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プロフィール ![]()
一般機械器具製造業 情報・ナレッジ共有 企業概要 愛媛県松山市を地盤とする山本製作所は、1925年創業の機械製造企業です。トラクター用ロータリー・コンバインなどを生産する農業用機械部門、建設作業車両用キャビン・カーゴクレーンなどを手がける建設機械部門、そして自動車用プレス金型や樹脂金型を設計・生産する金型部門の3つを主力としています。特に金型事業では、工法検討から設計、トライアル、生産立ち上がりまでをトータルに手がけるノウハウと、CAE・3Dソリッド設計に代表されるIT技術を活用した、短納期・高品質な金型作りで業界から高い評価を得ています。 |
自動車業界を取り巻く環境は、製品ライフサイクルの短命化を背景に、製品開発期間の短縮が進められ、特に金型メーカーに対しては、設計仕様変更への対応力、高品質、提案力、短納期など、その要求は年々厳しさを増しています。さらに中国やアジア諸国の台頭で価格競争が激化し、コストダウンへの努力も余儀なくされているのが現状です。
こうした要求に加えて、山本製作所では社内においても、不具合工数の増加に伴うコストアップと納期の遅れ、高度な知識・経験・ノウハウの社内共有不足、部門間のコミュニケーション不足と情報伝達の不徹底、さらには2011年から始まる熟練技術者の大量退職と多くの問題に直面しており、その解決が重要な課題となっていました。
そこで同社は、多様化する顧客ニーズへの対応力強化と受注能力の向上を目指し、個々人が持つノウハウやナレッジの社内での共有、また熟練技術者の加工技能伝承といった課題を解決するため、全社をあげてプロジェクトに取り組みました。
情報共有とその蓄積のためには、対象業務をシステム化し、その情報をデータベース化する必要がありました。そこでシステム化に向けた具体案として、4つの施策が掲げられました。
1つ目は、業務の基本となる3D-CADと連動する各種帳票や製造用データ等の「製造情報」、そして技術ノウハウ共有化のための「技術情報」をデータベース化すること。2つ目は、事務所と工場間のワイヤレス・ネットワーク化による、携帯端末を使った最新情報の配信。3つ目は、電子メールのデータベース化による社員間コミュニケーションの強化。そして4つ目は、上記3つを連動することによって可能となるユビキタス環境の実現です。
同社はまず、独自の「技術情報統合管理システム」(通称TIMシステム:Technical Information Management System)構築に関するプロジェクトに着手。2006年8月にシステムは完成し、翌年3月から稼動が開始されました(図1)。 |
図1 |
同社ではシステム構築に先立ち、現状把握を行うため、現場で感じる問題点についてのアンケート調査や、過去の不具合内容の分析を行う必要がありました。それらをシステム・インテグレーターの協力を得て実施し、その分析結果を踏まえて推進プロジェクトチームを立ち上げました。
実務に即したシステムとするため、各部署から実務担当者をプロジェクトメンバーに選任。現状分析からデータベース管理項目の検討、導入システムの選定、システム運用に関するルールの制定や社内教育、さらにはシステム導入後の評価・検証までを行いました。
また、TIMシステムの円滑な運用のために、システム提供部門のシステム別開発担当者とシステム運用部門の部署別担当者をそれぞれ選任しています。これを両輪として、事務局、サポートデスクなどを設置して運用実施体制を確立する一方、システムの改善や問題点の把握のためのフォローアップ会議を継続して行っています。
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TIMシステムとその運用体制が確立したことにより、年間の不具合工数の発生が導入前の43,000時間から、2007年度には33,000時間へと大きく低減され、同時に大幅なコストダウンが実現しました(図2)。また、従来、定型化されていなかった金型情報をデータベース化することで、現在は600型の金型に関する技術データが蓄積されています。また、約4,000件の不具合データも利用できるようになりました。さらに、電子メールをデータベース化したことによって、製作中のすべての金型情報が閲覧できるようになり、部門間のコミュニケーションが活性化しています。 |
図2 |
プロジェクト発足当初の想定通り、3D-CADデータを中心とした金型の製造情報の一元化、および図面の最新版管理については、ほぼ計画通りの成果を収めています。しかし、一般的な自動車金型の受注から出荷までのリードタイムはおよそ1年程度あり、データベースを活用する上で、情報の蓄積、利用、更新のサイクルによって生み出される効果の本格的な回収はこれからです。
今後、山本製作所では、蓄積された技術情報を最大限活用するためのTIMシステム利用技術の向上と、必要に応じた運用ルールの改訂や教育を継続しながら、金型生産スケジュールのデータベース化など情報提供の拡大を目指します。
また、将来的には、CAEシステム/3D-CAD設計システムの活用から金型費用が見える設計システムに強化し、単なる金型製作システムではない「経営が見える」、「営業戦略に繋がる」経営情報システムへと進化させる考えです。