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審議会・研究会

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会(第2回) 議事要旨

日時: 平成17年5月16日(月)14:00~16:00

場所: 経済産業省2階東3会議室

議題:
  1.中小企業税制
  2.会社法制現代化等


議事概要:
1.「中小企業税制」について
事務局の資料説明後の自由討議における主な意見は以下のとおり。

(1)同族会社の留保金課税について
○全法人の95%以上を占める中小企業の多くが、自社を同族要件から外すことはほぼ不可能である。

○シャウプ勧告においては、法人税は本来必要ではなく所得税のみを課せばよいという思想であったが、課税を逃れるために「法人成り」をして利益を積立てる傾向があるということで、全法人に積立金課税を強制したものが留保金課税である。現在は、中小企業を中心に同族会社だけが適用を受けている。現下の資本蓄積の必要性、所得税と法人税の税率格差がなくなっていることを考えると、同族会社の留保金課税は税制としての意味をなくしており、是非撤廃すべき。また平成10年度以降大企業中心の税制改正が続いたため、中小企業の間に強い不公平感がある。このような現状を十分認識した上で、この問題を議論すべき。

○平等に課税するという観点からは、留保金課税の撤廃は理解できる。

○留保金課税の制度創設時の意義は現在なくなっている。全ての中小企業経営者が課税逃れのために利益を留保するという認識は現実と大きく乖離している。

○経済学的に法人擬制説に立てば、留保金に課税すべきではないと考える一方、中小同族法人は、大企業のようにステークホルダーからのプレッシャーがなく、利益の使途が不透明という懸念があるのではないか。留保金課税とともに、中小企業のコーポレート・ガバナンスを確立し、説明責任を明確にすることも検討すべき。

○現在のデフレ下においては、中小企業にとって負債は大変な重荷であるため自己資本に頼らざるを得ない状況になっていると考えるが、景気が戻ったとしても、現在と同様に株式発行や留保金といった自己資本に頼った経営を推進していくべきなのか。

○同族会社が留保した資金の中長期的な使われ方を十分に分析し、その後の利益分配において別の課税を受けるなど資金の流れが閉じていると言うことが示されれば、留保金の撤廃に向け有意義な議論ができるのではないか。

○現在、中小企業の約7~8割が、不適用措置を受けていると推定している。ただ、自己資本比率が5割を超えると課税が適用されるので、50%を超える際に自己資本の充実とは逆のインセンティブが働くこととなる。

○留保金課税を議論する際は、留保された利益の用途・効果を明確に示すことで、中小企業に対する批判や撤廃慎重論に反論していくことが必要。

○配当や設備投資など同族法人に留保された利益が何らかに使われ、将来的に課税されない可能性がないのであれば、留保金課税に正当な理由はないのではないか。問題は、中小企業における会社経費の流用など、適切なコーポレート・ガバナンスが働いていないことであり、それは、留保金課税という手段ではなく、利益が流用されないシステムの構築により解決すべき問題である。

○役目の終わった留保金課税は、早々に廃止すべき。税制の抜本改革に伴って廃止されるべき。

(2)中小企業税制一般

○中小企業税制とは本来、「育成・発展」のために中小企業を優遇するのであって、伸びる見込みのない企業まで優遇する必要はないのではないか。

○中小企業税制によってマクロ的に中小企業の財務が回復していることは分かるが、ミクロの視点から一体どういう企業が税制の恩恵を受けて成長しているのか、また、中小企業の中でも、優遇税制により成長している企業と成長が止まっているもしくは衰退している企業に二極化しているのではないかという点についても検証すべき。

○設立まもないベンチャー企業は税制優遇すべきである。

○税制優遇の必要性と効果を議論した上で、対象を絞って支援を講じていくべき。資本市場が整備されてきている中で、中小企業のうち、「中」企業を優遇する必要があるかどうか。

○中小企業の育成については、税制だけで面倒を見るのは無理。多くの中小企業法人で未だ欠損金が消し切れていないという現状においては、税制と融資制度のマッチングで、中小企業支援を行うべき。

○中小企業は雇用の約7割を抱えており、また、我が国の付加価値の約57%を生み出している。しかしながら、中小企業対策予算は1,300億円と非常に少なく、中小企業税制は中小企業にとって重要な施策の一つ。縮小すべきという意見があるが、それは中小企業の現状を理解していない上、立派に雇用を抱えて経営している企業に倒産しろと行って言うようなもの。2003年度の赤字法人は40%にすぎない。

