経済産業省
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審議会・研究会

企業価値研究会(第15回)  議事要旨


1.日時:平成17年12月14日(水) 14:00~16:00

2.場所:経済産業省本館国際会議室

3.出席者:神田座長、石綿委員、梅本委員、久保田委員、佐山委員、
       柴田委員、高山委員、武井委員、寺下委員、徳本委員、
       西川委員、服部委員、藤田委員、藤縄委員、星委員、
       松古委員、松田委員、村田委員、柳川委員他

4.議題:
 (1)企業価値基準に基づく買収ルールのあり方について
 (2)株主・投資家と経営者の対話を充実させるための方策について

  企業価値基準に基づく買収ルールのあり方及び株主・投資家と
 経営者の対話の充実させるための方策について、それぞれ事務局
 より説明後、討議を行った。討議における主な意見は次のとおり。

5.議事概要

(1)企業価値基準に基づく買収ルールのあり方について

 (買付期間の延長)
  ・上限の60日を延ばすことは、株主を長期間不安定な立場に
   さらす可能性があるため、必ずしも望ましいとは限らない。
  ・下限については伸長権を認めることが望ましいとしておきながら、
   上限の延長については両論併記ということが本当に研究会の
   総意を反映しているか若干疑問。
  ・企業価値基準を満たすためには、上限が現行の60日だと障害
   になる可能性がある。実務的な観点から言えば、敵対的買収に
   必要な期間は、おそらく60日では足りない。
  ・撤回や条件変更を一定の条件を付した上で認めようとしている
   のに、何故、期間の延長が同じような条件を付してできないのか
   理解できない。撤回とかの方がよほど相場操縦のリスクがある
   ように思う。60日という上限があると買収者はTOBと同時に
   委任状合戦を行いたくてもできない。総会で決着をつけるという
   観点からは、上限の延長を認めた方が投資家保護に資するの
   ではないか。
  ・買付期間の上限について、対象企業が、買収防衛策の導入の
   是非をTOB後に株主総会で判断してもらうという場合には、
   今の60日ではぎりぎりのスケジュールになるので、そうした観点
   からも株主総会が開催できる期間というものを考慮してもいいの
   ではないか。また、そうした期間が確保されていれば、平時に
   防衛策を導入していた企業でも有事の際に発動するかどうかを
   株主総会で判断することも考えられる。

 (株主等への情報提供の充実のあり方)
  ・買収者に経営方針を開示させることも重要であるが、現実問題と
   しては、開示されるのはナラティブで定性的な経営方針であって、
   例えば、具体的な財務予測については、手の内を明かすことに
   なるので買収者は出さないだろうし、将来の予測を求めることは
   不合理である。株主にとって一番重要な情報は、経営方針では
   なくて、買付価格と買付株数である。
  ・高いプレミアムがついていれば、基本的に企業価値を高める
   買収であって、対抗策を講じることはあり得ない、そのため、買収   
   者の経営方針はどうでもいいという考えには賛同できない。
   例えば、対象企業の工場のほとんどを売却することにより、
   50%のプレミアムを実現しようとする買収提案の場合には、
   両者の提案を株主にきちんと判断してもらうことも必要。
  ・経営方針の開示が定性的なものにならざるを得ないというのは
   理解できるが、買収が法廷闘争になった場合に、デューデリ
   ジェンスをどれくらいやったのか、という点が重要になる。
   交渉の経緯によっては、ある程度の数字を出すべきだと思う。
  ・投資家サイドとしても、買収者と対象企業のお互いが経営方針を
   出し合うことは重要だと思う。ただし限界があることも事実。
   定性的なものであれ経営方針を提示させるということは、
   濫用的な買収者を排除するという観点からは意味があると思う。
  ・買付価格が高いといっても、買収後に会社の資産を売却して
   配当か何かで吸い上げてしまうなど、その企業の価値自体を
   損ねる可能性もあるわけで、企業価値基準に基づいて考えると、
   買収者もいろんな情報を提供していくという方向で考えるべき
   だと思う。
  ・経営方針に関する情報が重要であると言い過ぎると、経営者が
   買収提案を反対する理由として乱用されてしまう危険性もある。
   そうしたことを回避するために、買収提案に反対して防衛策を
   維持するためには、十分な根拠を示す必要があるということも
   提示すべきだと思う。
  ・インフォームド・ジャッジメントを可能とするために一番大事な
   情報は、代替案があるかないか、対抗TOBの可能性がないの
   かということである。

