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審議会・研究会

企業価値研究会(第16回)  議事要旨


1.日時:平成18年1月26日(木)14:00~16:06
 
2.場所:経済産業省 本館 第1、2共用会議室
 
3.出席者:
神田座長、石綿委員、大杉委員、佐山委員、柴田委員、
高山委員、武井委員、寺下委員、西川委員、畑委員、
八田委員、八丁地委員、服部委員、藤田委 員、藤縄委員、
星委員、堀井委員、松古委員、松田委員、村田委員、
柳川委員、矢野委員 他
 
4.議題:
株主・投資家と経営者の対話を充実させるための方策について
 
5.議事概要:
 株主・投資家と経営者の対話の充実させるための方策に関し、日本投資環境研究所の関首席調査員より株主総会議決権行使の主要国比較について、また、寺下委員より日本の委任状争奪戦の論点について報告聴取した後、事務局より論点を説明し、討議を行った。討議における主な意見は次のとおり。

(全体について)
  • 論点ペーパーで提言されている事項ついては、「~すべき」や「~が望ましい」という形でガイドライン的に打ち出すのは難しい。「~というような有効な方策もある」とか「~という検討に値する意見もある」というような記述にすべきではないか。
  • 論点ペーパーについては、一般的な場合を想定しているのか、買収防衛策を導入する場合を想定しているのかよくわからない。また、論点ペーパーでは企業側に様々なことを行うよう提言しているが、(本来企業が自主的に対応すべき話であるのに)これには違和感がある。
  • 株主とコミュニケーションを図ることは当然であるが、論点
    ペーパーに書かれていることを企業価値研究会がガイドライン的なものとして出すことはインパクトが大きく、企業は対応せざるを得ないことになる。指摘の中には企業に取っては実務上対応が難しいことやコストが多くかかるものがあるため、ガイドライン的な形で出されると困る。

(株主総会の集中開催の分散について)
  • 日本の株主総会については、総会屋の介入を防ぐため、できるだけ短く穏便に済ませたいという考えが大変強かった。しかし、最近では、株主と経営者とが議論を行い、今後の会社の方針を決める場にするため、様々な取り組みが必要となっている。企業側は、そのような取り組みにはコストがかかるので大変というが、総会を株主との対話の場と位置付け、対応していくことが大切ではないか。
  • 株主総会の開催については、会社法上の制約はないと思う。利益配当を取締役会の決定に委ねた会社については、取締役の選任が総会の主な議題となることになるが、取締役は、3月末の株主よりも今の株主が選任した方がよいため、決算日から3ヶ月以内に総会を行うということにこだわる必要はないのではないか。
  • 利益処分について総会の決議を取らなければいけない会社が、総会を後ろ倒しで設定することは、理論的には可能であるが、その場合、剰余金の配当が遅くなってしまうため、その手当てをどうするかという問題があると思う。
  • 決算日以降3ヶ月のうちに開かなければいけないというのは、有価証券報告書の提出期限との関係が大きいと考えている。
  • 株主総会の前倒しについては、現在でも、決算の確定作業など実務を進める中で、できるだけ集中日を避けるような努力をしている。一方、総会日を後送りした場合、取締役の任期と事業年度が大きくずれることになり、年度の業績に対して責任を負うべき役員が不明確となるなど、混乱が生じる可能性があり、積極的に進める理由が無い。
  • 機関投資家としては、総会議案が集中していると十分検討した上で議決権行使を行うことができないため、総会集中が分散されるのであれば、7月や8月に後ろ倒しで開催することはありがたいと思う。
  • 株主総会を7月以降に後送りする決定的な不都合はない。むしろ、東証の適時開示やプレス発表で早期の開示を徹底し、審査期間を確保できることが重要。ただし、論点で上げているように、株主総会が短期に集中しているので逆に合理的というのは、実感がある。
  • 総会開催を後ろ倒しすることについては、慎重な議案審査を可能にするというメリットがあるが、その一方で、企業の役員人事の時期が遅れてしまうというデメリットもあり、現状程度でよいのではないか。
  • 株主総会が集中した理由は、3月決算企業が増えたことにあるのではないか。3月決算企業がこれだけ多いと、これ以上総会開催を分散させることは難しいのではないか。
  • 欧米企業の総会は4~5月にかけて開催されているが、これは、欧米企業は12月決算のところが多いためである。
  • 欧米では、企業は決算発表を早めに行い、情報が早期に開示されている。このため、決算後4、5ヶ月後に総会が開催されているものの、機関投資家から総会を早く開催すべきといった要望はあまり聞かない。

