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見える化によるリアルタイム経営
その他の製造業

事例ピックアップ
リアルタイム操業マネジメント・システムの導入により業務改革と収益向上を実現した出光興産 〜出光興産株式会社〜

  • 標準化されたリアルタイム管理指標により、提言型業務への変革に成功
  • 13分野のKPI(業績評価指標)により問題点を迅速に把握・分析でき、タイムリーな意思決定が実現
  • リアルタイムの情報共有により、部門間の意思疎通が向上

プロフィール

写真 出光興産
企業情報
  • 企業名 : 出光興産株式会社
  • 所在地 : 東京都千代田区丸の内3-1-1
  • 資本金 : 1,086億円(2007年3月末現在)
  • 従業員数 : 7,474名(2007年3月末現在)連結
業種

その他の製造業

導入目的

見える化によるリアルタイム経営

企業概要

出光興産株式会社は1940年に設立され、1971年に上流から下流までの一貫した石油開発事業に本格参入しました。現在は、ノルウェーや東南アジアを中心に石油・天然ガスの探鉱・開発・生産プロジェクトを推進し、自社開発油田の生産量を徐々に拡大し、安定した収益を上げています。また、石油精製で培った触媒技術を活かした燃料電池の開発や、有機ELといった電子機器材料などの開発・製造・販売も行っています。

リアルタイム操業マネジメント・システム導入の目的と背景

出光興産では、1980年からIRIS(Idemitsu Refinery Information System)と呼ばれる製油所・工場の操業管理システムをホスト計算機で構築し運用してきました。しかし、保守運用コストの増大やシステムの老朽化、2000年問題などへの対応が必要となり、1999年に新IRISとして再構築しました。新IRISは、WindowsNT4.0搭載のサーバとPCを利用したクライアント/サーバ型システムで、操業情報の一元化や各製油所間の状況比較を実現しました。しかし、扱うデータが広範かつ精細であるため、必要なデータに辿り着くのに労を要していました。その後、ハードウェアの老朽化やOSのバージョンアップが必要になったことを機に、2005年に新システムの検討に入りました。

リアルタイム操業マネジメント・システムの概要

リアルタイム操業マネジメント・システムは、「迅速な操業状況の把握」「問題点・課題の見える化」「リアルタイムな操業情報の統合・集約化」の3つのコンセプトを掲げ、安全・安定運転の向上、コンプライアンスの徹底、業務改善・改革の推進、収益改善、ロス低減の推進、業務のスピードアップを目指しました。

標準化されたリアルタイム管理指標による提言型業務への変革

まず、業務効率化の実現を目指して、従来のピラミッド型組織での「報告型業務」から「提言型業務」への変革を考えました。たとえば、トップ・マネジメントへの業務報告では、現場担当者は新IRISなどの既存システムから取り出したデータを表計算ソフトなどでグラフ作成などの加工を行い、それらを分析・整理し最終的な資料にまとめて報告していました。この手順は、現場スタッフだけでなく役職者も含め各階層で繰り返されており、生産的な業務を圧迫しがちでした。

構築のコンセプト

図1

そこで、「提言型業務」の実現に向けて、既存のデータベースを統合し、さまざまな情報をリアルタイムに把握・分析できる、視覚的にも優れたリアルタイム操業マネジメント・システムを構築しました。この新システムでは、表1に示す13分野のKPI(業績評価指標)をトップ画面に集約しています。

表1 リアルタイム操業マネジメント・システムでの13分野のKPI
1. 安全管理 2. 環境管理 3. 品質管理 4. 収支改善
5. 生産管理 6. 運転管理 7. 省エネ管理 8. 設備管理
9. 用役管理 10. 高度制御 11. 入出荷計画 12. 油種在庫
13. 入出荷実績  

このトップ画面において、ある主要管理指標に問題がある際はその項目が赤く表示されます。その主要管理指標をクリックするだけで、その指標にかかわる更に詳しい情報の画面が展開され、問題の原因を突き止めることができます。

ドリルダウン機能による品質管理値外の不合格項目の原因調査例

図2

IT経営推進の取り組み

今回のリアルタイム操業マネジメント・システムの構築にあたって、同社では多様なシステム開発会社の情報に加えて、海外の同業他社の動向も調査しました。その結果、石油プラントを熟知しており、かつ海外の同業他社で導入実績が豊富なリアルタイム操業ソリューションを扱えるシステム開発会社を選定しました。そして出光興産の技術部のプロジェクトリーダーを中心にして、同社の情報システム部と技術部、システム開発会社、製品ベンダー、北海道製油所のリーダーなどで連携体制を組んで、日本型経営思考や従業員重視の視点などを考慮しながら要件定義を行い、システム構築を行いました。

導入効果

リアルタイム操業マネジメント・システムの導入により、以下のような効果が得られました。

毎朝、所長/副所長および各課の課長は各人が確認すべきKPIをチェックし、30分間の保全連絡会議において操業情況と問題点の報告・確認を行うことにより、意思の疎通や認識の共有化が向上
これまで漠然としていた問題点が、リアルタイムにシステムの画面上で数値やグラフとして見えることで共有できる効果は大きく、品質、安全環境部門などの間接部門からも問題提起されるようになった
各担当者やスタッフなども自分の業務が何に役立っているのかがわかるようになり、自信と誇りを持って仕事に取り組むようになった
需要情況に応じ現場で迅速な判断が行え、ロス改善と収益向上を実現した
例:原油在庫や油種の確認から、重油の需要の落ち込みを確認した際、重油より需要の高く、高収益に繋がるガソリン、灯油・軽油の生産に装置を切り替える
上記のような需給の変化からサプライチェーンも視野に入れた経営課題の発掘と対応が可能になり、収益の改善を実現した
各種定型資料の自動作成により業務のスピードアップが実現したとともに、リアルタイム操業データの確認によってタイムリーな意思決定を実現した
システムの定着と効果

図3

今後の展望

リアルタイム操業マネジメント・システムは、今回、北海道製油所において導入されました。そこでの成功を受けて、2008年上期中に、全製油所・工場・本社にシステムを展開していきます。また、本システムの各機能にベテランのノウハウを取り入れ、事象や現象から原因分析が可能な仕組みを整備していく予定です。