 (MBOの扱いについて)
  ・MBOの定義は難しい。例えば、TOBの際には経営陣が関与して
   いなくても、TOB成立後に経営陣にストックオプションが与えられ
   るケースが結構多いが、これをどう考えるか。
  ・MBO以上に、親会社による子会社のTOBの方が事実上の利益
   相反が生じる。MBOについて方向性を示すのであれば、
   親会社による子会社のTOBについても方向性を示すべき。
  ・MBOの場合にフェアネスオピニオンまで求めるべきなのか
   どうか。実務的にはフェアネスオピニオンと株価算定書では、
   フィナンシャルアドバイザーから出てくるレベル感は全然違う。
   実務的な観点から言えば、フェアネスオピニオンは厳しいという
   気がする。
  ・上場廃止となる場合には、その点を明示するなどの対応が
   投資家保護からは望ましく、実務上もそのような対応が進んで
   いる。
  ・買付価格の妥当性については、通常の買収でも求められること
   なので、ここだけ特に取り上げて言うのはちょっとおかしいと
   思う。一方で、上場廃止となる場合には、なぜ上場を維持する
   ことが適当ではないのかきちんと意見を述べさせることが重要
   だと思う。
  ・MBOという区分けにせずに、経営陣が賛同する非公開化という
   区分にしてはどうか。
  ・MBOと親会社による子会社TOBは同じ扱いでいいと思う。
  ・忠実義務という観点からみても、大株主である親会社が子会社
   に対してTOBを行う場合と経営者がTOBを行う場合は似てくると
   思う。
  ・すべてのMBOが、情報の非対称性があって、利益相反になる
   ような書き方だが、そうではなくて、情報の非対称性があり、利益
   相反が生じ、かつ、非公開化となるようなMBOについて考え方を
   示すという整理の方がよい。
  ・MBOと親会社による子会社TOBの違いについて、
   支配プレミアムの算定が異なるのではないか。MBOの場合、
   支配プレミアムの算定に専門家の意見が非常に重要になるが、
   すでに支配している親会社が子会社にTOBを行う場合には、
   支配プレミアムの問題は基本的にないという違いがあるのでは
   ないという理屈もあるのではないか。
  ・親会社がいるような状態でも、子会社が公開していれば、子会社
   の取締役は親会社以外の株主に対して同等の忠実義務を負って
   いるわけであり、利益相反という観点からは、親会社による
   子会社TOBの場合には、MBOほどには利益相反が生じないと
   思う。
  ・米国でも親会社が子会社に対してTOBを行う場合、子会社の
   独立取締役が価格の妥当性を厳しく判断している。そうした観点
   からは、親会社による子会社に対するTOBの場合もきちんと
   価格の妥当性を判断するようにすべき。
  ・例えば、親会社が子会社にTOBをかけた上で、最終的に株式
   交換をするとすれば、価格に納得できなかった株主は、その段階
   で、買取請求をして、裁判所でその価格を算定してもらうという
   機会が与えられるから問題ない。また、MBOの場合も、残り
   10%の株主を排除するために現金合併を行うのであれば、
   その段階で株主は買取請求ができるから問題ない。ということ
   は、株主に、そうした買取請求の余地を与えずに放置しておくこと
   が問題なのであって、そのような形態のMBOや親会社による
   子会社TOBについて、価格の算定根拠について事前に公開する
   なり何らかの対応を求めればよいのではないか。

