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審議会・研究会

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会(第1回) 議事要旨

日時: 平成17年4月28日(木)11:30~13:30

場所: 経済産業省17階第3特別会議室

議題:
(1)今後の検討課題
(2)法人所得課税の現状と国際比較
(3)政策減税の集中・重点化の必要性と効果の検証
(4)その他

議事概要:
 はじめに事務局より、本研究会の趣旨と検討課題、提出資料について説明。その後の自由討議における主な意見は以下のとおり。

(1)総論(税制改革全般について)

○個々の税目の減税や増税で対応するのではなく、社会制度全体の仕組みを見直さない限り、経済社会の持続的発展の実現は難しい。

○経済活性化のために大胆な税制改革を実施すべき時期に来ている。

○税制改正を議論する際には、租税負担を含めた社会インフラコストを国際的均衡化する視点と税収の使われ方を効率化する視点が重要。

○「公平・中立・簡素」という税制の基本原則とは裏腹に、近年、税法はますます顕著に複雑になってきている。納税者がわかりやすいよう簡素化を進めるという視点が欠けている。

○税制改正は、徴税コストや納税コストを含めた社会的コストの観点からも議論されるべき。

○企業負担に関しては、社会保障負担を含めて議論することが肝要。

○税財政改革の中では、まず歳出削減が基本。特に、医療費の削減が急務。

○税制における不平等、不公正を正さないで、消費税を引上げようとするのでは、国民の納得が得られない。

(2)法人課税の現状(地方税を含む)

○日本の競合国では、法人税を引き下げる方向にあり、中長期的な観点から言えば、法人課税の実効税率の引下げは、引き続き重要な課題である。

○日本の企業は、今や韓国、次いで中国の企業と激烈な競争状態にあることを考えると、それらの国に比べて高い我が国の実効税率は下げるべきではないか。

○企業の国際展開が進む中で、大手企業が本社を海外に移す動きが目立ち、非常に危惧される。

○これから消費税や所得税の増税が議論される中で、海外とのイコールフィッティングの観点から法人に対する課税を軽減する必要性を国民に分かりやすく説明することが鍵。

○地方による法人所得への課税は、徴税の観点から考えて難しい側面があるのではないか。また、平成16年度から導入された外形標準課税の影響を分析できないか。

○我が国は地方の法人課税の負担が国際競争力を阻害しているという意見があるが、各国における国と地方の役割には違いがあることを考慮すべき。

○企業は、インフラ整備や行政サービスにおいて自治体から恩恵を受けており、(赤字の中小法人が支払う)法人市民税の均等割5万円が適切なエントリーフィーと言えるかどうかは疑問。

○海外で成功して得た利益には現地国で課税されるが、海外事業の失敗による損失は国内事業の利益から控除されるということを考えると、課税上の非対称があるといえるのではないか。

(3)政策減税の集中・重点化の必要性と効果の検証

○研究開発減税・IT投資減税の効果分析については、それぞれ非常に効果があったとの結論であるが、計量分析手法としては、背景にある考え方とともに幅をもって結果を示すべきではないか。IT投資減税については、それがなくとも、企業は経営戦略上IT投資を増やさざるを得なかったという面もあるのではないか。

○研究開発減税・IT投資減税の効果分析については、楽観的なケースとして好意的に解釈したものと理解。現実は、景気の要因と経営戦略としての投資の増加に、減税の効果が加わっていると認識すべきであろう。

○中小企業は、ようやく利益が生じてきたところであり、研究開発減税(上乗せ措置)とIT投資減税は、是非とも延長すべき。また、日本経済を支える中小企業をもっと支援すべき。ただ、中小企業施策は弱者対策として幅広くやるのではなく、成長する企業に的を絞ってやるべき。

○研究開発減税・IT投資減税によって誘発された投資の増加による国と地方の増収額を示すことができないか。

○日本の産業は、これまで「ものまね」で成功してきたが、今後、独自の技術を生み出さなければならない。研究開発に思い切った投資ができる環境整備として研究開発税制は必要。

