抜けの教育を60年以上続けてしまったので、もう正真正銘の腑抜けになってしまっているという状態だと思いますので、まずここの改革をしないと国家の諸問題、社会の諸問題、また経済の至る部分においても解決をしていかないと思います。
 時間もないですけれども、今の一番の問題は、簡単に言うと国全体が無責任、総無責任体制になっている。だれも当事者意識のないままに滅びていくということが1つ、もう一つは見てみぬふりですね。すべてが見て見ぬふり。財政赤字も見て見ぬふり、治安の悪化も見て見ぬふりですね。最後に求められるのは普通の感性だと思います。バブルが発生して、こんなのはおかしいと思えばあんなことにならなかった。今の財政赤字も普通の感性で見ればもうとんでもない状況にあるわけでありますから、現実を直視して、普通の感性で解決をしていく。最終的には国民が判断すべきだと思いますが、その国民にだれが覚悟を求めるのかというのも一番大きな問題だと思います。今の政治は残念ながら国民に全く信用されていない。官僚も残念ながら信用を失っているという中で、じゃあだれが国民に重大な覚悟を求めていくのかというところが重要になってくるのではないかと思います。
 以上です。
○武石委員 ニッセイ基礎研究所の武石でございます。よろしくお願いします。
 私は女性の労働問題を研究してまいりまして、女性のキャリアという視点から企業の雇用システムなどに関しても研究をしてきた、そういう専門でございます。
 それで、今日のお話を聞きまして3つほど申し上げたいというふうに思います。
1つは、この会議で今後のグランドデザインを示すというのは非常に重要なことで、ぜひグランドデザインを描いていただくというか、私たちが描くのかもしれないのですが、やりたいと思っています。今もお話がありましたように、何となくグランドデザインがあちこちで描かれているようでいて、実は国民の立場から見ると、この国の将来はどなるのだろうかというのは非常に不安な状況ということではないかと思います。例えば年金にしても「大丈夫、大丈夫」と国が言えば言うほど不安になっていくということで、何が心配なことで、どこが大丈夫なのかということがわからない漠然とした不安の中で、先ほどの小学生とか中学生の意識もありましたが、不安が非常に拡大しているという状況にあるのではないかなと思います。まずは将来、この国がどうなって、ここは安心だけれども、ここはちょっと不安だから、皆さん自助努力をしてくださいというような、そういったグランドデザインの描き方というのがとても大事ではないかと思っています。
 そのグランドデザインを描くときに、やはりセーフティネットをどういうふうにつくっていくかということが大事になっていくと思います。そのセーフティネットのつくり方というのは、公的なシステムでつくるという場合もあれば、公的な部分はとても無理なので、皆さんが自助努力をしてくださいということもあるので、その場合は自助努力を支援する仕組みというのが必要になってくると思います。セーフティネットの仕組みと合わせたグランドデザインというものをぜひ描いていただきたいというのがまず1点目でございます。
 それから、現状認識の部分で、選択肢は増えているというようなお話がございました。けれども、実は選択肢は増えているようで本当は増えていない、ほとんどないのではないか、というのが私の現状認識です。私は労働問題が専門で、特に女性のキャリアという視点から労働市場を見てみますと、働き方の選択肢というのは大きく言えば正社員と非正社員の2つしかない。それでその2つの働き方というのが、非常に距離を置いた形で労働市場に存在している。その中でどちらかを選ぶという、ある意味で究極の選択を迫られているという状況なのではないかなと思います。その選択をする主体というのは、1つは働く人というのがあるのですが、もう一方の企業もやはり雇用形態を選択するわけです。企業にとっても、働き方が非常に硬直的であるため、例えば正社員を雇えばなかなか解雇ができないという問題がある。それが非正社員化ということにつながっていると思うのですけれども、その硬直性の中で、働く人にとっても選択肢がないのですが、一方の企業にとっても働かせ方の選択肢がないのではないか。ここを変えていかなくてはならないわけですが、まず現状認識として私は選択肢がないと思っていますので、今後は選択肢を拡大する仕組みというものを考えていかなければいけないと思っております。
 3つ目として、それを考えていくときに、働き方ということで言いますと、やはり少子高齢化というのが重要なインパクトになっていくと思うのですが、これまで社会保障とか国のあり方というのは所得の再分配をどうするかというところで社会システムを考えてきたと思うのです。けれども、これから雇用機会の再分配というような視点で少し物事を考えていく必要があるのではないかと思っています。そのときに、雇用機会がいろいろな人に分配されていくときに、やはり格差が拡大しないような仕組みというのをつくっていかなければいけないというふうに思います。
 それで、先ほどの正社員と非正社員の問題で言いますと、これは非常に大きな格差がある。この格差を縮めなければいけないという課題があるわけですが、そのときに非正社員を引き上げるというのは簡単なのですが、それがなかなか難しいから格差が縮まらなかったわけです。一方の正社員の方の、これまでの非常に恵まれたといいますか、ある意味既得権として獲得したものがあるわけですが、そこにまで踏み込んでこの格差解消を含めた雇用の分配ということを考えていかないといけない。正社員はそのまま、それ以外の人も条件をよくしましょうということは、現実にはやはり難しいと思うのです。そういう中で正社員、非正社員を含めた全体の働き方というものを考えていかなければならないというふうに思っています。
 それで、そのときにやはり働く人にとってのメリット、デメリット、それから企業にとってのメリット、デメリットがあると思います。働き方の選択肢が増えるというのは働く人にとってメリットはあるような気がするのですが、その一方でそれに伴う、例えば正社員の労働条件をどうするかというようなデメリットとのトレードオフになっていくと思います。企業の視点から見ても、両面ある。ただし、柔軟な働き方というのが、先ほどファミリー・フレンドリーはコストがかかるというお話があったのですが、本当にコストなのか。イギリスでは日本の経済産業省と同じ産業政策を担当するDTIという組織がワーク・ライフ・バランスというのを推進しているわけですが、それは企業にとってメリットがあるからだという視点で大変アピールしているということもあります企業にとっての経営メリットというのも考えながら、この働き方というものを私は考えていくべきだと思っています。
 多分、いろいろなテーマが盛りだくさんでどこにポイントを置くかというのは本当に重要なテーマになっていくと思います。議論の対象とする期間としては、やはり私も20〜30年後の少し中長期的な世の中の姿を描いて、そこの中で今の課題を整理していくというのがいいと思うのですけれども、やはりポイントを絞って、ぜひいろいろな方に読んでいただける報告書になったらいいなと思っております。
 以上です。
○経沢委員 経沢と申します。トレンダーズ株式会社という会社の代表取締役をやっています。皆さん、名簿を拝見させていただきますと、大体会社の名前とか肩書きとかで、何をやられているのかというのが一目でわかるようなお方ばかりの中にポツンと来てしまったという感じなので、まず簡単に私が得意分野とすることというか、この会に貢献できそうなどんなことをやっているのかというお話と、今、自分が個人として日本の中にどこに所属しているのかとか、そういうことと、あと今回の会に対して提言というか、私が考えていることをお話しさせていただきたいと思います。
 実は私はトレンダーズという会社と、あとほかに、全部で3つの会社を経営しているいわゆる中小企業のオーナー経営者なのですけれども、何を事業としているかというのは、まずマーケティングを事業としていまして、それは女性のF1層という20代から34歳の最も消費と、現在キャリアに対していろいろ問題に直面している女性たちのマーケティングをしておりまして、そこでは商品開発だとか、どういうふうに女性が働いていったいいのかみたいなことを、企業様ですとか社会に対していろいろな私たちの視点から提案するという事業と、あと最近は団塊ジュニア世代というのが非常に注目されていると思うのですけれども、1970年から74年生まれ、私もそこに所属する一人の人間なのですが、その人間たちが結婚だと出産だとか家族だとかいろいろな問題に直面していますので、そこを研究というか、私は商売人なので、それをどう商売にしているかというか、企業さんに情報を売っているだけなのですけれども、そういうことを得意分野としています。
