情報政策 INFORMATION POLICY

 

 

海外におけるオープン・ガバメントの取り組み

 

 

近年、世界各国では、インターネットの双方向性を活用することで、積極 的な政府情報の公開や、行政への市民参加を促進する、「政府のオープン化(オープン・ガバメント)」が急速に進んでいます。

各国のオープン・ガバメントの取り組みにおいては、経済産業省で実施し た「アイディアボックス」以外にも、多様なシステムが開発・利用されており、経済産業省では、今後の我が国における電子政府構築において参考とするため、 2009年度において、各国のオープン・ガバメントの委託調査研究を実施しました(委託先:(株)野村総合研究所)。このページは、当調査研究の結果をま とめたものです。

なお、PDFでご覧になられる場合は、こちらからダウンロードくださ い。

2009年12月  

 

目  次

 

1.OECD諸国の状況3

1)経済危機に関連した報告3

2)市民参加の促進に関連した報告4

3)Rethinking e-Government Services 9

2.米国連邦政府におけるオープン・ガバメントの取り組み19

1)概要19

2)透明性向上(Transparency)に向けた取り組み22

(1)USAspending.gov 22

(2)Data.gov、Recovery.gov 24

(3)IT Dashboard 25

(4)連邦政府官報(Federal Register)のXML化30

3)国民参加(Participation)の推進に向けた取り組み31

(1)Open For Questions 31

(2)Regulation gov 31

4)官民連携(Collaboration)の推進に向けた取り組み32

(1)Business.gov 32

5)政府内部での連携(Collaboration)に向けた取り組み38

(1)GovLoop 38

(2)MAX Homepage 40

(3)GreenGov Challenge 40

6)連邦政府の今後の取り組みの方向性41

3.米国地方政府におけるオープン・ガバメントの取り組み43

1)ワシントン・DC 43

(1)Data Catalog 43

(2)Apps for Democracy 43

2)ニューヨーク市49

(1)NYC Big Apps 49

4.英国におけるオープン・ガバメント、Power of Information の取り組み52

1)概要52

2)Show Us A Better Way 52

3)Power of Informationタスクフォース報告書(2009年2 月)54

4)新しいコミュニケーション手段へのガイド57

5.韓国におけるオープン・ガバメントの事例−国民直訴庫(e people)59

 


1)経済 危機に関連した報告

・OECD ”The Governance Challenge  and Ensuring Economic Recovery”(2009年4月)は、世界的な金融危機に対して政府が どのように対応するべきかについて述べたペーパーである。

・ここでは、政府の効率性のみを重視するのではなく、透明性と市民参加を高めること や、電子政府を活用して効率化とユーザーフォーカスの参加型の公的セクター発展を同時に進めることの必要性について述べている。

 

OECD ” The Governance Challenge and Ensuring Economic Recovery ”(抜粋)

世界的な経済危機とその結果生じた世界同時不況は、OECDだけでなく 世界中の政策立案者にとって非常に大きな懸念である。政策者は、経済活動を回復させるという短期の必要性だけでなく、市場を支えている機関の再建と規則の 再設計に取り組まなければならない。Capture(「捕獲」:政府が特定集団に捕らわれること)という問題や既得権の影響、公的部門の整合性、質の高い 規制、公的投資が社会的な収益を最大化することを確保することなどの、重要なガバナンスの課題に対応することが、この取り組みの中心となろう。PGC (Public Governance Committee、公共ガバナンス委員会)は長期にわたる比較分析に基づき、迅速で持続的 な景気回復を確保するための重要な政策インプットを提供している。

 

(略)

 

透明性と市民参加を高めること

金融・経済の停滞の中心には、信頼の危機がある。信頼を回復し今後の危 機を回避するには、OECD諸国の政府が、市民参加を拡大することを通じて透明性と公開性を高めることが必須である。公共政策およびサービスの設計・提供 に市民が参加することで、政府が政策の業績を向上し、市民と企業の期待に応えるよう助けとなる。政策、プログラム、市民へのサービス、企業、そして市民社 会の共同設計および提供を行うことで、アイディア、情報、リソースのより広い貯蔵庫を活用できる。この新たなモデルにシフトすることで、政府の政治面と市 民サービスの双方で高度な相互関係と関与が必要となる。OECDはまた、10年以上にわたり、政策立案への市民の参加に取り組んできた。この取り組みは 「Focus on Citizens: Public Engagement for Better  Policy and Services(焦点は市民へ:よりよい政策とサービスを求め市民参加)」というレポートに発展し、開かれ て市民を含む政策立案の価値は現在、調査対象となったOECD諸国間で広く受け入れられていることが示された。しかし、このようなかかわり方を実行に移す にはまだ課題があり、OECDは多くの提案をしている。

 

政府の効率性向上

この先の困難な時代には、政府の新たな効率性と有効性が必要となるだろ う。一方、プレッシャー下にある市民は政府により多くを求めるだろう。解決策として、サービスの統合・共有、あるいは、共通のニーズと新たな提供方法を活 用するサービス提供モデルを整理統合することが挙げられる。公的サービスを行う私企業との契約が見直されるかもしれない。諸国政府はコストカットだけでな く、サービス提供の質に応じて報酬を支払う契約モデルをもっと検討することを望むかもしれない。効率という目的に応えるのに、そしてユーザーフォーカスの 参加型の公的セクター発展が並行して容易に展開できることを確保するのに、電子政府も重要な推進力であることが証明されている。電子政府上級職員OECD ネットワークは、7年以上にわたり、電子政府の可能性を開発し、公共経営とガバナンスへ統合することに取り組んできた。

 

 

2)市民 参加の促進に関連した報告

・1)のなかでも言及されているが、市民参加についてはOECD ” Focus on Citizens: Public Engagement for Better  Policy and Services ”(2009年6月)が詳しい。

・このレポートは、25カ国の政府と14カ国54の市民社会団体(CSOs: civil society organizations)からの調査回答に基づき、OECD諸国における開かれた包含的な(参加型 の)政策決定(open and inclusive policy making)について検討している。

・レポートでは、OECD諸国の政府に対して次の点を求めている。

「市民参加を1つの柱とし、政策パフォーマンスを向上すること」
「効果的な評価ツールを開発すること」
「テクノロジーと参加型ウェブを活用すること」
「健全な原則を採択し、実施をサポートすること」。

・レポートの要旨は次のとおり。

 

OECD ”Focus on Citizens: Public Engagement for Better Policy and Services ”要旨

●市民参加は効果的な統治の条件である

政府だけで気候変動や増大する肥満度などの複雑な地球規模/国内の課題 に対応できるわけではない。予算の緊縮にもかかわらず、より高品質の市民サービスへの高まる需要に対応するなど、困難なトレードオフに直面している。政府 は市民や利害関係者と協働し、解決策を見出す必要がある。

 

同時に、より知識があり、情報に通じており、敬意を持った市民が「民主 主義パフォーマンス」(政府の政策決定プロセスが民主主義の原則にどれだけ即しているか)や「政策パフォーマンス」(プラスの結果を社会に形として提供す る能力)に関し、政府を判定している。

 

開かれて包含的な(開かれた:インクルーシブな)政策決定は、民主主義 パフォーマンスを向上する方法としてもっともよく推進されている。透明性、説明責任を向上させるので、市民参加が市民の能力を強化することはもっともであ る。

 

しかし、開かれて包含的な政策決定はもっと多くのことを可能とする。各 国政府が市民、市民社会団体(CSO)、企業などの利害関係者と協働することで、政策結果や市民サービスの質における具体的な向上をもたらすことができ、 政策パフォーマンスを改善する方法を提供するのである。

 

●開かれて包含的な政策決定は、市民政策およびサービスの改善を手助け する

開かれて包含的な政策決定は透明性があり、アクセスしやすく、できるだ け幅広い市民に対応できる。公開性とは市民に情報を提供し、政策プロセスをアクセスしやすく対応しやすくすることである。包含とは政策決定プロセスにでき るだけ広くさまざまな市民の声を含めようとすることである。首尾よく行うには、これらの要素は市民政策・サービスの設計と提供のすべての段階に適用されな くてはならない。

 

OECD加盟国の 経験から、政府が以下の手助けをすることで、開かれて包含的な政策決定が政策パフォーマンスを改善できるということがわかった。

 

・市民の変わり行くニーズをよりよく理解し、より拡大する社会の多様性 に対応し、政策決定プロセスと市民サービスの双方において市民の声・アクセスの不平等という課題に対応する。

・企業、CSO、市民が所有する情報、アイディア、リソースを革新への 推進力として利用し、複雑な政策課題に対応し市民サービスの質を改善する。

・成功が個人の行動に決定的に依存する政策分野(例えば保健健康、気候 変動)で行動を取るよう市民を刺激することにより、コストを削減し政策結果を改善する。

・政策実施およびサービス提供の際に、行政の負担、コンプライアンスの 費用、対立や遅延のリスクを減少する。

 

●開かれた政策決定を超え、包含的な政策決定に向かって

開放性(openness)は必要だが、包含的な市民参加を確保するに はそれだけでは十分でない。包含・参加(inclusion)も有効性と平等という理由で重要である。有効性とは、政策決定を開放する真の価値は、根拠に 基づいた決定に対する意見提供として、(「いつも名前が挙がる人」からの意見ではなくて)より幅広い意見を得ることにあるからである。平等とは、民主主義 における「公益」の定義とは、政府が更に尽力し市民参加への用意がもっともできていない人々(例えば、新たに市民になった人や若者)に手を差し伸べること であるからである。

 

確かに市民が政策決定や市民サービス設計、提供に参加しないもっともな 理由がたくさんある。大きく分けて2つのグループが認められる:

 

・参加意思はあるができない人々は、文化または言葉の障壁、地理的な距 離、障害、社会経済的状況等、さまざまな理由で参加できない。

・参加できるが意思がない人々は、政治にあまり関心がなかったり、時間 がなかったり、政府が意見提供を活用すると信用していないので参加しない。

 

「参加意思はあるができない人々」を参加させるには、政府は障壁を低く すること(例えば、多言語で情報を提供)に投資しなくてはならない。「参加できるが意思がない人々」に対しては、政府は参加をより魅力的にしなくてはなら ない(例えば、関連ある問題を選んだり、対面、オンライン、モバイルなど複数の手段により参加可能したりする)。とりわけ、政府が市民の参加を求める場 合、人々が政府にアクセスすることを期待するより、政府が「人々のところに行く」ことを予期しなくてはならない。

 

●ODCD諸国の報告によると進展の状況はさまざまである

2001年に OECDは政策決定における情報、協議、積極的な参加のための10の指針を発表し、この指針はそれ以降広く引用され用いられてきている。扱う内容は関与、 権利、明確性、時間、客観性、リソース、協調、説明責任、評価、積極的な市民権である(OECD、2001a)。2007年にOECDは各国政府にこれら の指針のうち、どれが適用しやすくどれがもっとも適用が難しいと感じているかを調査した。合計23のOECD加盟国と欧州会議、チリ、スロバニアが回答 し、結果が明らかとなっている。

 

●権利、積極的な市民権、関与は確立している…

回答した国の過半数(58%)が、過去6年以上、権利を確立するのに大 きな進歩が見られたと報告した。実際、30のOEDC諸国すべてに(草稿準備中のルクセンブルグを除く)、現在、情報アクセス権を確保する法律がある。2 つめに重要な進歩の分野としては、回答した国の1/3強(38%)が積極的な市民権を挙げ、次に重要なのは1/4(25%)が挙げた関与(コミットメン ト)だった。

 

●しかし、リソース、時間、評価は不足している

適用がもっとも困難な指針はどれか、との問いには、回答した国のほぼ半 数(45%)がリソース不足を指摘している一方、1/3強(36%)は時間的要因がもっとも困難だったとしている。ほぼ1/3(32%)は評価がもっとも 困難だと認識している。全体的に、政府の意見はこう集約されるだろう:「権利を確立し、市民は積極的で政策決定に関与するコミットもしている。しかし、リ ソースや時間という問題があり、評価不足である。」

 

●恩恵を最大にし、コストを削減する…

政策決定に開放性と包含を確保する手段には、時間、取り組み、公的資金 が必要となる。回答した国の圧倒的多数は、コミュニケーションにもっとも投資したと報告した(例えば、イニシアチブの宣伝)。次に挙げられたのは知識で あった(例えば、指針、便覧)。最下位に挙げられたのは、より具体的なリソースに対する投資で、人的資産(例えば、トレーナー)や資金(例えば、給付金) であった。明らかに、「意識向上」に対する今日の適度な投資と、職業的な基準を引き上げ主流とすることを確保するために必要な投資に大きな格差がある。

 

●…同時に、政府のリスクを緩和する

各国政府はまた、開かれて包含的な政策決定に内在するリスクも理解して いる。例えば、回答した国のほぼ半数(48%)は決定が遅延するだろうと感じている。他にはリスクとして、特定の関心事を持つグループのプロセスの「ハイ ジャック」(39%)、市民がプロセスにおける政治家の役割がわからなくなる(35%)、行政の負担が増大する(30%)、参加者間の衝突(22%)、協 議の疲労(17%)がある。回答した国のごく少数が(4%)、政府に対する市民の信頼の失墜をリスクと感じていた。

 

しかし、パフォーマンスがよくないとリスクに晒される危険がある。多く の場合はうまくいくが、開かれて包含的な政策決定の実行は失敗すると高くつくことがある。公的資金と善意が無駄になるのだ。違いを生むことができる有意義 な市民参加プロセスを設計することに希少なリソースを集約することが、スタートポイントとして最適である。

 

●各国政府は今、パフォーマンスを高めるために投資する必要がある

開かれて包含的な政策決定に価値があるということは、現在OECD諸国 で広く認められている。これを実際に遂行するにはまだ課題がある。政府がすべきことは以下のとおり:

 

・市民参加を1つの柱とし、政策パフォーマンスを向上する。政府の「コ アビジネス」の一部として開かれて包含的な政策決定を組み込み、公務員のスキルを増強し、支援的な政治行政文化を確立するために、真に投資が必要である。

