よくある質問
○アンチダンピング関税制度のダンピングと競争法のダンピングとは概念が異なるのですか?
アンチダンピング関税制度の「ダンピング」とは、正常価格(輸出国の国内販売価格等)より、輸出価格が低い場合をいいます。一方、独占禁止法上のダンピング(不当廉売)は、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で供給すること等とされ、アンチダンピング関税制度のダンピングとは概念が異なります。通常はアンチダンピング関税制度のダンピングの方が概念として広いと考えられています。
○アンチダンピング関税の課税の求め(申請)を検討したいのですが、どのようにしたらよいかわかりません。よい資料はありませんか?
「不当廉売関税(アンチダンピング関税)を課することを求める書面の作成の手引き(以下、「申請の手引き」という。)」を財務省と共同で作成していますので、こちらを御覧ください。
○課税の求めに当たり、ダンピングの事実の証拠には、どのようなデータが使われるのですか?
ダンピングの事実の立証のためには、「正常価格」(輸出国の国内販売価格等)と「輸出価格」に関するデータにより、ダンピングの事実の証拠を御提示頂くこととなります。
正常価格は原則としては、輸入国の国内販売価格を用いる必要がありますので、業界紙の市場情報、市況情報、調査会社による調査等を用いて、原則として工場出荷段階での国内販売価格を算定します。
また、輸出価格につきましては、個別の商業インボイス、価格提示書類、販売員の報告書、輸入貿易統計等を用いまして、原則として工場出荷段階での輸出価格を算定します。
このようにして算定した正常価格、輸出価格を基にして、課税の前提となるダンピングマージン率を算定することとなります。
なお、これらの検証に当たっては、原則として1年間分のデータを検証する必要があります。
また、「正常価格」については、国内販売価格によることができない場合は、第三国輸出価格又は構成価格(生産費に、管理費・販売費・一般的経費及び利潤を加えた額)を用いることができます。中国・ベトナムからの輸入の場合は、第三国の国内販売価格等を正常価格として用いることができます。
詳しくは、「申請の手引き」P13~P18を御覧ください。
○課税の求めに当たり、アンチダンピング関税制度・相殺関税制度の国内産業の損害の証拠には、どのようなデータが使われるのですか?
アンチダンピング関税制度及び相殺関税制度の国内産業の損害に当たっては、
① 輸入量等の輸入動向
② 当該輸入による国内産業の同種の貨物の価格に及ぼす影響
③ 国産品の販売量、シェア、利上高等の15指標による国内産業に及ぼす影響
に関するデータを取りまとめる必要があります。
① 輸入量等の輸入動向は、公的な統計データ等を通常用います。
② 価格動向については、通常、日本国内で販売された国産品の工場出荷段での加重平均価格、業界団体の統計、その他報告書等を用いて、我が国産業が輸入品による価格下落圧力を受けていることを示します。
③ ①・②による輸入品の価格下落圧力により、国内産業による損害を立証するために、販売、利潤、生産高、市場占拠率、生産性、投資収益、操業度、キャッシュフロー、在庫、雇用、賃金、成長、資本、調達能力等15の指標についての国内産業のデータを用意します。通常、企業の帳簿等のデータを用いて調査対象産品の同種の産品の国内産業のセグメント情報を収集します。
①~③のデータについては、原則として直近3年間のデータを示す必要があります。
また、③については、すべての指標について悪化している必要は必ずしもなく、総合的に国内産業の損害を判断します。
詳しくは、「申請の手引き」P19~P22を御覧ください。
○相殺関税の対象となる補助金にはどのようなものがあるのですか?
相殺関税の対象となる補助金としては、いわゆる補助金だけではなく、資金移転、債務保証、税の減免、商品・サービスの提供等についても相殺関税の対象となる補助金となり得ます。
○アンチダンピング関税・相殺関税の課税の求めは、業界団体も行えるのですか?
業界団体も申請者となり得ます。
○アンチダンピング関税・相殺関税の課税の求めの際には、弁護士を代理人とする必要はあるのですか?
必ずしも、弁護士を代理人として課税の求めを行う必要はありませんが、貿易救済措置制度は一定の専門知識が必要とされますので、弁護士を代理人として課税の求めを行う事例がほとんどです。また、一般論から言えば、企業等の皆様の負担軽減が図られるものと考えられます。また、申請に当たっては、企業の個別情報を取り扱う必要があるので、この点からも弁護士を活用した方が安全です。
○アンチダンピング関税・相殺関税の課税までにはどれくらいの期間がかかるのですか?
「課税の求め・調査手続き」でお示ししているとおり、課税の求めから調査開始までは原則2ヶ月間を目途、調査開始から原則8ヶ月後に仮決定・暫定措置、調査開始から原則1年以内(最大18ヶ月以内)に最終決定・不当廉売関税課税とのタイムフレームを示しておりますが、案件・調査内容により、課税までの期間は異なります。
○ダンピングの算定に当たり、為替の影響はどう調整されるのですか。
ダンピングの算定に当たっては、「正常価格」(輸出国の国内販売価格等)と「輸出価格」について、原則として工場出荷段階での価格に調整してダンピングマージンを算定します。このうち輸出価格については、販売日の為替レートを用いて調整する必要があることが決められています。このため、例えば円高により安値での輸入が増加したとしても、輸出価格算定の際には調整されるため、円高による安値輸入のみを理由としてダンピングを立証することは難しいものと考えられます。
○貿易救済措置の申請の相談については、財務省や製造産業局などの原課でも受け付けているようなのですが。
当室では、貿易救済措置に関する情報を御提供させて頂く相談窓口を設けましたが、財務省関税局、当省製造産業局原課、業所管担当省においても相談を受け付けています。関係各省と連携を取って対応していますが、企業の秘密につきましては厳守致します。
○貿易救済措置の申請には、どれくらいの費用がかかるのですか?
対象国数等の違いなど案件により費用は異なりますが、通常申請のための弁護士費用や調査費用等で相応の費用がかかります。
なお、貿易救済措置申請相談や申請自体には費用はかかりません。
○なぜ、我が国においては、貿易救済措置の発動件数が少ないのですか?
我が国において貿易救済措置の発動件数が少ないのには、我が国の産業構造等様々な要因が考えられますが、貿易救済措置についての認知度が低いというのも一因として挙げられます。このため、当室では貿易救済措置に係る説明会等を通じて、企業等の皆様への認知度向上につとめています。また、以前は、貿易救済措置を厳しく運用していたため、貿易救済措置は使いづらい制度であると認識している企業等の皆様もいらっしゃいますが、現在は企業等の皆様が国内法令・WTO協定等に整合的に貿易救済措置を活用する分には、当室では原則として問題がないものと考えています。
※ 注意事項
以上のQ&Aは、よく問い合わせのある質問に対して、あくまでも概略を示したものです。申請等に際しての詳細については、「申請の手引き」を御参照頂くか、相談窓口までお問い合わせください。

