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新ビジネスモデル構築
不動産業

事例ピックアップ
プロパティマネジメントに対応するためのシステム再編が、新規事業に発展 〜株式会社ビッグ〜

  • ITを活用した賃貸事業の効率化を実現する賃貸物件検索システムを構築
  • 賃貸事業のシステムを基盤に、新事業を支えるプロパティマネジメントシステムを構築
  • 自社の業務システムをパッケージ化して不動産ASPシステムとして全国展開

プロフィール

写真 ビッグ
中小企業IT経営力大賞 情報処理推進機構理事長賞
企業情報
  • 企業名 : 株式会社ビッグ
  • 所在地 : 北海道札幌市中央区南10条西15丁目1番8
  • 資本金 : 4,800万円
  • 従業員数 : 250人
業種

不動産業

導入目的

新ビジネスモデル構築

企業概要

札幌市を拠点に不動産関連事業を展開する株式会社ビッグ。Webサイト上で、業界特有の情報操作を一切排除した、クリアな物件情報をリアルタイムに提供したことが評判となり、高成長を遂げた企業です。創業当初から、いち早くITの活用に取り組んできた同社は、インターネットの普及期に独自の物件データベースとインターネットを介した検索システムを構築。近年は、同業他社に物件データベースやデータの相互乗り入れ、あるいは不動産ASPシステムを全国販売しています。さらにプロパティマネジメントを軸としたリート(不動産投資信託)事業への進出も果たしています。

導入の目的と背景

不動産投資信託が解禁された2000年以降、全世界で不動産投資が急速に進展し、わが国の不動産業界もそれに対応するための変革が求められました。札幌圏を商圏とするビッグも例外ではなく、旧来の賃貸管理から脱却し、総合的なリート(不動産投資信託)事業に対応する必要がありました。

同社は、2005年の改正信託業法施行を受け、2006年には信託受益権販売業者として財務局登録を行い、不動産投資信託の「部門設立」と「運用」という課題に取り組みました。

不動産投資の運用会社には、投資案件の物件価値を維持し、最大化することが求められます。同社にとっては、従来から実績を持つ物件管理と賃貸(リーシング)のノウハウを最大限に活かし、プロパティマネジメント業務体制に移行することが急務でした。

IT化の概要

上記の課題を解決するため、同社はまず不動産投資信託に対応する「リート事業部」を新設し、全社をあげてフレームワークを構築し、不動産の信託サービスの取り扱いを開始しました。

また、主軸事業を支えてきた不動産賃貸・管理システム「けんさくん」をより強化し、プロパティマネジメントに対応可能なシステムへと変更。リーシング部門、管理部門、サポート部門の有機的結合を強化し、新事業に対応できる洗練されたシステムを目指しました。同社は、このシステムを全国展開し、投資事業、リーシング事業、管理事業が一体となった新事業形態を提案することを、新たな経営戦略と位置づけたのです。

業務プロセスの再構築にITを活用

同社は今回、個別に稼働していた複数の業務システムの統合を果たすとともに、プロパティマネジメントに対応するシステムとして強化を図りました。

業務プロセスを再構築する過程で、システムの再構築・統合により新たなサービスが提供できることが明らかとなり、同社は再編した業務システムをパッケージ化し、総合的なASPシステムを構築しました。さらに新事業(プロパティマネジメント)の要素を採り入れて洗練しました。

地元の同業他社に不動産ASPシステムを提供したことで、同社のデータベースが札幌圏内の賃貸物件データベースの基軸として位置づけられるようになり、これを利用する地域の小規模不動産業の競争力強化にも寄与しています。

IT経営実践前・後

図1

IT経営推進における取り組み

同社は、創業以来「不動産業は情報産業そのものである」との信念のもと、積極的にITの活用に取り組んできました。ITを活用した情報化の推進や戦略基盤の構築を、同社の取締役会が率先して取り組みの柱としてきたのです。

たとえば物件データベースを構築する以前から、営業−管理―経理間を専用線で結んだコンピュータシステムを構築し、業務プロセスの統合を果たしていましたが、これは不動産業界において実に先駆的な取り組みでした。

同社では、取締役会やCIO自身が取り組みの過程で得た教訓を明確化したことが、顧客満足度向上の発想につながり、さらにはIT活用による顧客への物件情報提供サービスの先鋭化、データベースを中心とした多様なサービスの構築・提供につながったと考えています。

導入効果

厳しい経営環境にありながら、ITの利活用を進めたことにより、同社は7年連続の増収を達成しました。また、札幌市内の不動産業界では高水準の報酬を支給しています。

立ち上げ間もないリート事業部においても、順調な滑り出しを見せており、開発したリート物件の売却を達成。すでに同社の経営を支える柱になりつつあります。

一方、賃貸物件検索システム「けんさくん」を札幌市内の同業他社にASPで提供したことにより、同社のデータベースが札幌圏内の賃貸物件データベースの基軸として位置づけられるようになりました。さらに地域の小規模不動産業の全体的な競争力の強化に寄与しています。

同社は今回、不動産業務において必須となる「自社物件管理システム」(物件数:18,000戸)も構築しており、このシステムの業務への活用と実績が評価され、札幌商工会議所北海道IT活用撰集「顧客満足部門優秀賞」、IT経営百選「最優秀賞」、情報化月間「経済産業大臣賞」を受賞しています。

今後の展望

経営環境や業界動向が激しく変化する中、変化に対応する体力を維持する要件として、同社は長期的な人材育成の重要性を挙げています。同社ではリート事業部の立ち上げに併せ、人材育成の基盤強化を図るべく、社長室直轄の人材採用・育成の特別プロジェクトを発足しました。今後はこのプロジェクトにおいて、継続的な新規雇用の取り組みと、教育システムの構築を推進していく計画です。

また不動産ASPシステムの販売事業の強化にも積極的に取り組んでいきます。具体的には、販売パートナーとのコラボレーションを強化するとともに、システムにおける強化ポイントとして、賃貸物件から売却物件までを網羅したデータベースの拡充を進め、総合的な競争力の更なる強化を図っていく予定です。