産業構造審議会総会(第7回) 議事要旨
日時:平成19年8月1日(水)
場所:本館17階第1、第2、第3共用会議室
議題
経済産業政策をめぐる現状と課題について等
出席委員
御手洗会長、池尾委員、上原委員、
大沢委員、大西委員、河野委員、冨澤委員、
中島委員、中山委員、西岡委員、西室委員、
野原委員、馬場委員、飛田委員、村上委員
議事概要
(資料4)経済産業政策をめぐる現状と課題等について近藤総括審議官による説明後、自由討議を行った。委員からの主な発言要旨は以下の通り。
- ものづくりにおいて生産活動に占めるソフトウェア部分の比重が高まってきており、製造業の生産性を引き上げる上ではソフトウェアがポイント。製造業のソフトウェア部門は外注化しておらず内生化しているため、Make or Buy or Sellが必要で、特にSellでは自社所有のソフトウェアのうち他社でも使えるものはプラットフォーム化・モジュール化して積極的に売っていく姿勢が重要。プラットフォーム化・モジュール化では経済産業省の果たす役割は大きいので、こうした面からも製造業の生産性向上に貢献すべき。
- サービス産業ではソフトウェアの開発よりも活用の巧拙が業績を大きく左右する。業務システムでのソフト活用だけでなく、先端的なITの活用が重要。サービス産業生産性協議会では科学的・工学的手法の導入、製造業の生産性向上ノウハウの取り込み、品質の見える化、統計の整備等が議論されているが、こうした手段と並んで先端的ITの活用による生産性上昇余地はまだまだある。
- 中小企業等でソフトウェア活用の余地があり、SaaS、ASPという中小企業等も活用しやすい新しい形態のソフトウェアが出てきている。こうした動きは底上げ戦略の一貫として使い、IT経営応援隊と連動する形で活用するべきである。
- 経済産業省が火付け役になって、他省庁を巻き込んでの具体的な施策を作らないといけない。金融も同様で、JDRなどは省庁間の連携がうまくいっていないためにスピードが遅く進んでいない。経済産業省のイニシアティブは極めて大事。
- EPA・FTAの最大問題は農業で、これは常識。経済産業省の所管ではないが、EPA・FTAについて主張するときには経済産業省がそれをはっきり言うべき。
- 税体系の抜本改革として法人課税の問題を取り上げたのは企業の競争力に直結するので大きい。しかし、大きな問題が来年にかけて1つある。企業の内部統制の問題で、準備にどれだけの経費がかかるかは非常に重要。どうやれば企業負担が軽減されるか考えるべきで、経済産業省としてはっきりとした方針を示すか、金融庁としっかり連携しなければならない。また、証券税制は1年延期されまた見直しになってしまったが、これについて総合的にどう考えるかスタンスをしっかり出して欲しい。
- 経済産業政策全体を考えると、昨年、経済産業省は新経済成長戦略を策定したが、この施策そのものの発展形を力強く打ち出す必要性がさらに出てきたのではいか。
- 日本のメーカーや事業者は、技術開発は得意だがそのビジネス化が不得手。感性価値とも関係するが技術のマーケティング力、事業化力、グローバルに展開する力をどう獲得するかもイノベーション施策に入れるべき。具体的には、企業組織のフラット化、技術専門家と経営企画部といった異文化とのコラボレーションの推進が必要。ベンチャー企業は起業後育っていないがアイディアだけでなくビジネスに結びつける力も重要。また、これらの力をバランスよく持って動いていける人材を育てるべき。
- 著作権問題は省庁間連携を進めるべき。著作物がデジタル化され、著作権法を根本的に見直して社会の変化の方向性にあうようにすべきということでは一致しているが、経済産業省、文部科学省がそれぞれ検討しており縦割り行政の弊害でうまく進んでいない。文部科学省はどうしても著作権者の保護に重点がある。経済産業省からどういう法制度を作れば著作者・利用者双方にとって豊かなコンテンツ社会ができるかしっかり打ち出すべき。
- 基本政策部会では30年後の日本を見据えて、社会保障制度、税制、就業環境など、社会の在り方について広く検討を加えてきた。まだまとまっていないため、是非とりまとめていただきたい。