 

・効果的な評価ツールを開発する。開かれて包含的な政策決定プロセスの 質とそれらの影響を評価することは、多くの国の政府にとって新しい領域である。各国は取り組みをプールし、適切な評価枠組み、ツール、トレーニングを開発 する必要がある。

 

・テクノロジーと参加型ウェブを活用する。ブログ、ウィキ、ソーシャル メディア(Web 2.0としても知られている)は自動的には市民参加につながらない。参加型ウェブの基礎となる概念モデル(例えば、水平 vs.垂直、反復vs.順次、オープンvs.独占所有、多重vs.バイナリー)は、ツールそのものよりも更に強力で、応用例が広い場合がある。

 

・健全な原則を採択し、実施をサポートするのに何にでも当てはまる選択 肢はない。効果的であるためには、開かれて包含的な政策決定は適切に設計され、コンテンツが対象の国、政府のレベル、政策分野に固有でなければならない。 しかし、それらのイニシアチブを設計、実施、評価する際には、堅牢な原則も実践者の指針となりうる。

 

 

・OECD は”Focus on  Citizens: Public Engagement for Better Policy  and Services ”のなかで、開かれた参加型の政府となるための10の指針を提案している。

 

OECDによる10の指針

OECD諸国は、 開かれて包含的な(参加型の:inclusive)政策決定が政府の説明責任を増大させ、決定に対する市民の影響を拡大し、市民の能力を増強すると認識し ている。同時に、開かれて包含的な政策決定は政策決定の証拠根拠を高め、履行コストを削減し、政策決定とサービス提供における革新に対し更に広いネット ワークを活用する。

 

これらの指針は、政策パフォーマンスとサービス提供を改善する手段とし て、政府が開かれて包括的な政策決定を強化する手助けとなるよう設計されている。

 

1.関与(commitment):開かれて包括的な政策 決定に対するリーダーシップと強い関与が、政治家、上級管理職、公務員などすべてのレベルにおいて必要である。

 

2.権利:政策決定とサービス提供における情報、協議、市 民参加に対する市民の権利は法律や政策にしっかりとした基礎がなくてはならない。市民に対応する政府の義務は明確に記述されていること。独立した監視機関 はこれらの権利を施行するのに必須である。

 

3.明瞭性:情報、協議、市民参加に対する目的および制限 は、最初から十分定義すること。関係者すべての役割と責務が明確でなければならない。政府の情報は完全、客観的、信頼性があり、関連しており、見つけやす く理解しやすいものでなければならない。

 

4.時間:市民参加は、より幅広い解決策が可能で施行がう まくいく可能性を高めるため、政策プロセスのできるだけ早い時期から行うこと。効果的であるためには、協議と参加に適切な時間が設けられていなくてはなら ない。

 

5.包含・参加(inclusion):市民がすべて、協 議し参加するために、情報へのアクセスに対し等しい機会と複数の手段を有すること。できるだけ幅広くさまざまな人々を参加させるために、あらゆる適切な取 り組みを行うこと。

 

6.リソース:適切な財政的、人的、技術的資源が効果的な 市民情報、協議、参加に必要である。政府の役人は、従来のツールとオンラインのツールの双方をサポートできる組織文化だけでなく、適切なスキル、指針、ト レーニングにアクセスできなければならない。

 

7.協調:市民社会に情報を与え、協議し、関与するイニシ アチブが政府の各レベル内または政府の各レベルを超えて協調され、政策の一貫性を確保し、重複を避け、「協議疲労」のリスクを低減させること。協調のため の取り組みはイニシアチブや革新を抑圧せず、政府内または政府を超えた実施の知識ネットワークやコミュニティーの力を活用すること。

 

8.説明責任:各国政府は、市民協議や参加を通じて得た意 見の使用法を参加者に知らせる義務を負う。政策決定プロセスが開かれており、透明で、外部の監視に従うものであることを確保する手段は、政府の説明責任と 政府に対する信頼を増大させることにつながる。

 

9.評価:各国政府は自国のパフォーマンスを評価する必要 がある。効果的に行うには、市民参加を評価する需要、能力、文化、ツールを構築する取り組みが必要である。

 

10.   積極的な市民権:社会はダイナミックな市民社会から恩 恵を受け、各国政府は情報へのアクセスを容易にし、参加を奨励し、意識を高め、市民の市民教育とスキルを強化し、市民社会団体の能力強化をサポートするこ とができる。政府は新たな役割を検討し、市民、CSO、企業による自立した問題解決を効果的にサポートする。

 

 

3) Rethinking e-Government Services 

・OECDの最近(2009年10月)のレポート” Rethinking e-Government Services”では、OECD各国の電子政府の取り組みが供給(政府)側の思 惑とは裏腹にユーザー(市民)側には十分に支持されていないという問題意識を持ち、各国の取り組みのトレンドや事例について整理している。

・各国の取り組みをOECDでは次の4つに分類している。

・もっとも、各国とも複数のアプローチを組み合わせて取り組んでいる。

 

各国の電子政府の取り組み

アプローチの類型

焦点(フォーカス)

組織と行政の簡素化アプローチ
(Organisational and administrative simplification)

このアプローチの特徴は、電子政府サービス組織を簡素(シンプル)に、 透明にすることに焦点を置いていることである。焦点は、ユーザーに公共部門への「ここから全てに入れる」(one-door-entry)サービスを提供 し、全サービスが単一の法的枠組み下で機能していることを確保することである。例えば、ポータルサイトの設置や行政上の負担の削減などが該当する。

状況制約アプローチ
(Situation-bound)

このアプローチの特徴は、ユーザーの典型的なライフイベント状況に対応 することに焦点が置かれ、ユーザーの日常生活の特定時点の典型的な状況において、対象となる解決法をユーザーに提供する。例えば、身体障害者が必要とする 際に様々な援助を提供したり、学生に様々なタイプで奨学金を提供したりすることなどが該当する。

参加・包含アプローチ
(Participatory and inclusive)

このアプローチの特徴は、政府の行動に関与し影響を与えるようユーザー に動機付けを行い、電子政府サービスの利用をユーザーにとって魅力がありユーザーに関係したものとすることに焦点を置く。例えば、公共の相談ができるポー タルサイト設置や、社会経済的に困難な人口の少ない地域に公共のICT(情報通信技術)センターを設置することなどが該当する。

マーケティング・チャンネルマネジメントアプローチ
(Marketing and channel management) 

このアプローチの特徴は、多くの場合チャネルマネジメントと密接に関係 させながら、電子政府のサービスとその利点についてマーケティングを行うことに焦点を置いている。

出所)OECD Rethinking e- Government Services

 


@組織と行政の簡素化アプローチ(Organisational  and administrative simplification)の事例

デンマーク:デンマーク市民ポータル−borger.dk

デンマーク市民ポータル−borger.dk−は2007年に開始した オンラインサイトで、市民が公共セクターや、そのサービスにアクセスするために使われる。中央、地方、市政府など、政府のあらゆるレベルが共同で開発し た。このポータルは市民に非常に積極的に用いられており、下記のような実績を残している。

 

  アクセス数は週に10万アクセス(2008年は2007年と比較して40%の伸び)

  ユーザー満足度調査では93%のユーザーが満足と回答

  サイトの使いやすさでも最高の評価

 

デンマークでは2012年を目標年次に、公共機関のオンラインサービス を改良し、市民へのサービスを全て電子化するとしており、borger.dkはその目標を達成するための基幹的なツールとして位置づけられている。市民は このポータルを基点として、公共機関の主要なサービスへとアクセスすることが出来る。具体的には公共機関の情報や、法律に関する情報、過去に公開された文 書やニュースに関するトピックの閲覧、および電子セルフサービスの利用が可能である。また、情報入手やオンラインサービスのゲートウェイ機能だけでなく、 例えばdanmarksdebattenという投票機能を持つオンラインのディスカッション用サイトのようなe-デモクラシーに分類される機能も兼ね備え ている。

 

borger.dkは 2段階の開発計画がたてられた。第1期(2006年から2008年)では、現在のポータルの開発と運用の開始が行われた。これは公共セクターへの「市民の 情報ガイド」であった。この段階のポータルの目的は、法律や規則、市民の権利や義務、電子セルフサービス等に関する情報を市民が見つけやすくするもので、 「市民の情報ガイド」として役割を持つものであった。第2期(2008年から2012年)にはさらなる開発が行われた(行われる予定)。ポータルはデジタ ル署名を用いて市民にパーソナルなサービスが提供可能となる。「マイページ」機能も付加され、市民が公共セクター関連のパーソナルなデータを見つけた後、 その人独自の個人フォルダに保存することが可能となる。この「マイページ」の第一弾は2008年に開始された。

 

最近の調査ではデンマークの人々は10人中7人が公共部門とのやり取り をより電子化させていきたいという結果が出ている。また、調査では、以下のような点も明らかになった。

 

  市民は公共サービスの提供主体には必ずしも興味があるわけでない

  公共部門のオンラインサービスの窓口は一元化されるべき

  そしてそれらのサービスをもっと使いやすくするべき

 

borger.dkの 取り組みはこのような点についても対応しており、borger.dkの取り組みは市民ニーズを捉えたものとされている。また、今後はポータル使用に関する 質問に対応するためのコールセンターも設置される予定である。

 

英国:Directgov

英国は政府サービスの電子化率は低く、満足度も低かった。また、 2007年の市民調査では、41%の英国市民が電子政府を使ったことがあると回答したが、英国政府がこの分野で「よい(good)」または「優れた (excellent)」仕事をするだろうという回答はわずか19%であった。

 

Directgov はサイト内において11の政府機関の公共サービスを提供している。サイトでは、近所の保育園から不動産購買の手続きまで、幅広 い情報を得ることができる。ユーザーは、運転免許試験のコースや筆記の模擬試験を検索するなど、種々のサービスにアクセスできる。他に、自動車税の申請、 徒歩/車/公共の乗り物での旅行の計画などの手続きも同サイトにて可能である。

 

2004年に開始 して以来、Directgov は市民ニーズを反映し改良が続けられている。現在、Directgovのアクセス数は月間200万に上る。この ウェブサイトではアクセス数でトップ10のサービスが示され、市民はそれらを選ぶことができる。この機能により、ユーザーのニーズが変わってもそれに合わ せ、情報をウェブページから素早く簡単に提供することができる。Directgovポータルは根拠に基づき、ユーザーテスト済みのソルーションであり、電 子的手続きへのより積極的な参加を促している。Directgovは以下のような効果を示している。

 

  ユーザーに対する明確で説得力・価値のある提案(value proposition)。これは効果的にマーケティ ングが行われ、この提案がなければ、各省庁が目標達成のために必要な幅広いユーザーを英国政府が引きつけることができない。

 

  統合された基盤に基づきサービス提供を管理する能力。

 

現在、各政府サービスのユーザーは、概してサービスを提供している省庁 が「所有」している。ユーザーが政府と関わった履歴は、統合されておらず、問題が多く、混乱を招いている。つまり、サービスの受け手であるユーザーではな く、官庁に焦点を合わせた電子政府なのである。

 

Directgovモ デルを実施することにより、個別に各官庁にアクセスしていたユーザーが他機関を含む政府全体にアクセス可能となり、ついでのサービスを受けることができ る。さらに、政府とユーザーとの対話が維持されることのより、ユーザー主体のサービスであるという認識が高まっている。

 

特定のユーザーグループに頻繁に使う政府サービスが明らかになってきて おり、その実績に基づきシステムを開発することで(百貨店モデルやフランチャイズモデルと呼ばれる)、ユーザーフレンドリーで、管理もしやすいパッケージ が構築されている。

 

 


米国:連邦政府ポータル- USA.gov

米国の最初の公的ポータルであるFirstGov.govは2000年 9月に開始した。2007年に名称がUSA.govと変更になり、2009年には連邦政府が提供する電子政府サービスは100を超えた。また、このポータ ルは州や地方自治体のウェブサイトへのリンクも提供している。

 

このポータルは、政府に関連するサービスや情報提供などを非常に幅広く 行っている。具体的には以下のような例である。

Ø  政府の給付金・助成金・財政援助

Ø  消費者ガイド・保護

Ø  防衛・国際関係

Ø  環境・エネルギー・農業

Ø  家族・家庭・地域社会

Ø  健康・栄養

Ø  歴史・芸術・文化

Ø  雇用・教育・ボランディア

Ø  お金・税

Ø  公共の安全・法律

Ø  科学・技術

Ø  旅行・交通・リクリエーション

Ø  投票・選挙    など、

USA.govは 米国政府情報とサービスへのアクセスを容易にすることが目的であり、米国の電子政府の取組の触媒のような存在とみなされている。

 

このポータルは、アメリカ消費者満足指数(ACSI)を用いたオンライ ン顧客満足度調査に参加している。この調査は無作為にサイトへの訪問者を選び、そのサイトを使った体験談を質問形式で尋ねるものである。調査結果で、民間 および公共部門で高い評価を受けているウェブサイトと比較して、自分のポータルがどのくらいの評価を受けたか、という情報が提供される。この情報は、 USA.govの改良の参考に利用されている。

 

 

メキシコ:電子政府への高まる透明性と説明責任

メキシコでは透明性と説明責任が最も優先度の高い政治的課題であり、電 子政府の取組は汚職防止のツールとして、これまで繰り返し用いられている。透明性と説明責任はメキシコの電子政府における普遍的目標であり、96%の政府 機関がこれを「非常に重要」または「重要」な目標だと考えている。メキシコの各機関において電子政府による汚職防止の影響力をCompranetや IMSS(Instituto Mexican del Seguro Social)という実例で知ることが できる。

 