 もう一つ経営している会社では、女性起業塾というのを運営していまして、最近、起業したい女性が非常に増えているのですけれども、4年前から私の方で、起業したい女性に対して、どのように起業するべきかという心構えですとか、結婚、出産ですとか、女性の場合はいろいろな問題に直面するので、そういうものをどう乗り越えて一人の女性として社会的に、経済的に自立して、子供も持ってというようなことをいろいろと私の経験を踏まえて育成するという事業をやっておりまして、現在まで450人ぐらいの卒業生を世の中に輩出しております。
 そういう事業をやっているのですけれども、私自身も今回の会で多分お手伝いできることと言いましたら、女性の今、どういう状況、特にキャリアを持っている女性たちは、やはりデータをとる子供は3人欲しいという人がほとんどなのですけれども、現実問題としては1人が精一杯というような、そこにはいろいろなギャップがあるので、それをいろいろな、私から見た意見が提示できるかなということ。あと、子供と働くというのを両立する労働問題自体にやはりいろいろな女性は不安感を抱いているのですけれども、私としてはそれに対して、起業するという1つの選択肢で働き方を自由にするということのお手伝いと、あとは女性の幹部を社会にもっと増やしたいというのを事業として1つ、女性幹部の斡旋事業というのをやっておりまして、優秀な女性でもやはり結婚、出産がマイナスのキャリアになってしまうことによって、そこでやめてしまう人が非常に多い。特に、団塊ジュニア世代がこれから労働力の中心になるのですけれども、特に労働力の半分である女性が、出産を機に大体8割の人が一たんやめてしまうという、先ほども8500万円の損失というのがあったのですけれども、そういったことに対して恐怖心を持っているということがあるので、私としては会社の中の女性幹部がたくさん増えれば、女性は新卒で入るときはみんな優秀と言われて入るのですけれども、やはりそういう悩みに直面したときに相談する上司がいなかったり、それを乗り越えて会社の中で活躍している人がいないというところなので、そういう女性が活躍する風土づくりというものをお手伝いしているので、その部分がこちらの中でも得意分野なのでお手伝いしたいなと思っています。
 私は個人的には団塊ジュニアであり、両親は団塊世代であり、そして私自身も子供が2人というか、今妊娠していて2人目を持っているのですけれども、それでも一応仕事はずっと続けていきたいと思っていて、主人が結構年を取っているのでいろいろな問題に個人的にも直面しています。
 今回の会に対していろいろと提言したいなと思っているのは、私は先ほども言ったように自分で会社をやっていて商売人なので、何かミーティングとか会を進めるときは数値目標を明確に持つというのをいつもやっていますので、例えば昔、「所得倍増計画」というのがあったと思うのですけれども、「出産倍増計画」とか、今、1.何人ですけれども、2.幾つにするとか、そういった明確な何か目標があった方が非常にわかりやすいのではないかと思っています。前に経済産業省さんの方のほかの委員会に呼んでいただいたときは、やはりディスカッションだけで終わってしまうという部分があったと思うので、じゃあこの会では何を責任を持って決めていくのかとか、やっていくのかというのはそれぞれ得意分野の人もいると思うので、何か明確にしていった方が皆さんの、私自身もパワーが出るかなというのがまず1つ。
 あと個人的に思っているのは、いろいろ日本というのはすごくいい国だなと思うことがいっぱいあるのですけれども、もっと個人個人が強くなっていくということが非常に必要かなと思っていて、強くなっていくというのは2つあって、産み出す力という、人口が増えていくということも1つであろうし、産業自体がすごくもっと活性化していくということもあると思うので、私はどちらかというと保障がどうこうというよりも、みんなが強くなっていくという方が結果としてよくなるのではないかなというのが個人的な考えです。
 その後、こちらでやっていることをどういうふうにPRするのかというお話がさっき出ましたけれども、やはりどういうことを国が考えているとか、どういう目標でやっているというのをいかに知らせていくかというのは非常に大事で、それはニュースだとかそういうマスコミさんを使ったもちろん啓蒙というか、PRということと、あと皆さん、多くの方がおっしゃっているような教育問題というものがあると思うのですね。例えば、私も経営者なのでスタッフに対してどういう教育をするかとか、塾で教えているので、そういう子たちにどういう、正しいというか、そういうことを教えていくかというのを常に考えているのですけれども、これから格差がすごく生まれていくということを皆さんすごくおっしゃっていると思うのですが、私自身は格差というのは結構意識の差がもとで生まれてくるものが非常に大きいのではないかというふうに思っているので、そういう全般的なPRと、それぞれもう少しミクロで見たときに、これからの世代を担う人間がどういうふうに次に続く後続する人たちに対して教育していくのかというのは意識統一というか、ある程度の指針があった方がいいのではないかなと思っているというのが私の考えです。
 よろしくお願いいたします。
○土居委員 慶應義塾大学の土居でございます。よろしくお願いいたします。私は財政学と政治の経済学を専門にやっております。簡単に私がこの審議会の中で議論するときに非常に重要になるポイントであろうと思うところ、私としてはぜひ外していただきたくない、ここだけは押さえてほしいと思っているところについてお話をさせていただきたいと思います。
 今、事務局から御説明がありまして、当面の検討課題のところでも、さらにこれまでの委員の御認識からも、財政赤字の問題というのが非常に頭をもたげていて、懸念材料であるということはほぼ一致した見解であろうというふうに思います。私は財政を専門に研究しておりますので、私も大変憂慮しておるわけですけれども、その中でこの部会の中で議論する上でしばしば陥りがちではないかと私が思っているところについて1つまず申し上げたいことは、財政赤字の問題は総論として重要な問題だと思っているのだけれども、各論になると途端に、自分の利害に関係するところは何か財政的にうまくいいことをやってもらえないかという誘惑にかれてしまうということのないようにしていただきたい。
 例えば、企業のこの設備投資のために減税してもらえないかとか、もちろんこれは重要なところについて限定的にやるということは非常に重要なのですけれども、幅広くやるということは今のこの財政状況を考えれば無理な話だ。それから、少子化についても、子供を産むためには減税してあげればいいではないかという話があるのだけれども、それも幅広く無制限にやるというのは今のこの財政状況からすれば無理な話だ。
 そう考えれば、趨勢的には増税はやむなしなのだけれども、いかに戦略的にこの減税を仕掛けていくか。つまり、税負担を軽くしてあげるべきところには軽くしてあげるということを考えていくということが必要なのだろうと思います。ですが、やはり忘れてはならないことは、財政赤字の問題があるということは、趨勢的には増税ないしは歳出削減という問題を避けて通れないということは表に出さないまでも、少なくとも潜在的にこの議論の下地として持っておくべきことではないかというふうに思っております。
 例えば、財政と企業の活力だとか少子化というところに関連して申しますと、企業も別にそんなところに減税してほしくないのに減税してもらって、まあそれは負担が軽くなってめでたいことだけれども、それだからといってさらに今までやらなかったことを新たにやろうと意欲を持って取り組むかというと必ずしもそうではないというようなこともあるかもしれませんので、やはり企業に対して法人税というのは基本的に、趨勢的に国際競争力を考えると減税していくべきもので、かわって消費税とかで取るべきなのでしょうけれども、ピンポイントで必要なところをターゲットにしていくということを、この基本政策部会の中でもどこにターゲットを絞っていけばいいのかというのが見えてくるといいのではないかと思います。
 それから、先ほど事務局が説明してくださった資料の中で、資料6の26ページに面白い数字があるわけですが、少子化の問題というのはいろいろあるのですが、理想の子供数を持たない理由というのを見ていると、これはペットを持たない理由という言葉に置き換えてみても同じような答えが返ってきそうだなと、お金がないからペットを持ちたくないとか、家が狭いからペットを持ちたくないとか、これでは困る。ペットと子供は全然違うというわけですから、やはりそう考えると、単に財政との関わりで言うと、減税すれば子供が増えるというほど単純なのではないということだと思います。ですから、さらには児童手当とか、そういうようなことを財政的に仕掛けていくだけでいいというわけではない。ひょっとすると、むしろこの部会で取り上げるにふさわしいという意味で言えば、今まで財政的に担ってきて少子化対策と言っていたけれども、なかなか必ずしも功を奏していないという部分は、いかに民、企業とコラボレートすることで少子化対策ということにつながるかという道筋を示していく。不必要に少子化対策に官が関与するというよりも、ある程度、民とのコラボレーションで少子化対策をいい方向へ持っていくということができるということはあるのかなと思います。
