経済産業省
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審議会・研究会

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会(第4回) 議事要旨

日時: 平成17年6月20日(月)10:00~12:00

場所: 経済意業省17階第1特別会議室

議題: 1.政策減税の効果分析、減価償却制度
    2.地方税の現状
    3.法人課税の基本的考え方、中間論点整理(素案)

議事概要:
1.「政策減税の効果分析」及び「減価償却制度」について
 事務局・委員から資料説明の後、委員による自由討議。主な意見は以下のとおり。

<委員からの問題提起>
○外資系企業の減価償却費処理について、実務の観点から、以下のことが指摘できる。
・外資系企業の場合、そのグループ企業の会計方針に基づいて減価償却費を計上すると、日本の税法の法定耐用年数が長いこと等により、償却超過額が発生することが多い。
・損金計上できる少額資産の基準が日本の方が厳しい。
・我が国の減価償却制度においては、減価償却限度額の計算において、耐用年数区分の異なる資産同士の通算が認められていない。
・損金経理が要件となっているため、会計上で限度額以下の償却を計上した場合、その後の税務で、申告修正はできない。
・外資系企業の場合、減価償却費処理を行う際に、日本基準の帳簿を別途作成して、それに基づいて税務申告をするが多い。

○以上のような問題を解決する方法としては、以下の3つが考えられえる。
①損金経理要件の見直し、または、資産区分を超えて償却可能限度額の通算を認める等、減価償却限度額の計算方法の見直し。
②法定耐用年数の柔軟化。その際は、実態に即した耐用年数にするより、むしろ投下資産回収の観点から検討することが必要。
③残存価額10%、償却可能限度額95%の見直し。

<自由討議>
○確定決算主義を見直し、税務と会計を乖離させた場合に、最も困るのは企業であることに留意すべき。
○償却可能限度額は現在95%となっているが、一定年数を経過した資産の価値は実質的にゼロであるから、備忘価格まで償却できるようにすべき。それにより、減価償却制度が簡便になる上、償却費を早く計上できる利点もある。
○法定耐用年数の問題について、税務当局において検証が行われてきたが、税収との関係があるため、必ずしも理論値的な耐用年数が設定できていない。経済産業省は、企業の実態をよく見て、耐用年数の現状を調査し、より実態に近い耐用年数となるよう制度変更を求めていくべき。

○減価償却制度の法定耐用年数が、諸外国においてどのような考えにより設定されているのかを調査すべき。全ての国で、物理的耐用年数に合わせて設定しているわけではないはず。国際イコールフィッティングの観点から、加速的な耐用年数を設定している国との整合性をいかに確保するかを考えるべき。

○現在、企業の利益が拡大しているので、企業の減価償却費を大きくすることへの要求は強いが、逆に、景気の悪い時には利益を確保するために減価償却費を押さえようとするだろう。減価償却制度の見直しについては、景気状況に左右されないニーズがあるかどうか判断すべき。

○減価償却に対する企業行動は、景気状況やインフレかデフレかによって変化する。ただ、税の中立性の観点から言うと、税法上の減価償却制度は、ある資産に対する経済的価値の減価、つまり経済的償却率に基づいた制度とすべき。この経済的償却率の実態を調査できないか。

○一般に、設立まもない企業と上場を目指す企業では、減価償却に対する意識が大きく異なる。設立まもない企業は、税額を圧縮する観点から資産の費用計上をなるべく大きくしようとするが、上場を目指すようになると、利益を確保する観点から緩やかな償却を望むようになる。
○中小企業や設立して数年目までの会社にとって、減価償却費を多く計上できるメリットは大きい。

○耐用年数の短縮の特例について、申請が煩瑣であるので、あまり使われていないのが現状。具体的には、中小企業がある一定のプロジェクト製品の生産を受注した場合、そのプロジェクトが終了すると、それに係る設備はスクラップ状態となるが、煩瑣な申請のため、プロジェクト償却がなかなか認められないといった事例がある。制度を改善し、中小企業の実態に合った償却ができるようにすべき。