Compranetは インターネットベースの政府調達システムで会計検査院が1996年に導入した。このシステムは法的枠組み、入札機会、統計、通知などの政府調達活動に関連するその他全ての情報を含 んでいる。この導入により、公共調達手段の透明性と政府・市民間のコミュニケーションが著しく高まった。Compranetはメキシコでよく知られた電子 政府サービスの1つであり、Compranetで2つの汚職スキャンダル疑惑が暴かれたことにより(2001年、2003年)、電子政府が透明性と説明責 任をいかに高めることができるかが、より広く理解されることとなった。しかし、初期の人気と発展にもかかわらず、現在の枠組みでは公共事業やサービスに は、官僚の裁量と解釈の余地があることを指摘する声もある。Compranetはメキシコでごく初期に開始した電子政府の取組であり、現在改訂プロセスに 入っている。

 

第二に、より直近の例であるが、メキシコの電子政府の透明性の重要性を 示す事例として、社会保険機構(Instituto Mexican del Seguro  Social –IMSS)の購買・支出ポータルがある。メキシコ政府の購買を行う最も重要な政府機関の1つである。この機関は毎年30億US ドルの商品とサービスを購買している。2004年にIMSSは”IMSS va a comprar,  copro”ポータルを公表した。これはIMSSがその年に予定されている購買を全てリストにしたものであり、過去の購買についても取引条件を公開してい る。このポータルが開始したことにより、多くの業者が市場参入の機会を得ることができた。結果的に汚職が減り、税金を節約できることとなった。IMSSの 会計情報は政府資金計画イニシアチブ(PREI)が作成したが、オンラインでも一般の人が簡単に閲覧でき、IMSSの支出を一般の人が精査できるようにな る見込みである。

 

2006年末より メキシコ政府の優先課題として、市民が政府の情報にアクセスできるだけでなく、情報の質が改善し社会的利益を生むということが目標となった。更に、透明性 は汚職を防ぐ手段ともなっている。従って、透明性に焦点を合わせた開発を引き続き行うことが政府の目標であるが、これは単純に公共サービスの提供だけが目 的ではなく、このような政府の行動を社会が知り、評価し、改善を求めることができるという目的も含むものである。

 

メキシコにとって公共情報の質とアクセス性を改善することは、国際的な 競争力の向上や経済開発にとっても重要な条件である。従って、透明性は競争力、経済成長、雇用創出に繋がる手段とみなされている。

 

 

A状況制約アプローチ(Situation-bound)の事例

ベルギー:アクセス性、身体障害者、電子政府

ベルギーではウェブのアクセス性に関する正式な法律はない。しかし、 2003年に通過した反差別法は身体障害者に対する合理的な調整のいかなる欠如も、差別の一形態だとみなす」と規定している。そのことから、政府や自治体 は身体障害者に優しい電子政府という新しい取組を開始している。

 

連邦政府は視覚障害者向けのポータルとして、2003年より「ブライン ドサーファー・レーベル」を開始している。ベルギーでは、ブラインドサーファー・レーベルはアクセスの確保されているウェブサイトの公式品質マークとして 提案されている。

 

2003年4月 に、ワールーン(Walloon)地区で視力・視覚障害者向けのウェブアクセス性戦略(タイトルは「ブラインドサーファー」)が開始され、2007年に Anysurferと名称変更された。Anysurferは、全てのベルギー身体障害者に対する電子政府のアクセス性と有用性を改善するという、ワールー ン地域のコミットメントである。2003年12月に、連邦政府も視力・視覚障害者に対しポータルをアクセス可能にしたことでブラインドサーファー・レーベ ルを授与された。フランスのコミュニティーもアクセス性に対し、ブラインドサーファーのアプローチを導入している。

 

フレミッシュ(Flemish)地区では”Surf  en durf”キャンペーンを行い、身体障害を持つ市民に対する電子政府サービスのアクセス性を向上を推進している。更に、全ての電子政府 ウェブサイトは、2007年末までにAccessible Webプロジェクトの一環として、障害を持つ市民がアクセス可能なるようにするとさ れている

 

「Comuunit」という電子申請機能は、電子IDで申請者の本人確 認を行い、クロスロードバンク(ベルギーにおける社会保障分野を統括する行政機関、社会保障関連のワンストップサービスを提供)を経て社会保障データを移 行させることにより、身体障害者が給付金申請を行う手続きを簡略化している。

 

 

スロベニア:国のポータル ライフイベントごとに組織されたサービス

スロベニアは2001年3月に国のポータルサイトを開始した。これは 2003年に再開始され、2006年5月に最新のものとなった。機能が向上したポータルは、政府対市民(G2C),政府対企業(G2B)、政府対政府 (G2G)取引を支援し、市民、法人、公務員に対するさまざまなサービスを提供している。

 

このポータルはElectronic  Administrative Affairs applicationに対するアクセスを提供しており、政府が手順を中央で登録、 維持している行政に対する申請用紙を完全に電子化的に取り扱っている。スロバニアで有効な、認可されたデジタル証明書(電子署名)を所有している居住者で あれば誰でも申請することができる。

 

ポータルの開設以来、ポータルに統合された電子政府サービスの数は増大 している:

時期

サービスの数

申請数

2006年6月

2007年5月

2007年11月

2008年2月

200

400

600

700

100

200

250

400

 

このポータルは現在、1万を超える独自のウェブページとそれぞれ700 を超えるライフイベントおよび電子サービスを含んでいる。ユーザーは月間500を超える電子申請用紙を送信している。ライルイベントは300を超えるコン テンツ編集者が管理している。4万5千を超えるユーザーがMyeGovernment(ウェブ申請)に登録している。月間のアクセス数は100万を超えて いる(2007年7月より)。

 

この電子政府ポータルに掲載されている入手可能な情報と電子サービスが 増えるにつれ、訪問者の数も伸びている。

時期

ユーザー数

2006年1月

2006年6月

2007年7月

2008年1月

270,000

885,000

1,030,000

1,150,000

 

国のポータルの継続的な発展に伴い、ユーザーの数も増えている。必然的 にオンライン情報処理には、まず技術的な、次により複雑なコンテンツに関連するが質問が寄せられる。このため、特別なメールアドレス(e- uprava@gov.si)が設けられ、ユーザーからの質問とコメントに答えている。コンテンツ編集者はとりわけ、回答の提供という役割を担っている が、申請自体に直接書き込まれ、電子メールでユーザーに送信される。

ユーザーはe-mail、e-form、電話での質問が可能である。

 

 

B参加・包含アプローチ(Participatory  and inclusive)の事例

デンマーク:政治プロセスで電子的に参加する市民

現代的なプログラムでは、政府がICTの使用を、「より開かれた、ユー ザー志向で民主的な行政の構築」のために利用することをコミット(宣言)している。そこでは、市民、企業の双方が政府の機能に広くアクセスでき、機能強化 したダイアログを政治家と行うことができる。このコミットメントは電子政府戦略下の具体的な目的として表されてはいないものの、公共の討論用のオンライン システムの開発を通じて全政府レベルで実行されている。このツールはデンマークの市民ポータルであるborger.dkの一部であり、2003年「ITの 賢明な利用」電気通信政策行動計画の一部でもあった。これはデンマークの国家IT・電気通信庁が開発し、市民、企業、政治家、ジャーナルストが、様々なレ ベルの政府・トピックごとの討論に参加できる国営の「討論ポータル(debate portal)」として機能している。このツールは地方、地 域、国レベルで討論を扱うことができる。

 

 

ハンガリー:市民参加を促すeGames

eGames(eGovernment  Amusement、Measuring and Evaluation System)とリンクしたオンラインフォーラ ム(Parbeszed rovat)により、市民間、および市民と公共部門との間のオンラインコミュニケーションと交流が可能になっている。 eGameは政府の問題への市民参加とディスカッションを高めるツールである。

 

サービスをうまく機能させるために、次のルールが定義された:

 

  ユーザーは偽名を使うことができない。実名を使用すること。このことで、参加型政府形式である、というフォーラムの性格がはっ きりする。全てのユーザーは、自分の投稿の内容に法的責任がある。

  ユーザーは一人一人の参加に対し価値判断をしている限り、お互いのコメントに肯定的にも否定的にもコメントできる。こうして得 られたポイントの総数は、フォーラムのユーザーの人気を示すものとして扱われる。

  相互の価値判断は別として、フォーラムのトピックに関する投稿の数が人気指標となる。

  行政の職員はユーザーと同じように参加するが、表明された意見にポイント付与はできない。

  外部または職員によるモデレーション{ぎろん}はすべて、オンライン 上で公的に行われる。

 

eGameはハン ガリー社会の鏡だとみなすことができる。政府のリーダーと政治家は、オンラインユーザーのチャットからどんな問題が市民の関心となっているのか、様々なト ピックについてどれが主流意見なのか、オピニョンリーダー達(ポイント数が平均より高いフォーラムのメンバー)が様々な状況をどのように評価しているのか 等を知ることができる。eGameは政府の業績の評価に基づいて、政府に対するフィードバックも行う。

 

 

ニュージーランド:Web 2.0ソーシャルネットワーキングツール

ニュージーランドはOECDの創設当時からの加盟国の1つである。同国 では、Web 2.0のソーシャルネットワーキングツールを以前より広範にテスト使用し、参加型アプローチをより広範に広げるための一般的コ ミュニケーションツールとしての可能性を探った。

 

Web 2.0という用語は、人々が以前は利用できなかった方法で協働しオンライン情報を共有できるツールを用いた、インターネットの社会的 利用を指すものである。Web 2.0はウェブベースのコミュニティー、仮想世界、ソーシャルネットワーキングのホストサービス、社会的な交 流、情報普及に用いられる。ソーシャルネットワーキングの概念は、新たなパターンの使用、ふるまい、変化する文化、このような変化を支持する新しい技術に わたる。官庁が使用または検討しているツールは、ウェブログまたはブログ、ウィキ、オンラインフォーラム、RSS、マッシュアップ、ソーシャルネットワー キングサービス、Fl;ickrやYouTubeのようなサービスである。

 

内部でソーシャルネットワーキングツールを用いている官庁もある。ウィ キやブログが設定され、1つの官庁内のいろいろな部署(地理的に分散している場合もしていない場合もある)の協働が図られた。ウィキやブログを内部で用 い、政策決定やプログラム開発に関する今後の市民参加に向けた経験的な足がかりとしている官庁もある。

 

ソーシャルネットワーキングツールは、官庁間でも持ちられている。2、 3の例を挙げる。政府間の情報共有と協働を支援するオンラインツールのセットである「政府共有ワークプレース」、行政サービス委員会が設置し、同様のプロ ジェクトを行っている人々が情報や経験を共有できる政府間のICTプロジェクトであるオンライン図書館である「Eイニシアチブウィキ」、高等教育部門の種 々の機関の人々向けの教育省の協働ウェブサイトである「TiWiki」、校長や学校のリーダー向けに反省とディスカッション、そして同僚の知識と専門技術 からの学べる場として設定された、双方向オンラインコミュニティーである「校長電子ネットワーク」等である。

 

大半のソーシャルネットワーキングイニシアチブは市民参加という目的 で、官庁が開発している。以下にいくつか事例を挙げる。

 

○警察法ウィキ
新たな警察法が草稿されていることを知らせ、市民からの貢献を促すニュージーランド警察のイニシアチブである。ウィキは警察が行っている多くのイニシアチ ブの1つで、これにより人々はプロジェクトに参加できる。2007年に1週間、試験的に行われたが、数千の訪問が短期間に市民から大量のアイディアと提案 が寄せられた。投稿は全て公的にオンラインで掲示され、この資料は法案への提出を考慮して特別委員会に提出された。ウィキのこの経験から学び、同様のイニ シアチブを自分たちでも行いたいという他の政府機関からは大きな関心が寄せられた。

 

○ウェブ標準ウィキ

ニュージーランド政府ウェブ標準に関して知識を共有し提案を行う協働ス ペースである。これらの標準は、障害者の状況、ユーザーのウェブブラウザー、モバイル装置、接続速度にかかわらずユーザーが政府ウェブにアクセスできるこ とを確保するために存在する。ウィキは、この標準がなければ発生していたであろう標準開発に関する会話を広げ、深める。ウィキはまた、以前はウェブ標準を 理解できないほどテクニカルとみなしていた人々に対しても、ディスカッションへの参加の道を開く。

 

○参加プロジェクトウィキ

州サービス委員会が開発した、協働に関する施策を策定する仕組みであ る。このウィキには、「オンライン参加のためのガイド」作成プロセス中に、8日間に1,200人を超える人々のコメントが集まった。これは通常の公共 フォーラムで集まるコメントを大きく上回る数字である。「参加プロジェクト」の中心は、学界、政府、民間、市民社会、外交などからの参加者が300人を超 す広範なコミュニティーであり、全員がオンラインの公共参加を促進することを共通の関心として共有している。

 

 

Cマーケティング・チャンネルマネジメントアプローチの事例

オランダ:IB-Groep(教育助成金公団)のマルチチャンネル戦略

Informatie Beheer Groep(IB-Groep)は学生援助金、情報管理、試験団体を担当する独立した政府のエージェンシーである。約350万人のIB- Groepのユーザーのうち、約55万人が学生とその親である。1990年代後半から2000年前半にかけて、IB-Groepは危機的状況にあった。 IB-Groepは、時間がかかりしかも内容不足の顧客サービスに関してさまざまな批判を受けていた。問題は非常に深刻だったので、IB-Groepの担 当大臣が政治的責任を取る形となった。外部から強い圧力を受け、IB-Groepは業務戦略の全体的見直しを始め、ICTを知的、戦略的、統合的に用い、 多くのパフォーマンス上の問題を解決しようと試みた。

 

教育ローンと助成金のポータルであるMijn IB- Groepが開発、実施された。IB-Groepは個人的なアドバイスが必要なユーザーにリソースを再配分し、自分の問題は自分で対処できるユーザーには そうする機会を与えることを目標とした。IB-Groepはイメージを刷新し、顧客が簡単にアクセスできる、サービスドリブンの革新的な組織への変革も目 指していた。IB-Groepはまた、SMSと携帯電話を用いる電子認証も開発し、学生がeTokenなどの電子ソルーションを置き忘れたが携帯電話自体 なくしていない場合に対応する。緊急の課題だと感じられたので、IB-Groepはサービス提供をさまざまなチャンネルで行うこととし(実際の地方オフィ ス、電話サービス、電子メールでのコンタクト、ウェブのポータルサービス)、より知的な手段でユーザーを適切なサービスチャンネルに促している。

