経済産業省
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産業技術力強化法の改正について

 「産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律」(平成19年法律第36号)により、産業技術力強化法が、以下のとおり改正され、平成19年8月6日に施行されました。


改正の概要

 イノベーション・スーパーハイウェイ構想の実現により、わが国におけるイノベーションの連続的な創出を促進するため、産業技術力強化法等を改正し、技術経営力の強化に関する規定を整備することとしました。


 具体的には、市場ニーズに応じて、科学に遡った研究や異分野の融合を行い、研究開発の成果を市場化につなげていくような能力を「技術経営力」と位置づけ、その強化を国及び事業者の責務として明確化するとともに、国は技術経営力の強化のために必要な施策を講じることとしました。


 これを踏まえ、産業技術総合研究所は技術経営力の強化に寄与する人材育成の業務を、NEDOに技術経営力の強化に関する助言業務をそれぞれ追加することとしました。
 

 また、大学等の研究開発の成果の産業への移転を促進するため、大学等に対する特許料の軽減措置(アカデミック・ディスカウント制度)の対象を拡大するとともに、国の委託研究の成果に係る知的財産を事業者等に帰属させる日本版バイ・ドール制度を恒久措置とし、これに請負ソフトウェア開発を追加することとしました。


 産業技術力強化法等の改正法のポイントPDFファイル

 産業技術力強化法 新旧対照表PDFファイル

 産業技術力強化法施行令 新旧対照表PDFファイル

 産業技術力強化法施行規則 新旧対照表PDFファイル

 

1.産業技術力強化法の改正の趣旨
 イノベーション・スーパーハイウェイ構想は、イノベーションの要素である融合と経営に関し、わが国において欠けている部分を補うことにより、連続的なイノベーションを実現して利益や成長を持続させるための国民的な意識改革の取組です。政府としては、この実現に向けて様々な政策資源を集中的に投入していくこととしています。各種の異分野融合型の研究開発プロジェクトの実施や技術戦略マップの作成、研究開発助成制度における経営要素の重視などがそれです。これらに加え、その基盤として、今回、産業技術力強化法等を改正してイノベーション・スーパーハイウェイ構想の考え方を明確にしました。

《イノベーション・スーパーハイウェイ構想のポイント》PDFファイル


 産業技術力強化法は、平成12年に制定された産業技術力の強化に関する基本的な法律です。基本理念や各主体の責務を明確にするとともに、大学に関する特許関係経費の減免などを定めています。今回の改正では、イノベーションを推進するため、従来の技術の側面に加え、わが国において改善の余地が大きいとされる経営の側面に着目しました。技術、経営両面での能力を強化することに力点を置き、イノベーション・スーパーハイウェイ構想の考え方を「技術経営力」の強化として明確にしました。併せて、国や大学の研究成果の移転の促進の観点からの措置を追加しています。

2.産業技術力強化法の改正事項

《産業技術力強化法の概要と改正事項について》PDFファイル

(1)「技術経営力」の強化


 ◆「技術経営力」を定義


 産業技術力強化法第2条の定義の中に、従来の「産業技術力」に加え、「技術経営力」を定義しました。


 「技術経営力」とは、技術に関する研究開発の成果を経営において他の経営資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の事業内容を展望して研究開発を計画的に展開する能力をいいます。この技術経営力には、イノベーション・スーパーハイウェイ構想のポイントである「研究と市場の双方向の流れをつくる」、「出口につなげる」という要素が組み込まれています。

 ◆基本理念の拡充


 産業技術力強化法第3条の基本理念には、技術経営力の強化には、
 1)自らの競争力の現状や技術革新の動向を的確に把握すること
 2)将来の事業活動のあり方を展望すること
 3)現在の事業分野にかかわらず広く知見を探求し、これにより得られた知識を融合して活用すること


 が重要であることを基本理念に規定しました。3)にあっては、イノベーション・スーパーハイウェイ構想のポイントである「知識の合流・融合を進める」、「出口につなげる」の要素が組み込まれています。このような技術経営力の強化により、技術を中心とした知的資産経営の能力が高まることになります。

 ◆国の努力義務の明示


 技術経営力の強化に向けた国の責務を明記しました。産業技術力強化法第4条では、国は、その施策展開において技術経営力強化の促進の重要性を踏まえるべきこととしました。また、産業技術力強化法第4条では、国の基本施策に技術経営力の強化の促進のための施策を講ずることを明示しました。講じようとする施策としては、将来の技術見通しの提示、技術経営力の強化に寄与する人材の育成、研究開発成果の円滑な活用のための環境整備などが挙げられます。

