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  • 農業資材の小売販売

事例ピックアップ
データに基づいた農家へのサポートで顧客数が61倍に
〜株式会社みらい蔵〜


  • 農家への営業を強化すべく土壌分析サービスを導入
  • 既存業者に代わるサポートで顧客の信頼を獲得
  • システム化によって従業員の稼働時間を削減

プロフィール

写真
企業情報
  • 企業名 : 株式会社みらい蔵
  • 所在地 : 豊後大野市犬飼町大寒1700番地
  • 資本金 : 2,010万円
  • 従業員数 : 17人
業種

農業資材の販売店舗を運営および訪問販売事業、土壌分析事業

導入目的

コストの削減と商品力、サービス力の強化を目指しました

企業概要

1997年設立。農業資材の訪問販売や営農指導、農作物検査法に基づく検査業務を生業とし、農業資材の販売店舗「夢アグリ」の運営を手がけています。同社は、地域密着型の企業として2002年から土壌分析機器やデータ解析の充実を図りました。「農業の基本は土づくり」をモットーに、土壌分析や肥料設計、農薬などの技術ノウハウを生かして、近隣地域農家へIT導入によるデータに基づいたきめ細やかな提案営業を行っています。個別の農家に合わせた土づくりから作物の販売経路までのトータルプランニングコンサルが特徴です。現在でも経験や勘で栽培している農家は少なくないため、農家に代行して作物の栽培履歴や購買履歴のデータを管理、提供しています。

導入の背景と目的

大分県は、中山間地域にあるため1ha未満の小規模農家が多く生産コストが掛かることや販売農家の高齢化率が全国平均よりも高いのが特徴です。2007年当時、主要顧客である小規模な近隣農家にとっては、農作物の販売額は低迷しているうえに、資材が高騰し生産コストがかさんでいました。後継者が育たず高齢化が進むなか、離農する農家も増加しています。JAの統合化で地域担当者の巡回も減り、農家へのサービスが低下。当時、大半の農家は肥料も農薬もすべてJA任せでしたが、サポートが得られなくなり、市版の農業資材を自ら購入することになります。しかし原価計算などが不十分なため、不安定な経営を強いられていました。農業には天候に左右されるという事業の特性はあっても、過去のデータに基づく栽培履歴は必要不可欠です。地方の零細な農家にとって栽培履歴や、農薬、肥料、資材のデータ管理は難しい問題でした。

IT化の概要

2007年に銀行融資を受けて土壌分析機器を導入したことで、分析の精度を上げました。土壌分析を受けた農家には、エクセルベースの営業カルテを作成し、他店舗とは異なる提案型営業の「土壌分析営農コンサルティング」戦略を広めていきました。地道な営業活動が徐々に効果を上げ、生産量や品質が上がる農家が増加。口コミで評判が広がり、米穀部門の売上アップと資材販売顧客の増加に結びついたのです。また、稼働開始時は、DOS版の基幹業務システムで得たエクセルデータをもとに、部門別、分類別の売上推移を手計算で集計していました。しかし、集計に時間がかかるうえに明確な売れ筋が把握できなかったことから、2009年より新しい情報技術を導入し、利益率の高い土壌分析、外商部門、米穀部門の売上向上および営業力の充実を図ったのです。新システムでは商品ごとの特性や使用上の注意点、顧客ごとのメモなどが入力できます。従業員自ら入力することで、商品知識とITリテラシーが向上しました。また、新システムで作業することで、当事者意識を持たせてモチベーションを上げる効果にもつながっています。
入力作業の代行は農家にメリットがあるうえ、同社にとっても提案営業のデータベースとなるのです。また、購買履歴は税務申告として年度末に一括して配布し、農家に喜ばれています。同社は、科学的な土壌分析による営業カルテを保有しているため、農家にとって病院のような役割を目指しました。
各農家を訪問する営業員には、営農指導に必要な商品知識や分析技術を身につけさせ、新しい販売スタイルを確立。天候や土壌の状態、過去の栽培履歴など複雑な要素がからむ農業においては、農家からの要望に応え、適切な提案をできる高度な商品知識や分析力、技術力が必要とされるのです。そのために情報システムを活用し、商品2万5000アイテムをデータベース化することで、営業員の能力向上をめざしています。営業日報は携帯電話から入力できるようにシステム化し、営業員の稼働時間を増やしました。

IT経営推進における取組み

中小企業診断士は、経営課題の抽出と事業計画の立案から運用までを指導。システム導入にあたっては、大分県IT環境整備事業の申請書作成から、ITベンダーとの折衝などシステム開発の実現および導入・定着までを支援しました。県からIT環境整備事業に認定されたことは、システム開発費の助成金を受けることに繋がり、資金調達の面でも大きく貢献しました。

導入効果

同社は農業資材を店舗および訪問によって販売するなかで、より質の高いサービスを農家へ提供するために業務のIT化を進めました。土壌分析サービスの事業を開始して、外商営業を強化。サービスを利用する顧客数と、米穀部門での資材販売の顧客数が増加し、資材販売の売上が3000万円アップ。2007年は20万円だった売上高が、2009年度には28倍となる560万円となっています。顧客数も43件から2630件と、61倍になりました。米穀部門の資材は3000万円の売上高と170件の顧客数を達成しています。「新販売管理システム」の導入により、売れ筋の商品を素早く把握することが可能となり、経験や感覚ではなく計画的な仕入ができるようになりました。結果、在庫を8.5%削減でき、年末の在庫一掃の安売りがなくなったため、コストの削減につながっています。また、現場から電子メールで営業内容の報告が可能になったことから、毎日2時間ほどかかっていた帰社後の事務作業が減少。資材や備品の情報を顧客ごとに管理した営業カルテの作成が簡略化し、顧客対応に充てられる時間が増加しました。アンケートによると顧客満足度が向上しています。