経済産業省
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審議会・研究会

企業価値研究会
第3回 議事要旨

  1. 日時:平成16年10月20日(水) 16:30~18:40

  2. 場 所:経済産業省 17階 第一特別会議室

  3. 出席者:
    神田座長、安達委員、石綿委員、梅本委員、大澤委員、大杉委員、久保田委員、佐山委員、柴田委員、武井委員、寺下委員、西川委員、畑委員、八丁地委員、藤縄委員、堀井委員、松古委員、松田委員、村田委員、柳川委員、他

  4. 議題:米国における防衛策の実態について

  5. 議事概要
     大杉委員、松古委員、寺下委員より、それぞれ「主要判例から見る合理的な防衛策の条件」、「防衛策の導入実態とその効果」「企業防衛策に関する議決権行使ガイドライン」について報告。その後の討議における主な意見は以下のとおり。
     
    <自由討議>

    (1)米国における防衛策に関する判例等の変遷について

    ○ 80年代には敵対的M&Aのみならず、友好的なM&Aであって他に候補者がいないような事例であっても、時間をかけない安直な決断は、巨額の損害賠償に結びついている。
    ○ 敵対的M&A防衛策は、もともと二段階買収が株主の株を強制的に取り上げる手段として頻繁に使われていたことを背景に、せめて公正な価格をという考え方から導入されたもの。デラウェア州では、防衛策の判断基準が判例を重ねる毎に発達し、防衛策については、社外取締役だけで時間をかけて検討し、後は裁判所の判断に任せるという流れが生まれた。さらに、ここ10年くらいは総会で決めたらどうかというような意見も出始めている。
    ○ ユノカル社の買収からパラマウント社の買収に至る判例経緯は、デラウェア州におけるガバナンスの発展の歴史とも言えるだろう。

    (2)社外取締役について

    ○ 社外取締役の比率や数、独立性については80年代にじわじわ上がっている。
    ○ 社外取締役の人数については条文上で半数以上いることが絶対条件とはなっていない。しかし、実態としては、ほとんどの取締役会で6~7割は社外取締役が採用している。また、日本では形式的にとらえる風潮があるが、米国の判例では、社外取締役が真に経営者から独立的かどうかについて、裁判所が判断する。
    ○ 防衛策が否認された判例のうち、レブロン社買収の際には、社外取締役は存在したが、他のケースと比較して十分いたとはいえなかった。また、パラマウント社買収の際には、人数的には社外取締役が多かったものの、パラマウント社に強力なCEOが存在し、社外取締役はCEOの昔からの友人であって、全く独立しておらず、情報を十分に把握した上での判断をしなかったのが否認の隠れた原因と言われている。

    (3)ポイズン・ピルについて

    ①米国におけるポイズン・ピルの位置付け
    ○ 実際にポイズン・ピルが発動した1件は、1980年代前半に買収者がポイズン・ピルの機能を理解していないために間違って発動してしまったもの。最終的にはキャンセルされ、無効となった。
    ○ 米国の有名ないくつかの調査により、ポイズン・ピルは株主価値を向上し、M&A時にプレミアムが付くので優れているとの結果が示されている。また、株価に影響は無く、希薄化が起こることもほとんどない。株主・企業にとって良いオファーが来なくなる可能性もないと考えられる。さらにポイズン・ピルが導入されることで、時間的な余裕ができ、他の選択肢を検討することや、相手会社と交渉を行い売却価格を上昇させるなどの対応が可能となる。ポイズン・ピルはTOBには有効であっても、プロキシーファイトの局面では、株主の意思決定力を奪うものではない。ペンシルバニアのデットハンドピルなど、もっと厳しいことが米国ではまだまだ行われていることを考えれば、ポイズン・ピルは透明度が高い防衛策と考えられる。
    ○ 導入母体をSP500で捉えれば、6割程度の導入比率かもしれないが、もっと大きい母体を考えれば、廃止する企業は出てきているとしても、現状で2500社から3000社はポイズン・ピルを導入しており、十分普及している。
    ○ ポイズン・ピルは、既存の株主への影響は一番低いとされ、良くできたシステムである。ポイズン・ピルを導入する、しないは企業が判断することであり、導入に当たっては、当然IRに関する責任は増し、コーポレートガバナンスを向上させる必要もある。