 それから、今の企業と少子化の話に関連して言うと、もう一つ私が重要なポイントで、ここはこの部会の中でもぜひ外していただきたくないなと思っているのは、いかにこれから国民がコミットできる経済社会環境を形成していくかという、そのデザインを描けるような形にしていただきたい。はっきり言えば、企業が投資しないとか、人々が子供を産まないというのは、長期的にコミットになるわけですから、この景気の芳しくないような状況で国民の圧倒的多数がコミットしたがらない、そういう時代が今の時代だろうというふうに思います。だから、企業も長期的な設備投資を躊躇したり、若い人もなかなか子供を産むということに対して躊躇したりするという部分はあるのだろうというふうに思います。そういう意味では、いかにこの部会の中でどういう形でコミットできる経済社会環境を整えていくかというデザインをいろいろな形で盛り込んでいければ、今後の議論では非常に有益ではないかというふうに思います。
 それから、一部の委員の中からも所得格差だとか、リスクの話があったわけですけれども、私は財政を専門にしているのでこれを財政の話と引きつけて言えば、所得格差是正の施策、所得再分配政策だとか、いわゆるセーフティネットというような政策が財政的にもとられているのですが、やはり出るべきところ、出すべきところに出していないだとか、出すべきでないところに出し過ぎているだとか、そういうようなところが非常に多くあるのではないか。それの根本的な原因というのは保険の機能と所得再分配の機能を混同して財政的にミックスして、未分化のまま曖昧な形で政策を行っているからではないかというふうに私は思っています。
 保険とか所得再分配という話は基本的には事前にリスクに対してどう備えるかという意味では保険だし、事後的に所得格差が出ればそれをどう埋めるかというのは所得再分配でやるというわけで、完全に分化するというのは無理なわけですけれども、少なくともセーフティネットをちゃんと用意する、これは必要だと思いますけれども、そのためにはきちんと事前の意味で、つまり前もってあらかじめやるという意味で保険、それから事後的にやはりこれでも抜き差しならない所得格差は是正しなければなりませんねという意味で所得再分配という、そういうメリハリの効いたところでデザインしていくということが必要だろうというふうに思います。
 最後に、この審議会が経済産業省の審議会であるということは私は重々承知した上で思うのですが、これまで教育だとか雇用だとか財政の話をいろいろな委員がなさっていたのですが、ひょっとすると経済産業省としてなかなか言いにくい、つまりお隣の役所のことが気になるとなかなか言いにくいというようなこともひょっとするとあるのかもしれませんが、ぜひぜひそこは多少越権ないしは垣根を越えるということも勇気を持ってやっていただけるような、そういうようなものが打ち出せると大変うれしいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○新浪委員 株式会社ローソンの新浪と申します。特に、陪席されている若い役員の方々に大変お世話になっております。私も問題意識とともに、私が普段感じていることを最初にお話し申し上げたいと思います。
 先ほど平委員の方からお話があったとおり、教育の失策ということがあって、現在、国民のほとんどは国という共同体がどういう方向にあるか、施策をつくったとしても、多分なかなかアグリーしないだろうなと。ここで何をつくったとしても、今のような形だと、国がよくなることがイコール自分がよくなることだという認識は余り持っていないのではないか。
 そんなことがあって、私も将来はこのまま行くと滅びる国だなという認識をしておりまして、私の世代、これから若い、自分でもまだ若いと思っていますが、何年かあるわけですが、例えば私、1歳の娘がいるわけですが、彼女のナショナリティはアメリカでございまして、あえてアメリカに生みに行きました。将来にわたってアメリカと日本を選べるようにしてやろうと。たまたま、オーストラリアとアメリカというのがいわゆる原産地主義というのですか、生まれたところで国籍がとれるということでそのようにした次第でして、将来の日本を考えたときに、先ほど申し上げた強いリーダーシップという、そういう教育もされていない、教育の質、そして共同体を大切にしようという心がない、また文化を大切にするという日本というアイデンティティがない。いわゆる戦後が終わり切っていないこの日本において、隣国をこれだけ気にしながらナショナリズムというものを、ある意味ではこれを意識しない国においてどんな政策をつくったって、将来、自分の子供がこの国で幸せになれるかというとなれないのではないかなという危惧から、もう一人が実は6月に生まれるのですが、これもアメリカの国籍を持たせるか、オーストラリアの国籍を持たせるか、たまたま男だとわかっているので、最初は女だったので、まあドラフトもあるからアメリカではなくてオーストラリアがいいかな、などと思っているのですが。
 ことほどさように、1つのコンセンサスをつくり上げるというのは大変難しい状況というのは、ベースに一番重要なヒューマンキャピタル自身が大変強かったもの、また日本自身が大変強みとしていたものに対して投資が行われてこなかったことであるというふうに考えています。先ほど清家委員の方からあったように、私も長期にわたってどうあるべきかという絵を描いて、そして現在に至る中でどんなことをやっていったらいいかなということを考えるべきではないかというふうに思うわけです。
 その中で教育というのは大変重要なのですが、セーフティネットという考え方というのは余りいいとは思わないのですが、1つに機会の平等という意味の教育というものはきちっと担保してやらないといけないだろうなと。それはお金持ちがやはりいい教育を受けられるという、これがもうこのまま行くと脈々と続いてしまう。いわゆる国公立、特に公立のいわゆる義務教育の低さたるや大変な問題である。私学に行けばそれでいいのかというと、実はそうでもないのですが、ただベターではあるかなと。このまま行くとニートのようなものが大変、少子化問題が解決したって、ニートがたくさん生まれるのでは何の意味もないというふうに思うわけです。
 ですから、抜本的にそういう教育の質とか物を考えなければいけないなということと、もう一つは、先ほど申し上げた長期にわたって考えるのであれば、国というアイデンティティをもうそろそろタブーを打ち破って、やはり国というのは大切、共同体というのは我々は大切ですね。助け合っていこうという、そういう国という意識をもっと持たせるような教育に変わっていかないと、どんな政策をやったっていかんのではないかなというふうに思います。
 そんな中で、私たちが最も考えなければいけないのは、機会の平等というのは基本的には大切ですねということと、しかし結果に対してはそれぞれの責任だという、その機会の平等のところをきちっと担保できる社会をつくっていく必要性があるのではないかな。ともすれば、このままだと教育というところのヒューマンキャピタルを育てるところを、先ほど来申し上げたとおり、どうもそれが曲がってきてしまったかな。日本というのは、もともとのよさはそういうところがあったのではないかというふうに思います。アメリカも実は機会の平等が失われてきているかな。決して、私は娘にアメリカの国籍を持たせるから、アメリカがいいとは思っておりません。私もアメリカの教育を受けて、大きな問題点もあるかなというふうに思います。
 もう一つが、少子化というのは悪いように見えますが、側面を見れば、少子化が悪いのではなくて、生産性を失うような人たちがたくさん、生産性のある人たちがいなくなるということが大きな問題であるわけです。つまり、ニートがたくさん増えてもこれはいいことではないわけで、むしろ60歳以上の人たちがこれだけ働きたいと言っているのですから、働ける環境をたくさんつくる。そのためには物理的にきつい仕事ができなくなるわけですから、やはりイノベーションだ。
 例えば、60歳以上、65歳以上の人たちが今はコンビニエンスストアで働いているわけですが、大変な思いをしております。10年後、我々はどうするかなと。例えば、ICタグを徹底的に使って、夜中は働かないでいい仕組みをつくったらいいではないか。やる気があるわけですから、生産性は高い。そのやる気をうまく生かす仕組みというのはやはりイノベーションである。こういったことを、やはり日本はものづくりがすごく進んでいるわけです。まだまだここの分野は世界的にも勝てる分野でございますから、こういったイノベーション、そしてものづくり、こういったところに徹底的にもう一回メスを入れていくべきではないかなというふうに思います。
