印刷する


  • 仏壇仏具の製造・販売

事例ピックアップ
適切なタイミングのコンタクトで、世代を超えた顧客との関係を構築
〜京仏具株式会社小堀〜


  • インターネットを活用し、仏壇仏具の製造過程を公開
  • SaaSのリマインダー機能で、顧客と最適なコミュニケーション
  • 社内ネットワークの構築により年間336時間、198万円の節約

プロフィール

写真
企業情報
  • 企業名 : 京仏具株式会社小堀  
  • 所在地 : 京都府京都市下京区不明門通正面上る亀町5
  • 資本金 : 6,000万円
  • 従業員数 : 79人
業種

製造業、サービス業

導入目的

・顧客との関係強化のため
・社内での情報共有のため

企業概要

創業は1775年と古く、浄土真宗各派の仏壇・仏具を製造・販売しています。売上げ構成比は寺院が70%、一般家庭が30%。

導入の背景と目的

人口の減少や家族形態の変化、宗教や精神文化の多様化、さらに海外製品の台頭などにより、仏壇仏具の市場は厳しい状況が続いています。携わる事業者としては、既存の市場で単価を上げること、事業領域を拡大することが重要な課題です。日本人の選択可能な情報は、15年前と比べ1000倍以上、情報消費に対する供給量は2400倍といわれています(総務省)。ほとんどの情報が無視される中、自分と関係性のある情報だけは選んでもらいやすくなります。仏具を修復、買い替えようとする際に、真っ先に選択肢として思い浮かべてもらえる店を目指しています。

IT化の概要

□業務用アプリケーション・パッケージの活用
2002年から業務アプリケーション「奉行新ERP」を導入し、業務の改善に取り組みました。オフコンでは実現しにくかった情報の一元管理が可能になり、会計・販売・仕入・顧客・給与など、各種データの共有化に成功しました。本店と支店、工場の間はVPNで接続しており、タイムリーな情報共有と、課題抽出ができています。特に、「商品マニュアル」「商品製作進捗情報」「レターサンプル」「成功例情報」などは、サーバ内の回覧フォルダーで全社員が参照し、それぞれの業務に役立てています。また、テレビ会議システムで月1回の全店会議、年1回の年度経営画発表会を開催するとともに、朝礼の話をメール配信するシステム「朝礼インフォーム」などを活用し、方針の徹底と、共通認識の確認に努めています。ほか、2005年よりIP電話を採用し、本支店、工房間の通信コスト削減に取り組んでいます。
□SaaS/ASPサービスの活用
2010年から、SaaSによる顧客データベースを構築し、「顧客永代価値化」に取り組んでいます。顧客について深く知るとともに、リマインダー機能を使って個別のタイミングでコンタクトを取ります。一度購入した顧客との関係性を永続化する取組です。ただし、接触頻度が過剰になると、顧客の共感は反感に変わります。コンタクトは大切な人の法事など、限られたタイミングに限定し、売り手都合で発信することは控えています。
□ホームページの活用
ぶしつけな営業行為は嫌われる傾向が強くなっており、一方的なDM(ダイレクトメール)は2001年に廃止しました。また、従来型の広告宣伝はレスポンスが落ちているため、仏壇仏具に関心を持ったお客様に、カタログ請求をしてもらうホームページを構築しました。2003年頃には、インターネットによる「製作工程報告サービス」を開始し、顧客が注文した仏具の製作工程を見られる仕組みを作っています。同時に、社員ブログなどを活用して、顧客が安心できる情報発信に努めました。当時は食品業界をはじめ不祥事が続出し、消費者はサービス提供者の普段の姿が見たい、と求めていたのです。
2005年8月からは、音と映像、スライドなど、リッチなコンテンツを用いたプレゼンテーションで、来場者とスタッフが共感する「絆マーケティング」を実践。顧客が工房で涙することもある「感動の京仏具工房見学」のシステムを確立しまた。来場者は自分の感動を誰かに伝えたくなります。来場促進に向けた宣伝広告費は0円にもかかわらず、来場者数が急増しました。また、「仏事百科」「仏壇仏具選び方ガイド」「仏壇ショップ」「寺院ショップ」といったWebサイトを運営。認知から資料請求、成約まで、段階的な関係性の強化に努めています。

IT経営推進における取組み

IT経営責任者は代表取締役社長の小堀進氏が担っています。ITに関連する経営方針と業務規定、ルールを確立し、社員に共通認識を植え付けました。小堀氏はWeb更新の実務を一部担当するほか、ブログやツイッターでも積極的に情報発信しています。

導入効果

□人件費、賃借料などの固定費を削減
場所の離れた事業所間を、テレビ会議システム(スタジオBB)でつなぎました。社員のコミュニケーション能力を高めるとともに、移動などにかかる時間と費用を節減しています。年間で換算すると、336時間、198万円の節約に成功しました。また、新聞広告からインターネット広告へ切り替えて広告費を半減。1件のカタログ請求にかかる広告費は、10分の1以下になりました。
□新規事業、新ビジネスモデルの創出
SaaSの導入により、世代を超えて顧客との関係性を継続する「顧客永代価値化」を推進中です。また、インターネットを駆使した製作工程報告サービスにより、顧客の安心感を高めました。さらに、ホームページの公開を機に広報力も飛躍的に高まり、2004年のメディア露出は65回に達しました。これまでに、テレビ26本、ラジオ9本、新聞雑誌264回の報道を受けており、広告費に換算すると8000万円以上の露出と推定しています。
□顧客満足度の向上
上記の取組から、実際に工房を見学したいという消費者も増えてきました。将来の顧客獲得へつなげることを目指し、2005年8月から「感動の京仏具工房見学」システムを開始。来場者が別の来場者を呼び、数としては2005年度が490人、2006年度が765人、2007が年1014人、2008年度が1216人、2009年は1211人にまで増加しています。なお、工房を見学した見込み客は、100%の確率で成約します。