○中小企業全体を否定しているわけではないが、多くの中小企業同士が新連携等により成長を図ろうとしている時代において、長年成長せずに生き続ける中小企業に対しては否定的。会社が小さければ、大きくなろうとするダイナミックな動きが出てくるような施策を期待したい。

(3)その他

○所得の捕捉率が以前より改善しているのは、課税当局の努力とともに、90年代に黒字法人比率が下がったことや不況による利益の圧縮も一因であり、景気が好転した時にどう変化するかも考慮すべき。

○中小企業投資促進税制についても効果分析すべき。

○地域における行政サービスの対価として導入された法人事業税の外形標準課税は、中小企業は非課税。法人住民税の均等割を増やしていくべき。


2.「会社法制現代化等」について
事務局の資料説明後の自由討議における主な意見は以下のとおり。

○当局はLLCに対するパススルー課税を法人税制の根幹に関わる問題として認めようとしていないが、新しい動きに税制がブレーキをかけているのではないか。アメリカのようなCheck the Boxやそれ以外にも方法があると思うが、今後LLCのパススルー課税についてどのように考えていくのか。

○事業体課税の問題は、法人課税の根拠論を根底から揺れ動かす大問題。これまで当局は「人格なき社団」を含め全て法人と見なし、法人課税を課すという原則を取ってきた。そのため、法人課税上のメリットについては、損益通算や課税の繰延べなど法人税制の特例によりタックス・シェルターを作り、実質の課税メリットを実現してきた。

○税制とは、国に必要な歳入を賄うための制度である。経済活性化の観点から、同じ付加価値の中で、所得の発生過程において課税がパススルーされるのであれば、所得の分配過程において消費税の増税などにより、その分調整されるべきものである。すなわち、発生源で軽課することで投資を促進し大いに経済を活性化させる一方で、消費サイドにおいては、それに見合った課税強化を行うというコンセンサスが必要ではないか。

○合名会社・合資会社の課税関係は今後どうなるのか。

○留保金課税が問題となるのは、所有と経営が一体である同族会社に対し法人課税を課すという日本独自の課税方式による。諸外国の税体系においては、所有と経営が一体である事業体に対しては、構成員課税が認められるため、留保金課税の問題は発生しない。現行の我が国の税法では、法人格のある事業体は全て法人課税が適用されるが、今後、中小同族法人に対しては、コーポレート・ガバナンスを確立する仕組みを整備した上で、諸外国のような法的枠組みの中で構成員課税も認められるべきではないか。

○所有と経営が一体である合資・合名会社についても、課税方式の選択が認められるべきであり、その中間法人である合同会社も構成員課税が適用できるものとすべきではないか。

○日本の税法においては、過去に「みなし法人課税」制度により、所得課税又は法人課税の選択が認められていたことも留意すべき。

○今回の会社法改正により合名会社から株式会社への組織変更が可能になったことにも留意すべき。

○組織再編税制の見直しに当たっては、株式交換を含めるかどうかは、慎重に議論されたい。

○敵対的買収防衛策について、平時の敵対的買収防衛策の導入時には課税されないことが明らかにされたが、万一有事に発動しようとした時に株主に課税されることになっており、その場合トリガーを引けないではないかという指摘もあり、今後検討が必要。

○発動が想定されていないから課税関係は問題ではないという考えがある一方、税制はあらゆる場合を想定すべきなので、万一発動した場合の課税関係を明らかに示すべきと言う指摘もある。トリガーが引けない防衛策は意味がないので、発動時に課税すべきではないのではないか。

○経済産業省には、産業政策として経済活性化を第一に考えて、事業体課税のあり方を検討してほしい。LLP・LLCが、アメリカで80万社、英国で3年間に1万社創設されたということは、日本にもある程度同様な潜在的な需要があるということ。経営が低迷している我が国の多くの中小企業が、このような新しい事業体に変化できるようなダイナミックな動きを作ることを政策の基本としてほしい。

○抜本的に新しいものを作るとなると、なかなか解が出にくいので、例えば、5年間は全く法人課税を課さない特区の創設といったような実験的な試みも必要ではないか。


なお、本議事要旨は、事務局の文責にて作成したものである。


(以上)

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