 (その他)
  ・大量保有報告制度については透明性を高めることが大前提で
   ある。その上で実務的な負担を考えるべきである。

(2)株主・投資家と経営者の対話を充実させるための方策について

 (全体)
  ・欧米では、年金基金がコーポレートガバナンスを保つために企業
   に対して、議決権行使を積極的に行うなど、先頭に立って企業と
   の対話の充実に取り組んでいるが、日本では、運用会社に
   丸投げしている状況である。
  ・厚生労働省に確認したところ、国内の現行法上、年金基金が
   議決権を行使しても問題ないとされているため、大手の投資
   機関である年金基金が先頭に立って、企業に対して強く意見を
   言うことにより、企業価値を最大化するよう働きかけることが
   できるのではないか。

 (基本的な考え方)
  ・基本的な考え方について株主・投資家が企業に対して意思を
   示しやすい環境の整備と経営者の意思が株主・投資家に対して
   明確に伝えられる環境の整備は、株主総会や買収時に特化した
   ものではなく、日常的な対話の促進という観点が大前提として
   あるのではないか。来年度は、会社法の施行により、定款変更
   等行う企業が今年以上にたくさん出てくると予測されるので、
   株主・投資家がきちんと判断できるように、事前に情報を開示
   する方向として頂けるとありがたい。
  ・全体として、定時株主総会に比重が置かれているが、実体は、
   総会の時点では決着が着いている現状からは、むしろIR活動
   が重要。あまりに総会当日に重点を置くのは如何なものか。
  ・機関投資家の考え方を明示しろ、としているが、生命保険会社の
   場合には明示していない。理由は、一律に行使基準を定めて
   しまうと、柔軟な判断ができず、自縛することになるため、
   明らかにおかしいというもの以外は行使基準を定めておらず、
   グレーゾーンについては、各企業と個別に相談して決めている
   ためである。
  ・総会集中日については、そこまで問題ではない。むしろ、審査
   期間が短いことが問題である。そのため、決算説明などをできる
   だけ早く伝えて頂くことが重要。

 (委任状合戦の実効性の確保)
  ・日本でも委任状合戦の例はあるとのことだが、実際にはどのよう
   に行われているのかよく分からない。実態を明らかにすることが
   重要。
  ・委任状の取扱いについては、現状では事前に委任状を得て
   おけば、その後、電子投票や議決権行使書面による投票を
   行ったとしても、株主総会当日に委任状を発行企業に提出
   すれば、委任状が優先される。
  ・議決権行使の取扱いについては、会社法施行に伴い、企業は
   事前に決定して、開示することを義務付けている。今後の課題
   は、企業側がどのようにルール作りをしていくのかという部分で
   ある。
  ・会社の定款で、委任状には議決権行使書面を添付しなければ
   ならないと定めておけば、委任状を企業に提出した後に、
   あらためて議決権行使書面を提出されることはないだろう。
  ・米国では委任状合戦が頻繁に行われているイメージがあるが、
   実際に委任状が使われるということはほとんど無い。実態として
   は、事前に自分に有利な議決権行使を依頼し、実際に本人に
   投票をしてもらって争うケースが大半である。
  ・日本で問題なのは、SECの定めるプロキシーファイトなどの際の
   詳細な情報開示制度がないことである。SECでは、この開示
   制度を通じて、実質株主と積極的に対話することを推奨している。

 (実質株主)
  ・実質株主について、日本では議決権行使の権利を持つ者を
   指して言うが、米国では実際に投票を行う者(最終決定権者)を
   実質株主として、企業は直接実質株主に働きかけることが可能
   となっている。日本においても、この部分の概念整理が必要。
  ・米国と同様な範囲を実質株主とするのであれば、日本の場合、
   保振の裏にいる株主を明らかにしなければならないが、投資者
   保護上、そこまで把握する必要があるかどうかという問題はある。


                                       以上
 

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