- 甘利大臣のイニシアティブにより国際標準化戦略目標が昨年11月に決まり、本年7月にそのアクションプランが策定されたが、国際標準化戦略の枠組みをイノベーションの観点から具体的に推進していくべき。
- 研究開発と標準化の推進を一体的に行うのが有効で、そのためには研究開発プロジェクトを進める際には標準化も実現できるような仕組みを、ビルトインする形で組む必要がある。これからは「R&D」にIS(インターナショナルスタンダード)を加えて、「R&D&IS」を推進すべき。
- NEDOは5年間で1兆円近くの予算を研究開発プロジェクト推進に投入しているが、そのフォローアップのために1000分の1程度の額の予算を標準化に割り当てるだけで、国際標準化の提案や新規市場創出につながるのではないか。
- 国際標準化につなげる人材が必要だが産業界で育っていない。地味な分野だが国際競争力を発揮する上で重要なのでしっかり強力に育成し、処遇を高めていくべき。
- 世界に打って出るべき日本の産業技術がアンダーマインされるような事件が次々起きているのは残念。総合科学技術会議で「安全安心の国づくり」を目標にしたはずだが、おかしくなってきているなかでは、企業がコンプライアンスやCSRを強く意識し、組織内の自主的な取り組みとして安心・安全のプロモートできるような方策を考えるべき。
- 世界で20%の工業製品を買ってもらっている日本にとって国際社会から放擲されてしまうことは痛手であり、消費者の国際的ネットワークができたときに国際市場から放擲されてしまわないよう国としてしっかり考えてもらいたい。
- 近年の日本の都市は二極に分かれている。大都市の中心に人が集まり、それを追うようにして同時に雇用機会も都市部で増えている。一方、地方では人口が減るのに市街地が拡大しており、人口密度の低下、希薄化が生じている。経済産業省は中心市街地活性化政策を展開しているが、どうしても商業政策に重点があり、これはこれで重要だが、一定の購買力を前提にどこで消費されるかを論じており、地域全体の活性化に全面的にはつながっていない。雇用をどう創出するかが最も重要。
- 企業立地促進法は誘致型の政策だが、域内のモノ・サービスを外に出して地域にとっての“外貨”を獲得できる域外市場産業を育成しようということ。一方、コミュニティビジネスの育成は地域の快適性、利便性、住みやすさを増して産業につなげていく域内市場産業を育成するということ。コミュニティビジネスはどこにビジネスの芽があるのか、誰が担うのか、どこが産業につながるか、雇用機会を生み出すほどのものか等、現実的に検討すべき論点が多い。
- コミュニティビジネスは、域内ビジネス振興という観点から評価できるが、即地的な展開がないと、政策を紙に書けば育成につながるというものではない。一定のノウハウ・経験をもった人が指導していくことや政策を担っていくことが必要であり、制度の枠組みだけでなくそれを担っていく人材を地域に派遣することを政府として考えるべき。
- 本年5月に策定された繊維ビジョンのサブタイトルは「技術と感性で世界に飛躍するために」。感性は景気と異なり一度グレードが上がればもう下がることはないもので、日本のファッションのグレードはトップにある。しかしそれを活かして海外に打って出ることができていない。
- 業界全体が海外に打って出るときには、官民でスクラムを組んで国をあげて応援していかなければならないが日本はやっていないのが実態。ファッションは付加価値産業で国家にとって利益が大きいために、“日本におけるイタリア年”など、他国はものすごい攻勢をかけてきている。そのような波状的に押し寄せてくるパワーを生むには国をあげて取り組まなければならず、特に在外公館をもっと活用していく必要がある。
- 特許・知的財産を扱う事務所には小規模経営で家族経営的でビジネスモデルが確立していないことが多く、こうしたマイナス面を認識して政策を講じる必要がある。
- ISO規格、品質等の規格が適切に活かされているか再検討してほしい。
- コミュニティビジネスは是非進めていただきたい。