○会計的な側面から考えると、投下した資産は相応の期間に費用配分すべきであり、企業からの要望だけに合わせて減価償却を認めると利益操作に利用される恐れがあることも留意すべき。

2.「地方税制の現状」について
 委員からのプレゼンテーション後、委員による自由討議。主な意見は以下のとおり。

<委員からの問題提起①>
○人口7万人、典型的な首都圏のベッドタウンの現状を示すと、以下のとおり。
・歳入を見ると、市税は、近年の配偶者特別控除や老年者控除の廃止による増税よりも納税義務者の減少等による減収額の方が大きいため、全体として減少傾向。また、地方交付税と地方債のうち臨時財政対策債は減少。
・歳出を見ると、人件費は管理職の給与を中心に削減してきているが、一般職員の人件費については、なかなか容易に削減できない状況。また、扶助費は、生活保護費等も含めた社会保障費の増大のため、今後大幅な増大が見込まれる。一方、市が裁量で使える投資的経費は、平成14年度から平成17年度の3年間で半減しており、さらに、この予算項目から、国保、老人保健、介護保険等の特別会計への繰出しが必要。
・市民1人当たりの歳出は24万円となる。その内、議会費、住民基本台帳管理費、消防費等、生活するのに必要な行政サービスに係る経費を算出すると、一人当たり4万9,000円。さらに、ゴミ処理、し尿処理、下水道、道路補修費等、絶対に不可欠だと思われる行政サービスに係る経費だけに絞って見ても、一人当たり2万5,000円となる。
・ゴミ処理や徴税システム等については、市町村単独では効率化しにくく、国や県と市町村が一体となった改革が必要。

○地方税の問題点は以下のとおり。
・住民税については、現在、納税義務者の61%が、税率5%の適用を受ける。三位一体改革の税源移譲により、これらの層に対する市民税が増税となる。
・住民税については、企業が従業員の給与支払い報告書や異動届出書を申告することになっているが、申告しない場合に、従業員(住民)との間にトラブルが起こりやすい。また、パート・アルバイトの課税漏れや、異動する場合に住民税を一度に支払う必要があるといった問題がある。
・法人住民税については、大部分の企業が均等割5万円のみを負担している現状が適正であるかという問題と同時に、税収の大部分を一部の大企業に依存しているため、大企業の税負担を軽減すると地方財政にとって問題もある。
・土地や家屋に係る固定資産税の評価は、あまりにも複雑であり、徴税コストがかかりすぎる。
・また、相続税の評価額は、地価公示の8割目途、固定資産税の評価額は7割目途となっており、それらの価額が逆転することで納税者とトラブルが発生することもある。それぞれの評価を統一すべきではないか。
・償却資産に係る固定資産税については、申告しない企業や個人事業主が多く、公平性の確保から問題点があるのではないか。

○意見をまとめると以下のとおり。
・徴税コストについて、見直しを含め、制度の根本に立ち返って議論し、システム自体を変えないといけない。
・今後増大する社会保障費は、大企業や高所得者を減税し、低所得者を増税する方法では、賄えない。
・低所得者に負担を求める前に、まず、所得や資産が完全に補足されていない個人や企業に対する課税を確実に行うべきである。

<委員からの問題提起②>
○都道府県における税制の現状は以下のとおり。
・現在の法人二税は、都道府県税収の32%強を賄っている。事業規模に応じて薄く広く公平に負担し、また努力した企業が報われるという観点から、平成16年度に法人事業税の外形標準課税が一部導入された。
・外形標準課税部分は、現在、法人事業税収の1/4のみであり、今後拡充していく必要がある。
・歳入と歳出における国と地方の割合の逆転現象を是正するため、三位一体改革の推進が必要。
・地方公務員の半分は、警察、消防、教育といった規制設置義務がある特別行政部門の職員である。他方、それ以外の一般行政部門の職員については、行政改革により、平成8年以降、人員を削減してきた。
・地方公務員の給与については、昭和49年にラスパイレス指数が110.6であったが、平成16年には、97.9にまで削減。