 一方で、少子化がいいというわけではなくて、やはり子供は育てなければいけない。そんな中で子供ができると何がいいかというと、確かに社会的コストは増えるのですが、一方でじいちゃん、ばあさんはえらいお金を使うわけで、不労所得が少ないといえども、こういったことにお金を使わせる大きな消費の起爆剤になるわけで、やはり係数がちょっとぐらい上がることによって全体の人数は減るのですよと。しかし、それにおける心理的効果は大変ある。やはり、世の中は明るくなる。そして、プラスお金を、ポケットが幾つあるかというと、中国と同様で、いわゆるおじいちゃん、おばあちゃん、4人、お金をドンと使うわけで、消費的な効果は大変あるのではないか。こういったあたりの効果を見てみるべきではないかなというふうに思います。
 最後に、私はやはり女性が働きやすい環境をつくるべきだと、私どもの会社においても実は家族手当をなくせ、などという議論があるですが、子供の手当だけは絶対になくすな、むしろ増やせと。そして、ただお金があるだけで子供を産もうとするわけではないので、職場環境だとか、例えば電車などでも女性が通いやすいように、アメリカのように車で来るのは大変難しいので、いわゆる公共機関に対するそういう施策だとか、こういったことも盛り込んでいかなければいけないのではないかと思います。
 あと税に関しても、私は財政の問題があると思いますが、支出を減らすのは当然のことですが、どういう分野にお金を使うかといえば、インフラをつくる。例えば託児所をつくるとか、大変足りていませんので、そういったところにインフラをつくることによって、これも経済効果が出てくるのではないか。一方で道路をたくさんつくるよりも、そういったところをやるべきではないかというふうに思います。
 そして、最後の最後に思いますが、日本という国はそうは言いながら、私も大変いい国だと。ただ、アイデンティティの中で他国と大きく違うのは、日本の文化というものをより一層他国に広め、かつ自国の中でも評価していくということが余りにも足りないな。教育と言っても教育のコンテンツというので、先ほどニートをつくってしまうような教育ではいかんなというお話を申し上げましたけれども、教育のコンテンツの中にぜひ倫理、そしていわゆる日本文化をきちっと理解させ、そして哲学的なそういったものをもう少し入れながら、教育の現場というものをもっと改革していかなければいけない。
 その中でもっと教員というのは増やしていくべきではないかなと。財政の支出を減らす。だから、一元的に全部一律に減らすのではなくて、どこを減らしてどこを増やすかという、増やすところもきちっと議論をする。その中で教育というヒューマンキャピタルを増やすところを我々として、例えば大学なども一律に教員を減らすのではなくて、もっと増やすところは増やすべきで、例えばイノベーションをつくる、ものづくり、こういったところは一気にもっと増やしていくような状況がいいのではないか。アメリカなどを見ていますと、アメリカ人はほとんど金融だとか弁護士になるとか、こういったところへ行ってしまいまして、ものづくりのところはどんどんいなくなってしまっている。日本はむしろそういったところに強化する産業政策があってもいいのではないか。
 小さな政府というのは大変重要ですけれども、小さいながらもどこをやっていくかということをきちんと決めていく、そういう中では昔やられたMITIさんの政策の中の、もう一度そういうことがあってもいいのではないかなという、こういう時期ですから、産業政策というのはもっと高らかに言っていってもいいのではないか。そういう中で、私たちが今回の提言でどこをやりましょうという話がきちっとできたら大変いいなと思いますし、やはり国力というのは大切であるということもうまくメディアを使いながらもやっていくべきではないかなというふうに思います。
○野原委員 イプシ・マーケティング研究所の野原と申します。よろしくお願いします。
 経産省関連のいろいろな委員会に出させていただいていますけれども、初回からこんなに活発な意見の出る委員会は初めてで、今後がとても楽しみに思いながら皆さんの御意見を伺っておりました。
 まず自己紹介も兼ねて少し申し上げますと、私は10年ほどITビジネスについての調査やコンサルティングを行ってきました。経済産業省産業構造審議会情報経済分科会の委員もさせていただいておりまして、情報経済ビジョン策定に参画しています。生活を豊かに、快適に、楽しくするようなITビジネスの創出や促進に役立ちたいという想いでずっと仕事をしておりまして、そういった立場から発言をしたいと思っています。
 それから、今までにも何人かの方が発言なさっていますように、私もオーナー社長として経営をやっておりますので、中小企業の経営という観点からもお話をしたいと思いますし、働く女性としても発言をしたい。そして、弊社は女性が多い会社で、いろいろな形態で働く女性を抱えておりますので、女性の就業形態や就業の多様化という観点で発言させていただきたいと思っております。
 この部会は、幅広いテーマを扱うので、いろいろな機会に発言したいと思いますが、今日申し上げたいことは3つほどありましす。
まず1つは、20代〜40代が将来に対して不安なく安心して仕事できる社会作りが重要だという点です。
 それに関連して、2つ御紹介したいのですが、1つはIT系ベンチャーで働く20代〜30代の問題です。彼らは、現在は超多忙で大変充実しているのですが、将来に対して漠とした不安を感じています。例えば、20代〜30代で大活躍している女性社員達は、この職場ではとても結婚して子供を産み、育てながら仕事を続けることは難しいと感じています。男性社員も、キャリア形成をどうしていけばいいか、あるいはリタイヤしても自分たちは年金はもらえないかもしれないという不安を抱えています。
 もう一つは、大手企業の若手社員はアンハッピーなのではないかということです。なぜかというと、非常に大きな組織で、若い世代が自分の意見や提案を発言したり実現したりする機会が極めて少ないからです。入社した当初は創造性に富み積極的に提案しようとしていた人も、組織の中で発言機会がない、自分の意見が通らないということにだんだん慣らされて、意見を言わない、元気のない若手になっていっているという状況が見受けられます。
ITベンチャーでは、現在は超多忙、将来不安。大手企業では大組織の弊害で主体的に仕事をすることができない。活況を呈するIT産業ではあるけれども、個々人の幸せが実現されているとは言えない。社会全体としてみんなが元気に充実して生きられるような環境づくりを考えないといけないと思っています。これが1点目です。
 2つ目は、皆さんの御意見ですとか、資料を拝見していて感じたことですが、格差の拡大が問題であるという論点がありますけれども、「格差拡大」という言葉だけがひとり歩きをするのは変だなと思っていまして、どんな格差がどれぐらい拡大したことが問題なのかをはっきりさせないといけない。機会の平等は大事だけれども、結果が平等である必要はないと思います。所得格差というのは基本的に結果の不平等を指していますので、それよりも機会の平等について取り扱っていかないといけないと感じています。
 それから3点目は、グランドデザインを描くことが重要だと皆さんおっしゃっておられて、それにはアグリーなのですけれども、その検討の仕方を注意しなければいけないと思っています。まずこれまでの実態把握をして、それをもとに将来のグランドデザインを構築することになりますが、実態把握するときの視点や、カテゴリーの設定方法、定義の仕方、ユーザーニーズの把握方法などを適切に行わないといけないと思います。
例えば、就業の多様化について、「正社員」と「非正社員」に分けてデータを分析していますが、「非正社員」が増えたらそれが就業の多様化と言えるのか。正社員・非正社員の区別よりも、実態として多様な働き方ができていないと、価値観やライフスタイルの多様化に対するニーズを満たしたとは言えないと思うので、そうしたデータの取り方も気をつけながら検討していかないと、的確な議論にならないと思います。
 また、様々なデータを「全国民の平均値」で論じることに限界があるなと感じます。多様化が進んでいるので、平均値を見ただけでは実態を正しく読み取ることはできないのではないか。必ずしも全体の平均値とか、全国民を対象としたデータをもとに論じるのではなく、ミクロなアプローチを積み上げるという方法を取り入れていく必要があるのではないかと思います。
 そして、最後にもう1点追加ですが、先ほど、これは経済産業省からの提言だけれども他省庁に向けての提言もすべきという話がありましたが、私もこの点は重要な観点だと思っています。なぜなら、既存の省庁というのは担当の業界や既存の組織・事業体を守ろうとする保守的な立場にあるので、自ら担当領域の改革を進めていくのは難しいからです。現在は様々な領域で構造的な変化が起こっている時代で、政策も変えていかないといけない。そういうときに、経済産業省が他省庁に変革を求めていくというのは非常に重要な役割だと思います。担当省庁ではできないことを、ここで、きちんと提言してけたらいいと思っています。
 以上です。よろしくお願いします。
