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企業間連携
自動車リサイクル業

事例ピックアップ
国内・海外を結ぶ独自の中古部品流通ネットワークシステムを開発。他社へのASP提供により更なる成長を目指す 〜会宝産業株式会社〜

  • 在庫管理データベースを核に仕入管理、販売管理、生産管理などのシステムを連携
  • 二次元バーコードを利用することで、入庫車輌管理の自動化と作業負荷軽減を実現
  • アライアンス企業にシステムを提供する新しいビジネスモデルで、業績を拡大

プロフィール

写真 会宝産業
中小企業IT経営力大賞 ITコーディネーター協会会長賞
企業情報
  • 企業名 : 会宝産業株式会社
  • 所在地 : 石川県金沢市東蚊爪町1丁目25
  • 資本金 : 2,400万円
  • 従業員数 : 53人
業種

自動車リサイクル業

導入目的

企業間連携

企業概要

1969年創業の会宝産業株式会社は、石川県を拠点に使用済自動車の引取、解体、破砕前処理および中古車、中古部品の輸出販売を行う企業です。同社は自動車中古部品の海外取引ノウハウを活用した世界規模での販売、物流ネットワークを構築し、世界約58ヶ国へ中古車、中古自動車部品を輸出しています。また、リサイクル業界の社会的地位向上を図るため、NPO法人を設立。独自に自動車リサイクル技能士制度を創設するなど、環境・自動車リサイクル推進の啓蒙活動を行うことで、自動車の循環型社会実現を目指しています。

導入の背景と目的

同社では、海外の販路拡大にともなって需要が拡大しましたが、自社で供給できる量には限界があり、慢性的な供給不足が続いていました。しかし廃車の調達は距離が広がるほど輸送コストがかさむ一方、地域商圏での買い取り量には限界があり、一定以上の売上を見込めないことから、従来とは違う解決策が求められていました。
また、入庫車輌管理・生産管理の現場では転記・再入力過程でミスが発生する、車輌とエンジン以外の部品の在庫管理がされていないなどの問題を抱えていました。そのほか、在庫・売上・仕入れ・経理が連動していないため社内作業に時間をとられる、営業では受注を決めるのに品揃えや価格交渉に多大な労力を必要とするなど、業務プロセス上の課題も山積していました。
そこで同社では、国内同業者とのアライアンスを通じた自動車中古部品の供給能力強化と、海外の販売拠点作りの推進しつつ、部品の安定供給、品質確保を同時に実現するという目標を立て、その実現に向けて情報化による支援(中古部品在庫情報の一元管理と品質基準の統一)を課題解決の中心に位置づけました。

IT化の概要

中古自動車部品の製造・販売業務統合管理システム

2005年に稼動を開始した同社の「KRAシステム」は在庫管理データベースシステムを核に、仕入管理、販売管理、生産管理などの各サブシステムで構成された中古自動車部品の製造・販売基幹業務統合管理システムで、2次元バーコードによる中古自動車部品の個体管理を行い、販売先までの商品のトレースが可能なシステムとなっています。
IT化のポイントとしては、部品登録、削除、検索などのインターフェイスをアライアンス加盟企業へ提供し、また、アライアンス加盟企業の必要に応じて各サブシステムをASPサービスとして提供していることです。また、海外顧客に対しても、同様のシステムを英語バージョンで提供したことで海外の在庫情報も把握できるようになっています。

同業者へのシステム提供で仕入れ・販売網を拡大

さらに同社では、国内の自動車解体業者と部品調達、コンテナ作成を連携・協業する「KRAアライアンス制度」を開始。同業者から集めた各事業所の車輌と部品の在庫情報をホストコンピュータで一元管理し、販売先の海外エージェントともアライアンス契約することで世界的な自動車中古部品流通ネットワークを構築することに成功しました。現在では海外の販売先に価格、納期情報が公開されており、ネット上からのコンテナ発注が可能になっています。こうしたアライアンスの結果、仕入先は、部品を登録することで販売機会を拡大でき、販売先は個別に仕入先を探す手間が省けることなり、双方の機会ロスを減らすことができました。さらに代金回収や貿易書類作成などの手続を同社がすべて引き受けることで、加盟企業の負担が軽減され本来業務に注力できる仕組みも用意されています。同社自身もネットからの受注を拡大することで、営業・事務作業面の効率化を図り、売上増加が期待されています。

同業者へのシステム提供で仕入れ・販売網を拡大

図1

IT経営推進における取組み

同社では経営戦略上、IT化の位置づけが明確であった上に、IT経営に対するトップの熱意が非常に大きいこと、そしてその想いを具体化するCIOが存在したことが、IT化を推進するエンジンの役割を果たしました。
一連のIT化のきっかけは、CIOが手作りの旧システムをWebシステムへ再構築することを考えていた頃に、石川県シニアSE実践事業へ参加したことでした。翌2003年度には石川県ITSSP事業に参画し、経営戦略から情報化企画書を作成。2004年度には経済産業省「IT活用型経営革新モデル事業」に応募して採択され、助成金を活用して2005年4月にIT化を完了し、「KRAシステム」として現在の情報システムを稼動させることができました。
IT推進の取組みとしては、様々なIT経営推進イベントやセミナーに参加したり、社内各部門の若い社員に事業計画をプレゼンさせるなど、社員のIT経営意識向上とモチベーションアップを図っています。社外人材の活用にも積極的で、ITコーディネーターの支援を受け、積極的に事業に取組んでいます。

導入効果

KRAシステム導入の結果、在庫管理、品質管理の精度が向上し、顧客の信頼性向上につながっています。社内では仕入・生産・販売の各部門の連携がスムーズになり、人的ミスが減少したために、出荷指示から積み込みまでの作業効率も向上し、棚卸の時間が半分になりました。また、出荷動向や販売履歴を参照できるようになり、調達・販売の計画立案や取引先との交渉も進みやすくなっています。

アライアンスによる販売先と仕入先拡大の結果、売上は2004年度8.2億円から2006年度15.2億円へと3年間で185%増加しました。また、アライアンス先5社にKRAシステムを展開し、KRAシステムのネットワークを拡大しています。
一連の改革で収益目標が明確になったことに加え、メディアの扱いが増えたことで、社員のモチベーション向上が得られたことも大きな成果です。

今後の展望

今後は現在国内で利用している部品の単品流通システムを海外に拡張する予定です。そうすることで、現在日本に来て中古車部品の買い付けを行っている海外バイヤーの負担を減らし、海外への販売が大きく促進することが期待されています。
また、次期システムでは、これまで蓄積されたパーツデータ(相場価格情報、エンジンは音や振動で品質を評価した品質データなど)をICタグで管理し、データベース化して提供する仕組みを構築する計画です。さらに、現地での買い付けを不要とするリアルタイムWeb受発注システムへ高度化することで、将来的にはコンテナ流通からも人手による受発注をなくし、Web上でのリアルタイム受発注処理を目指します。
今後も同社では、現行システムの付加価値化を通して、KRFアライアンスへのさらなるシステム展開と、加盟企業とWIN‐WINの関係を推進する方針です。将来的には自動車解体業から部品輸出業そして情報流通業へと、大きな経営革新を目指そうとしています。