○意見をまとめると以下のとおり。
・国と地方の税源配分の抜本的な見直しが必要であり、3兆円の税制移譲がなされた後も、更なる改革が必要。
・税源移譲を実施する際には、個々の住民レベルで実質増税とならないよう個人所得課税全体で適切な措置が講じられるべき。
・国が行う景気対策としての減税については、国の責任で行うべき。
・地方税における非課税等の特別措置については、極力、整理・合理化を行い、新設・拡充は抑制するとともに、国税の租税特別措置については地方への影響を遮断すべき。

<自由討議>
○住民税の均等割の引き上げについて、政府税調で長年議論されたが、地方団体の反対で実現できなかったという実態がある。地方住民の行政サービスに対するエントリーフィーとして、住民税均等割は大幅に引き上げるべき。
○大企業や高所得者に対する課税の強化は、大企業や個人の国外流出を招くので、今以上の負担を求めるべきではない。

○住民税均等割については、住民一人当たり、せめて1万円ぐらいは負担してもいいではないかという議論はある。
○地方自治体における(実際の)徴税比率は約4.5%であるのに対し、国税の場合は、せいぜい1%くらい。地方の徴税事務における合理化の余地は大いにある。
○地方における主な義務的経費としては警察・消防・教育があるが、これらを聖域扱いせず、出来る限り削減していくことが必要。

○地方税における応益負担の原則は理解できるが、応能負担である国税とのバランスの上で納税者が納得できる制度にすべき。応能性の観点から国税において相当の負担を担っている者が、地方税において応益性の観点からさらに課税されると、納税者としては納得しがたい。

3.「法人課税の基本的考え方」および「中間論点整理(素案)」について
 事務局から資料説明の後、委員による自由討議。主な意見は以下のとおり。

○法人課税に絶対的な理屈があるのかどうか疑問。LLC(合同会社)についても法人課税でなければならない理屈があるとは思えない。
○LLC(合同会社)への事業体課税の適用を慎重に検討すべき理由の一つとして、合名・合資会社に対しても事業体課税が波及してしまう可能性があることが挙げられるが、新会社法の下で、合名・合資会社が株式会社に移行することが可能。移行したがらない理由として、法律的には、計算書類の公告義務が発生することや会計監査人の監査が必要になることなどが考えられるが、これが大きな理由かどうか。合名・合資会社にとって、合同会社の構成員課税化は、選択肢の拡大を意味し、望ましいことではないか。
○タックスシェルター的な使われ方を防ぐため、今回LLPに付与した要件と同様の要件をLLCにも課した上で、それを満たすLLCに限って構成員課税を認めるという考え方も十分成り立つのではないか。

○合名・合資会社が株式会社に移行したがらない理由としては、資本金の増加により登録免許税など税制上の不利が生じること、株式に譲渡制限などの問題があること、外部からの資本参入に対する警戒感などがあると考えられる。
○新会社法の施行が、合名・合資会社から株式会社への移行にどのような影響を与えるか見守っていく必要がある。
○LLCへの構成員課税適用の最大の問題は、大幅な税収減への懸念。もう一つは、人格なき社団を含めて、法人であれば全て法人税を課すという原則を崩すことによって、法人税と所得課税の境が曖昧になってしまうこと。

○諸外国の制度を見ると、イギリスは、パートナーシップとコーポレーションで線引きをして、LLPは法人格が認められたパートナーシップであるという法律の枠組みにより、構成員課税が認められている。フランスは、法人格ある事業体については基本的に法人課税になっている。ドイツは、法人格がある事業体については基本的に法人課税であるが、無限責任社員に関しては構成員課税を認めている。アメリカは、州のレベルで会社法を制定しているため、州単位で微妙な違いがあり、事業体に対する課税について、結局、私法上の統一性がとれずに、チェック・ザ・ボックスになった経緯があると聞いている。他方、日本では、責任の無限・有限を超えて、法人格がある事業体には全て法人税を課す枠組み。その中で、合同会社について構成員課税を認めるというのは、相当ハードルの高い議論となる。

なお、本議事要旨は、事務局の文責にて作成したものである。

                                      (以上)
 

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