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見える化によるリアルタイム経営
製造販売((ボルト)および工事業(鉄骨基礎))

事例ピックアップ
全社最適化から共同体最適化へ 新規ビジネスモデルを実現すべくIT経営を実践 〜大津鉄工株式会社〜

  • ICタグの導入により、全業務情報の「見える化」と「日次管理」を実現
  • 基幹業務システムを構築し情報を統合データベースに集約、三位一体の総合サービス事業の管理を一元化
  • WebシステムとWeb-EDIを活用した企業間連携システムで「共同体最適化」へ

プロフィール

写真 大津鉄工
中小企業IT経営力大賞 ITコーディネーター協会会長賞
企業情報
  • 企業名 : 大津鉄工株式会社
  • 所在地 : 愛知県弥富市
  • 資本金 : 6,600万円
  • 従業員数 : 87人
業種

製造販売((ボルト)および工事業(鉄骨基礎))

導入目的

見える化によるリアルタイム経営

企業概要

創業85年の歴史を持つ大津鉄工株式会社は、ネジ製品を中心とした建築用金属製品を創業以来一貫して製造販売してきた企業です。お客様のニーズの変化に対応し、25年前から「ボルトのアッセンブリー・組み立て」を手掛け、15年前からは「柱脚基礎ボルトの現場施工」事業を展開しました。さらに近年では、構造設計図から施工図までの作成を手掛けるようになり、鉄骨柱脚基礎工事の一貫責任品質保証施工システムを構築しています。製造・販売・工事の三位一体となった同社の事業展開は、全国初のビジネスモデルとして業界の注目を集めています。

導入の目的と背景

大津鉄工では、2005年に経営者が交代し、新たな経営方針が掲げられ、全社的なリストラクチャリングを行いました。同時に、業績目標と達成時の利益配分を明確化し、お客様の声の「見える化」を短期間に推進すべく、IT経営に取り組みました。
具体的な施策としては、社内の情報共有を進めるため、全社統合データベースを有する基幹システムを構築し、全業務情報の一元化を実現することによって、各種情報を戦術的業務に活用できるようにし、さらに、信頼できるビジネス・パートナーとの連携した新事業を構築し、新ビジネスモデル事業の全国展開を図っていくことを目指しました。

IT化の概要

上記施策を実現するため、大津鉄工はまず、オープン系基幹業務システムを構築することにより「全社最適化」に取り組みました。次に顧客や仕入先との間で情報連携を実現すべくWebシステム、およびWeb-EDIを活用。これにより企業間連携すなわち「共同体最適化」を推進しています。

新ビジネスモデルを実現した基幹業務システム

同社の具体的な取り組みを振り返ると、2004年にICタグを導入し、2006年にICタグを活用した各業務部門の「見える化」と「日次管理」を確立しました。また、基幹業務システムを2004年に構築。新しいビジネスモデルである「製造・販売・工事の三位一体」の総合サービス事業において、複雑多岐にわたる業務の効率化、目的に沿った管理の一元化を実現しています。2007年には、テレビ会議システムを導入し、社員の業務効率化と経費を削減しています。

企業間連携システムによる共同体最適化

また、全国施工業者の工事連携に必要なWeb-EDIを導入し、ゼネコン・施工業者の受発注データから工事進捗・完成後の検査情報まで、一貫したトレーサビリティを構築しました。さらに、鉄骨基礎柱脚アンカーボルト施工工事で開発した新工法を普及させるため、「アンカーボルトメーカー協議会42社」および「全国施工連絡会」の相互協力による新連携事業として、企業間連携システムも構築しています。「共同体最適化」により、顧客の信頼の獲得と、競争力の強化を図っています。
2008年4月に稼動予定の総合情報管理システムでは、顧客と仕入先と同社をWebで結ぶ情報連携システムであり、基幹業務システムとの連携により、さらに関係するすべてのビジネス・パートナーがメリットを共有できるようにしています。
(図1)

企業間連携システムによる共同体最適化

図1

IT経営推進の取り組み

同社では、2004年より「革新経営」改革を本格的にスタートさせました。メインバンクの支援で、IT経営コンサルティング会社による会社分析を実施。「IT活用事業計画」の検討を進めるなか、ITCA(特定非営利活動法人ITコーディネーター協会)からITコーディネーターの紹介を受けました。このITコーディネーターの助言により、経済産業省の「経営革新事業」を申請し、コンサルティング契約を締結して補助金事業参画が始まりました。その後、経営幹部や管理者数十名が「ITプロジェクト研修」を受講し、戦略策定や戦術施行などの業務に活用しています。また、IT経営応援隊やITコーディネーターなどの公的事業・社外人材の有効活用によって、同社のIT経営は加速度的に発展しています。

ITCA:ITコーディネーター協会の略。ITコーディネーターとは、経営とITの両面に精通し、企業経営に最適なIT投資を支援・推進することができるプロフェッショナルのこと。

導入効果

同社では、全社員参加によるIT管理システムの構築を推進したことにより、2003年以降、増収増益を継続して達成しています。また、ITの活用により業務効率も向上し、営業活動において継続的に新規顧客の獲得が可能になっています。また、新システムでは、販売価格管理と製造原価管理を一元化したことで、製品個別の利益額を把握できるようになり、経常利益率の向上につながっています。
基幹業務システムの運用においては、次のような定性的な効果も得られています。

まず、生産・販売に関わるあらゆる工程で、データをリアルタイムに入力することにより、すべての部署からの「見える化」が実現できました。(図2)

さらに、取引先営業情報のデータベース化により、あらゆる部署・工場からの顧客管理が可能となり、部門担当ごとのソリューション営業が可能です。従来よりも一段高い視野を持った営業活動にシフトでき、競合他社よりも包括的な提案ができ、より優位な事業活動を実現しています。

導入効果

図2

今後の展望

同社では、2008年稼動開始予定の総合情報管理システム「O-TOSステーション」に期待を寄せており、さらなる業務効率の向上を図っていく計画です。また、Web-EDIの導入と普及が、同社にとって今後の課題となっています。

これまでの事業改革では「トップダウン」式の方策をとり、IT化においてはスピード重視で進めてきました。しかし今後は、全社員への安定したルール定着と地道な提案活動による「ボトムアップ」式の実践が、さらなる事業発展と新たなビジネスチャンスの獲得には重要になると同社は考えています。同社は、ボトムアップによる「全員経営」を実現すべく、さらにはITシステムの改善・新規構築、ITツールの活用を進めていく計画です。