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事例ピックアップ
自社開発のプロジェクト利益管理システムで案件情報を管理 適切なリソース活用が可能に
〜株式会社エム・ソフト〜


  • システム化により業績予測の精度が向上
  • 情報共有が進み協力体制が強化
  • 受注の妥当性を事前に判断できる体制を整備

プロフィール

写真
企業情報
  • 企業名 : 株式会社エム・ソフト
  • 所在地 : 東京都台東区東上野二丁目18番10号
  • 資本金 : 10,000万円
  • 従業員数 : 276人
  • URLhttp://www.msoft.co.jp/
業種

ソフトウェア業

導入目的

業務スピードの向上、業務の効率化、可視化

企業概要

エム・ソフトは大手メーカーとの直接取引を中心とした受託開発を行っているソフトウェア開発会社です。画像・制御・業務・通信など幅広い分野でソフトウェアを提供し、画像処理を得意分野としています。リーマンショック後の不況下で8割に落ち込んだ売り上げをIT化や独自技術を用いた映像業界向けプロダクト「RayBrid」シリーズによる市場開拓で回復しました。2012年には中小企業庁が後援する第24回「中小企業優秀新技術・新製品賞」で、2D3D映像変換システム「ADDepth」がソフトウェア部門・優秀賞を受賞するなど、画像処理技術の優秀性とユニーク性も新たな強みとなっています。

導入の目的と背景

リーマンショックを端緒とするメーカーの開発投資抑制によってソフトウェア開発の需要が低迷・縮小し、メーカー依存型であった同社の2009年度の売上高は前年度比で20%減少していました。他社との競争が激化する環境において、営業情報収集から提案、見積り、受注までをいかに短期間で対応するかは死活問題であり、迅速な判断と行動で受注機会を最大限に確保することがますます必要となっており、またメーカーに依存しない自社プロダクトによる新規市場開拓も喫緊の課題となっていました。そうした中、部門ごとに情報を管理していて共有や意思決定に時間がかかる状況をIT活用によって改善することが課題となりました。

IT化の概要

□全社横断型で情報を管理・共有できるシステムを自社開発
リーマンショック後の不況下での売上激減を契機として、前述の課題を解決するために、プロジェクト利益管理システム(ProProシステム: Projects Profit Management System)を自社開発しました。このシステムでは契約案件ごとに受注確度、売上、原価、利益、要員計画、請求/入金日程などを管理。年間約600件の各プロジェクトの発生から見積り、受注、請求、入金までの流れを部門横断で一元管理するとともに、社内で進行中の全案件を集計することによって全社の年間業績予測を可能にします。具体的には案件発生から受注確定まで、システム上の受注確度情報を低→中→高→確のように更新。受注後は原価・工数実績を入力することによって、計画と実績との差分を監視できるようになっています。また社内で進行している全案件をいつでも集計できるので、受注確度で分けた年間業績予測をリアルタイムにレポートすることが可能になりました。システムを運用する計画部では、毎週の営業対策会議で当該システムによる業績予測レポートを経営層と管理職に共有しています。

□スピーディーかつシームレスな協力体制で売上高が回復
受注機会の損失を低減するため、それまで各部門(営業本部、事業本部、経理部)で別々に管理していた個別の営業情報、受注確度情報、売上情報、原価情報、要員配置情報などを、システムの共通データベースで一元管理し、各部門で共有。これにより部門間の情報交換や要員再配置などの調整のスピードが向上しました。また各部門が協力し合って、受注できる要員体制や機材等の作業環境を迅速に準備できるようになっています。その結果、受注が増え売上高のV字回復につながりました。

□受注の妥当性を事前に判断できる体制を整備
各プロジェクトの利益を確保するため、見積り段階から受注時および受注後まで各プロジェクトの原価と要員計画をシステムでチェックして最適化できるようにしました。特に見積り時に利益率が極端に低い、もしくは赤字の案件については、利益率の低さをどこまで許容して受注するかを事業部長が選別できるようになりました。その結果、無駄なコストの削減に成功し、利益率の向上につながっています。

□業務予想から適切なリソース投入が可能に
システムで全案件情報を集計する機能を活用して、経営層が全社の年間業績予測をリアルタイムに把握できるようにした結果、経営層が業績予測に鑑みてどこまで開発投資を許容できるかその都度判断できるようになりました。それによって新規市場開拓に適切なリソースを投入して自社プロダクトの品質を向上させたり、バンコクの子会社を活用したオフショアビジネス移行で中長期的なコストを低減させたりと、積極的に競争力を強化して市場開拓・販路拡大につなげることができるようになっています。

IT経営推進における取組み

「ProProシステム」の運用では、経営層、管理職、現場社員にそれぞれ責任と役割を制定し、全社で統一した業績管理プロセスを確立しました。特に係長以上の現場社員には担当案件をシステムに登録する役割を与え、それが売上や利益についての現場社員の意識向上につながっていきました。経営層から管理職、現場社員まで全社一体となった取組みが売上のV字回復を実現した成功要因だと考えています。

導入効果

□リーマンショックの影響で落ち込んだ売上をV字回復
2009年度は同社で最も売上が落ち込み1,687百万円となりましたが、IT化により2010年度 が1,916百万円(前年度比 114%)、2011年度 が2,024百万円(前年度比 106%)と回復を果たしました。それに伴い粗利率は、2009年度 19.2%、2010年度 21.7%、2011年度 22.9% となりました。
□IT化による適切な経営から新規事業を開始し売上を確保
それまで受託開発中心でしたが、映像業界などに向けたプロダクト・サービス事業を新規にスタート。プロダクト・サービス事業の売上高は、2009年度まで0百万円 だったのが、2011年度には165百万円を達成し、全売上の8% を占めるようになりました。
□情報共有が進み業務スピードが向上
「ProProシステム」のアクセス権限が係長以上に与えられたことにより、それまで30名の部課長以上のみ閲覧していた社内案件情報が、70名の係長以上の範囲に広がりました。情報共有する人数が2倍以上に増えたことで、受注に向けた要員体制の協力などで部門間の調整がスピードアップしました。
□システム化や情報共有で現場社員の意識が変革
係長以上の現場社員が自分のプロジェクトの原価と粗利を理解して、業務効率向上への意識が高まりました。また現場社員の営業への意識が高まったことで、受託開発においても対象製品の研究に基づいて顧客へさらなる改善提案をできるようになっています。

IT経営推進を支援した方々

なし