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  • 管理水準向上
  • 菓子製造業

事例ピックアップ
トレーサビリティを核とした生産販売管理システムで、安心・安全なお菓子づくり〜三州製菓株式会社〜

  • 紙ベースだった販売・生産管理システムから、トレーサビリティを加えた新しいトータルシステムを構築
  • 原材料から販売までの明確な管理が、安心・安全なお菓子としての評価に
  • 商品チェックやクレーム対応にかかる時間も大幅に短縮

プロフィール

写真
企業情報
  • 企業名 : 三州製菓株式会社
  • 所在地 : 埼玉県春日部市豊野町2丁目8-3
  • 資本金 : 8,600万円
  • 従業員数 : 230人
業種

菓子製造業

導入目的

管理水準向上

企業概要

菓子専門店向けの高級米菓(せんべい、あられ)および高級洋菓子(クッキー、サブレ)の製造販売を行っています。取引先は全国の地域有力菓子専門店、百貨店、有名テーマパーク等で、商品別売上はせんべい50%、あられ30%、洋菓子その他20%です。 当社はニッチ市場をターゲットとし、卸売を介さず上記取引先に直納しています。IT導入により要求される菓子を素早く開発する体制づくりや、本物の菓子を提供するための製造や流通管理の徹底を図っており、安心安全、研究開発力、技術力、提案力で当社の顧客市場におけるリィーディングカンパニーであると自負しています。

導入の背景と目的

近年、賞味期限の改ざんや産地偽装など、食に関する事件が頻発し、同社で年2回実施する顧客満足度調査の結果からも、お客様のニーズが食品の安全性へと急速にシフトしていることが分かり、安心・安全なお菓子づくりの重要性を再認識していました。
一方、同社は、店舗での直接販売やOEM契約による生産を中心に行っており、多品種少量生産によるニッチ市場でのシェア拡大をめざすべく、早くから販売・生産管理システムを導入し、受注した商品は翌日出荷する生産体制を構築していました。しかしながら近年、OEM契約を結んだ大手テーマパークや消費者から、さらに厳しい品質管理基準やクレーム発生時の迅速な対応が求められるようになりました。当時、クレーム発生時のロット確認等は、主に賞味期限年月日をもとにノートに記録されたデータを参照して行うなど紙ベースで行われていましたが、このような方法ではクレームをゼロにすること、発生時に迅速に対応することが不可能と感じ、大きな課題となっていました。そこで、これらの課題を解決し、お客様のさらなる安心・安全のニーズに十分に応えるため、販売・生産管理システムにトレーサビリティを加えた新しいトータルシステムを構築することとしました。

IT化の概要

IT導入第一段階(平成16年〜平成17年)での取り組み(図1)

トレーサビリティシステム構築においては、当時中堅企業向けのパッケージがなかったことから、ITコーディネータのアドバイスを受けながら、システムの企画に着手し、1年間、現場の声を吸い上げながらシステムに必要な情報を確認していきました。その後システムベンダーに開発を依頼し、企画から2年後に本格稼動を果たしました。
トレーサビリティシステムの内容については、次の通りです。

(1)原料ラベルの発行:原材料の入荷時に情報を入力し、ロット単位で2次元バーコードラベルを発行して原材料に貼り付ける。
(2)仕掛品ラベルの発行:どの原材料を使うか指示する製造指示書を発行し、商品を製造。投入する原材料のロットが変わる度に製造番号を付与していく。
(3)商品ラベルの発行:製造した商品が指示通りにできているかをバーコードを読み取って確認。商品番号を付与する。
(4)ピッキングリストの発行:出荷先への製造ロットへの入力を行う。

以上のプロセスはすべてデータとして保存し、社員全員で共有することとなり、問い合わせへの迅速な回答や、商品追随を可能にしました。 (図1)

図1 三州製菓株式会社

IT経営推進における取組み

システムの企画を行うにあたっては、社内にIT専門の部署がないため、総務や製造など各部門のメンバーを集めてIT委員会を設置しました。現在も月1回の開催を続けています。 また、中小企業基盤整備機構のIT推進アドバイザー派遣制度を通じてITコーディネータに協力を求め、システム構築のための全般的なアドバイスや、システムベンダーとの専門的な交渉などを依頼しました。

導入効果

売上高の増加

取組み前(平成15年度)と比べ、取組み後(平成19年度)には、1.27倍に伸びました。

クレーム対応期間の短縮

取組み前(平成15年度)には平均5日かかっていたものが、取組み後(平成19年度)には平均1日で対応できるようになりました。

管理体制の向上とお客様、取引先からの安心感・信頼感の向上

システムと人との二重チェックにより、商品管理レベルが向上しました。加えて、生産履歴の追跡が可能になったことから、お客様や取引先の同社に対する安心感・信頼感が高まりました。

従業員の意識の向上と製造ミスの削減

従業員の安心・安全に対する意識が一段と向上したほか、原材料の投入ミス(使用期限やロットなど)が実質なくなりました。

今後の展望

お客様により安心・安全を感じて頂けるお菓子づくりをめざし、商品に二次元コードを印刷し、お客様が直接、産地や生産情報を確認できるようにするなど、このシステムをさらに発展させていきたいと考えています。

IT経営推進を支援した方々

ITコーディネータ 町田 行雄
システムベンダー 株式会社内田洋行