 ◆事業者の努力義務の明示


 産業技術力強化法第7条では、事業者にあっても、技術経営力の強化に積極的に努めるべきとしました。事業者にあっては、既に十分取り組まれている場合もありますが、今後、わが国のイノベーション創出には欠かすことのできないものであることから、改めて規定しました。

 ◆支援機関としての産総研、NEDOへの業務追加


 イノベーション・スーパーハイウェイ構想の実現に向けては、イノベーションの担い手である事業者が主体的・自主性をもって取り組むことが必要です。

 

 (独)産業技術総合研究所、NEDO((独)新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、イノベーション・スーパーハイウェイ構想の先導者として活躍していることから、今後も産学連携、産産連携のつなぎ役、いわばイノベーションの「ハブ」としての役割が重要です。こうした産総研の役割を明確にするため、独立行政法人産業技術総合研究所法の一部を改正し、技術経営力の強化に資する人材の育成を行う業務を同法第11条第1項第五号に明記しました。また、NEDOにあっては、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正し、技術経営力の強化に必要となる助言を行う業務を同法第15条第1項第八号に明記しました。

(2)研究成果の活用の円滑化


 研究成果の活用を促進することにより、一層のイノベーション創出を加速化するため、二つの制度の改正を行いました。

◆大学等に対する特許料等の軽減の対象の拡大(アカデミック・ディスカウント制度)


 大学における研究成果の産業界への移転及び事業化を促進するために、大学等研究者、大学等(大学、高等専門学校、大学共同利用機関)に対し、特許料(第1~3年目)及び審査請求料を半額に軽減する措置(アカデミック・ディスカウント制度)が設けられています。


 産業技術力強化法第17条では、次のように当該制度の対象を拡大しました。

1)対象となる「大学等研究者」の範囲の拡大


 教授や准教授でなくても、大学等と雇用関係にあるポストドクター等が従事する研究において発明を行った場合も対象に含めることとしました。

 

・本制度の対象となる範囲

〈改正前〉 学長、副学長、学部長、教授、准教授、助教、講師、助手

〈改正後〉学長、副学長、学部長、教授、准教授、助教、講師、助手、その他の職員のうち専ら研究に従事する者※
※例として、大学に雇用されているポストドクター等。
 

2)対象となる「共同発明」の範囲の拡大


 大学等研究者と大学と雇用関係にない大学院生等とが行った共同発明を大学が承継した場合も対象に含まれるようにしました。

3)TLOから大学へ権利返還した場合の対象化


 TLO(技術移転機関)から大学に権利が返還された場合を対象に加えました。現在においても、TLOが大学から権利を譲り受けて管理を行う場合は、いわゆるTLO法の規定により特許料等の減免制度が適用されます。しかし、TLOと大学との間での業務の見直しなどの事情で、TLOが大学に権利を戻してしまうと、減免措置が受けられなくなるという問題がありました。そこで、今回の改正では、この場合も特許料等の減免が受けられるようにすることとしました。

《大学等の特許料等減免の対象の拡大について》PDFファイル

 なお、特許料等の軽減措置の手続きにつきましては、特許庁ホームページの大学等の特許料等の軽減措置についてをご覧ください。


◆日本版バイ・ドール規定の対象の追加


 日本版バイ・ドール規定は、国の委託資金を原資として研究を行った場合に、その成果である発明に関する特許などの権利を、委託した国が持つのではなく、受託して実際に研究開発を行った者が持てるようにするという規定です。この規定は、平成11年に産業活力再生特別措置法の中に設けられましたが、これが定着してきたことを踏まえ、今回の改正では、特別措置法である産業活力再生特別措置法から、恒久法である産業技術力強化法に移管しました(産業技術力強化法第19条)。


 その際、これまで委託研究に限られていたこの規定を、請負契約に基づくソフトウエア開発も対象とし、またこの規定の対象となる権利のうち著作権については、これまで「プログラムの著作物の著作権」と「データベースの著作物の著作権」に限定されていましたが、著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する「著作権」が対象になりました。


 なお、ソフトウエアに関しては、当該改正内容について広く周知を図るとともに、バイ・ドール規定を円滑に適用できるように、経済産業省として運用ガイドラインPDFファイルを作成しました。

《請負ソフトウエア開発の追加について》PDFファイル
 


 

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