経済産業省
文字サイズ変更

審議会・研究会

経済社会の持続的発展のための企業税制改革に関する研究会(第5回)  議事要旨


日時: 平成17年7月21日(木)16:00~18:00

場所: 経済産業省17階国際会議室

議題: 1.中間論点整理(案)
    2.「企業の公的負担と経済活力ワーキング・グループ」の設置
    3.産業構造審議会基本政策部会での議論の概要
    4.平成18年税制改正要望の方向性

議事概要:

1.中間論点整理(案)について
 事務局から資料説明の後、委員による自由討議。主な意見は以下のとおり。

(1)企業の法人課税負担
○法人実効税率の引き下げの箇所に「将来的に」という文言が追加されているが、相当先のイメージとして捉えられかねないので、「今後」といった書きぶりに修正すべきではないか。

○所得課税、消費課税の負担を上げていくという方向性の中で、法人課税負担だけを下げるのかというのは国民の間に感情的な反発が国民の間にあることから、むやみに反発を買わないよう配慮する必要もある。一方で、企業活動の実態に根ざした税制にする必要があり、その両面から、将来的に実効税率を引き下げる方向に向かって進めていくべき。

○企業の公的負担の問題は、企業活動を歪め、結果的には企業そのものというよりも、企業を介して労働者や株主といった様々なステークホルダーに悪影響を及ぼしている。他方、法人課税負担の軽減は、転嫁を通じて家計等の負担を軽減し、恩恵が及ぶ。このように、法人課税の歪みを解消することは、家計や労働者、株主それぞれの立場からも望ましいことを、今後示していくことが重要である。

(2)会社法・税法・会計の関係
○今回の会社法改正では、剰余金の分配や資本の部について、大幅に改正された。例えば、有償減資は、これまで、資本の支払いか元手の払い戻しを伴う配当なのか不明確であったのが、全て配当となった。
これにより、全て配当課税をされるとすると、大幅な増税になるおそれがある。現行のプロラタ課税(純資産額に占める有償原資額の割合に応じ、資本等の金額、利益積立金額を減少させる取扱い)にはそれ相応の合理性があるが、反面、例えば有償減資準備金に対する税制措置がない等の問題もあり、見直すべき。また、会計基準の取扱と調整する必要もある。

○改正商法や会計においては、利益積立金額と資本積立金額の区分が曖昧になっていきている一方、法人税制では現在も非常に厳格に区分しており、企業に負担を強いている。会計、商法、税のあり方をもう一度見直した上で、簡潔かつ合理的な制度をもう一度考える必要がある。

(3)中小・ベンチャー税制
○ベンチャー企業は、創業から数年間において法人税の支払いが特に厳しい。そのため、法人税の支払いを抑えるために、前倒しで備品を購入すること等があり、企業活動を大きく歪めることがある。一方で、ベンチャー企業は、上場を目指す場合に、上場前から経常的に利益を確保することが必要である。したがって、ベンチャー企業に対しては、成長途上で資金需要が大きいことに留意して制度設計する必要があり、創業数年間は法人税が軽減され、一定期間後、徐々に本来の税率まで上がっていくような仕組みが有効ではないか。

○中小企業税制は、比較的規模の大きな会社や利益を多く上げている会社がより優遇されるが、創業間もない企業こそ優遇するべきであり、そのようなベンチャー企業が成長しないと経済が活性化されない。

○中小企業とベンチャー企業の区別については、創業年次で判断するしかなく、創業年次が古い中小企業は、成熟企業として応分の負担をしてもらうという考え方でもよいのではないか。

(4)納税者番号制度
○今後、人口減少や経済規模が縮小する中で、増大する社会保障費等をどのように賄っていくのかが問題であり、その中で課税最低限の引き下げや均等割の導入、消費税率の引き上げなど、広く多くの人に負担してもらうことはやむを得ない。ただし、前提条件として、納税者番号制度の導入も含めて、きちんと所得を捕捉する制度の確立が必要。

○納税者番号制度を導入しても、事業所得者の所得が完全に捕捉できるわけではない。また、現在、検討されている納税者番号制度は、主に金融所得の把握を目的としている。

(5)その他税制
○少子高齢化がもたらす貯蓄率低下は、マクロ経済的には、投資の資金の不足を招く。外国の資金を呼び込む視点からも、利子・配当に対する源泉課税のあり方等の税制について検討すべき。