○海外展開する国際的企業にとって、国内の生産拠点はマザープラントであるとともに、研究開発の拠点でもある。研究開発減税の税額控除限界20%キャップと減価償却制度の償却可能限度額を見直すべき。

○本年末の税制改正では、研究開発減税とIT投資減税の扱いが大きなテーマとなるが、導入時には研究開発減税は恒久措置、IT投資減税は一期限りとの理解であったところ、この度、IT投資減税も継続が必要との理解。

○中小企業のIT投資は、苦しい財政事情の中で必要不可欠な企業戦略として行っている場合が多い。減税があるから、IT投資や研究開発投資が行われるという単純な図式ではないが、投資を下支えする減税は延長すべき。

○今後、IT投資が更に必要であり、先行減税の継続を強く望む。

(4)その他

1減価償却制度

○法人課税問題の改善は一巡したが、減価償却制度の「現代化」が大きな課題として残っている。国際的なイコールフッティングの観点から、物理的耐用年数・経済的陳腐化に対応する考え方を見直し、コストリカバリーの考え方を導入して制度を構築するなど、腰を据えて取り組む必要がある。

○海外展開する国際的企業にとって、国内の生産拠点はマザープラントであるとともに、研究開発の拠点でもある。(研究開発減税の税額控除限界20%キャップと)減価償却制度の償却可能限度額を見直すべき。(再掲)

○外資の日本子会社の経理部門は、日本の減価償却制度に係る税務処理を申告修正するか、別の帳簿に記載するかで対応していることが多い。日本の減価償却制度は海外の制度と乖離しているのが現状。

○減価償却制度については、業種によっては、例えば、古い映画のテープが再び利益を生むようになることもあり、この点からはむしろ法定耐用年数を長くしてもよいということになる。従来の考え方にとらわれず、新しいものを作るといった視点が重要ではないか。

2中小企業関連

○中小企業は、ようやく利益が生じてきたところであり、研究開発減税(上乗せ措置)とIT投資減税は、是非とも延長すべき。また、日本経済を支える中小企業をもっと支援すべき。ただ、中小企業施策は弱者対策として幅広くやるのではなく、成長する企業に的を絞ってやるべき。(再掲)

○留保金課税は撤廃もしくは停止すべき。

○中小企業にとって、毎月支払う社会保険料等は資金繰りを悪化させるので、これ以上は負担できないという声を聞く。中小企業の声に耳を傾けて、議論をしてほしい。

○中小企業は今後投資を増やす段階に来ていると考えるが、政策効果の薄い中小企業支援策については疑問。

3その他

○介護保険の負担者の拡大については、給付と負担の関係が不明確になるため反対。

○我が国の社会保障制度や教育制度では、認定権限を有する主体(都道府県)と実際に負担する主体(市町村)が異なり、責任の所在が不明確となっている場合がある。

○近年、会計と税務の乖離が顕著であり、今後、会計にあわせた税務の確立が必要ではないか。

○我が国の消費税法は、PEを根拠に課税するため、海外とのインターネット取引において我が国の消費者や利用者から徴税できないのは問題ではないか。

○過大な役員報酬に係る損金不算入制度は改正すべき。近年、成果連動型給与システムを導入する企業が多い中、役員に対する報酬こそ、横並びではなく業績連動型を認めるべきではないか。

○税制の制度設計の際、一部の租税回避行為を防ぐために、全体が迷惑している場合がある。性悪説に偏るのではなく、性善説とのバランスを図りつつ、全体最適な制度設計が必要ではないか。

○敵対的買収防衛策に係る課税の問題は、中長期的な視野で研究開発やITに投資できる環境を確保する上でも重要ではないか。

○株主への課税が発生するような敵対的買収防衛策が有効かどうか検討する必要があるのではないか。

○今般導入されるLLP(有限責任事業組合)については、現物を出資する時に課税がなされないように措置されたい。

○日本の税法の解釈には曖昧な点が多く、簡素かつ明確な制度が望まれる。

○日本の税法は借用概念により成り立っているので、定義に不明確な部分がある。そのため、特に海外の投資家が日本に投資する際、課税の有無が予断しにくいという問題がある。

なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものである。
 

(以上)

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最終更新日:2010年3月31日
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