 

 

デンマーク:積極的なチャンネルマネジメントを通じたデジタルチャンネルの必須利用

「デンマークの電子政府戦略2007-10」は、公共機関、市民、企業 間のコミュニケーションにデジタルチャンネルを用いることを強調している。この戦略は、状況が整えばデジタルチャンネルの使用は特定のユーザーグループに は必須となるとしている。市民ポータル(borger.dk)とビジネスポータル(virk.dk)を設置した目的は、全ての電子政府サービスを完全に統 合し、オンライン化することである。市民向けの全ての電子政府サービスは、2010年までに完全に統合してBorger.dkとなる予定である。企業向け の全ての電子文書サービス(業務報告ソルーション)は、2009年までにアクセス可能になり、業務報告の75%が2012年までに電子化されることになっ ている。

 

この戦略において、公共セクター、市民、企業間のコミュニケーションの チャンネルは電子チャンネル化を最大限促進することを目標とし、それを強化すること、と述べている。一例として、市民と企業が公共セクターからの連絡を電 子的な手段を通じてのみ受けることを選ぶことができる電子私書箱が2010年までに創設される。ICTの準備ができているグループにとって、電子政府サー ビスが必須になる得るかどうかは、教育助成金申請、病欠という業務報告、政府機関への新たな企業情報の登録、株式会社の設立に特に焦点を置いて検討される だろう。

 

完全に電子化された分野として、NemKanto (EasyAccount)、Jobnet.dk(求職者向けの公共ウェブサイト)、E-faktura(電子インボイス)がある。

NemKanto: 市民、企業、団体は全てNemKantoha銀行口座を作ることが義務化されており、公共部門はそこに振り込みを行う。

Jobnet.dk: 失業者はJobnet.dkへの登録が必須であり、その後、求職者としての自分の状態を継続して確認できる。

E-faktura: 製品・サービスを提供する企業は公共機関には電子インボイスを送ることが必須であり、中央政府の雇用者は全員、電子的な手段のみで給与明細を受け取る。

 


1)概要

・オバマ大統領は就任直後の2009年1月に大統領メモにおいて「透明でオープンな 政府」を公表し、Transparency(透明性)、Participation(国民参加)、Collaboration(政府間及び官民の連携・協 業)の3つを原則とし、透明で、市民に開かれ、協調的な政府となるよう各政府機関に求めた。

・これを踏まえて、2009年5月に政府は、オープン・ガバメントに関する提言の作 成にあたって、国民の参加を促す「オープン・ガバメント・イニシアティブ」を発表。政府はウェブ上での国民からのアイディアを募集し、有力な提案内容につ いてのブログでの国民意見の募集などを実施した。

・政府の透明性を向上させるアイディアについては、約1万5千人のユーザーから 4,200以上の意見と、約2万7千件のコメントが寄せられた。

・オープン・ガバメント・イニシアティブの提言を受けて、またはこれと同時並行に Transparency、Participation、Collaborationそれぞれの取り組みが進んでいる。

 

オバマ政権におけるオープン・ガバメントの3つの柱

 

 


オープン・ガバメント・イニシアティブのウェブページで紹介されているイノベーショ ン

(透明性)

サイト名

担当省庁

概要

Data.gov
(2009年5月)

OMB(CIO評 議会)

国勢、環境、経済状況など、連邦政府機関が保有する各種データセットを 提供するためのサイト。ユーザーは、これらの連邦政府が保有する様々なデータにアクセスすることができる。

DoDTechipedia
(2008年10月)

DOD

広く一般から科学技術関連のアイディアや提言を求めることにより、 DODの政策決定者らが産業界で起こっている科学技術の進歩状況を把握し、研究開発資金の適切な投資決定を行う事ができるようにすることを主な目的とする Wiki形式のウェブサイト。

出所)市川類「米国連邦政府におけるオープン・ガバメント政策を巡る動向」(以下同 じ)

 

(国民参加)

サイト名

担当省庁

概要

Regulations.gov
(2003年。2009年5月改訂)

OMB(情報規制 管理局)・EPA

ブッシュ政権下で2003年に設立されたRegulation.gov を進化させたウェブサイト。連邦政府機関300以上が制定する年間8,000件以上もの規制条項を取り扱うとともに、規則や法規についての意見や提言を直 接同サイトに掲載できるオンラインフォーラムを新機能として盛り込んでいる。

Open for Questions
(2009年3月)

ホワイトハウス
Office of New Media

経済問題を中心とした国民の声を大統領に直接届けるため、インターネッ ト上で全米規模の市民集会を開くウェブサイトであり、国民の声の提出窓口となる。

HealthReform.gov(2009年3月)

DHHS

ヘルスケア改革への国民参加の促進と、改革の過程の透明化に向け、ウェ ブキャストで放映される関係者会議や、全米各地で開催されるホワイトハウス・フォーラムの様子をアップデートするウェブサイト。また、オバマ大統領が推進 する総括的ヘルスケア計画への支持をオンラインで表明できる機能も設けられている。

Peer to Patent
(2007年)

USPTO

特許を認可する過程で、一般や専門家からの意見を広く募集し、正しい決 定を下す助けとするためのサイト。同サイトは2007年に設立され、試行段階として2年間の期限で運営された(パイロットプログラムは現在終了してい る。)

Idea Factory 
(2007年4月)

DHS

運輸保安局(TSA)の職員(5万人強)から、TSA業務、および国内 の運輸保安の向上に向けたアイディアを募集するためのウェブサイト。2007年4月のサイトオープンより約2年間で、すでに9,000以上のアイディアが 寄せられ、そのうち約40が実現された。

Science Integrity Brog
(2009年3月)

OSTP

科学技術政策に関してオバマ大統領が3月9日に発表した 「Scientific Integrity」に基づき発足したブログ。同ブログは、科学技術政策に関する情報発信を行うと共に、関連トピック に関し、国民からのコメントを受け付けている。

 

(官民連携)

サイト名

担当省庁

概要

Aristotle 
(2008年秋)

DOD空軍研究所 (AFRL)

米軍関係の科学者・研究者のネットワーク構築や情報・知識交換を促進す るためのデータベース兼SNS。なお、同サイトへのアクセスは、米軍関係の科学者・研究者に限定。

Development 2.0 Challenge

USAID

開発途上国におけるモバイル技術の革新的な利用方法に関するアイディア を募集するというもので、優れたアイディア・計画の提出者には、プロジェクト実行のためのグラントを提供。

Collaborate 
20093

NARA

教育に関するベストプラクティスや革新的なアイディアを交換し、レッス ンプランや資料を提供するため、国立公文書館の教育チームや全米の学校関係者、学術研究機関の教育関係者がバーチャル空間に集まることができるサイト。

Business.gov
(2004年、2009年2月改訂)

SBA(中小企業 庁)等

米国政府による中小企業支援サイト/ポータル。政府委託事業契約の締結 の方法から、登録、ライセンス、許可書等の取得案内、ローンや資金調達の方法、連邦・州・地方政府規制、税金に関する情報、成功例などが紹介され、また、 窓口も一元化している。

 

 


2)透明性向上 (Transparency)に向けた取り組み

(1) USAspending.gov[3]

(特色)

・USAspending.govは、連邦政府の契約や財務支援の内容についての情 報を公開するサイトで、2008年に開設。

・もともとはNPOのOMB Watchが構築した Fedspending.orgがベースとなっている。ホワイトハウスが60万ドルでこのソフトウェアを購入した後、データベースを構築した[4]

・USAspending.govは、連邦政府資金に関するアカウンタビリティ・透 明性確保法(The Federal Funding Accountability and  Transparency Act)に基づいた取り組みである。同法は2006年に成立し、当時の上院議員だったオバマ氏は提案者に名を連ねて いる。

・同法では、国民が無料でアクセスし検索できるひとつのウェブサイトを構築するよう 求めていた。法ではウェブサイトは次の項目について記載するよう求めていた。

1. the name of the entity receiving the award;

2. the amount of the award;

3. information on the award including transaction type, funding agency, etc;

4. the location of the entity receiving the award;

5. a unique identifier of the entity receiving the award.

・実際USAspending.govのサイト上には、連邦政府の契約、補助金(グ ラント)、融資等の別に、出し手の省庁の情報、受け手の団体の情報、金額、補助金等の種類(競争性があるかどうか等)、場所等の情報が整理されており、そ れらの情報を指定しての検索が可能となっている。

 


USAspending.govの 契約情報に関するページ

 

 

・また、契約相手等の大手がどこかも分かり、その団体別の情報も分かる。契約の種類 (競争性があるかどうか等)、同社が連邦政府に提供した商品・サービスのトップ5、契約の多い省庁名と金額、2000年から現在までの契約金額のトレンド などが公開されている。

 


契約金額の多いLockheed Martin  Corporationに関する情報

注)2009年12月24日閲覧時点では、同社は2009年の契約金額が最も大きい企業である。

 

 

(2)Data.gov[5]、Recovery.gov[6]

(特色)

・政府の情報公開、透明性を高める取り組みとして「Data.gov」や 「Recovery.gov」という取り組みが始まっている。

・Data.govでは、連邦政府が保有する各種統計情報を公開しており、人口、犯 罪、有害物質、地形データ、社会保障給付金、消費者支出データなど、およそ400のデータセットにアクセス可能である。

・XML、CSV、KML/KMZ、XLS等の形式でダウンロードが可能。

 

・Recovery.govは、経済対策法に基づいて景気刺激策として支出された連 邦支出の用途について、情報開示するもの。分野別、州別、省庁別、金額規模別などで、グラフ、表などを活用してわかりやすく情報提供するよう工夫されてい る。

・多くの予算を使っている省庁はどこか、どのような契約やグラントに使われているの か、雇用創出効果はどの程度見込まれるかなどの情報も紹介されている。

・さらに、地図上で詳細なデータを確認することも可能となっている。

 

Recovery.govの地 図を活用したグラント、契約等の情報提供例

 

(留意点)

・Data.govの取り組みについては一定の評価がなされているものの、公開され ているデータの種類が限られている点や、データの加工のしにくさなどについては必ずしも高い評価がなされているわけではない。例えば、 Government Computer News(09年7月31日)では、各省庁はデータをより分かりやすく、かつインターラク ティブにする必要があるとしている。

 

 

(3)IT Dashboard[7]

(特色)

・IT Dashboardは、一般の市民が連邦政府のITに対する投資 の詳細を見ることのできるオンライン窓口であり、ユーザーは投資の進み具合を追跡することができ、効率的に予算が使われているかどうか監視することができ る。

・IT Dashboardは2009年6月30日にリリースされ、現在 は試行段階(ベータ版)である。

・IT Dashboardは行政管理予算局(OMB)に直属している官 庁から得たデータを公表している。データは、7,000件を超える連邦政府のITに対する投資の一般的な情報と、そのうち官庁が「重要」と分類している約 800の投資の詳細情報を掲載している。

・この800の重要IT投資を追跡するのに使われる業績データは、「別紙300s」 と呼ばれているOMBに直属する官庁が示すマイルストーン情報に基づいている。官庁のCIOは選択データを月次で評価、更新する義務を負うが、これはウェ ブサイトが提供するインターフェイスを介して行う。

・既にIT Dashboardを活用した予算の見直しなどの実例があ る。また、今後XMLでの提供や、ユーザーからのフィードバック機能の強化などを図る予定である(後述の効果、留意点の項目を参照)

 

IT Dashboardの例

注)右図では国防省のIT予算について、コスト、スケジュール、CIOによる評価の 3つの視点から評価結果(緑、黄、赤)を示している。

 

・DashboardでのIT予算の評価の軸はコスト、スケジュール、官庁CIOに よる評価の3本である(総合評価はそれぞれ1/3ずつのウェイト)。

・CIOは次図表の指針に基づき、各評価項目について自己の最良の判断に基づき評価 する。コストとスケジュールが過去、現在の業績を反映するが、CIO評価ではコストとスケジュールについて将来の投資の成功に対するいくつかの主要指標の 一部に過ぎないとみなす。

・CIO評価は各評価項目のリスクについて5段階で評価する。評価は、「投資が続い ている限りいつでも更新できるし、更新するべきである」とされている。

 

IT DashboardのおけるCIO評価の項目

評価要素

サポート例

リスク管理

1.  リスクログが現在設定されており、完全である。

2.  リスクが明確に優先順位付けられている。

3.  リスク対応のため軽減計画がなされている。

要件管理

1.  要件が完全、簡潔で検証済みである。

2.  適切な関係者が要件定義に関わっている。

請負業者の監督

1.  官庁はearned valueレポート、現状、リスクログなどの主要な報告を受けている。

2.  政府が契約の業績が悪化した場合の影響を監視、管理、抑制するように、官庁は適切に請負業者を管理している。

過去の業績

1.  コスト、スケジュールの計画から大きな逸脱がない。

人的資本

1.  IT投資および、または投資をサポートする契約を担当する適格な管理・履 行チーム

2.  低離職{りしょく}

その他

1. CIOが今後の成功を予測 する上で重要とみなすその他の要素

 

 

(効果)

・既に7月中旬時点で2,000万件のアクセスがあった。また、同サイトのブログに よると、オバマ大統領も活用していることが報じられている。

・退役軍人省(VA)はIT Dashboardの評価を活用してプロ ジェクトの見直しを行っている。当初の計画から遅れている、または予算が高額過ぎる45件に関して、一時的に停止し、今後継続するかどうかの見直しを行っ ている。

・Tim O’Reilly氏(オライリーメディアの創立者で、 Web 2.0 の提唱者の一人)は自身のブログにおいて、IT Dashboardが革新的な取り組みであると評価して いる(次図表)。