○不破委員 東芝の不破でございます。簡単に自己紹介でございますが、私どもは一般にはエレクトロニクス企業ということで御認識いただいているかもわかりませんが、大きく分けますと、1つは半導体ですとか、あるいは電子情報技術を核にしました機器をつくっている、そういう事業と、もう一つは発電でございますとか、あるいは大きな水処理をするとかいったような社会インフラを支えるような機器をお売りして業としている、こういう企業でございます。多分、冒頭の暫定版とおっしゃっていますけれども、全体のピクチャーの大分右下の方に書いてありました企業の役割、特に人との関係で活力をどういうふうに上げるかということについて考えるところを述べよというのが多分私の役割の1つかなというふうに思いますので、今日はその切り口だけで1点だけ申し上げたいと思います。
 最初ですからやや議論になるようにということで少し前広に申し上げますが、今日の全般のお話というのは、簡単に言ってしまえば、右肩上がりであったいろいろな諸指標が右肩下がりになってしまいます。しかも、これが非常に、先ほど冒頭に「全要素」という言葉が出てまいりましたけれども、この要素、多分ほとんどが右肩下がりになってくる。企業にいる者の立場からしますと、現在でも一般化しております企業のバリエーション、つまり企業価値はどうかと、この考え方が多分もう立ち行かなくなってしまうかもしれない、ちょっとこれは語弊がありますが。つまり、将来もうけるかもしれない。それを現在価値に割り引いてこの会社は幾らかというのが企業価値でございますが、将来もうからなくなってしまうという企業では、一体価値はどうなのかということになります。これはそもそも日本ではごく最近に言われておりますコーポレート・ガバナンスですとか、株主様を主体にしたステークホルダーに対する企業の経営のミッションというものを、多分日本が極めてここは先陣を切って変えていかなければいけない。あるいは、変わらざるを得ないのではないかというふうに私は漠然と思っております。
 ちょっと細かい話は省きますが、それではどういうモデルがいいのかということなのですが、多分、コーポレート・ガバナンスに変わって、ちょっと乱暴な言い方ですけれども、カンパニー・ミッションのようなものではないか。先ほど来何人かの方がおっしゃっておられますけれども、社会の中で人々がこれからやっていく役割、企業を通して、あるいは企業の中で働いて社会に対して貢献していく、その業というものが大分変わってくるわけでございますね。例えば、NPOですとか教育ですとか、一般的にボランティアと言われているような、こういうようなものというのは多分1人ではできないので、幾つかのコミュニティをつくったり、集団をつくりますが、ここは法人格は当然に与えられておりません。もちろん税金を取るわけではないので法人格の議論をする必要はないのですけれども、先ほど土居先生もおっしゃいましたけれども、非常に難しい政策と財政との関係の中では実は減税もできない。つまり、所得を認識できないのだけれども、そういう企業の、あるいは集団の社会に貢献している価値を認めて、そこへ実は予算をつけていくという方法が多分あるかもしれない。そうすると、それは概念的に言うと恐らくカンパニーという、みんな何かが、お互いに同じ価値観で集まってきて1つの仕事をする。トップがいて、あるいは株主様がいて、その人たちに対して投資していただいたお金をキャッシュフローで返していくというのと大分違うモデルではないかと思うのです。
 こう見ますと、幾つかおっしゃっていただいております考え方、例えばイノベーションというもののコンセプトは大分変わってきますし、企業も知識社会という、皆さんがもうすでに認識されているその知識社会の形が多分純粋な知識だけではなくて、例えば「匠」といいますか、要は、ある時間をかけて鍛錬した技術に対する価値が出てくるとか、それから長年の経験というものが価値を持つという社会になってくる。
 そうしますと、少子化対策に女性だとか、あるいは身障者の方を労働力として考えたいというふうに、これはもう私どももそう考えているわけですが、その一方で、もうすでにおっしゃっておられますように、例えば70歳ぐらいまでの方は働くということになりますね。これは決して突飛な意見でもないし、新しい意見でもなくて、多分、中国の「礼記」か何かに、人間、70になったら仕事をやめていいみたいな、そんな話がたしかあったわけですから、決して難しい話をしているわけではないので、多分そのころから今の状態を考えると、70歳代の方というのはもっと若くて、頭の回転もよくて、力も少しあるかもしれません。先ほどローソンにICタグを入れろというお話がございましたけれども、これは新しい商売として私、考えますけれども、まあ幾つかの工夫を入れることで労働機会というのは増えてくる。こういうふうにちょっとコンセプトを、企業の方から言うと変えていただくことで、大分幾つか穴が見えてくるのではないかなというふうに思います。
 以上でございます。
○宮川委員 学習院大学の宮川でございます。私の専門はマクロ経済学の立場から日本経済を見るということを一応専門にしております。最近では、生産性の問題に着目しまして、産業レベル、企業レベルでの生産性の上昇というのはどういった要因によって生じるのかということを中心に研究をしております。
 その意味で、今日御説明いただいた資料を私なりに解釈しますと、やはり90年代から、バブルが崩壊してからの日本経済の低迷ということなのですけれども、これは参考資料の2ページ目にもありますけれども、やはり生産性が大きく低下してしまったということが非常に大きかったと思います。この10年間といいますか、もう12〜13年になると思いますけれども、日本経済の低迷というのは非常に悔やまれてならないといいますか、非常に大きな損失だったというふうに思います。その間、米国経済というのはIT革命で復活して、韓国や中国といったところが我々の想像をはるかに超える勢いでキャッチアップしてきたわけで、そういう中で先ほど御説明がありましたけれども、何とか日本経済は企業収益の面から見ると回復したといいますものの、残された課題が非常に大きいと思います。
 その中で、最近、私、先ほど来皆様方おっしゃっておられますけれども、この生産性の要因、もちろん一義的には、福田先生もおっしゃっていましたけれども、イノベーションというもの、つまり技術的な要因が一番大きいのだろうと思いますけれども、さらによりいろいろな要因も重なっています。一番大きいのは、イノベーションを除いて非常に大きい要因というのは、東京大学の吉川先生もおっしゃっていますけれども、産業構造の転換といいますか、スムーズな転換というのが非常に重要です。ここには企業の方々がたくさんいらっしゃいますけれども、単一の製品をずっと売り続けていたのでは利益率はどんどん下がっていくばかりです。それは経済全体についても言えることで、同じ産業構造を続けていたのでは、必ずしも付加価値を上げるということはできない。不断にやはり産業構造の転換を図っていかなければいけない。そのためには産業自体、それから産業を支えるいろいろな生産要素、人、物、金というのが構造変革をしていかなければいけない、新しい場所に移っていかなければいけない、これが非常に重要なことなのですけれども、90年代に一番問題になったのは、こうした産業構造、それからそれを支える金融市場、労働市場というものが硬直化してしまったというところが一番大きい問題であろうというふうに思います。
 最初、90年代の前半、政府はこれをマクロ的な政策で何とか補おうというふうにしたわけですけれども、結果的にそれは成功せずに、97、98年の金融危機を迎えてしまったということだと思います。先ほど平さんの方から、我々はもう政府に頼ることをやめたというような御発言がありましたけれども、恐らくそういった気分が国民全体に出てきたのは97、98年ぐらいからではないかなというふうに私は思っています。ここで日本の名だたる金融機関がどんどん倒れることによって、政府というものがある意味頼りにならないということから、そこから企業さん自身が自分たちで収益構造の再構築に走るということが起きたのではないかと思っています。
 その結果、2002年ごろから中国特需や、それから新たなイノベーションといった機会が起きて、日本経済は何とか再生しているわけですけれども、その97、98年からの私的な民間によるある意味、リストラといいますか、収益構造の再構築による傷跡というのはまだ残っているというふうに考えています。その一番大きな問題というのは、最近では少し少なくなりましたが、お金の問題でも不良債権の問題と、それに伴う企業の再生の問題だと思います。それから、労働市場では若年雇用が新規に参入するところでもう壁が高くなってしまって、先ほどおっしゃっていたようなフリーターとかニートとかということを増大させる要因になってしまった。したがって、まだまだミスマッチといいますか、ミスアロケーションの問題というのはかなり大きな要因として残っている。
