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平成23年度産業技術調査報告書「イノベーション創出に資する我が国企業の中長期的な研究開発に関する実態調査」

 平成22年度「我が国企業の研究開発投資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する調査」において、オープン・イノベーションの進展状況や研究開発投資効率の低迷の原因などについて調査を行い、短期的な研究開発の増加、依然として自前主義の傾向が強い、オープン・イノベーションへ向けた環境整備が進んでいない、グローバル化対応に苦労しているなど我が国企業の研究開発が直面している問題点が浮き彫りとなった。

 本調査(委員長:法政大学榊原清則教授、委託先:株式会社テクノリサーチ研究所)では、こうした問題点を踏まえて研究開発を行っている約1,000社に対して、各企業におけるイノベーションの基本的な考え方を整理するとともに、イノベーション実現に向けた研究開発の在り方を探ることを目的としたアンケート調査と企業・大学・公的研究機関にヒアリング調査を行いましたので、結果を公表します。

 

<調査結果>

1.今後目指すべき方向性

(1) 将来ビジョンの策定

 企業として、近視眼的な事業計画ではなく、全社的に浸透するような将来ビジョンや方向性を描くことが望ましいと思われる。企業が描けていない要因として、国自身がビジョンを示せていないことが影響していることも考えられ、個々の企業では対処不能な国家的な社会的課題解決に向けて国自身も方向性を示す必要がある。なお、示されたビジョンや方向性を個別施策へ落とし込む段階では、イノベーション創出に必要となるキーファクターを押さえつつ、柔軟にかつ綿密にデザインされるべきであり、その方法論については今後さらに検討されるべきである。

 

(2) 新市場創造を強く意識した非連続イノベーションの創出

 企業にとって、新市場創造(領域3、4)(※)への挑戦が困難な状況にあることが明らかとなったが、こうした状況にあることを企業も含めて国全体で共有すべきと考える。業種によっては、これらの領域はベンチャー企業が適するとの見方もあるが、我が国ではベンチャー企業が育ちにくく、今回の調査から明らかとなったように、中小、中堅企業においてもこれらの領域への投資が十分には行われていないことから、産官学一体となって領域3や4へ挑戦することが必要である。なお、新市場創造には、新興国対応など海外市場への進出拡大も含まれる。

(※)領域の図

 

(3) 日本版オープン・イノベーションのより一層の推進

 新市場創造には、外部との連携は不可欠であるが、H22年度調査からも明らかなように、実態としては、外部連携はまだまだ進んでおらず、連携していても要素技術のアウトソーシングの色合いが強い。これは、多くの企業でイノベーションを既存事業の延長で捉えている傾向が強く、その範疇では外部連携が部分的なものとなっていると予想される。従って、未知の領域へ挑戦する場合の新たな外部連携を摸索するとともに、自社の有形無形のリソースを出しながら外部からさらに有益な成果を獲得する、言い換えれば、「異との融合」の強化が必要であり、我が国企業の実情に即した独自のオープン・イノベーションの追求が望まれる。

 

2.今後取り組むべきこと

(1) 企業として

  • 強力なリーダーシップに裏付けされた全社的に浸透するビジョンの策定
  • 自社イノベーションの連続・非連続性についての意識付けと非連続イノベーションへの取組みの強化
  • 要素技術に限らず、市場創造も含めた広い視野での外部連携の強化
  • 新市場創造など、リスクの大きなテーマに挑戦しやすい体制作り
  • イノベーション創出を意識し、時代のニーズに合った多様な人材の育成 など

(2) 国全体として

  • 我が国の社会的課題解決を目指した、かつ企業活力に直結する非連続イノベーションの起点となるべき国家ビジョンの提示
  • 国プロなどイノベーションプログラムにおける、官民が持続的に一体で取り組むことが可能なグランドデザインの再設計
  • 大学を中心に教育研究現場における評価軸の多様化(研究のみならず人材育成や社会貢献に対する評価など)

 

以上。

問い合わせ先

本ページに対するご意見、御質問は、産業技術環境局、産業技術政策課
TEL03-3501-1773  FAX03-3501-7908  までお寄せください。

 

 
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