 

IT Dashboardに対するTim O’Reilly氏の評価

ニューヨークのPersonal  Democracy Forumで本日、米国国家CIO(最高情報責任者)ののVivek Kundraが usaspending.gov内の新たなIT支出ダッシュボードを発表した。このダッシュボードは、Vivekや他の諸官庁のCIOが政府のIT支出の 効率を管理するために設計されたものである。

 

このダッシュボードのトップには、主要省庁の支出がグラフで一覧できる ようになっている。グラフではスケジュール、コスト、目的にどれだけ合致しているかということに対するCIOの評価別の業績がわかるようになっている。

 

このダッシュボードは非常に野心的な試みである。第一に、このようにす べてのIT支出とプロジェクトの進行を政府のそれぞれの部署別に見ることのできるサイトは今までなかった。そして、もっと素晴らしいのは、このダッシュ ボードが一般の人々と共有されていることである。これはたとえば、全社員が見ることができるように、会社の掲示板に自分の業績考査を張り付けるようなもの である。

 

サイトを見ていくと、掲載されていなかったり、プロジェクトの査定をす る時間がなかったCIOもいる。たとえば、Expeditionary Combat Support System(遠 征戦闘支援システム)プロジェクトのページでは、防衛省CIOは査定をしておらず、主な請負業者の名前さえ未記入である。

 

このサイトはDrupalで構築され、グラフィックは FusionCharts のFlashで作成されている。FAQを読むと、最初のデータベースは、議会が定めた報告様式で官庁が行政管理予算 局(OMB)に提供したデータで作られたようだ。プロジェクトの一環として提供されるウェブのインターフェイスを通じて月次の更新を行う。将来的には官庁 がXMLフィードで提供できるようにする計画もある。(データを集めるには、市民にデータを提供するのと同じウェブサービスアーキテクチャーを用いたほう がよい。)

 

ダッシュボードプラットフォームは官庁の参加だけでなく、市民の参加が 準備されている。各ページには「共有」アイコンがあり、ダイアログが現れ、そのページへのリンクをtweetし、Facebookやdel.icio.で 共有したり、RSSやエクセル文書としてデータを集めたりできる。

マッシュアップが可能で、XMLフィードで必要なフィールドを選択する ツールを備えている。Usaspending.govのメインサイトはAPIで一度に1,000レコードが提供可能だが、データベース全体をダウンロード しようとしてもできない。それとは異なり、IT Dashboardのデータは簡単に全部ダウンロードできる。

 

私が見た限りでは、現在フィードバックは簡単なコメントフォームのみで ある。このサイトは、双方向のやりとりと更なる情報へのリクエストに対し機会をより多く構築することで恩恵があるだろう。特に、一般の人々が監視やブレイ ンストーミングに適切な関わり合いをするには、プロジェクトの目的をもっと詳細にわかるようにする必要がある。現在、プロジェクトは比較的評価が簡単な事 項のみを評価している。次なる課題は、「予算が誤った使われ方をしていると決定できるようになるために、知る必要があること」という言葉で表されるものだ が、「そのデータを得るために、報告に関する法律や要件を変えること」である。

 

全体として、データダッシュボードは小さいが重要なステップである。 700億ドルという連邦ITポートフォリオは莫大であるが、政府支出全体から見れば、ごくわずかな1部である。もしVivek Kundraら がこの分野における革新的な透明性の恩恵を証明することができれば、政府の他の分野にも広がると期待できる。一般の人々の関与があることも必要で、これに より、プログラムに参加していない諸官庁のCIOも注目が集まることで参加せざるを余儀なくされる。メトリクス(数的指標)全般も改善されるべきだ。最も 頻繁にスケジュールに遅れを生じ、予算をオーバーする請負業者はどこか。奮闘している省庁はどこか。また、このように詳しく調べていくことで、よい結果が 生まれるのか。

 

 

(留意点)

・Dashboardにはセキュリティーまたは個人に対する投資のデータは含まな い。

・Dashboardでは、将来のマイルストーンのコストデータで、大統領予算の範 囲外のものは公表されない。ただし、総額とスケジュールのデータは公表される。

・IT Dashboardの使用性と機能を向上させる取り組みは進めら れており、同ウェブサイトによると、今後のリリースに対してユーザーコミュニティーにXML提出機能ができるよう、開発中である。

・同ウェブサイトによると、次の機能の付加、改良を検討中である(次図表)。

 

IT Dashboardで今後予定されている機能

分析性

・官庁がデータを追加で提供するので、該当するところで投資の出来高実 績管理(EVM)分析。

 

より多くのデータ

・主要な投資のすべてを査定:官庁CIOは、今後数ヶ月、投資の査定を 続ける

・契約データはより詳細に:より多くの投資データを賞を受けた計画にリ ンクさせる

・より高度な投資分析に使われる新たなデータ要素

・主要な投資の実績の履歴とその更新

 

データフィード

・データをフィルタリングし統合する機能を追加

 

参加

・チャートのカスタマイズ機能を追加

・IT Dashboardを用いたウィジェットやマッシュ アップ等、官庁が作成するコンテンツ

・個人のポートフォリオ:自分が関心のある投資のポートフォリオを作成 し、監視およびこれらの投資の最新情報を得るため購読する。

 

利用者からのフィードバック

・利用者からのフィードバックに基づいて、本プラットフォームは発展を 続ける。

 

 

(4)連邦政 府官報(Federal Register)のXML化[8]

・2009年10月より、連邦政府官報は日々更新されるコンテンツを読者がブラウズ し、再編成し、電子的にカスタマイズできるフォーマットで読むことができるようになっている。

・XML形式での連邦政府官報は、現在federalregister.gov.で 閲覧可能である。XML文書は、Data.govやGPO.govでも読むことができる。XMLは文書の機械可読形式で、デジタルアプリケーションで作業 することにより操作し、一般の人々がコンテテンツをさまざまな方法で分析できる。

・政府印刷局と米国国立古文書館が「ホワイトハウス・オープンガバメント・イニシア チブ」と協働し、この新たなバージョンの作成に至った。

・Aneesh Chopra連邦政府最高技術責任者によると、「本日こ のバージョンが開始したことにより、連邦政府官報へのアクセスが簡略化し、すべてのアメリカ市民が政府の作業に関与するという大統領のリクエストが促進さ れている。市場の革新が多数もたらされ、アメリカ市民がもっとも気にしている問題についての声がすべて確実に聞こえるようになることを我々は思い描いてい る。」

・日刊の官報は昨年、8万ページ近くに3万2千近くの個々の文書を掲載した。この公 報はホワイトハウスと官庁の活動と、提案された連邦規則の改変を日々記録している。

・官報データの変革に伴い、一般の人々が新たな方法でデータを解析できるアプリケー ションを企業家が開発することができる。

・例えば、プリンストンのCenter for  Information Technologyは、ユーザーが余白に注釈やコメントをつけ、係属中の行政措置に対しディスカッションの口火を切 ることができる新しい官報バージョンである、Fedthread.orgを開始している。

 

 

 


3)国民参加 (Participation)の推進に向けた取り組み

(1)Open For Questions[9]

・Open For Questionsは、オバマ政権 Open Government Initiativeの中で国民参加の取り組みの1つである。

・一定期間に広く国民から意見を求めて、他の参加者も賛成・反対の投票が可能であ る。3月実施時には、48時間で360万アクセスがあり、約10万の質問が寄せられた。

・いくつかの質問については、締め切り後にインターネット上のタウンホールミーティ ングでオバマ大統領が答えた。また、これを参考にQ&Aの修正や追加的の回答を副大統領主席エコノミストが回答している。

 

Open For Questionsの画面例

 

・また、概要のところで述べたように、ホワイトハウスはオープンガバメントに関する 提言である「オープンガバメント・イニシアティブ」を作成する際にも、広く国民の意見を募集した。

 

 

(2)Regulation gov[10]

・Regulation.govは、ブッシュ政権下で2003年に設立されたが、オ バマ政権とな双方向性を強化する方向で改良している。

・Regulation.govは、連邦政府の策定した8,000以上の規制、また は策定中の規制について検索・一覧できるサイトであり、その中には政策担当者のコメントやガイダンス、裁定結果等様々な情報を検索可能である。また、コメ ント可能なものについてはコメントすることができる。

 

Regulation govの画面例

 

 

4)官民 連携(Collaboration)の推進に向けた取り組み

(1)Business.gov[11]

(特色)

・Businesss.govは中小企業支援の米国政府の公式ウェブサイト。

・Businesss.govの目的は、連邦政府、州政府、地方自治体の情報へのア クセスを提供し、事業主が法律や規制に準拠しつつ起業し、事業運営するための支援を行うこと。

・Businesss.govは22の連邦政府官庁のパートナーシップで運営してい る。このパートナーシップは、2004年に電子政府イニシアチブとして開始し、「ビジネスゲートウェイ」として知られている。

・Businesss.govの提供するサービスには次図表のものがある。

 

 

Businesss.govの 提供サービス

項目

内容

オンラインコミュニティー

・Businesss.govは政府官庁が後援する初のオンラインコ ミュニティーを提供し、市民の参加を得ている。

・コミュニティーでは中小企業経営者、業界、政府の専門家が、話し合 い、中小企業が成功する助けとなる情報を共有することができる。

・当ウェブサイトのディスカッション板やブログのすべてに対しRSS フィードを提供し、自分が選んだRSSリーダーですべてのコミュニティの内容がアクセスできるようになっている。

ビジネス検索エンジン

 

・Businesss.govは独自のビジネス検索エンジンを備え、連 邦、州、地方自治体の政府ウェブサイトから情報を素早く簡単に見つけることができる。

・必要な情報を見つけるのに、複数の政府のウェブサイトを訪れる必要は なくなっている。

Eメール最新情報

 

・Businesss.govは無料のeメール最新情報機能を備え、事 業運営上重要な問題について最新知識を提供している。

・例えば起業することから自宅での事業運営について等、多岐にわたる話 題について毎週最新情報を送信している。

・また、Small Biz Briefingと いうニュースレターを年に4回送信し、予約購読者に中小企業に関するニュースや情報を提供している。

ローン/助成金検索ツール

 

・地域社会の事業からシリコンバレーのハイテク企業の起業まで、また、 女性による起業からハリケーンの被害に対する事業まで、Businesss.govは資金プログラムに関する豊富な情報を提供し、起業や事業拡大を支援し ている。

・中小企業経営者は、適した資金プログラムを見つけるのに連邦、州、地 方自治体のウェブサイトを渡り歩く必要がなくなった。

・自分の事業に関する簡単な質問に答えた後、ローン/助成金検索ツール で自社が応募できる可能性のあるプログラムのリストが提供され、リンクがあるので資格と募集要綱を調べることができる。

許可/認可検索ツール

・ウェブサイトの「認可希望」ツールで、事業運営に必要となる連邦、 州、地方自治体の事業許可と認可のリストを見ることができる。

リソースガイド

・Businesss.govでは、中小企業経営者が起業、事業運営す る法的手段を理解する手助けとなるリソースとプログラムに簡単にアクセスできる。

・また、これらのガイドは政府のプログラムに関する情報を提供し、中小 企業が事業を拡大し、連邦政府や州政府と契約をしたり、海外市場に輸出したりする手助けとなっている。

州・地方自治体のリソース

・州・地方自治体指針を通じ、Businesss.govは米国50州 および準州すべてからのビジネス情報に加え、9,000を超える公式米国市役所リソースにアクセスを提供している。

・これらの州指針には、州および地方自治体の規制に準拠するための情報 や、起業、事業運営のためのプログラムがある。

中小企業動画

・Businesss.govは政府官庁の動画を集約し、 YouTube®チャンネルで公開している。

・これらの動画はBusinesss.govウェブサイトのページ各所 にリンクがあり、事業主が規制に準拠し中小企業を支援する政府のプログラムとサービスについて学ぶ手助けをしている。

・動画は障害者の方のアクセスガイドラインに準拠しており、リハビリ テーション法508条にも準拠していている。動画にはすべてクローズド・キャプションがついており、視覚障害者機能をフルに備え、画面読み取り機やキー ボードコントロールを使用してウェブの内容にアクセスできる。

ガジェット

・Businesss.govは「ガジェット」に組み入れ可能な双方向 のツールである。

・自分のウェブサイトやiGoogleトップページに入れ、中小企業を 運営する手助けとなる必須のオンラインツールやリソースへ即時にアクセスできる。

ソーシャルメディア

・Twitter(@bisuiessdotgov) ではBusinesss.govは5,0000人を超えるfollowerがいる。

・YouTubeで はユーザーが最新の動画にコメントできる。

・Facebookで はユーザーがBusinesss.govの一部として利用可能なリソースすべてに接続できる。

出所)Businesss.govウェブページの情報をもとに作成

 

 

・Businesss.govの特色のひとつは、連邦政府の22の機関が連携した縦 割りではない、「ワンストップ性」の高いサービスであること、また連邦政府のみならず、州や基礎自治体の情報ともリンクしていることである。

 


州の情報へのリンクの例

 

 

・Businesss.govはブッシュ政権のころにスタートしたサイトであるが、 オバマ政権では大統領の方針を受け、2009年3月にはコミュニティページを立ち上げるなど、双方向性を強化している。

 


Businesss.govの コミュニティサイトについての説明

・Businesss.govコミュニティの目的は大統領のミッション を支援し、透明で接続された民主主義を創設し、中小企業経営者、ブロガー、政府に話し合いの場、そして起業と事業運営を成功させることについての情報共有 の場の提供を目指している。

・Business. govの延長である Business. govコミュニティは、ディスカッションフォーラム、ブログ、意見交換などを併せ持ち、中小企業経営者に影響を与える政府 のリソース、政治、法律、機会などの込み入った迷宮をナビゲートする高度なツールを提供する。