 生産性の問題、一義的には、長期的にはイノベーションは非常に重要だと思いますが、短期的、中期的にはマーケットに残っているこのミスアロケーションの問題を解消していく政策によって、ある程度まだ生産性を向上させることが私は可能だと思っています。そういう問題をやはり2007年とか2008年ぐらいまでの間にやるべきだろう。先ほど、翁先生やそれから清家先生の方から時期の問題が出ていましたけれども、私はまず中期的に問題としてミスアロケーションをなくして生産性を向上せる時期という、それに対応した政策という時期があり得るのかなと。
 それから、少子化というものが当たり前といいますか、当然の前提として続いていくような社会の長期的な問題というものがあるだろう。長期的な問題でも生産性の問題というのは非常に重要な問題だと思いますが、そこでも単に、もちろんイノベーションの問題は皆さんおっしゃっていましたのでこれは当然のこととして、先ほど不破様の方からおっしゃっていました企業での生産性を向上させるためにどういう政策といいますか、どういう形があるのかということだと思います。
 最近、米国がなぜ復活したかということについてのいろいろな議論が経済学の中でもなされていますけれども、そのときに1つのキーワードとされているのが組織資本という考え方でして、これは通常の資本だとか労働とかということを単一にとらえるのではなくて、ある意味資本と労働と、それから経営戦略の結びつきで、それ自体が1つのインタンジブルなアセット、無形資産としてとらえる。それがIT革命のような技術革新に対応して生産性を増加させる1つの要因なのだというふうに思います。
 もちろんアメリカのまねをする必要はないのですけれども、日本も「失われた10年」と言いながらも、トヨタさんやキャノンさん、いろいろな企業さんのように、ずっとその間も世界的に飛躍された企業があります。そうした企業さんの戦略、または雇用、それから設備投資戦略といったものを事例として考えることによって、長期的にどういった企業レベルで、または産業レベルでどういった施策が生産性を伸ばすか、それから企業価値を増大させていくのかということをやはり具体例も含めて明示していく必要があるのではないか。
 これは民間の問題ですけれども、先ほど来ありましたけれども、今度はあとそうした民間と政府の間というものが恐らくこの90年代の間で敷居というものが大きく崩れてしまったと思います。90年代、一生懸命市場化、市場化ということが叫ばれてきたわけですけれども、そうしたら、私ももちろんこういう財政赤字の時期ですから、市場化を進めることについては基本的に賛成なわけですが、政府としてはどういう部分を保障するのかというようなことについての、先ほど言われたコミットメントというのが、または合意形成というのが出されていないのではないかというふうに思っています。
 年金の問題も政府がどこまで面倒を見るのか、それから地域の安全の問題とか、そうした問題をどうする。安全というのは、一体どこまでを政府がやってくれて、どこまでを我々はセコムに頼めばいいのか、セコムといいますか、綜合警備保障に頼むのかといったような問題もあるかと思いますけれども、そうした改めて長期的には市場に任せるものと政府が保障するものの境界線を、これはなかなか合意が難しいとは思いますけれども、単に市場化という進行方向だけではなくて、政府と市場の境界線というものを見てみないといけない。それは恐らくいろいろな国によって違うと思います。先ほど示されましたスウェーデンのような大きな政府のあり方もあるでしょうし、米国のように市場への比重を大きくしている国もあると思いますが、日本としてどこに境界線を引くのかということをやはり少子化の中で考えていく必要があるかと思います。
 ちょっと長くなりましたけれども、私の意見とさせていただきます。
○守島委員 一橋の守島でございます。最後の方でしゃべるのがいいことか悪いことなのかだんだん迷ってきましたけれども、私は企業の人材マネジメントというか、人材の問題をずっと追いかけておりまして、その視点から3点ぐらいお話を申し上げたいというふうに思います。
 第1点は、これは先ほどから皆さん方、すでに言われている人材育成というそういうポイントなのですけれども、私は今、成果主義という、成果主義というのは非常に短期的に見ると日本の人事構造の中では大きな変革で、それが本当にいい成果をもたらしているのかどうかということを研究ベースでいろいろなところで見ているのですけれども、どうもいろいろなデータを見てみると、成果主義というのはモチベーションというか、働く意欲には影響しないのですね。社員間の競争意識には非常にプラスに働くのですけれども、真の意味でのモチベーションとか意欲という意味で言うと、余りちゃんとしたインパクトはない。
 そう考えていくと、一体何がインパクトを持つのだろうかということでちょっと今研究をしているのですけれども、1つわかってきたことは、人材育成をきちんとやっている企業では、働いている人の意欲やモチベーションというのは比較的高いのです。というのは、やはり人材育成というのは将来への架け橋なのですね。未来への夢を持たせてくれる、そういう1つの機能であるということがありますので、企業の中の問題として、やはり1つ人材育成をこれから強化していくということが非常に重要なポイントだろうというふうにその場面では思っております。
 対して、これだけ労働市場が流動化してきて、これだけ、人々がある意味では1社で囲い込まれて何か仕事をするというような状況ではなくなってくると、実は人材育成というのは、今までは比較的企業内で行われてきた。ちなみに、興味深いのは、人材育成というのはほぼすべての状況が企業人の育成ですけれども、それは企業内でずっと行われてきた。ある意味では民間主導のところが非常に強かった。厚生労働省は何かやっていたかというと、悪口を言うわけではありませんが、余りやってこなかったというのが実情ではないかなと思っております。ですから、逆に言うと今から、これからやるべきことというのは、人材育成を1企業の問題として取り上げるのではなくて、社会の問題としてもう一回パブリックの部分に持ち出すというか、ある意味ではテイクアウトして市場の問題、社会の問題として考えていく必要が恐らくあるのだろう。そうすると、先ほど皆さん方がおっしゃっていたようないわゆる学校教育の問題であるとか高齢化の問題等、さまざまな問題がそれに関連してくるということですから、重要なポイントになります。つまり、人材育成に関しては今までプライベートなものをもう少しパブリックなころで、コラボレーションの中でどういうふうにやっていけるような体制をつくっていくかというのが1つ大きな問題だろうというふうに考えております。
 それから第2点として、今回いただいたのは、非常によくできたすばらしいペーパーで、こういうものができるというのはすばらしいと思うのですけれども、やはり1つ視点として「個」という視点というか、「個人」という視点ですか、それが何となく、比較的薄いように思うのですね。個がモチベートされるとか、個がハッピーになるとか、個が何らかの形で活力を持つということが、まあ入ってはおりますけれども、それをどこまで追求していくかというところがやはり1つの大きなポイントとしてはあるだろう。
 社会構造が変わっています。社会構造がどう変わっているかというと、ここにいらっしゃる方で何人も自分のベンチャーを立ち上げたという方もいらっしゃいますし、それから大企業、東芝さんにしても新日鐵さんにしても、企業内構造というのがこれからどんどんプロジェクト制になっていく、もしくは自立型の、または分散型の企業構造がどんどん採用されてくる。そうすると、1人1人が頑張ってくれないと、1人1人がハッピーになってモチベーションが高くなってくれないと、やはり企業というのも活力を持たないような状況になります。私は、やはり1つの視点として「個」とか、個の活性化いうものに対するフォーカスというものがもう少しこの研究会の中でもあってもいいように思っております。
 それから第3番目のポイントなのですが、これは今日いらっしゃる経営者の方々はもう当たり前だよというふうにおっしゃるのかもしれませんけれども、私が今やっている研究の中で、人材育成と並んでもう一つ企業の働いている人のモチベーションにつながるものとして、ビジョンをその企業の経営者が持っているかどうかというのが明確に出るのです。私は人事制度の研究をやっていますので、ビジョンの研究が出てしまうときはある意味で困ってしまうのですね。成果主義とか職能の問題とか評価の問題がモチベーションにつながってくれると人事の研究をやっている人間としてはいいのですけれども、そうではなくて、経営者がビジョンを持っているかというのがすごく強く出るのです。
 それで何を言いたいかといいますと、この研究会全体のトーンがシステムデザインというか、システムをどうしようかという話に何となく振れているように思うということです。システムは大変重要なことだと思います。そういう意味で我々も参加している部分というのも大いにあると思うのですけれども、やはりどういう社会にしたいのかとか、何がビジョンなのかというところを皆さん方も言われたように明確にしないと、システムを幾ら整備したところでそれは単に道具に過ぎませんから。つまり、目標はどこなのかというところは明確にしていかないといけないだろうという気が私はしております。
