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  • 青果卸売業

事例ピックアップ
電子受発注システムの導入により業務・加工用野菜の売上を前年比20%増
〜倉敷青果荷受組合〜


  • 電子受発注システムの導入により、対応の難しい業務用・加工用野菜のニーズに応える
  • Web-EDI(Webによる電子商取引)とFAX-OCR(光学文字認識)の受注システムで24時間の受付体制を実現

プロフィール

写真
企業情報
  • 企業名 : 倉敷青果荷受組合
  • 所在地 : 岡山県倉敷市西中新田525-5
  • 資本金 : 2,700万円
  • 従業員数 : 205人
業種

青果卸売業

導入目的

・人的ミスをゼロにするため
・販路を拡大するため

企業概要

倉敷青果荷受組合は、カット野菜部、蔬菜部、果実部・輸入青果部で構成されます。岡山県を拠点に青果事業を核とした「食」にかかわる事業を多角的に展開している、クラカグループの中核的存在です。荷受け業務では、地元倉敷で65%という圧倒的なシェアを確保するとともに、時代のニーズに合わせて洗浄野菜、カット野菜の加工販売にいち早く取り組み、地元はもとより全国に配送するまでになっています。

導入の背景と目的

同組合では、地域に根ざした青果卸売業者として、岡山県全域、広島県、香川県の量販店を対象に卸売を手がけてきました。しかし、高齢化、単身世帯、女性の社会進出の増加などを背景に、惣菜や弁当といった中食・外食の加工・業務事業者からのニーズが拡大。対応できる体制の構築が急務と考え、1998年4月に戦略的分野としてカット野菜部を立ち上げました。以来、順調にシェアを拡大してきましたが、顧客サービスレベルを向上させながら、現場の作業効率を低下させず、業容を拡大していくには、IT経営をベースとした情報インフラ、アプリケーションの整備が不可欠でした。この分野で高品質かつスピーディな商品提供を実現することは、他を圧倒する大きな差別化要因として大変大きな課題でもあります。
また、生産地ではJAを中心に合併・大型化による出荷市場の集約化が進み、青果物の消費形態は日々変化し、多様化しています。小売流通業者は市場を介さない直接調達を拡大しており、商品の市場経由率は年々低下。卸売市場業界は激しい変化への対応を迫られています。
同組合では、従来からオフコンのシステムが稼働しており、経営数値は経営陣と一部管理職だけが把握していました。しかし、顧客満足度の向上が重要性を増す中では、現場の担当者が個々に情報を把握し、適切でスピーディな対応をとることが不可欠です。IT経営を実現することで、担当者が随時、必要な情報にアクセスし、より良いサービスを遂行できる環境を目指しました。経営に対する意識を現場に浸透させ、品質の高い商品・サービスが実現できると考えたのです。

IT化の概要

加工・業務用野菜を使用する事業者を対象に、Web-EDIによる受注を実現。さらに、社内の加工、ピッキング、配送に至るまで一貫したシステムを構築しました。これまで培ってきた業務ノウハウを組み込むことによって、作業の標準化と簡素化および品質向上が実現し、顧客サービスのレベルアップとコストダウンに貢献しています。このような仕組みは全国的にも少数で、中四国では他に例のないモデルです。特にピッキングシステムは、野菜の重量や硬さを計算することが可能で、作業者は指示どおりにピッキングしていけばそのままダンボール詰めして検品、発送できるよう工夫されています。
2009年12月、受注システムを導入して、事務作業を効率化しました。誤配送や品質クレームが減少し、顧客の信頼度が向上しています。2010年後期よりシステム面で最終目標としていたカット野菜工場の生産管理システム導入に向け、ITベンダーとの打ち合わせをスタートしています。このシステムは、現在すべて紙ベースとなっている工場への作業指示を、データに移行し、人によるミスを削減します。加えて、原材料のトレース、歩留計算、作業の進捗など、現場の見える化を図り、ITを活用した効率経営、コスト削減を目指します。価格競争力を付け、より一層の販路拡大、利益体質の強化を実現し、青果卸売業界の新しいビジネスモデルの構築を目標としています。
業務の現場で実際に使えるITシステムを導入するためには、業務とIT双方の高度なノウハウが求められます。IT経営を実現するにあたり、食品関連システムの得意なITベンダーと、計量器およびシール発行が得意なITベンダーの2社を連携させたことで、高度で専門性の高いシステムの導入が可能となりました。また、いかに戦略的で効果が大きいシステムでも、導入にコストと期間がかかり経営を圧迫したのでは意味がありません。システム導入にあたっては、既存の食品製造業向け統合パッケージと、受注・検品のパッケージを、当組合のニーズに合致するように組み合わせ、インターフェース部分のみを作りみました。さらに、パッケージシステムも、業務ノウハウの豊富なベンダーが開発しており、組合のノウハウも組み入れた高度なシステムとなりました。IT導入の企画、要件フェーズには現場の改善も含め1年間かけてじっくりと行い、実際の導入期間は並行運用を含めて3カ月と、本来の業務改善に集中できました。

IT経営推進における取組み

理事長自らがCIOの役割を担い、IT経営によって目指す効率化のビジョンを明確に掲げ、一大プロジェクトとしてメンバーを選任。プロジェクト期間中は、コミュニケーションを密にとり、随所にわたる意思決定を速やかに実行しました。担当部門長は、プロジェクトの推進、FAX-OCR化がスムーズに遂行できるよう、エクセルを利用して、事前に疑似発注書を作り、取引先の発注担当者に説明して回るなど尽力しました。事務アシスタントリーダーは、プロジェクトリーダーとして受注のWeb-EDI化を推進し、取引先のシステム担当者と打ち合わせながら、受注業務の簡略化に取り組みました。さらに、製造現場の意見を吸上げ、ITベンダーと折衝する際に、高いレベルでの妥協点を見出すよう根気よく話を進めました。また受注指示の流れが大幅に変わることを受けて、事務と製造現場の運用管理に努め、定着させました。

導入効果

従来のFAX受注から、約50%はWeb-EDI(Webによる電子商取引)へ、他はFAX-OCR(光学文字認識)へ移行したことにより、6〜19時の受付時間が24時間体制へ拡大しました。また、受注情報はデータベースに直接入力されるので、人による転記や入力作業のミスがゼロとなり、結果、誤納品も起こらなくなりました。受注後2日後の納品を原則としていたのに対し、システム導入後は翌日納品も可能です。また、長年培ったノウハウを盛り込んだピッキングシステムによって、配送中の商品劣化を防止し、月間40件ほどあったピッキングクレームが20件まで減少。事務担当従業員の作業負荷軽減にも役立っています。2010年8月は前年同月比で140%の売上を確保しましたが、作業時間は30%短縮しました。特に時間外勤務による作業時間は、事務員5名体制で合計約200時間/月から3名体制で約22時間/月へと激減しています。
従来のシステムでは、多様化し拡大する加工・業務用実需者のニーズに応えられませんでしたが、電子受発注システムの導入により、対応が可能になりました。カット野菜、ホール野菜の供給業者としては中四国エリアで唯一の存在となり、西日本でも屈指の事業展開が実現しています。中四国地区を中心に全国の外食全国チェーン、事業所給食の受託業者等120社1050店舗へ直接販売するなど、従来の市場内業務では考えられない販路の拡大につながりました。2010年度、カット野菜部の売上は前年比120%の20億5,000万円が予想されています。