・同サイトでは、ユーザーが専門知識と独自の経験を共有できる「ホー ム」を提供するだけでなく、中小企業がBusinesss.govに直接インプットし、自分たちに対するサービスを政府やオンラインコミュニティーが向上 する方法について提言するという先駆的な機会を提供する。

出所)Businesss.govニュースリリース(2009年3月18日)

 

・ローン、グラントの検索については産業分野や地域という基本情報に加えて、利用者 のニーズに応じたチェックリストをチェックすることでより適当な結果が表示されるよう工夫している。

 

ローン、グラント(補助金)の検索画面

 

(背景)

・Businesss.govが中小企業や起業家向けの情報サービスに特化している 理由として、以下のように、中小企業は政府の規則等の準拠する負担が重いことが挙げられている。

・また、サイト開設の背景のひとつとして、2002年の中小企業文書業務軽減法 (SBPRA)がある。同法では、連邦規制に企業が準拠するのを支援するため、官庁に窓口となる職員を指定することを求めている。

 

Businesss.govの 提供の背景

・従業員20名未満の非常に小規模な企業は、連邦規制に準拠するのに大 企業より従業員1人あたり45%多くの費用を費やしている。

・これらの非常に小規模な企業は、大企業と比べて、環境規制に準拠する のに従業員1人あたり4.5倍、税務の規制遵守に関して従業員1人あたり67%、多くの費用を費やしている。

・従業員が20人未満の企業は、準拠している状態を保つために、従業員 1人あたり平均7,647ドルの費用を費やしている。

・従業員500人未満の企業は米国の2470万の企業の99.7%を占 め、最新のデータによると大企業は17,000社しかない。

・この10年、中小企業が毎年新規の雇用の60-80%を創出してい る。

・中小製造会社は、連邦規制に準拠している状態を保つために、大企業の 2倍の費用を支払っている。

・中小企業も労働安全規制に準拠しなくてはならない。

出所)Businesss.govウェブページ

 

(効果)

Business.govは2009年以来、3,000人を超えるユーザーが登録しており、幅広い中小企業とあらゆるレベルの政府を代表し、多くの注目 を集めている。

・優れたサイトとしての多くの賞を受賞している。2008年にはGCN  "Best .gov site" - Recognition, Government  Computer News (GCN) 、2009年にはSecond Annual  Citizen Service Award Finalist, Sponsored by  GSA's Office of Citizen Services (OCS)や10  Must-Click Websites, Entrepreneur Magazine等。

・Businesss.govのウェブページによると、同サイトは「ワンストップ ショップ」として構築され、中小企業が連邦、州、地方自治体の規制に準拠する際の、そして国内の中小企業コミュニティのニーズに対しサービスを提供する政 府のプログラムについて学ぶための情報を、迅速かつ簡単に見つける助けとなっている、とされている。

 

(留意点)

・ビジネスゲートウェイのプログラム部長ナンシー・スターンバーグは、 「Businesss.govコミュニティの開始は新たなマイルストーンを表している。我々はWeb2.0の技術を応用し、中小企業経営者、業界専門家、 そして政府を結びつけ、プログラムを新たなレベルの共同の知識共有・見識へと高めたいと願っている。」と述べており、今後Web2.0を活用した機能の新 設・充実が起こる可能性を示唆している。

・また、Businesss.govの同ウェブページによると、今後の強化する機能 の予定として、次の点が挙げられている。

Ø  「環境ビジネス」やエネルギー効率に焦点を当てた特集

Ø  特定の業種(例えば、レストラン、清掃業等)を対象としたガイド

Ø  「推奨/望ましい検索」を含む、検索機能の強化

 

 

5)政府 内部での連携(Collaboration)に向けた取り組み

(1)GovLoop[12]

(概要)

・GovLoopはソーシャル・ネットワーク・サービスのサイトで、主に、アメリカ 政府(連邦、州、市町村)の職員、公共政策に関係する学生・教授、政府機関、政府に関するコンサルタントや業者が参加することを想定したサイトである。

・誰でもメールアドレスや誕生日を報告するだけで参加することが可能(本人確認など の手続きはないが、本名で登録している人が多いようである)。

・参加者は世界中に広がっており、2009年10月28日時点で21,000人以上 が登録している。

・サイト上ではブログ(3,000以上)、テーマ(例: Government2.0、政府調達、コミュニケーションのベストプラクティス)ごとにグループを形成しメンバーが意見を交換するグループのページ (500以上)、テーマ(例:自己紹介のページ、私の好きな名言集)ごとに自由にディスカッションするフォーラムのページ(1,000以上)、イベントの 案内のページ、ウィキの技術を活用して参加者間で情報の更新ができるページなどがある。

 


GovLoopでのグループの ページ例

 

(効果)

・ホワイトハウスのニューメディア担当者はGovLoopについて、「オンライン上 でブレーン・ストーミングができるのは、透明で、政府が国民から参加を得て、コラボレーションを促進することに多く点で役立つツールである」と評価してい る。

・東京大学の奥村教授によると、政府批判もOKであり、幅広い意見が交わされてい る。

・政府内部の省庁を横断のコラボレーション(cross-agency  collaboration)について、過去にも連邦政府ではタスクフォースを結成するなどの動きはあったが、オンライン上で対話のバリアを取り除き、ス ピーディに議論できる機会は、GovLoopが初めてとされている(ワシントンポスト)。

・GovLoopの目的として、政府職員間等の単なる交流だけではなく、問題解決の プラットフォームとしての役割を創設者のSteve Ressler氏は強調している。同氏によると「現在は、実際の政府の問題を1日5〜10 解決している。5年以内にはこの数を500〜1,000にしたい」と述べている。

 

(留意点)

・GovLoopは、2008年に当時国土安全保障省のITスペシャリストだった Ressler氏(28歳)が始めた。政府に関する情報を集めているが、政府からの公式な援助は受けず、また企業からの広告も受けず、ボランティアで運営 していた。

・GovLoop は2009年9月に政府向けのSaaSの提供などIT ソリューションを得意とするGovDeliveryという民間企業の傘下に入ることとなり、Ressler氏は現在では国土安全保障省を去り、 GovLoopの運営に専念している。

・Ressler氏は「GovLoopは民間企業に一員となった後もコミュニティで あり続ける。GovLoopは政府職員や政府に関係する業者にとってのプラットフォームである。政府調達であれ、サイクリング、テクノロジー、人事であれ どのような話題でも交流できる場所だ」と述べている(Social Media Strategyのインタビュー)。

 

 

(2) MAX Homepage[13]

・マネジメントや会計を担当する連邦職員向けに、省庁を超えて横の連携を円滑化する ためのホームページである。

・コミュニティのページ、オンライン上の学習ページなどがある。

・閲覧・参加は連邦政府職員に限られている。

 

 

(3)GreenGov Challenge[14]

・クリーンエネルギー経済の構築に貢献する為のアイディアを180万人を超える連邦 政府公務員や兵士から募るためにオンラインコンテストを10月19日から実施(10月31日まで)。

・参加登録した公務員や兵士はオンライン上で、(1)炭素排出削減;(2)省エネエ ネルギー;(3)節水;(4)廃棄物の排除;(5)持続可能な製品および調達;(6)持続可能なビルディング、等に関するアイディアを投稿したり、投稿さ れた提案に投票。高得点を得たアイディアは、各省庁の持続可能性プラン策定責任者である高官から成る連邦政府持続可能性に関する運営委員会 (Steering Committee on Federal Sustainability)へ提示される ことになる。

 

 


6)連邦政府の今後の取り組みの方向性

・2009年12月8日、オバマ政権はオープンガバメント指令 (Open Government Directive)を発表した。

・この指令は2009年1月の大統領メモ「透明でオープンな政府」を受けてのもので あり、各連邦政府機関に対してオープンガバメントをより一層推進することを期限付きで具体的に要請している。

 

オープンガバメント指令(Open Government  Directive)の概要

透明性とオープンガバメントに関する2009年の1月21日の大統領の 覚書を受けて、OMBは本指令を発表する。この指令は、透明性、国民参加、連携・協業について連邦政府の各機関が具体的なアクションをとるようになるため のものである。

透明性とは、政府が何を行っているのかについての情報を国民に公開する ことによって、アカウンタビリティを高める取り組みである。国民参加とは、政府が世の中に広く存在する情報を活用して政策をつくるために、国民がアイディ アと知見(expertise)を発揮できるようにすることである。連携・協業とは、連邦政府のなか、あるいは様々な政府間や政府と民間との間のパート ナーシップと協力を促し、政府の有効性(effectiveness)を向上させる取り組みである。

本指令では連邦政府機関に次の行動を求める。

 

1.政府の情報をオンラインで公開する。

・オープンなフォーマットでオンライン上で国民がアクセス可能な情報を 拡大すること。オープンなフォーマットにより、情報の二次利用(reuse)を妨げる制約をなくすこと。

・各政府機関は受身ではなく、積極的に(proactively)最新 のテクノロジーを活用すること。

・各政府機関は45日以内に、少なくとも3つの有用なデータセットを オープンフォーマットにてData.gov上で公開すること。

・各政府機関は60日以内に、オープンガバメントウェブサイトを構築す ること。このサイトは各機関のオープンガバメントの玄関となるようにすること。

・オープンガバメントウェブサイトは、フィードバックや評価 (assessment)の機能を備えること。公開された情報の優先順位付けに資するインプットを提供すること。また、各機関のオープンガバメントプラン についてのインプットを提供すること。

 

2.政府の情報の質を高める。

・各政府機関はOMBの助言のもと、45日以内に、情報の質と客観性 (objectivity)に責任をもつ高官(high level senior official)を指名すること。

・OMBは60日以内に、連邦政府の支出に関する情報の質に関するフ レームワークをガイドライン等のかたちで公表する。

・OMBは120日以内に、連邦政府の支出の透明性に関する長期の包括 的な戦略を公表する。

 

3.オープンガバメントのカルチャーを構築し制度化する。

・各政府機関は120日以内に、オープンガバメントプランを各機関の オープンガバメントウェブサイト上で公開すること。

・連邦政府CIOとCTOは60日以内に、オープンガバメントダッシュ ボードを構築する。このダッシュボードでは各機関のデータを集計するとともに、オープンガバメントの進ちょくについてビジュアル化する。

・OMBならびに連邦政府CIO、CTOは45日以内に、ワーキンググ ループを設置する。このワーキングでは、透明性向上に関するイノベーティブなアイディアに基づいたベストプラクティス、各取り組みの調整、国民参加や協業 に関するイノベーティブなアイディアに基づいたベストプラクティス(新しい技術の活用方法やそうした技術の政府内外への示唆の抽出を含む)などを取り扱 う。

 

4.オープンガバメントのために実現可能な政策フレームワークを構築す る。

・OIRA(Office of  Information and Regulatory)は120日以内に、OMBの政策についてレビューすること。

 

 

 


1)ワシ ントン・DC

・ワシントンDCは、当時のDCのChief  Technical Officer(最高技術責任者)Vivek Kundra氏が、以下に紹介するような「data  catalog」や「 Apps for Democracy」などの取り組みを主導した。

・同氏はDCでの功績が認められ、オバマ政権では現在Chief  Information Officer(主席情報官)となっている。

 

(1)Data Catalog

・400以上のデータセットを様々なフォーマット(XML,  Text/CSV, KML or ESRI Shapefile)で取得可能。

・犯罪情報などについてグーグルマップを活用して把握することも可能。

 

Data Catalogのトップページ

 

 

(2)Apps for Democracy

(特色)

・「Apps for Democracy」は、2008年の 秋と2009年の春に開催されたワシントンDCのGov2.0アプリ作成コンテストである。

・当時のDCのChief Technical  OfficerのVivek Kundra氏がデジタルインタラクティブ戦略コンサルタントiStrategyLabsにData  Catalogの使用方法を依頼した結果、このコンテストが行われることとなった。

・コンテストは、DCの公共のデータフィードData Catalogを 使って、DC市民がDC市民のためにアプリケーションを作る。データフィードを使用すること、そしてオープンソースであることが条件。

・公開したデータの使用を市民に呼びかけた初めての取り組みである。

・開発者は事業者、個人に関係なく参加することが可能。2008年のコンテストでは 約60%のエントリーは個人による開発であった。開発者のモチベーションとメリットは賞金に加え、腕を披露して評判をよくすること、信用を高めること、そ して社会奉仕する気持ちを得ることと言われている。

 

(効果)

<2008年 Apps For  Democracy>

・作成時間は1ヶ月、賞金は合計2万ドルが提供された。

・合計47のアプリケーションのエントリー登録があった。

・結果、DC地区は、賞金とiStrategyLabsへの費用を合わせた5万ドル で47のアプリを開発することができた。

・iStrategyLabsによると、従来のようにプライベート開発の契約をして 47アプリを作成する場合、契約金や調達価格で260万ドルのコストがかかると計算されている。それに比べ、Apps for  Democracyの投資利益率は大変良いと評価されている。

・最高賞は「D.C. Historic Tours」が受賞。
これは、オンラインアプリケーションでユーザーがDCツアープランを作成する。Google Maps, Data Catalog, Flickr写真、Wikipedia情報などのマッシュアップでツアーの作成をインタラクティブにするアプリケーションである。

 


2008年最高賞「D.C.  Historic Tours」

ユーザー作成のツアーの他に、お勧めツアーも多く登録されている。ツアーはユーザー の評価やコメント欄もある。インタラクティブに作り出された地図はFlickrの写真や、Wikipediaの情報が表示される。

 

<2009年Apps For Democracy>

・2009年の春に第2段が開催されたが、2008年版のフィードバックや結果をも とに、作成するプロセスが大きく変更された。最初にアプリケーションが必要だと思われる問題や課題を募集するプロセスが導入された。

・オンラインだけで課題を募集すると若い年代の意見しか入らないことを想定し、ボラ ンティアが実際に街に出て課題を集める「Social Citizen Sunday」も計画。

・230以上集まった課題から、ユーザー投票とiStrategyLabsがひとつ を選択。決定された課題は、市へのサービスリクエストを簡単にするアプリケーションというものとなった。