- 中小・小規模企業の潜在力を発揮させるには地域社会におけるコミュニティビジネスの創出が重要。東京都でも、省エネ・マイスター制度を設けて、中小の電機販売店を活用して、家庭の省エネを推進している。こうした取組で、電球型蛍光灯の取り付けなどが進展することが期待される。
- 家庭での省エネを推進する必要がある。トップランナー方式により様々な分野で省エネ化が進んでいるが製品にはマニアックな付加価値がついており、その付加価値はエネルギー消費が大きい場合がある。消費者が求めている機能以上の機能の付加が我が国の産業の力を表すことになるが、省エネの問題や必要性の問題で考えると巨大な無駄を生んでいる部分もある。
- 温暖化抑制に日本が取り組むために、さらに消費者が商品を選びやすいように国としても環境ラベリングのPRやラベル化に力を入れてほしい。正当な評価を消費者が努力をしている事業者に対して行うことも必要。
- 小規模発電を新しい住宅等に導入することに関してはある程度の道筋ができているが、 導入価格が高く消費者が手を出しにくい。また、既存の住宅に対して適用できるような配慮が必要。
- PL法に規定する製造物責任の消滅時効は、引き渡し後10年間とされているが、不法行為による損害賠償責任の消滅時効は、民法上20年間とされている。古いものによる事故もよく起こってきていることを踏まえると、PL法の見直しが必要ではないかと思う。
- クレジット事業者が安易な与信を与えている。建築士のような資格が悪用されている面もある。悪徳業者がこれらを活用している面もあるため的確に対応するとともに、資格の在り方も視野に入れた検討をするべき。
- 新たな成長分野として次世代環境航空機が挙げられているが、今、日本は初めて航空機を開発するチャンスに恵まれている。環境対応技術は日本の強み。研究開発はいろいろな会社や経済産業省、国土交通省等が前向きに取り組んでおりうまくいくと思う。問題は、航空機の場合、開発から15年以上経ってようやく利益が出る。いかに息長くやるかが重要で、研究開発の後、30年、50年と続くシステムが必要。これは国策でなければできない。途中に谷があったときにどう生き延びる方策を作っていけるか。
- 製品安全の確保については、化学物質についても同様である。消費者だけでなく、製造業企業にも関係するものであるが、経済産業省の安全安心に関する問題意識と同様であり、是非議論していきたい。
- イノベーティブな技術に対しての税財政による政策支援は重要。これからイノベーティブなものを探すといってもダイヤモンドのように新しいものは見つからない。これから出てくる技術の多くは、ブレークスルーするとしても異業種の技能も含めた複合系になると考えられるため、そうしたものへの支援も行うべき。
- 環境問題では、化学産業はかつて悪玉という位置づけだったため、そのときの経験から環境技術については相当程度の蓄積がある。こうしたものをアジア諸国に出していきたいと考えているが、省エネルギーや省資源といったリターンを期待できる取組と異なり、純粋な環境改善はコストとなるので特に途上国などでは受け入れづらい。したがって、世界各地で生かすためにも、ODA的な国による海外への財政援助のようなものを新しい枠組みとして考えて頂きたい。
- 政府内における成長戦略の牽引役として経済産業省には、今後とも成長力強化に取り組んでもらいたいが、成長を持続的なものとするため、とりわけ3つの点に重点的に取り組むことを期待したい。
- 第一点目は経済成長と両立する地球温暖化対策。世界最高水準のエネルギー効率を実現した我が国の経験を活かし、地球温暖化への対応を新しいイノベーションを生み出す成長の糧にしていくことが必要。ポスト京都議定書の議論でも日本にリーダシップを発揮してもらいたい。
- 第二点目は景気回復の裾野の拡大。中小企業や非製造業の一層の生産性向上や地域の特性を活かした地域活性化を講じていただきたい。個々人の潜在力が発揮されるような人材育成にも取り組んでいただきたい。
- 第三点目は国民の安全・安心の確保。安全・安心が確保されてこそ安定的な成長が可能であり、安全・安心の確保は競争力の源泉となる。原子力の安全確保に万全を期すとともに、製品安全・悪質商法対応に積極的に取り組んでいただきたい。
以上
最終更新日:2007年8月7日