    (4)ポイズン・ピルによる株主平等原則違反・財産権の侵害について

    ○ ポイズン・ピルを導入することによる財産権の侵害と株主平等原則の関係は、米国ではどう整理されているのか。
    ○ 米国では、ポイズン・ピルに対する平等原則は、州によって差異はあるが、日本ほど強くは言われないと言われており、デラウェアでは不平等であっても直ちに無効ではなく、手段や目的の合理性で許される骨組みとなっている。
    ○ 株主平等原則に反しない理由として、一つには導入時と発動時の株主が違うことがあげられる。また、ポイズン・ピルについては米国では判例でも認められており、財産権の侵害については、ポイズン・ピルは企業価値を損なうものではなく、株主にとっても有効であることから、財産権の侵害には当たらない。
    ○ 事前にこうした防衛策を取り入れているとの警告を行えば、買収者はそれを理解する機会はあるので、財産権の侵害ではない。また、株主の平等と株式の平等は異なり、15%を集めた株主は誰でも同じように扱われる。

    (5)日本におけるポイズン・ピルの導入について

    ○ 米国ではどの防衛策についても取締役決議で可能なのに対し、日本では、どれもできない。取締役の任期については、現状の2年から1年に短縮される方向で検討が進んでおり、期差任期制も難しい。防衛策に関する多くのパッケージの中で、米国では何でも取り入れられるのに対し、日本ではなにも防衛策が存在しない。防衛策を禁止する法制度にする意味がどこにあるのか。
    ○ 日本では、新株予約権の場合は差し止め訴訟が広く用いられるが、実際に効力が発動した場合には、無効確認訴訟となるだろう。ただし、無効確認訴訟の場合は差し止め請求に比べ要件が厳しい傾向にあるため、差し止め訴訟が取られることは多い。
    ○ 長期的な株式保有を考える機関投資家は日本でポイズン・ピルを入れたからといって、それをもって反対することはないだろう。ただし、公的年金などはどういう反応するかは分からない。
    ○ 米国では買収者の撤退が自由である。これに対して、日本ではTOBを一度かけてしまえば、撤回については条件が限定列挙されているだけであり、原則としては撤回不可能である。TOBを撤回自由にするためには、証券取引法を改正する必要があるだろう。
    ○ ポイズン・ピルを日本で利用するのであれば、悪用される可能性は高い。それはコーポレートガバナンスの自立パッケージが整っていないため。コーポレートガバナンスの向上が必須であり、例えば社外取締役による特別委員会を設置する、ポイズン・ピルをチュアブルなものにして、良い提案であればポイズン・ピルをいつでも外せるようにすることなどが考えられる。
    ○ 海外の機関投資家と話をした際に、ポイズン・ピルの仕組みが分かっても、日本企業だから反対という回答が返ってくることが多い。ガバナンスの問題もあるが、IRを経営戦略の担当者やグローバル担当者が、戦略をもって対応していないことが大きな問題である。

    (6)防衛策に対する機関投資家の考え方について(株主総会の
    必要性)

    ○ 機関投資家の意見は、全体の中の一つの声として捉える必要があるだろう。すなわち、現在は、エンロンやワールドコムの事件を背景として、米国社会全体の風潮が「透明性を確保しなければ」という方向に振れているものであり、ポイズン・ピルだけに対して、導入時に株主総会が必要と言われているわけではない。また、ポイズン・ピル発動前の段階で、株主の声を反映させる仕組みは可能である。
    ○ デラウェア州では全体を見て判断することになるので、株主総会を経たからといってポイズン・ピルの適法性が確保されるわけではない。ただし、機関投資家からの意見が強くなっていることやヨーロッパでは株主総会が重視されることから、デラウェア州でも機関投資家の意見に好意的にはなっており、ウェイトを強めてきている部分はある。

    (7)期差任期制について

    ○ 日本では現状では取締役の任期は2年となっており、委員会等設置会社では1年となっている。デラウェア州では任期3年となっており、期差任期制の場合、通常1/3ずつ変更していくこととなり、2年待たないといけないことになる。ただし、期差任期制は、当初必ずしも買収阻止を目的としたものではない。
    ○ 日本においては、株主総会の特別決議(2/3以上の賛成)があれば、残りの任期分の給与相当額を支払うことで解任できるが、米国では正当な事由なく解任することはできないし、最終的な判断は裁判所が行うことになる。
    ○ 米国における正当な事由とは、とてもハードルが高く、例えば犯罪を犯して服役したなどの理由でない限り解任することはできない。
    ○ 会社法の改正により、特別決議が過半数となることで、より取締役の解任も容易になると思われる。

    (8)その他

    ○ 英国ではポイズン・ピルはないが、Takeover code9条で、30%以上株式の買い占めを行う場合には、100%の株主に、6ヶ月間の一番高い値段でオファーをかけばければならないというルールがあり、二段階買収をやりにくいシステムとなっている。
     


以 上

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