・2009年の作成期間は以前の1ヶ月と異なって、開発者が3回に渡る 「code jam」で集まり、短縮された期間でアプリを作成する。「code jam」とは、一箇所に集まり、グループでコードを 開発する事である。

・最高賞は「DC 3*1*1」が受賞。
地区のサービスサイトにアクセスするiPhone+Facebookのアプリケーションで、様々なサービスをリクエストして管理することが可能である。例 えば、廃棄自動車を携帯端末で写真を撮り、回収のリクエストを入力して送ることが出来る。そして、リクエストを追うことが出来るので忘却されてないことが 分かるため、地区政府の信頼度が上がる効果もある。

・賞金は第1ラウンドの勝者に3千ドル、第2ラウンドの勝者に3千ドル、そして最終 勝利者に1万ドルが提供された。また、最高賞を受賞したアプリが本格的に開発して普及出来ることが認められた場合、1万4千ドルの開発費用が出される。

 

2009年最高賞「DC 3*1*1

iPhoneアプリケーションで簡単にリクエストを登 録。リクエストの種類は廃棄自転車の回収や自動車、道の掃除・修理、落ち葉・粗大ゴミ回収など。Facebookアプリと統合されている。

 

<最近の状況>

・「Apps for Democracy」は地区レベルの Government2.0の動向のパイオニアといわれており、後にSunlight Foundationの「Apps  for America」が続いた。他にも、影響されたニューヨークも「NYC BigApps」などが開催された。

・コンテストのアプリは全て公開されており、次のGov2.0の例となる。例えば今 年11月の「Web2.0 Expo」では、一般市民が使えるGov2.0の例として「Apps for  Democracy」のアプリケーションが2つ紹介される。

 

Web2.0 Expoで紹介されるアプリ「DC Bikes」

DCの自転車ルートの検索や、 区域の窃盗フィードで自転車関連の情報を提供するアプリケーション。Twitter情報やCraigslist自転車販売情報のマッシュアップもしてい る。


「Stumble Safely」

DCの夜遊びを終え、バーやク ラブから帰宅する一番安全な道を探し出すアプリケーション。Twitter情報やDCの路上強盗などの犯罪データと地図のマッシュアップをしている。

 

・また、開発者の意見によると、2009年コンテストの「code  jam」スタイルは適しているようである。72時間と言う集中された開発期間とコラボレーションが開発の効率を上げると感じられているようである。

・このコンテストにより、開発がオープンソースであること、そしてフィードの使用可 能度の重大さが取り上げられた。つまり、フィードや技術の使用許可を取得しなくてよい分、アプリケーション作成の効率が高まることが注目された。

 

(留意点)

・全てのアプリケーションは公開されており、使用可能だが、アプリのサポートは開発 者が手掛けているのでアプリの寿命はそれぞれによって異なっている。

・「Apps for Democracy」に対しては批判も ある。アプリの種類は少なく、「そんなにすごいアプリでもない」と述べる意見もある。また、iStrategyLabsの投資利益率の想定について疑問に 思う意見もあり、実際の投資利益率は、アプリの持続性など様々な面を考えるとはるかに低いのではないかという意見もある。

 

 

 

2) ニューヨーク市

(1)NYC Big Apps

(特色)

・NYC Big Appsは、ワシントンDCの Apps for Democracyをベースにしたアプリケーション作成コンテストである。

・作成するアプリケーションはニューヨーク市の公開データNYC.govのフィード を最低1つ使用すること、そして無料で一般に提供することが条件である。

・NYC.govのフィードは170ものデータセットを開発者に公開して提供する。 データセットは市内イベント情報、不動産状況、学校や選挙区関連のデータなどがある。

・コンテストは現在進行中であり、2009年10月6日から12月8日までアプリ ケーションの登録が可能。審査員と一般投票でコンテスト勝者が決まる。

・開発者には合計2万ドルの賞金、ニューヨーク市長Michael  Bloomberg氏とのディナー、そして名声を築くことが約束される。

 

NYC Big Appsのウェブサイト

 

 

・審査員に審査されるカテゴリーは次の5つである。

○実用性 ○発明性 ○見た目のアピール ○有効性 ○商業化

・上記のカテゴリーのバランスを見ながら、次の5つの賞が与えられる[15]

 

ア)Best Overall

・全てのカテゴリーのバランスが良く、優れているアプリケーションに与えられる。

イ)Investor’s Choice

・商業化カテゴリーを重視して、一番投資可能なアプリケーションに与えられる。

ウ)Data Visualization

・見た目のアピールを重視したアプリケーションに与えられる。

エ)City Talent Award

・Best Overallと似ている賞で、バランスが良く、優れている アプリケーションに与えられるが、ニューヨーク市やNew York City Economic  Development Corp(NYCEDC)の関係者であることが必須条件である。

オ)Popular Choice

・一般投票で一番多く投票されたアプリケーションに与えられる。

 

• このコンテストはニューヨークの経済的発展を推進する非営利団体 New York City Economic Development Corp(NYCEDC) が主催している。

• ニューヨーク市と企業家コミュニティーの促進の目的で、コンテスト参 加は個人、あるいは従業員が50以下の新興企業や非営利団体に限定されている[16]

 

(効果)

・コンテストは現在進行中であり、審査は12月15日から1月7日の期間で行われ る。

・NYC Big Appsサイトでは、 開発が必 要だと思われるアプリケーションのアイディアを集めている。アイディアとして、犯罪届出地図やバス・地下鉄のリアルタイム情報、学校の実績情報に関係する アプリケーションなどが寄せられた[17]

 

(留意点)

・NYC Big Appsは、ニューヨーク市長 Michael Bloomberg氏が2009年2月に発表した「MediaNYC 2020」の取り組みのひとつである。

・「MediaNYC 2020」とは、メディア企業の経済問題に対する プログラムであり、ニューヨークの2020年におけるメディア企業での地位を考え、民間企業と公営企業のつながりを強化する試みである[18]

 

• このコンテストに対する批判の声もあがっている。

・先ずは、Bloomberg市長のコンテスト発表に対するコメントで読み取れる が、NYC Big Appsは今までの「government-as-vending-machine」の考え方と変わりないと言 う声が出ている。

・「government-as-vending-machine(自動販売機政 府)」とは、Tim O’Reilly氏の造語で、民間が税金を払って政府に金を提供し、引き換えに政府があらゆるサービスを提供するというも の。相互関係がなく、一方的な関係が特徴である。

・それよりも政府が立会人となり、民間のつながりを作り、皆で問題を把握して解決方 法を探し出す形式を取るべきだと述べる声も上がっている[19]

 

・また、NYC.govで公開されるデータの実際の価値が問われる声も出ている。

・Bloomberg 市長がコンテストを発表した日、 「Personal Democracy Forum 」会議が開かれており、その対談のトピックのひとつに NYC Big Appsが取り上げられた。

・フォーラムの参加者は限定されたデータセットの数に疑問に持っていた(当初80 フィードの公開しか約束されていなかった)。

・また、Bloomberg市長が提案したサンプルアプリケーションは「微妙」であ まり市のためにならないと言う声も出た。「市内のレストランの衛生成績なんかより警察の蛮行の情報を収集しては、その情報をどう使うかを考えてはどうか」 などといった意見が報告されている[20]

 

• ニューヨークタイムスのブログでNYC  Big Appsが取り上げられた時のレスポンスを見ると、このコンテストや政府の透明性を証明する動向で政府への信頼を取り戻すことを希望し ている人がたくさんいることが分かる[21]

 


1)概要

・英国は、EU内でも最も先行している国として評価されている。2001年に The UK Government Information Resister(公共情報登録所)において政 府機関が保有する情報資産のメタデータ(所在情報)を非公開だった情報を含めて公開するなど、情報公開には積極的な取り組みを行っている。

・しかし、公正取引庁(日本の公正取引委員会に相当)が2005年に実施した市場調 査では公共情報(行政情報等)の商用利用について課題が指摘されていた。

・Power of Informationとは、英国政府 (内閣府相)が「公共情報の公開による公共サービスの向上」をテーマに外部の研究者に提言を委託したもの(2007年2月)。

・提言の責任者はTom Steinberg(mySociety)、 Ed Mayo(Chief Executive of the National  Consumer Council)。

・2007年6月に内閣府相が上記提言とそれに対する政府の対処策を同時に公表。

・Power of Informationでは、政府が市民 全体を代表して集めた情報を、最新のITを活用して市民サービス向上に活用することを主眼に15の提言を行った。

・英国政府は一部条件付でありながら、全ての提言についての受諾。政府は公共情報の 公開をPublic Service Reform施策の一環と位置づけている。

・Power of Informationで提言された施策 についてタスクフォースを設けて推進するとともに、各行政機関の情報公開をOPSI(Office of Public  Sector Information 公共セクター情報局)にて推進している。

・2009年2月には上記タスクフォースが報告書を提出。英国政府がさらに取り組む べき事項を25の提言にまとめている。

 

2) Show Us A Better Way

(特色)

・2007年のPower of Informationの提 言の一つに実証実験の実施が盛り込まれている。

・これに受けて、タスクフォースはShow Us  A Better Wayという名称で、政府機関データの再利用・マッシュアップの良い方法を一般から募集するコンテストをオンライ ン上で実施した。

・2008年に実施。優勝者には次のステップに進むために2万ポンド(約420万 円)が贈られた。優勝者のアイディアをさらによくするためには2万ポンドの追加ファンドがあるとされている。

Show Us A Better Wayのウェブサイト

 

(効果)

・Show Us A Better Way には約500のアイディアの応募が寄せられた。

・このうち約1/3は地理空間情報に関するアイディアである。

・2009年のタスクフォースの報告書によると、「インターネットを通じて大規模に オープンイノベーションが推進できる。パブリックセクターはウェブ上のコミュニティと協働することで、公共情報とウェブサービスのイノベーションを生み出 すことができる。」とされ、Show Us A Better Wayの取り組みはその好事例の一つとされてい る。

 

・審査の結果、5つのアイディアが選定され、さらに5つのアイディアがより深めるべ きとされた。また、4つのプロトタイプのツールがさらに発展させるためにファンドを投入するとされている。

・優勝アイディア

Ø  Can I Recycle It?  郵便番号を入力すると、その自治体でリサイクル可能なものが何か表示される。

Ø  UK Cycling サイクリングルートについて のワンストップサイトで、さまざまなレベルの人に対応するもの。

Ø  Catchment Areas 通学区の境界につ いて表示する。

Ø  Location of Postboxes どこにいても最も近い郵便箱がどこか表示する。

Ø  Loofinder 携帯またはウェブ上で最も近いトイレの場 所を表示する。

 

・プロトタイプとして認定され、現在では改良が進み既に運用が始まっているもの

Ø  UK School Maps グーグル マップを活用し学校の場所を表示するもの。学校に関する評価結果の情報を見ることもできる。

Ø  School Guru 保護者にとって子どもが学校に通学し たかどうかを確かめることができる。

Ø  Where’s the Path Ordnance  Survey map(地形図)とグーグルの航空写真を同時に見ることができる。

Ø  UK Wreck Map 海底の難破船の場所を表 示する。

 

 

3) Power of Informationタスクフォース報告書(2009年2月)

(特色)

・タスクフォースでは、英国政府はデジタル技術を活用して次の6つの領域について大 きく発展することができるとしている。

Ø  パブリックセクターの専門性のあるサポートをオンライン上で市民が求めているところで推進すること

Ø  内部と外部のイノベーターと協働すること

Ø  政府が市民と対話(consult)する方法を改善すること

Ø  新しいサービスのため、政府が保有する地理情報(地図と住所)を無料で開放すること

Ø  パブリックセクターの情報を可能な限り市民が見つけ活用しやすいようにシンプルにすること

Ø  デジタル技術がもたらす機会の理念を活かすよう、政府のキャパシティを高めること

・25の提言の一部は以下のとおりである。

 


Power of Informationタスクフォース報告書の提言(抜粋)

提言1

公務員は、オンライン・ピア・サポート・フォーラム (online peer support forum)に参加すべきである。行政は主要なフォーラムのリストを調査し公 表し、参加しなければならない。2009年に第3四半期までに政府横断のリストと省庁ごとの計画を公表し、2010年の第1四半期にはフォローアップレ ポートを公表する。これはタスクフォースが作成するソーシャルメディアガイダンスに依拠するものとする。

 

提言2

公務員は、ソーシャル・メディア(social  media)に参加するために、適切なインターネット・アクセスを求めるであろう。内閣府は、インターネット・アクセスに関する規則を定め、標準的ブラウ ザー機能について規定するスタッフと取り組んで、ガイダンスを発行すべきである。

 

提言3

backstage modelを用いて、主要な公的部門のサイトにおけるイノベーションを引き出すこと。backstage modelとは、一 般の人々とスタッフが、情報に基づく公的サービスを共同で作り上げることを可能にする、常設の公開オンライン・イノベーション・スペースである。このよう な機能は、公開情報サービスの設計における標準的な要素となるべきである。政府は、Directgov.に関する新たなbackstage  serviceを構築すべきである。

 

提言4

公共部門のウェブサイトが、主要な知識ビジネス (knowledge businesses)と同じぐらいの予算をイノベーションに費やすことを確実にすることにより、イノベーションへの投 資が行われ、一般の人々に直接恩恵がもたらされる。

 

提言5

政策対話オンラインを開設する新たなオンライン技術という可能性を利用 するために、政府は以下を行う必要がある。

・正確なタグ付けとメタデータに関する明確で必須の基準。これにより、 その基準により影響を受ける対象、利益、場所、そして政策問題が、協議を見出すことが可能となる。

・協議文書を、一枚岩の文書からナビゲート可能、検索可能な個々のポイ ントに分割し、個々にコメントすることを可能とする。

・インターネット上のその他の場所で簡単に入手できるツールを実装する こと。これにより、人々が個々の項目にコメントし、他の人のコメントにコメントし、(おそらく、ウィキペディアで行われているような一種の協働著作を通じ て)協働してコンテンツを展開、改良する。この手法による、DIUSのイノベーション White Pater(イノベーション白 書)および内閣府New Opportunities(新しい機会)白書の刊行は、多額の投資なしに何を行うことができるかを示す好例である。

