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プロフィール ![]()
小売業(衣料品) 業務効率化・生産性向上 企業概要 久恒衣料は、カジュアルファッション専門店「アビ・ヒサツネ」を大分県と福岡県に9店舗展開する衣料品小売企業です。衣料専門店としては大規模な1000坪クラスの店舗内に、婦人服からティーンズやキッズ、メンズ、インナーウェアまで、常時10万アイテム以上を品揃えし、幅広い世代層のニーズに応えているのが特徴です。SPA型ではなく、国内の仕入先600社以上から商品を調達する商品集荷型政策をとる同社は、商品カテゴリを週単位で管理するとともに、商品ベンダーとカテゴリ管理情報を共有することで、膨大な品揃えを実現しています。 |
衣料品小売業界では、消費者のニーズの多様化や急速なトレンドサイクルによって、売上不振となるカテゴリの増加が深刻化しています。久恒衣料が地盤とする商圏においても、全国区の衣料品専門大手が次々と進出し始め、地域に占める売場総面積の増大と飽和した消費の影響から、衣料品の平均単価が10年で34%も下落する事態に直面しました。
その影響による、販売戦略のローコスト・オペレーションへのシフトや、肥大化した商品アイテムをPOSシステムで単品管理するために生じた顧客ニーズへの対応鈍化、そしてカテゴリ提案力の欠如といった問題に対処するため、同社は低価格商品を迅速かつ効率的にマーチャンダイズするITを活用した経営改革に着手しました。
従来の「ベンダー・バイヤー支援システム」では、伝票類や一覧表など紙による情報のやり取りが商品ベンダーとの間で行われていましたが、新システムではPOSシステムとEDIによるデータ交換に移行することで、商品の在庫管理を詳細に実行し、在庫の過不足をスピーディに調整できるようにしました(図1参照)。
また、これまでバイヤーが主導していた商品集荷体制から、店舗を基点にしたカテゴリ提案体制へと移行するとともに、売れ筋商品の陳列方法を検討する「棚割りシステム」と「フロアレイアウト」の各情報を、久恒衣料と商品ベンダーとがインターネット上で共有し、従来の単品管理からカテゴリ単位での管理へと変更しました。
具体的には、100〜200品目を自由に編集し、カテゴリを再構成しやすくすることで、新しいカテゴリ提案をスピーディかつ多頻度に実行できるようにしました。商品ベンダーにもカテゴリ管理に参加してもらうことで、シーズン内の迅速で的確なカテゴリ商品開発を促す効果も狙っています。 それにより、迅速な新規の棚割展開と、売上不振カテゴリの早期発見・再編集・売り切り判断で、不動商品の削減を目指します。カテゴリ開発は売り場起点で、カテゴリ管理(品目改廃)は本部起点で、そして品目多様化は商品ベンダー起点で機能分化することで、衣料品販売大手に対抗するスピード経営の実現を目指しました。 |
図1 |
システム導入にあたり、同社は経済産業省の『中小企業戦略的IT化促進事業』助成金を受けることで単年度でのIT設備導入を実現し、IT要員も2名から11名に増員するなど社内のIT環境の整備を整えました。
システム開発では現場の声を重視し、IT責任者、各店舗の店長、取引先のキーマン、ITコーディネーター、システムベンダーなどとで協議を重ね、業務に即した利用しやすいシステムの構築を目指しました。また、カテゴリ管理情報共有のため、商品ベンダーとの間でコンソーシアムを組み、積極的に情報公開を行なっています。
さらに、今回のプロジェクトではモデル店舗を設定し、ITシステム先行導入とシステムの有効性を高めるための什器備品の入れ替えや、研修会を通じた社員教育を実施してきました。このモデル店舗の取り組みに対する効果を検討し、今後は全店にシステムを導入していく計画です。
2007年6月から、「新ベンダー・バイヤー支援システム」による陳列台ごとに単品を束ねるカテゴリ管理に移行し、13人のバイヤーが一月に140個近くのカテゴリを新規提案することで売り場鮮度が向上。モデル部門での売上が前年比103.5%を達成し、1700台の陳列の中から4割ほどの非効率なレイアウトを抽出することが可能となりました。
値下げ判断の早期化で在庫金額は前年比89%、過剰陳列の削減と売り場作業の定量化で店舗人件費は前年比90%を達成し、生産性の向上を実現しています。
また、カテゴリ編集による仕入のジャストインタイム化により、多頻度な商品の入れ替えや新規補充が可能となり、売れ筋カテゴリの発注から納品までを最短2日で実現するようになりました。
さらに、商品グルーピング化の成果として、顧客にとって選びやすく買いやすい店内へと変貌し、社員も次週や次月を意識したフロア管理を心がける積極性が高まっています。
「新ベンダー・バイヤー支援システム」を活用することにより発生した新たな業務である売上不振のカテゴリの再編成や、在庫・回転率・売上等の情報を基に実施する店舗運営等の「コントローラー」業務は、現在バイヤーが兼任している状況のため、今後は独立した業務として切り離し、専任の担当者となる人材を育成する環境を構築します。
また、同社は当システムを基盤とした店舗設定の標準化を図ることにより、店舗のチェーン化に伴う新店舗の立ち上げの迅速化や、店舗維持におけるローコスト化に役立てていく計画です。
なお、2007年の10月から「アピレル」ブランドとして展開しているインターネット販売事業は、現在のところ売上全体の2%程度(月商800万円)ですが、実店舗でのシステム導入によるカテゴライズのノウハウをアピレルにも応用し、早期に3〜4倍の規模まで拡大することを目標としています。