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  • 業務効率化、商品力強化
  • 卸売事業者が構成する協同組合

事例ピックアップ
IT活用で組合員とメーカーの取引活性化を追求 〜全国家庭用品卸商業協同組合〜

  • 組合員企業・組合・メーカーの三者がいずれもメリットを得られることを考えてWeb-EDIを導入
  • システムを有効に活用すべくメーカーの協力を求め、全国で説明会を開催するなど普及活動を展開
  • IT活用によって組合独自のPB商品力や、メーカーへの提案力が強化された

プロフィール

写真 全国家庭用品卸商業協同組合会
中小企業IT経営力大賞 全国中小企業団体中央会会長賞
中小企業IT経営力大賞 中小企業庁長官賞
企業情報
  • 企業名 : 全国家庭用品卸商業協同組合
  • 所在地 : 東京都中央区新川1-26-19
  • 資本金 : 1億5,000万円
  • 従業員数 : 19人
業種

卸売事業者が構成する協同組合

導入目的

業務効率化、商品力強化

企業概要

全国家庭用品卸商業協同組合は、組合員30社の協同組合で、共同購買を主要な事業としています。鍋、ラップ、アルミホイル、スポンジたわしなどの家庭用品を、約500社から仕入れています。また、海外からの共同買付も行っており、他の卸問屋との差別化を図っています。組合の本来の目的である共同仕入による低価格での商品提供に加え、中小の組合員にも大手メーカーの商品を供給することのできる豊富な品揃えや、メーカーと共同開発したPB商品など他の問屋にはないオリジナリティのある商品を提供していることが特徴です。

導入の目的と背景

流通業界では、大手企業の合併や、外資系企業の日本進出など、大きな再編が生じつつあります。いまや、小売大手の中には、独自に流通センターを開設し、自らが卸問屋の機能を持つ企業も珍しくありません。こうした動きを背景に、家庭用品業界においても、低価格の中国製品の台頭や、小売業者と製造業者との直接取引のような流通経路の短縮化(いわゆる「卸の中抜き」)が進み、全国家庭用品卸商業協同組合にとっては、そうした課題への取り組みが急務となっていました。卸の中抜きで組合員の売上が減少する一方で、メーカーや組合員に関するデータ量の増加に伴って組合の経費は増加する中、同組合は、平成14年からITを活用した課題解決に乗り出しました。

IT化の概要

Web-EDIの導入(図1)

同組合では、以前からEDIシステムを使って組合員とメーカーとをつないでいましたが、利用は取引量の多い組合員やメーカーに限られていました。しかし、EDIシステムには、伝票入力の無駄を省くことができるためローコストでのオペレーションが可能になる、売上仕入情報をリアルタイムに入手できるため情報収集のスピード化や精度の向上が期待できるなど大きなメリットがあります。そこで、組合が直面していた課題の解決に向けては、組合員およびメーカーのEDI導入率を上げることを目指して、中小の組合員やメーカーでも利用しやすいWeb-EDIの導入に取り組みました。Web-EDIの利用にあたっては、組合員・同組合・メーカーが組織の壁を越えた「企業・産業横断的最適化企業群」を構成していくことを目指し、その進展度合いを計測する尺度としてペーパーレス率をモニタリングし、組合員・同組合・メーカーの三者間での徹底した合理化を推進しています。

携帯メール受信システムで、リアルタイムに情報共有

図1

商品力の強化

Web-EDIの推進によって多くの組合員の売上データ等を迅速に把握できるようになったことは、商品開発において、それまでの勘や経験頼みから、データ分析に基づく開発へと転換を可能としました。また、組合が新商品の画像および仕様を登録すると、それを使って組合員が小売店向けの提案書を作成できる仕組み「商品提案データベースシステム」を整備しました。さらに、組合および全組合員にグループウェアを導入し、提案の成功事例や新商品情報などを共有することで、組合員にとっては他社に負けないスピーディな商品提案が実現しました。これらのIT利活用を通じて、組合独自のPB商品力が強化されていきました。

IT経営推進の取り組み

Web-EDIは平成15年4月に稼動を開始しましたが、これが有効に機能するためには多くのメーカーの協力が必須でした。このため、導入当初は、東京、大阪、名古屋、福岡、和歌山と全国5ヶ所で計7回にわたりメーカーを対象とした説明を実施し、EDIの利便性を啓蒙し、普及の促進を図りました。Web-EDIによる業務効率化を計測する尺度としてモニタリングしているペーパーレス率は、平成15年の45%から20年には90%にまで上昇していますが、なおEDI普及率のアップを目指して、現在でも東京と大阪を中心に継続的に説明会を開催しています。また、商品提案データベースシステムは、商品力強化という課題解決に向けた方策を検討する中で、CIOから提案があり、開発を進めました。こうしたシステムはつねに改良していくことが必要ですが、その費用については、Web-EDIの利用でメリットを共有する仕入先メーカーにも協力を依頼し、システム利用者に対する「ネットワーク管理費」の課金システムを構築、取扱量に応じた協力費から収益が生まれる仕組みとし、その収益からさらなる業務改善や新規のIT投資の費用を捻出しています。

導入効果

EDIの利用社数は、Web-EDIの導入直前の平成15年3月から20年3月にかけて、5倍以上に増加しました。組合のデータ入力者(キーパンチャー)数は、導入前の6名から、現在では1名に減少しています。Web-EDIの広がりを受け、伝票を郵送していたときのようなタイムラグがなくなったことから、売掛金・買掛金の違算の発生が消え、組合員やメーカーからの信用度は以前にも増して高くなりました。また、EDIのデータフォーマットを標準化したことで、小売店から他の問屋に対してもこのフォーマットの利用に関する強い要望が寄せられ、その結果、業界全体のEDIデータフォーマットの標準化に寄与することもできました。

今後の展望

近年、情報システムについては、セキュリティ対策をはじめ多くの問題が発生していますが、組合員においては、システムの運用・管理を専門に行う社員が少ないのが現状です。今後は、組合でサーバーを導入し、組合員と共同利用することでコストを軽減するとともに、組合員企業内にシステム担当者がいなくとも運用できる体制を構築していくことを目指していきます。そのための準備として、ASPやSaaSについての研究を行っています。