○今後、所得等のフローに対する課税だけでなく、資産等のストックに対する課税についても検討すべき。

○働ける人については、定年後も企業が雇用を継続すべきであり、それを政策的に誘導する税制についても検討すべきではないか。

(6)税制以外
○リバースモーゲージについては、市町村単位での対応は難しいので、国レベルで検討すべき。

○外国人労働者の受け入れは、労働力の問題としてだけではなく、社会・地域の問題、更には日本社会全体の問題としても考えるべき課題。

○将来の労働力不足については、企業にとっても非常に重要なテーマであり、外国人労働者の扱いとい高齢者の労働力の活用が課題。前者については、その家族を含め、外国人労働者に係る社会コストの増大が懸念されるとともに、単一民族で組成された国家が、他民族を簡単に受け入れられるかという本質的な問題もある。また、後者については、原則、働ける間は働くこと、年金の支給開始年齢を引き上げることで対応すべき。

○子育て支援については、企業の協力とともに、「男性の育児参加」を可能にするための働き方の変化が必要。また、所得が多少減っても子育てできる環境整備が必要。

○民間企業において、定年を一律延長することは、給与や処遇の問題があり、難しいだろう。定年後の人を、どのような職と待遇で雇うべきかが問題であるが、ボランティア活動という選択肢もあり、それにより今後増大する社会保障費を抑制することも検討すべき。

○企業がコスト削減を進めた結果、パート、アルバイト、さらにはニートが増えてきた。その結果、年金が受給できない人が、生活保護受給者となっているだけでなく、加入年数が短い人や、国民年金だけでは生活できない人が、年金をもらっているにもかかわらず、生活保護受給者となっている例もある。

○少子高齢化社会の中では、一定程度、正規職員を雇用することが企業の社会的役割ではないか。

2.「企業の公的負担と経済活力ワーキング・グループ」の設置について
 事務局・委員から資料説明の後、委員による自由討議。主な意見は以下のとおり。

○社会保障費について、今後も増えることが予想されているが、現在の27兆円というのも多すぎるのではないか。医療全体の効率化及びコスト削減策、医薬分業問題を含めた医療費の改革、年金問題等将来の社会保障制度についてもワーキング・グループで検討すべきではないか。

○昨年の経済財政白書では、企業の公的負担と国内立地は関係ないという調査結果であったが、経済産業省ではこれとは違った切り口で検討すべき。

○企業立地の選択について、我が国はヨーロッパ諸国のように先進国に囲まれているのではないため、中国、韓国ないし東南アジア諸国との比較する場合は、単純に公的負担の水準だけで判断することはできない。企業活動に伴う法的整備の度合い等もしっかりと見る必要がある。


○企業には従業員、経営者、株主等がいるが、それらステークホルダーを通して、企業の公的負担が経済にどのような影響を及ぼすのかを議論していきたい。また、企業を介して国民が負担する方が良いのか、あるいは国民に直接負担をさせたほうが良いのかという点も含めて議論したい。


○企業の公的負担に関連して、ゴミ問題も製造企業と消費者がそれぞれどれだけ負担するのか議論すべきではないか。

○政策税制の対象期間については、結果的にいつまでやるべきなのかということが非常にわかりにくい。いつまで続けるべきかを考えるために、企業に対する政策税制の効果についても検討すべき。

○消費税率と法人税率は同一でよいという仮説があるが、それを法人税と消費税との類似性を調べた上で、事業体課税もセットで考えながら、転嫁を根拠に係数的に実証できればおもしろい。一方で、法人税には、法人形態と個人形態の事業体選択を中立とする働きもあり、消費税と同一にすると法人形態でやる方が圧倒的に有利になるという考え方もある。

○企業は担税力があり、企業はある程度の負担をする必要がある。法人課税負担は低ければ低いほど良いというのはおかしい。

○将来的には所得税率、法人税率、消費税率はおおよそ20~30%の範囲に収斂してくるのではないか。

○消費税についても、転嫁と帰着の観点から法人税とほぼ同じ形で議論の俎上に乗せるべき。

 なお、本議事要旨は、事務局の文責にて作成したものである。

                                      (以上)
 

▲ 研究会トップ
 
 

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.