 例えば、今、ニートの問題とかいろいろ出ているのですけれども、ニートの問題もシステム的な対応が必要だということだけでなく、多分ニートの最大の原因というのは、今社会がビジョンを持てなくて混乱していることが、それが若者たちにある意味で反映されているというか、若者たちのマインドの中に反映されている。我々の混乱が彼らの混乱を招いているというところに、極端に言えばすぎないのではないかと思っています。ちょっと言いすぎかもしれませんけれども、それも大きな要因ではないかというふうに思っておりまして、そういう意味でもこの研究会ではビジョンの部分の議論というものをできるだけ積極的にやっていきたいというふうに思っております。
 雑駁な話になりましたけれども、以上でございます。
○山脇委員 山脇と申します。今の守島委員の発言で非常に自分が話しやすくなったと思います。私自身は最初、経済学をやりまして、その後、哲学に転じました。現在は、東京大学の駒場キャンバスで、公共哲学という皆さんにとっては全く聞き慣れないかもしれませんが、ここ数年急速にはやり出した学問を担当しております。
 残念なことに、理念とかビジョンを追求する哲学と、具体的な現場で何ができるかという公共政策、この二つを結びつけるような知の教育の場とか知識の体系は日本にはないのです。これは非常にゆゆしいことでして、その欠点を乗り越える役割を担うための学問として公共哲学が登場したと私は思っております。公共哲学は、実際に「ある」現実社会の分析と、何を目指す「べき」かという規範研究と、実際どのようなことが「できる」かという政策研究を、区別しつつも統合するというような野心的な学問で、東大出版会からもシリーズが出始め、現在15巻まで刊行されています。大学でも、早稲田とか学習院とか千葉大学などで公共哲学が本格的に研究され始めました。それを受けて私はちくま新書で「公共哲学とは何か」という本を出したところ、いろいろなところでインパクトがあり、この審議会にも加わることになった次第です。
 資料5の右下のようなテーマに対して、私が何かコントリビューションできないかということで恐らく急遽審議会に参加するということになったわけですけれども、私の場合は公共性のパラダイム、いわゆる公共という概念は何かということを問題提起することになるでしょう。「官か民か」、「公か私か」、「政府か市場か」という二分法だけでは見えてこないような「民の公共」という次元を学者は真剣に考えなければならない、こういうふうに思っております。そしてそのためには、「政府や官の公(ガバメンタル、あるいはオフィシャル)」というレベルと、「民の公共(パプリックコモン)」というレベルと、「私的領域(プライベート)」というレベルを明確に区別しなければならない。そういう点では私は三元論者ですけれども、それはまた後でいつかお話しでききると思います。日本語で「民間」と言う言葉は英語では2つの意味があり、privateという意味とcivilian、civilという意味では、かなり意味が違ってきます。ですから、「官から民へ」という標語は非常にあいまいでまやかし的な概念かもしれません。この場合「民」は何を意味するのか、公共を担うような民間非営利組織なのか、それともプロフィット・マキシマイゼーション(利潤極大化)を目的とするような民間営利組織民なのか、それを識別しなければならないように思います。
 そういう形で公共性のパラダイム転換をしなければならないということを、私は。「NIRA」という雑誌の昨年11月号にも書きました。いわゆるNPO、NGOをどうとらえるかという問題も出てきましたし、あるいは企業の公共性というようなこと、CSRとかSRIというような問題も出てきましたし、実際にそれらをどういうふうに考えるかということは、社会科学的に大きなテーマです。それと同時に、先ほど守島先生が言われた個人をどうとらえるかという問題も、公共哲学の根源的なテーマです。個人をホモ・エコノミストとみなす経済学的なパラダイムだけでは不十分で、個人と対立する意味で公共性という概念を用いる方々は、大抵個人を利己的な個人としてとらえておられるようですが、そうした発想は私は非常に危ないと思っています。
 私自身は、いわゆる公共性を考える場合に、「活私開公(かっしかいこう)」という新しい言葉をあえて使っています。戦前、「滅私奉公」という考えが盛んに唱えられましたが、それは現在でも過労死、過労自殺という形であらわれております。これは非常に歪んだ形の公意識ではないでしょうか。それと対極にあるのは、「滅公奉私(めっこうほうし)」のライフスタイルです。これはミーイズムとでもいいますか、いわゆる公という意識を全部捨て去って、私生活を楽しめばいいというような戦後教育が生み出した1つの歪みと言ってよいでしょう。この双方に反対して私が考える「活私開公」というのは、個人個人を活かしながら、「民の公共」を開花させ、さらに「政府の公」を開いていくというようなライフスタイルです。
 もともと公共性は活動概念ですから、お上からトップダウン式にもたらされるものではなくて、人々のコミュニケーション的な活動がベースにならなければ成立しないわけですね。そういう考え方をベースにして、「活私開公」というライフスタイルが組織レベルでどういうふうに論じられるか、さらに少子高齢化対策では移民政策が必要となってくるでしょうが、多文化的な公共空間が将来の日本で本当にできるのかどうか、これらは教育の問題とも関連して大きなテーマだと思います。
 ですから、経済学はそういった意味では「経世済民」の学に戻らなければならないというのが私の考えで、「経済の倫理学」(丸善)という本も書いておりますけれども、いずれにせよ、経済学者とは違う公共哲学というスタンスでこの回に参加させていただき何らかのコントリビューションをしたい、こう思っております。
○渡辺委員 一橋大学の渡辺でございます。マクロ経済学というのをやっております。その中でも金融政策ルールという、あるいは財政政策ルールというお話を専門にやっております。「ルール」というのはどういうことかと言いますと、政府や中央銀行が市場や民間部門とどういうふうに契約をするのかとか、どういうふうに取引をするのかとか、そういうことを考えようという、そういうことを総称して「ルール」と言っているわけですけれども、そのような分野もやっております。
 最後ですので、手短に私が感じたことをお話をしたいと思います。ほとんどの意見はいろいろな方から出てしまいましたので、お話を拝聴している中で、私は少しそこのところは違うなというところを感じたところを中心に2点ほどお話をしてみたいと思います。違うところを強調していますので、少し誤解があるかもしれませんけれども、あえて強調しながらお話をしたいと思います。
 1つは財政のお話であります。今の状況は財政危機かどうかということが非常に重要なポイントだと思うのですけれども、典型的に財政危機というのはどういうものかというと、いろいろな国だとかいろいろな過去の歴史の例を振り返りますと、政府、今の財政赤字などは当然なわけですけれども、そのときに起こり得ることというのは、例えば国債などはだれも買いたくなくなるわけですので、国債の価格は非常に大きく下落する、金利は上昇する。それから、その国が発行している通貨などはだれも持ちたくないわけですので、インフレが起こります。それから、海外の国から見てもその国の通貨などは持ちたくありませんから、その国の通貨は下落するということが起こるわけです。ですので、国債の価格の下落と通貨の下落と物価の上昇というのが財政危機の定義と言ってもいいような、そういう指標になっているわけです。
 では、そういうことが日本に起きているかというふうに考えてみますと、御承知のように物価は上昇しているわけでありませんで、むしろ下落をしていることの方が問題なわけであります。それから通貨はどうかというと、円はむしろ上昇していることの方が問題なわけでありまして、これを何とか食い止めなければいけないということでいろいろな施策がとられているわけであります。最後に国債価格はどうかといいますと、もちろん金融施策とかいろいろなことが関係あるわけですけれども、基本的には国債価格というのは高いわけでありまして、国債の金利というのは歴史的に見ても非常に低い水準にあるわけです。
 そう考えますと、その3つの条件はいずれも財政危機の条件というのは満たされていないわけでありますので、仮に火星かどこかにいる人が、じっと日本のことを余り内情を知らずに見た場合に、この国が財政危機にあるとはだれも思わないだろうというふうに思います。もちろん、先ほど平委員からありましたように、日本の人はボーっとしているのでそういうふうにいろいろなマーケットの価格が変なことになっているのだという御意見ももちろんあり得るかと思いますが、実際にそれは起きていることなわけですので、それが間違っているというふうに言うのはなかなか勇気の要ることでありまして、例えば、よく冗談で出ますけれども、物理学者が実験をして何か結果が出た場合に、それは現象が間違っているのであって、私のアイデアは間違っていないと言う人がいますけれども、それは明らかに私はおかしいと。それと同じような意味で、やはり起きている現象は虚心坦懐に見るべきだというふうな観点からすると、財政危機は起きていないというふうに見るべきだと思います。
