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プロフィール ![]()
卸売業(漬物) 業務効率化・生産性向上 企業概要 千代田漬物は、千葉県全域を対象に事業を展開する漬物の総合卸売り企業です。同社の特徴は取り扱い品種の多様さとフットワークの軽さ。メーカーからの仕入品販売が中心ですが、32年にわたる取り引き実績から、同社の取り扱い品目は2000種類におよび、一部では協力工場を活用したプライベートブランドも展開しています。また、ほぼ100%自社便による配送システムを構築したことで、主要スーパー向けに棚陳列や商品選定を代行し、外食産業に対しては日々の使用量に合わせた少量配送を実現するなど、高度なサプライチェーンを実践しています。 |
大規模小売店の増加による零細小売店の減少、中国・アジア各国からの安価な輸入品の急増による低価格化を受け、千代田漬物では売上高の減少が続いていました。一方、大型化した得意先では、店舗ごとの個別発注・納品を見直し、本社集中購買・物流センターへの365日一括納品方法へと転換したことにより、千代田漬物が強みとしていた棚陳列・商品選定代行のフルサービスも方向転換を迫られました。導入から8年が経過し老朽化した販売管理システムの早急な見直しが求められましたが、旧システムの導入当時、社員の理解を得ないまま導入に踏み切り、その反発から大量退職を引き起こしたという苦い経験がトラウマになっていたのです。
そこで同社は、経営数字の「見える化」と実績数値のフィードバック、新規顧客の開拓、業務プロセス全体の見直し、さらには社内のコミュニケーション強化と評価制度の構築の実現に向け、取り組みを進めました。
同社の具体的な施策は次の4つでした。
1つは遅れ気味だった月次会計を月初で把握し、営業情報を共有することで、部門単位の目標を意識させること。
2つ目は、大規模得意先の求める365日・多品種少量納入体制をシステム化し、属人的要素を排除したこと。
3つ目は、業務プロセスの人別 / 時間別 / 役割別フローへの落とし込み。
4つ目は、全社員による自発的コミュニケーションの創出と、社員の手による等級別・職能別評価制度の構築でした。
旧販売管理システムは、売上・請求・入金の各伝票発行と売掛・買掛管理に特化したシステムでしたが、新システムではパッケージソフトに合わせて業務プロセスを見直し、ソフトをカスタマイズすることなく導入することに成功しました。受注入力に連動した発注管理、在庫管理、仕入管理がリアルタイムに行われるとともに、全営業担当者が自ら伝票を発行できるようにしたことで、売上分析などのデータ活用を目指しました(図1)。
また、新たに会計・給与システムを導入することで、会計事務所に委託していた会計業務を自社会計に移行することを目指しました。
全社員が電子メール・携帯メールを利用できる環境を整備し、社内情報伝達のスピード化を図るとともに、グループウェアを導入することで、電子会議室での意見交換や、稟議書・有給休暇などのワークフローを活用しました。その結果、担当者のすれ違いによる時間差、拠点間の距離差を解消することができました。 |
図1 |
同社では1991年に販売管理用のオフコンを導入、1997年には2代目システムへと移行しています。2代目システムは先進的なシステムであった半面、社員が理解する時間を取らないまま導入に踏み切ったことから、大量退職を招くという苦い経験がありました。そこで、新システムへの切り替えに際しては、ITコーディネーターを招聘。「社員とともにシステムを作る」というアドバイスのもと、経営戦略策定から、情報化企画・業務の見直し、IT製品・システム会社の選定、そしてIT導入作業・業務改革、さらには基幹システムの稼働・調整という5つのステップを、1年かけて実施しました。
推進体制は、営業部長をリーダーとし、社長を含めた6名のプロジェクトを立ち上げ、さらに事務担当者も参画。各ステップ終了時には、進行状況や決定内容をまとめた社内報を作成するなど、進行状況や決定内容を全社員に開示することで、当事者意識を高めることに成功したのです。
既存客売上の減少が続いてそれまで4年連続で減少していた売上高が、基幹システムの入れ替えに伴い新規取引先が増加したことで、2006年度には大幅に増加しました。粗利率も、二重発注、過剰仕入、賞味期限間際の値引き販売などの減少により上昇しています。また、作業時間が大幅に短縮されたことで、事務部門が営業支援を兼務できるまでに効率化が進みました。そして自社会計を実現したことで、月次決算確定前に売上、粗利、計上利益の把握が可能となり、最新データを営業戦略立案に活用できるようになりました。
それ以外にも、プロジェクトメンバーには、幹部やリーダーとしての意識が芽生えるとともに、全社員が経営戦略を意識し、目標達成に向けた積極的な努力が見られるようになりました。業務の平準化が進み、全社員が販売管理システムを中心に行動する体制になったことも大きな収穫です。加えて、メールとグループウェアの利用により、本支店間や外商営業とのコミュニケーションが向上し、得意先との商談もスピードアップしました。
業務の効率化を達成したことで、より安定した利益構造の確立を目指す同社。今後は、社員の意識レベル向上を徹底し、成果に対する報酬還元を引き上げることで、若手や女性社員が意欲的に業務に取り組める組織を目標としています。一連のプロジェクトを通じて取り組みの目処はついたものの、いまだ実行できていない戦略もあるため、同社では今後も実施・徹底に努めることを宣言しています。
また、同社では社長経営目標に基づき、中期計画を策定しています。事業拠点の拡大、成果報酬制の導入、産官学の連携強化、漬物プロ集団を目指しての一層の精進、農家や生産工場など取引先との資本提携といった大きな課題に、2008年度から5ヵ年の計画で取り組む予定です。