(株主提案について)
  • 株主提案については、企業価値の向上に結びつかないような、株主固有の提案である場合も多く、これをしやすくすることが、本当に企業価値の向上に結びつくのか疑問。慎重な検討が必要。
  • 株主提案については、昔は原発計画の廃止決議など、政治的なものも多かったと思うが、最近の提案は、「余剰資金が多いので配当を増やせ」、「取締役会の報酬の考え方を示せ」など、まともな提案が増えてきており、良い傾向であると考えている。
  • 米国の株主提案のハードルは日本に比べて低いように感じるが、逆に会社側やSECがあまりにも些末な提案などについては省くことができる。したがって、間口は広いが、最終的に株主に示される株主提案は少ない。
  • 日本では、株主提案権が広く認められているが、会社や株主に関する情報を収集する権利があまり認められていないため、敵対的買収局面において、買収者(株主)は、不利になるという問題はある。買収者(株主)の提案を事前に会社側が確認した上で、それが企業価値を向上させる提案であれば、会社は一定の情報を出さざるを得ないのではないか。

(定款変更議案の分割決議)
  • 去年は3件だった定款変更議案の否決件数も今年は10件以上出てくると思う。定款変更議案については、1つの議案としてしまうと変更のうち授権枠の拡大にだけ反対な場合、それ以外に株主にとってよい提案があったとしてもすべて否決ということになってしまうので、定款変更議案については分割することが望ましいのではないか。

(実質株主の把握について)
  • 実質株主の把握については、現在は年2回になっているが、株券の電子化が実現すれば、会社側は費用を払えば何時でも実質株主の把握を行うことができるようになる。
  • 保管振替機構が年に2回の実質株主通知以外に会社側に実質株主を伝えることについては、株主・投資家の投資行動に影響を与えるとの意見があるため、現在は、法定された場合以外には通知しないという解釈で行われている。
  • 本来は大量の株式を保有しているのに、他人の名義だけを借りて保有できるような制度については、当然解消されることが望ましいが、問題は議決権を誰が保有しているかという問題である。
  • 英国では実質株主を企業が把握する手段があるが、これは対象が英国法に基づく年金や運用機関に限られており、例えば米国法に準拠した機関であれば、対象とならないなど、実際には機能していない。
  • 英国の制度については、これに違反した場合、裁判所によって議決権の行使などを制限させることもでき、非常に効果的に使われているとも聞いており、事実を確認してほしい。

(機関投資家の議決権行使ガイドラインについて)
  • 議決権行使ガイドラインの公表については、公表されると行使基準やそれに基づく議決権行使が硬直的なものとなる可能性があり、適切ではないのではないか。通常は、会社側からヒヤリングを行い、総合的に判断した上で議決権の行使を行っており、機械的な行使はしていないのではないか。

    (買収局面における株主・投資家への情報提供)
  • 買収局面において、株主に情報が与えられないのは問題。企業価値を高めるのか、低めるのか、そこが判断できるように、十分な情報が与えられるべき。

(今後の方向性)
  • 一般論的な部分は必要最小限とし、買収防衛策を導入する場合に何が必要かということに焦点は絞るべきだと思う。ただし、実務上複数の選択肢があることを紹介することは重要。ガイドライン的なまとめではなく、「こういうことも可能」というようなことを示すことは企業価値研究会として有意義である。それをどのように使っていくかは当然、企業の自主性に任せるべき部分。
  • 制度改善の必要性などについては、はっきり分かるような整理が必要だと思う。主要な部分としては、(1)株主総会を後送りできるかどうか(2)株主提案権をどのように確保すべきか(3)実質株主の判明を可能とすべきか、あとは細かい論点として(4)定款変更議案を分割して出せるのか(5)委任状合戦の手法、などがあるだろう。


                                       以上
 

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