経済産業省
文字サイズ変更

審議会・研究会

企業価値研究会(第11回)  議事要旨


                  
1.日時:平成17年10月18日(火) 18:00~20:10
2.場所:経済産業省2階東3共用会議室
3.出席者:神田座長、安達委員、石綿委員、梅本委員、大澤委員、大杉委員、久保田委員、柴田委員、武井委員、寺下委員、徳本委員、西川委員、畠山委員、藤田委員、藤縄委員、星委員、堀井委員、松古委員、松田委員、村田委員、柳川委員、矢野委員他
4.議題:買収防衛策に関する開示及び証券取引所における取扱のあり方について

5.議事概要
 欧米各国における買収防衛策に関する開示ルール及び上場規則について外国弁護士事務所より説明後、事務局より、買収防衛策に関する開示及び証券取引所における取扱いのあり方について説明。その後、討議を行った。討議における主な意見は次のとおり。

<買収防衛策の開示の範囲などについて>
○ 開示の範囲については、授権枠の拡大など、必ずしも買収防衛策とは限らない方策まで、ライツプランと同様に扱うのは投資家の誤解を生むことになる。買収防衛目的の有無について開示を求める程度が適切だと思う。ただし、定款自治が拡大するので、定款変更自体の重要性は増す。防衛目的に限らずに、定款を変更する場合は取締役会で決議した段階で公表してはどうか。
○ 米国では特別な開示を求められていないことや、企業の開示するコストも考え、あまり不必要に開示すべきではない。明らかに黒なものは開示すべきであるが、グレーの部分は企業の自主性に任せても良いのではないか。複合的なものまで全て防衛策としてしまうと日本中防衛策だらけになってしまうので、株主に影響を与える可能性のある、新株予約権、新株、株式などを用いるものについてのみ開示させるべきではないか。
○ 日本企業の取締役に対する信頼が投資家にはない。米国では独立社外が取締役会の多数を占めているため、経営がきちんと管理されているが、日本では独立社外が少ないため、取締役会の決議で株主の利益を害することができてしまう状況にある。そのため、結果として買収を困難にさせるものであれば、できるだけ幅広く開示して欲しい。その上で、防衛策として使わないのであれば、有事の際にも絶対に使わないと約束して欲しい。
○ 防衛策を開示させるための統一的なフォーマットを作ることが重要である。その中で防衛策については、導入の有無の他、ノーコメントの欄も設け、経営者の選択肢を増やすとともに、投資家の判断要素も満たすといった工夫も必要ではないか。
○ 開示については、企業側だけでなく買収者とのバランスを考えて検討することが重要。不適切な買収を防ぐためにも買収者側の開示は必要。
○ 法的に買収防衛策に限って開示させるのは難しい。法定書類に防衛策の内容を書くことができるようにすれば、株主に影響が出るにもかかわらず、情報を開示していなければ株価低下の要因となるので、企業は自主的に開示するのではないか。規律すべきものと市場に任せるべきものの中間的な扱いとすべきではないか。
○ 今年はライツプランを導入した企業が少なかったが、来年は導入する企業がかなり増えるのではないかと思う。最初は新聞報道等でも大きく取り上げられるだろうが、そのうち導入が当たり前となり、報道で取り上げられなくなる可能性が高く、そのため、個別企業による情報開示の努力は重要。
○ 開示していない買収防衛策を有事の際に行ってしまった場合、差し止められることになるのか。また新株予約権を発行している場合には無効になるのか。
○ 事前に開示をしたから差し止められないというのは疑問がある。事前に開示していることで、株主から損害賠償請求が起こされた場合に、分かっていて購入したのだから過失相殺だろうとは言えるのかもしれないが、差し止めできるかどうかについては、ケースバイケースではないか。

<買収防衛策の開示項目について>
○ 防衛策導入時点の具体的な脅威の有無、買収者に与える影響、買収者以外に与える影響、発動や開示の手続きや日程、防衛策の合理性を高めるための工夫などもかなり重要だと思う。
○ 最低限の事のみを記載させれば良いのではないか。
○ 発動条件、消却条件等などの枠組みでは、なじまない防衛策もあるのではないか。企業がフレキシブルに記載できるようにしてはどうか。
○ 現在、任意記載事項とされている部分については、ルール化するというよりは企業の自主性に任せるべきではないかと思う。
○ 買収防衛策の開示項目と一緒に知的資産経営指標やコーポレートガバナンスなども同時に開示させるというのは如何なものか。

<開示のタイミング・継続性について>
○ 防衛策を導入した企業が一覧できるサイトを証券取引所のホームページに設けるといったことも考えられるのではないか。
○ 開示のタイミング及び継続性の点でいえば、東証の適時開示が31日間しかなく、継続性の観点からもう少し配慮して欲しい。

<ライツプランについて>
○ 現に導入されている新株予約権を用いたライツプランのように合理的な工夫がなされ、「企業価値を向上する買収であれば実現する」という原則に沿ったものであれば上場が認められても良いのかなと思う。