 じゃあなぜ財政危機は起きていないのか、皆さんがこれほど心配するし、あるいはこういう委員会が持たれるほどに心配されているにもかかわらずなぜ起きていないかということですけれども、それはひとえには、恐らくマーケットにいる人々、それからマーケットにいない普通の人々も物価の決定とかには関与しているわけですので、そういう人々が基本的には政府に対する信用というものをきちんと持っている。今の段階でのいろいろな財政の数字は悪いわけですけれども、きっとそれは上手にマネージされるだろうという期待を持っているというふうに考えられる。それを織り込む形で、先ほど申し上げたような幾つかの価格がそういう財政危機とは違う動きをしているのだろうというふうに思います。
 じゃあ、それだったら何の問題もないのかということになるわけですけれども、それはそうではないだろうと思います。つまり、そういうふうに今のところ多くのマーケットの参加者とか、あるいは民間の人たちというのは政府のことを信用しているのだろうと思いますけれども、その信用をどうやって持続させるのか。つまり、信用がなくなってしまって、まさに正真正銘の財政危機になるような、そういう状況をどうやって回避するのかということがこれから最も重要な課題なのだろうというふうに思います。
 そのときにどういうことを心掛けるべきなのかということが問題になるかと思うのですけれども、基本的には私は企業の人が心掛けていることと同じだろうと思います。つまり、企業の人というのは、経営者の方がいっぱいいらっしゃいますので私などが申し上げることではございませんけれども、自分の企業の株価が余りにも下落しないように、株価は企業の通信簿とかとよく言いますけれども、悪い点数がつかないようにきちんと経営をして、そしてきちんと経営した結果を、経営の意思をマーケットに対して説明するということでなさっているのだろうと思いますけれども、そうやって株価がある種、企業に対して規律を与えているという、そういう面があるのだろうと思います。
 政府の場合も、基本的には組織としては企業と同じなわけでして、その場合の株価に相当するものというのは、普通の国で言うと、日本のような国で言うとそれは国債の価格なわけですので、国債の価格が下落しないように国債の市場の様子をよく見て、そういうことにならないように政府の経営をするということが最も大事なことなのだろうというふうに思います。
 逆に言いますと、そうならないようにするにはどうしたらいいのか。つまり、マーケットが求めている今の水準を国債の価格にインプリメントし、暗黙裏に込められている将来の政府の像というのは何なのかということをよく認識して、それをきちんと実行していくということが最も重要なことなのだろうと思います。そこを考えれば、何をしなければいけないのかとか、あるいはどういうタイミングでやらなければいけないのかということについても、おのずから答えは出てくるのだろうというふうに思います。これが財政についてのやや皆さんと違う視点を持っている大事なポイントです。
 それから、2番目は人口減少というのですか、高齢化のお話でございまして、これもすでにたくさんの御意見が出ているかと思うのですけれども、先ほど冒頭の資料の御説明で非常に私、びっくりしたのですけれども、韓国とか中国も出生率で見ますと基本的には先進国のレベルに急速に近づいている。ほとんどの先進国、韓国や中国も含めて非常に狭いレンジに入ってきているということを見ますと、しかもそれが何十年にもわたって徐々に進んでいるということを見ますと、恐らくその人口が減少するということについて、それを防ぐような手立てというのを何かやろうとしても、かなり無理があるだろうというふうに思います。もちろん、そういう努力はしなければいけないだろうと思いますけれども、やったからといってあしたからどうなるというものでも多分ないでしょうから、10年、20年、あるいは100年単位で考えて、ある程度の減少があるということは所与の条件だというふうに考えていろいろなことを考えなければいけないのではないかと思います。
 じゃあ、これも何もしなくていいのかということになるわけですけれども、そうではないだろうと思います。恐らく、そういう人口の減少が起こる、あるいは高齢化が進むと、経済の中でいわゆる自律的なメカニズムがさまざまな形で働いていって、先ほど清家先生のお話にあったように、これは別に降ってわいた難題ではなくて、ある意味過去のいろいろなことを引きずりながら起きている現象なわけですから、それに対するリアクションというのも市場の中できっと出てくるだろうと思います。そのときに大事なことというのは、政府のやっていることの中でそういう自立的なメカニズムを妨げるような制度とか、そういうものをできるだけ上手に調整していくという、そこの部分が最低限やるべきで、あるいは個人的に言えば、それ以上のことは余りやるべきではないというふうな考えます。
 そのときに問題になるのは、ではどこが制度として不適切で、そういう人口の変化に対してうまく機能していない制度なのかということを見極めるということが大事なわけで、それがこういう委員会の大きな課題になるのだろうと思いますけれども、これについて私は非常に悲観的でして、わからないだろうと思います。つまり、人口が減少するような経験というのはほとんどの国はやったことがないわけでして、日本でもないわけですので、そのときに、ほとんど現状の制度というのは人口が増加することを前提に、あるいは技術が進歩することを前提につくられているわけですので、その中のどこが不都合が起きるかということは、まあ起きてみないとわからないというのが正直なところであります。
 1つだけ例を最後に挙げさせていただきます。金利が今ゼロになっているわけですけれども、その金利がゼロになって、本当はマイナスの金利にしてもっと景気を刺激したいわけですけれども、それがうまくできないというようなことが起きているわけです。それは金利がゼロになるようなことというのは成長している経済では起きないだろうというので、ブレトンウッズ以降そういう制度がつくられているわけですけれども、そこのとこに障害ができてしまって、それが不況を長期化させているような、そういうことを招いているのだろうと思います。
 恐らく事前に多くの人がこういうことを考えたときに、金利がゼロよりも下がらないというような制度が問題になると、何か大きな混乱を招くというのは想像がつかなかっただろうと思います。これは起きたからこそ、そういうところに問題があるということがわかったのだろうと思いますので、私が申し上げたいのは、足下の動きをよく見て、どこにどういう不都合ができているのかということをよくよく観察をして、その中からそれに関連する制度を是正するという、そういうやり方が望ましいのではないか。白紙にグランドデザインを描くような、想像力を働かせて描くようなことではなくて、むしろ足下で起きていることから出発して、微修正をするというような意味でのシステムの変更について議論するのが生産的なのではないかと思います。
○橘木部会長 本来ならば私にも発言の機会があったのですが、時間の都合上機会の平等がございませんので、私はパスします。それから、事務局からも皆さんの御意見に対して回答とか反論の機会も設けていたのですが、これも次回にパスします。
 本日は皆様から大変有意義な御意見を多数いただき、ありがとうございました。
 事務局から今後のスケジュールについてお話しいただければと思います。
○古賀経済産業政策課長 資料7ですけれども、そこにございますとおり、第2回は5月10日で予定させていただいておりまして、テーマは「成長力の向上と適切なマクロ経済運営」その?というような形で考えております。
 第3回以降もそこに書いてありますようなポイントにつきまして、今日は全体論でしたので、少しずつ深めた議論をしていただきたいと考えております。6月中ぐらいまでに一度、それまでの御議論いただいたことを整理して、今後の検討課題というものをもう一回論点整理のようなものをさせていただいて、7月以降の進め方を検討させていただきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○橘木部会長 本日は本当にお忙しい中、長時間のわたり熱心に討議いただき、本当にありがとうございました。
 次回は5月10日火曜日、14時より経済産業省内の会議室にて開催します。詳細は事務局より連絡いたします。
 これをもちまして、本日の産業構造審議会第1回基本政策部会を閉会いたします。

 

5.閉会

 

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