日本版バイ・ドール条項について
(産業活力再生特別措置法第30条)
 
1.背景
(1) 米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法(特許法の一部改正法)が制定された。これにより企業等による技術開発が加速され、新たなベンチャー企業が生まれるなど、米国産業が競争力を取り戻すこととなった。
 
(2) 我が国においても、米国バイ・ドール法を参考とし、政府資金による委託研究開発から派生した特許権等を民間企業等に帰属させることにより、
 ・政府資金による民間企業や大学での研究開発及びその実施化を活性化させる、
 ・これらを用いた新しい商品の生産・販売、新しい役務の提供、新しい生産方式等の導入、新たな事業分野の開拓につながる、
といった効果がもたらされ、新たな技術が活発に生まれる環境が整備され、全体として我が国産業の生産性向上が図られることとなる。
 
2.措置の内容
(1) 今般の措置により、以下の3つの条件を受託者が約する場合に、各省庁が政府資金を供与して行っている全ての委託研究開発(特殊法人等を通じて行うものを含む。)に係る知的財産権について、100%受託企業に帰属させ得ることとする。
 
@) 研究成果が得られた場合には国に報告すること。
A) 国が公共の利益のために必要がある場合に、当該知的所有権を無償で国に実施許諾すること
B) 当該知的所有権を相当期間利用していない場合に、国の要請に基づいて第三者に当該知的所有権を実施許諾すること
 
(2) 研究活動の活性化と事業活動におけるその成果の効率的な活用の促進を図るという本条項の目的、及び、実際の国の委託研究において国に譲渡することとされている知的財産権の内容を踏まえ、受託者に帰属させ得る知的財産権として
 ・特許権、特許を受ける権利(特許法)
 ・実用新案権、実用新案登録を受ける権利(実用新案法)
 ・意匠権、意匠登録を受ける権利(意匠法)
 ・プログラムの著作物の著作権、データベースの著作物の著作権(著作権法)
 ・回路配置利用権、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利(半導体集積回路の回路配置に関する法律)
 ・育成者権(種苗法)
 を政令で規定。
 
 (注) 従来、政府の委託研究を通じて得られる知的財産権については、国に100%帰属することとなっていた。(※)
 
(※)例外的に、国際共同研究であって、その研究に参加する外国企業の所属国において委託研究成果に係る特許権等を受託企業に帰属させている場合に限って、2分の1まで受託企業に帰属させることを法律上認めている。(研究交流促進法、産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律)
 
3.施行
  平成11年10月1日から施行され、以後締結される委託研究契約については本条項の適用が可能となった。