<種類株式の上場について>
○ 会社法施行により導入可能な種類株式を用いた防衛策については、条件設定次第で大きく内容が異なると思う。例えば、議決権制限株式で、大量に株式を保有した場合に議決権が0になる設計の場合、財産権は保護されるが、1株1議決権の慣行から大きくはみ出し、経営者の保身のために活用される懸念も大きいとの意見もあり、慎重な検討が必要。
○ 種類株式は株主総会決議を得ているので、その株式を導入した企業の上場は認めるべきではないか。
○ 一定の割合の議決権を大株主として国が保有している会社があるが、国が保有するよりも市場に委ねて各投資家に持ってもらった方が経済活性化に結びつくのではないか。その際、国策上、国による一定の関与が必要ということであれば、黄金株を発行し、普通株式は市場で流通させても良いのではないか。
○ 議決権制限株式などは効果が強すぎるとの懸念があるが、一部上場企業が種類株式を導入しようとしても、国内外の株価指数の対象とならず、インデックス投資をしている機関投資家からの投資の減少を招くため、実質的に導入はできないのではないか。ただし、未公開の優良企業や政府系企業などには、ニーズがあるだろうし、新興市場などで積極的に導入を進めていっても良いだろう。
○ 日本では、授権枠があるライツプランは最高でも敵対的買収者の議決権を1/4までしか希釈化できない。議決権制限株式や取得条項付株式では、議決権を0にすることも可能だが、設計次第では1/4の希釈化で留めることもできる。結局は防衛効果が強まるかどうかは設定次第なのではないか。
○ 種類株式を防衛目的以外で用いる場合もあるのに、一律に開示を義務付けたり、使い方を制限させられるのは問題がある。
○ 経済がグローバル化し、ボーダレス化する中で、日本だけユニークな買収防衛策を導入するのは良くない。
○ 米国投資家からは「日本には授権枠による制限があるので、ライツプランは弱毒型にならざるを得ないため、すばらしい」との意見もある。議決権制限株式や取得条項付株式については設定要件によってはかなり強い防衛策になるため、世界にないものを導入したと見られる可能性もある。

<デッドハンド型ライツプランについて>
○ デットハンド型ライツプランについては株主の意思を反映することが出来ず、企業価値を向上する買収さえも実現されないため、企業価値基準に反するのではないか。
○ 例え株主総会決議により導入されたとしても、米国で違法とされているものを日本で認めることは日本の国際的な市場評価を下げる可能性がある。また、上場するということは、既存株主だけでなく、将来の株主を含めた、広範な投資家に流通の場を提供するということであるから、導入時に株主総会を経ていれば何でもよいというわけでなく、防衛策の内容自体が適切かどうかが、より重要だと考える。
○ 市場のメカニズムに任せ、規制は少ない方が良い。あまり規制しすぎると、ライツプラン自体は企業価値を高める手法であるのに、誰もライツプランを入れたがらなくなる。
○ 株主総会承認を得たデッドハンド型ライツプランの場合でも上場を認めないとしても厳しい規制だとは思わない。安全なものから少しずつ上場を認めていくようにしていけば良いのではないか。
○ 株を買う、買わないというのは投資家の判断。悪い防衛策を入れている企業は買われなくなる。何でもかんでも規制してしまうと誰も防衛策を導入しなくなる。
⇒パッシブ運用を行う機関は株を売りたくても売れないという事情もある。

<拒否権付株式や複数議決権株式について>
○ 拒否権付種類株式や複数議決権株式は、買収時以外の局面でも一般株主の意思が妨げられ、総会の存在意義を否定し得るのは問題。国民の利益を毀損するような場合、例えば国営企業が民営化する場合などに絞られるべきではないか。
○ 新規上場企業の場合であっても、拒否権付株式等を導入した場合は投資家保護の観点から適当ではないのではないか。米国で新規上場企業が特別扱いされているのは、取引所間の企業獲得競争の結果の妥協の産物という指摘もある。

<デッドハンド型ライツプランなどに対する実効性の確保について>
○ デッドハンド型のライツプランや拒否権付株式など不適切な防衛策として予め明確に限定列挙できるような方策を導入した場合には、導入後一定期間内に撤去されなければ、上場廃止もありうるのではないか。一方、一律に扱うことが難しいような買収防衛策の場合には、取引所の判断次第で上場廃止とするのではなく、取引所の考えを公表するにとどめて実効性を求めるという方法もある。

<その他>
○ 授権枠の拡大には将来の資本獲得も含まれるので、単に授権枠の拡大をもって防衛策であるとするのは言い過ぎであり、防衛策に含むかどうかの判断は、企業の自主性に委ねるべきではないか。
○ 大規模な第三者割当増資はライツプランと同様に買収を困難にするため、株主総会の承認や独立委員会の承認等を求める手当てが必要になってくるのではないか。

                                       以上
 

▲ 研究会トップ
 
 

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.