・公開され、意味的な電子フォーマットで協議の資料を発表することを必 須とする。これにより、関連政府ウェブサイトが資料を提供できるだけでなく、その他の者も革新的な方法で、その資料を持ち出し、発表し、意見を集め、その 意見を政府にフィードバックすることができる。

 

提言6

2009年末まで にGovernment Skillsは、オンライン参加を最大限に活用するための、政策開発スキルにおいて必要な変革をサポートする計画を開 発する。National School for Governmentは付随するトレーニング計画を開発する。

 

提言7

タスクフォースの見解では、地理空間データを「自由化する」ことは優先 事項である。陸地測量は緊急に改革を必要としている。最近発表された陸地測量のコスト削減は、より幅広い改革の方法を指摘している。この改革には最低限、 以下を含むこと。

・選挙区や行政区間、公共の建物の場所等といった基本的地理データは完 全に無料で(再)利用できるようにすること。

・どんなユーザーにも、適度なレベルの一般的な地図および住所データへ の簡単かつ無料のアクセスを提供すべきである。

・公共政策目的を追求するボランティアおよび地域の組織には、どんなレ ベルの使用に対しても地理空間データへアクセスを確保し、分かりやすく標準的に提供することによって恩恵を受けられるようにすること。

・ライセンス条件は、全面的に簡便化、標準化され、最大に使用した場合 でも標準的な条件に基づき、ユーザーの意図する用途または意図するビジネスモデルに依存すべきでない。

・オープンスペースAIPは、Google Mapsに類似 しているが現在は制約のあるモデルであるが、陸地測量サービスの主要な納入ポイントとすること。

・英国が(再)使用可能で、自由に入手可能な単一の確定住所および郵便 番号の作成。

 

提言10

公共情報は限界費用で、つま り事実上オンラインで無料で入手可能とすること。この規則に例外を作る場合、情報を有料とし、その結果再使用が制限されても、国の恩恵は実際、確実にもた らせられるかどうかについて、厳しいテストを経なければならない。OPSI(英国国家古文書館一部)はその際に実施するかようなテストについて定義し、公 に協議すること。

 

提言13

インターネットが変化するに つれ、情報公開の方法も変革すべきである。タスクフォースは利害関係者と協働してオンライン公開を知らせるモデルを開発した。

 

提言15

顧客主導のサービス改善の最 先端にいること。Permanent Secretary for Government  Communications(政府通信事務次官)は定期的に、Show Us a Better Way、 Dell Ideastorm、Apps for Democracy等のオンラインで多数の人々を関与させる際のベスト プラクティスとイノベーションを発表すること。最初の発表は、2009年第3 四半期に内閣府のウェブサイトで発表されること。

 

提言16

コミュニティ・地方自治省は地方政府と協働し、Power  of Information Beacon awardを開発、導入すること。この賞の基準はタスクフォースの提言した ライセンスモデルで始まり、ベストプラクティスが発展するにつれ拡張されること。

提言21

ウェブは常に発展している。また、ウェブおよび公共部門情報の使用法に ついての考え方も同様である。内閣府は、引き続きアイディアをテストし新しい機能を生み出すために最新のR&Dを行う適切な資金を保有し、公共部 門のほかの部分においてこの分野のR&D作業をコーディネートすること。

 

 

 

4)新し いコミュニケーション手段へのガイド

・ブログやTwitterなどオンライン上での新しいコミュニケーション手段が多様 化するなかで、英国では、公務員が留意するべき点についてのガイドを定めている。

・こうしたガイドはオーストリア政府も作成している。

 

Principles for participation online


How the Civil Service Code applies to online participation

•Disclose your position as a representative of your department or agency unless there are exceptional circumstances, such as a potential threat to personal security. Never give out personal details like home address and phone numbers.

•Always remember that participation online results in your comments being permanently available and open to being republished in other media. Stay within the legal framework and be aware that libel, defamation, copyright and data protection laws apply. This means that you should not disclose information, make commitments or engage in activities on behalf of Government unless you are authorised to do so. This authority may already be delegated or may be explicitly granted depending on your organisation.

•Also be aware that this may attract media interest in you as an individual, so proceed with care whether you are participating in an official or a personal capacity. If you have any doubts, take advice from your line manager.

 

1.Be credible

Be accurate, fair, thorough and transparent.

2.Be consistent

Encourage constructive criticism and deliberation. Be cordial, honest and professional at all times.

3.Be responsive

When you gain insight, share it where appropriate.

4.Be integrated

Wherever possible, align online participation with other offline communications.

5.Be a civil servant

Remember that you are an ambassador for your organisation. Wherever possible, disclose your position as a representative of your department or agency.

出所)英国政府の市民サービスに関するウェブサイト[23]

 

(参考)オーストラリアにおけるオンラインメディア参加に関するガイド

Official use of online communication

This falls into two basic types:

 

•agencies utilising existing external communication platforms to canvass stakeholders and to disseminate information, including clarifying misinformation, on specific or ongoing policies and programmes

•agencies setting up their own discussion forums or other online communication platforms for the same purposes.  These may be ongoing or they may be established for a specific time limited proposal or initiative. They may be open to the public or access may be confined to a particular group of stakeholders.

The official use of online media comes under the same general policies and guidelines that apply to the use of other media and forums to explain and provide information on Government policies and programmes. These include:

 

•Australian Public Service Commission publication APS Values and Code of Conduct in Practice, Chapter 3: Managing Official Information

•Guidelines on campaign advertising by Australian Government departments and agencies issued by the Department of Finance and Deregulation, June 2008

•Australian Public Service Commission Circular No 2007/5: Involvement of public servants in public information and awareness initiatives, December 2007 now in Chapter 5 of APS Values and Code of Conduct in practice.

In addition, working with online media is subject to the same standards, set out in the APS Values and the APS Code of Conduct, that apply in a physical work environment. These include:

 

•behaving with respect and courtesy and without harassment

•complying with all applicable Australian laws

•protecting confidentiality

•making proper use of Commonwealth resources; and

•upholding the Values and the integrity and reputation of the APS.

Information and views can be spread very quickly and very widely through online media and can easily be subject to distortion and misrepresentation. Importantly, once online material is in the public domain, there is little control or influence over how it might be used or modified.

出所)オーストラリア政府ウェブページ[24]

 


 

(概要)

・国民直訴庫(e people)は韓国政府に対するあらゆる嘆願、提 案、政策討論などを申請することができるインターネット窓口である。

・全行政機関(中央部署、地方自治体、海外公館)、司法府(日本の法務省に相当)お よび14の公共機関と連結している。

・サイト運営は2008年2月に設立された国民権益委員会が行っている。

・国民権益委員会は国民救済及び権益保護機能を統括した国務総理所属機関である。

 

国民直訴庫(e people)の概念図

 

(経過実績)

・2009年1月から9月末の時点で全52万1,236件の嘆願が「国民直訴庫」に 届いた。

・受付経路としては統合、連携を行っている各機関毎のWEBサイトのリンクから届い た件数が最も多く29万7,427件である。また「国民直訴庫」のホームページから直接届いた嘆願は18万5,117件であった。

・「国民直訴庫」には1日平均1,909件(2008年1,703件)の嘆願が届い ており、嘆願処理所要期間は平均6.3日(2008年6.9日)、嘆願処理に対する満足度は52.2%(2008年51.2%)となっている。

 

・また、国民から寄せられた提案件数は5万2,232件、公務員から届いた提案は 4,925件であり、サイト内での電子公聴会は405回開催された。

・電子公聴会の例として最近のものでは、ア)特許庁が特許法一部改正の内容を予め国 民に知らせ、その内容について意見を収集した取り組み(2009年11月25日〜12月15日)や、イ)行政安全部が公務員の報酬体系改正に伴い、内容の 透明化のため特殊業務手当を統合、および廃止することなどについて、国民の意見を募集した取り組み(2009年12月3日〜12月14日)などがある。

 

(特徴)

○ポータルサイトとのサービス連携

・国民直訴庫は韓国大手ポータルサイト、ダウムとネイトと提携を結び、国民が申請し た嘆願結果、約2万8千件をポータルサイト内で検索閲覧出来るサービスを9月より開始した。

・これにより国民は正確な嘆願情報を検索でき、国民直訴庫側は類似の嘆願の重複を減 らすことができる。

・嘆願検索サービスとは別に権益委員会は12月から各部署が新規政策を施行する際 に、ネチズン(韓国インターネットユーザー)が理解しやすいように具体的な政策内容を事例で作った「政策Q&A」資料を作り、ダウムとネイトで検 索できるようにし、来年からはダウム、ネイト以外のポータルサイトとの連係も計画している。

 

 

○外国人向けサービスの充実

・国民権益委員会は韓国語が不得意な海外在住韓国人(在外同胞)や国際結婚移住者、 外国人勤労者らが翻訳作業を行わなくとも直接嘆願を申請出来るように、2008年6月からは国民直訴庫の英語版、日本語版、中国語版も開設しており、11 月からはベトナム語版のサービスも開始する予定である。

 

・権益委員会は国民直訴庫に外国人専用嘆願窓口ページを開設した。 

・外国語専用窓口ページの開設後1年間に集計された嘆願内容を分析した結果、合計 378件の嘆願が届いており、その中で最も多い内容はビザとパスポートに関する内容で実に62%という結果である。

・申請を行った外国人の国籍はアメリカ人が最も多く次いでカナダ、中国の順であっ た。

・ビザやパスポート関連の内容の次に多かったのは雇用主の横暴や、賃金未払いに関す る申請が32件、民事、刑事告訴、告発に関する相談が24件であった。

 

外国語窓口における嘆願の言語別現況(08.6.15〜09.6.30)

英語

321

84.9%

中国語

23

6.1%

日本語

12

3.2%

韓国語

22

5.8%

合計

378

100.0%

 

外国語窓口における嘆願の分野別現況(08.6.15〜09.6.30)

法務

236

62.4%

労働

32

8.5%

刑事・民事

24

6.3%

教育

9

2.4%

福祉

7

1.9%

兵務

3

0.8%

農林

3

0.8%

金融

2

0.5%

その他

62

16.4%

合計

378

100.0%

 

 

○利用者満足度を向上させるための徹底した対応

・嘆願書を請求し、それに対するレスポンスを受け取った国民が、その返信内容に対し 満足するとは限らない。なかにはその返信内容自体が理解出来ない場合や、満足出来ないと言うケースも多々ある。

・こうした場合これがさらなる嘆願申請への引き金にもなりかねない。

・このような問題を解決するために国民直訴庫では、申請内容に対しての返信を申請者 が受け取った際に、この返信内容が満足行く内容であったかどうかという評価を受けるシステムを導入した。

・万が一評価が「不満足」となった場合はそれを担当したスタッフに通知が届き、請願 者の不満を解決するまで繰り返し対処し再評価を受けている。

・このようなシステムを導入した結果、追加対応を行った1,224件中234件の満 足度が向上した。




[1] OECD “The Governance Challenge and Ensuring Economic Recovery”, OECD ”Focus on Citizens: Public Engagement for Better Policy and Services ”のサマリー、オスロでのDemocracy2.0のワークショップ資料

[2] 米国についてはOpen  government Initiative http://www.whitehouse.gov/open/などの各ウェブペー ジのほか、市川類「米国連邦政府におけるオープン・ガバメント政策を巡る動向」(JETRO、2009年8月)、礒部猛也「政府情報公開調査報告」 LCDMフォーラム資料(平成21年9月)などを参考とした。

[3] http://www.usaspending.gov/、  東京大学大学院奥村裕一教授ヒアリング、同氏の朝日新聞記事http: //globe.asahi.com/mediawatch/091123/01_01.html

[4] NTTデータメールマガジン(2008年1月17 日)http://e-public.nttdata.co.jp/f/repo/523_m080117/m080117.aspx

[5] http://www.data.gov/

[6] http://www.recovery.gov/Pages/home.aspx

[7] http://it.usaspending.gov/

[8] http://fcw.com/articles/2009/10/05/federal-register-data.aspx

[9] http://www.whitehouse.gov/OpenForQuestions/

[10]http://www.regulations.gov/search/Regs/home.html#home

[11] http://www.business.gov/

[12] Webページhttp: //www.govloop.com/、報道資料(The Washington Times 2009年7月28日な ど。

[13] https://max.omb.gov/maxportal/、 奥村東京大学大学院教授へのヒアリング

[14] http://www.whitehouse.gov/greengov/

[15] http://www.nycbigapps.com/rules

[16]http://www.nycedc.com/PressRoom/PressReleases/Pages/BloombergandLeiberLaunchBigAppsCompetition.aspx

[17] http://www.nycbigapps.com/suggest-ap

[18]http://www.nycedc.com/PressRoom/PressReleases/Pages/MediaNYC%202020.aspx

[19] http://techpresident.com/blog-entry/bloombergs-connected-city-e-govt-instead-wegov

[20]http://nyfi.observer.com/media/223/hacking-city-techies-welcome-big-apps-wonder-how-far-bloomberg

[21]http://cityroom.blogs.nytimes.com/2009/06/29/city-invites-software-developers-to-crunch-big-data-sets/

[22] 英国についてはPower of  Information Taskforce Report、Power of  Information review: government response http: //www.cabinetoffice.gov.uk/reports/power_of_information.aspx、

礒部猛也「政府情報公開調査報告」LCDMフォーラム資 料(平成21年9月)、大戸隆信「公共情報の公開・二次利用の取り組み事例紹介」LCDMフォーラム資料(平成20年9月)などを参考とした。

[23]http://www.civilservice.gov.uk/about/resources/participation-online.aspx

[24]http://www.apsc.gov.au/circulars/circular088.htm

[25] www.epeople.go.kr

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