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サービスの質・業務の向上
製造販売(釣具)

事例ピックアップ
ITシステムを活用し、在庫の適正化と情報共有による業務の効率化を実現 〜株式会社ヤマリア〜

  • 商品の売れ筋分析により40%の在庫削減と、理論在庫と実在庫の差の縮小を実現
  • グループウェアの導入により全社員で情報共有を行い、業務効率の改善を実現
  • 部門別財務データを活用し、粗利益ベースの目標管理と標準原価を採用。受注段階から見込み粗利益を算出

プロフィール

写真 ヤマリア
中小企業IT経営力大賞 日本商工会議所会頭賞
企業情報
  • 企業名 : 株式会社ヤマリア
  • 所在地 : 神奈川県横浜市南区中里1−13−17
  • 資本金 : 9,800万円
  • 従業員数 : 145人
業種

製造販売(釣具)

導入目的

サービスの質・業務の向上

企業概要

株式会社ヤマリアは日本のルアー業界において独自の研究開発で先行し、ソルト(海)向け市場ではトップクラスの販売実績を誇ります。世界一のルアーメーカーになることを目標に掲げ「夢とやりがい」を追求し、社会への貢献を経営方針としています。顧客に対してはルアーを通し「新しい釣りを提案し、新しい喜びを提供する」ことを、社員に対しては「独自の技術と秀でた社質を追及する」ことで「夢と情報を共有し、生活とやりがいを向上する」ことを経営信条にしています。また「積極経営と合理化、IT化を促進する」ことを掲げ、実践しています。

導入の背景と目的

1959年の設立以来、同社の業績は順調に伸びていましたが、レジャー産業衰退に伴い、1996年ごろから売上、利益とも減少傾向に陥りました。そのために、悪化した財務体質改善が急務となりました。また、アイテム数が1万点を超え、年間1,200万個を製造するなど、膨大な商品管理を、ITによって省力化することも検討されていました。
同社では1972年にオフコンを導入、1996年にCSシステムへ移行して事務効率化を図ったものの、入力など運用ルールが徹底されておらず、大きな効果は出ていない状況でした。在庫状況についても欠品を重ねて顧客の信頼を損なっており、それが財務面にも影響を及ぼし始めていました。

そこで、在庫削減のため業務プロセスを見直すとともに、正確なデータ活用を目指し全社員への運用ルール徹底を図りました。また、債務圧縮と手形の全廃、情報の共有化で管理コストを削減し、業務効率の向上を目指しました。さらに顧客の声を収集してフィードバックする仕組みや、情報精度を向上することで粗利による営業目標値管理を実現し、利益と販売価格の安定化を目指しました。

IT化の概要

経営層のデータベース高度活用による経営力向上

社長をはじめとする経営層が、自らデータベースに蓄積されているデータを分析・活用し、債務状況の改善や在庫精度向上だけではなく、売れ筋分析による在庫の最適化と新商品開発につなげ、企業体質の強化を図りました。

情報共有に向けたグループウェアの積極活用

2001年にグループウェアを導入し、営業報告、出張報告、近況報告、スケジュール、クレーム報告、部門別損益計算書などを全社員が共有し、活用しています。
また、遠隔地の会議には電子会議を活用し、経費と時間の節約、効率化を実現しています。

部門別の損益目標管理のための財務データ活用

部門ごとに損益目標を設定し、実績を算出し予実管理を行っています。IT活用により部門、個人ごとの数値を算出できるようになったことで、実績評価にも活用されています。また、目標は従来の売上ベースから粗利益ベースに変わり、管理会計でも標準原価を採用。受注段階から粗利益見込みを算出することができます。さらに、債権管理については、手形の期日落ちまで自動管理できる仕組みを自社で開発しました。

在庫把握のプロセスを再構築し、売れ筋商品を分析

物流センターの在庫状況が顧客への納期に直接影響することから、理論在庫と実在庫の差異を縮小し、納期の正確性を向上することに成功しました。在庫は過去365日分がいつでも参照でき、情報は日次バッチで更新しています。物流センターの商品の出入りの情報をもとに売れ筋分析を行い、死に筋商品の在庫削減も実現しています。

IT経営推進における取組み

IT経営推進に当たっては、経営の見える化と情報の共有化が企業を改革し、社員のモチベーション向上に繋がると考え、経営数値を含む情報公開とフラットな情報共有を進めています。一連の施策実現にはIT活用が不可欠なツールであり、一部現場を除いて、社員には1人1台(全社で100台以上)のPCが与えられています。ソフトウェアはパッケージ製品も利用していますが、経営の根幹となる経営管理システムについては自社で開発しています。

また、業務の遂行、会議の運営、営業報告、生産出荷状況はすべてサーバのデータが基礎となっており、グループウェアをフル活用し情報の共有化を実践しています。IT活用においてはルール整備が最も重要であり、ルールを関係者でよく検討し、その上でIT化を行うことを心がけています。今では、全社員が業務遂行にITは欠かせないと認識し、情報部門が推進力となって社員のリテラシ向上だけでなく、さらなるシステムの充実と信頼性の向上を図っています。

導入効果

商品の売れ筋分析を徹底したことで40%の在庫削減を実現、理論在庫と実在庫の差異は0.02%まで縮小されました。売上も拡大し、釣具業界における売上シェアが0.14%から0.22%にまで上昇しました。また、債権状況一覧の活用で2001年には割引手形が、2002年には支払手形がゼロになり、財務体質の改善が実現されました。さらに、毎月20日の締め日から10日後には月次決算が出せるようになり、迅速なフィードバックが利益向上、経費削減につながりました。

グループウェアの活用により情報の共有化が進み、情報伝達も迅速になり、会議においてもデータベースのデータを確認しながら議論が進められ意思決定が早くなりました。そして、社長を始め、経営陣がITを積極的に活用することで、末端の社員までITと数値データの重要性を認識するようになりました。今や、社員全員がITによるデータがないと業務が遂行できないことを認識しています。

今後の展望

今後は、さらなるIT化を進めることで毎月20日の締め日から、10日かかっている月次処理を5日程度に短縮し、当月支払いを目指します。また、問題があれば業務ルールを見直して改善し、IT経営を一層効果あるものにしていきたいと考えています。
さらに現行の生産管理システムを充実させることでコスト低減を行うとともに、新工場の建設により、生産力不足を解消。さらなる生産効率の向上を目指したいと考えています。
ITインフラを整備することも含め、現行のテレビ会議システムを強化し、大連工場とのコミュニケーションの充実と、営業所を含めた社員教育の推進を行います。

対外的には提案型在庫情報を販売店に開示し、売上拡大と省力化を目指しB to Bのビジネスモデルを確立したいとも考えています。B to Cのビジネスモデル構築についても、自社Webサイトの釣場情報や釣果情報を充実させ、新しい釣りについての提案を行い、釣り人口の増加と新しい釣市場を開拓したいと考えています。