経済産業省
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審議会・研究会

地域経済研究会
第1回 議事要旨

  1. 日時:平成16年12月3日(金)10:00~12:00
     

  2. 場所:経済産業省 第1特別会議室
     

  3. 出席者:
    (委員)大西座長、上田委員(代理)、岡部委員、戒能委員、亀井委員、榛村委員、末吉委員(代理)、寺田委員(代理)、土居委員、中村委員、八田委員、増田委員(代理)、松原委員、藻谷委員
     

  4. 議事概要

    (1) 薦田経済産業省地域経済産業審議官挨拶

    (2) 事務局から「今後の検討について」説明後、各出席者による自由討議を実施。

    (3) 討論の概要は以下のとおり。

    ○  地域間の所得格差を是正する姿勢は、転換期を迎えている。少子化とともに、グローバル化、財政制約の中で地域の自立、国際競争力を考えなければならない。多角的な視点から地域の将来像を考えて行きたい。

    ○  配布資料P.5「地域経済の将来展望について」に関し、1人当たりの労働生産性、1人当たりの県民所得で比較をすると、分母である人口の減少度合いが高い所ほど、値が大きくなってしまう。地域を比較するのは難しいとは思うが、将来予測をしていくうえで、絶対値を参照するといったような形で議論をすべきではないか。
    労働生産性の考え方について、2030年において地方が豊かであるというのは、産業立地とも関係し、生産性の高い機械工業等が地方に展開をしているからだと思うが、都市部と地方部の産業立地の違いについてもみていければと思う。

    ○  今後、将来展望を考えるうえで、我が国の政策として地域間所得再分配をどの程度やっていくのかというのは非常に重要な問題。
     手段に着目をすると、「地方交付税」、キャッシュで所得再分配を行っている。ある程度は交付税の依存から脱却して頂かなければと思う。ただ、税収格差が存在するなかで、格差をならさなくていいのかといった、せめぎあいが引き続き残る問題だと思う。
     また、公共投資を通じた所得再分配というのも、暗黙のうちに行っている。極端に言えば首都圏でとった税収を使って全国津々浦々の公共事業を行ってい
    る。ある程度リーズナブルなやり方に切り替えていかなければいけない。
     各地域の経済の活性化とか税収の偏在が少ない税源を基幹税として地方税に
    して、足りない部分は地方再分配するというのが一つの方向性であるといったような印象を持っている。他の委員の方々と御議論をさせて頂ければと思う。

    ○  人口減少も非常に重要な問題。ある一つの行政体の中で、どの程度人口が集まっているのかということがシビアな問題になってくるのではないか。行政経費が過疎部で多くかかるというのは、中心的集落から離れて住む人までインフラを整える等の手当をするから。政策誘導として、人口の集住の誘導が必要になってくる感じがある。このあたりをどうするのか、人口分布を政策誘導するのか、誘導できるものではないかもしれないが、このあたりの是非を議論できればと思う

    ○  配付資料P.5中、「封鎖人口の場合に、県民所得は東京、阪神は増えない」と記述してあるが、実際には、封鎖人口で推移することはあり得ない。

    ○  過疎地に比べ、都市部では高齢化が劇的に進展する。しかしこれは、過疎地が楽になることを意味するのではない。過疎地では、高齢者を支える支持人口である20歳から59歳が減少する。
     社会保障人口問題所のデータによると、高齢者の増加は首都圏において2000年から2020年の間に2倍以上増加する。高齢化率は、福祉の受益と負担の双方で決まるもの。高齢化が都市部を中心に進展するということを高齢化率ではなく、高齢者がどれだけ増加するのかといった絶対数で見なくてはいけない。
     公共投資の数値(佐賀、青森)を見てみると、人口が増加していないにも係わらず、道路、上下水道等の維持・補修に年間何十億といった公共投資負担が発生している。これは、人口が低密度化し、郊外拡散しているからとのことであるが、最も郊外拡散しているのは、東京都市圏であり、巨大な公共投資負担がのしかかってくると思われる。過疎地にもコストがかかっているが同様に都市部でもコストがかかっているのではないか。都会が一方的に元気で、地方が一方的に死んでいるという設定で議論を進めると大変なトラブルが起きるのではないか。

    ○  今回の問題提起の中で、都市雇用圏というテリトリーエリアで議論をしていくのか。実態論としては、人口1000とか2000の市町村が地方で生き残っていくためにはある程度、適正人口に括り直さないと難しいということを提起したい。

    ○  再分配はどうしても必要。豊かな地域から貧しい地域へ分配しなければならない。公共サービスに税源の格差を反映させてはならない。警察、教育等基本的なサービスについて等しいサービスを受けるべきであるが、地方の自主的な税源では当然、賄えない。国から再分配するのは当然であるが、これまでの再分配の仕方が多くの弊害を産んできた。

    ○  再分配をする、しないではなく、やりかたの問題。生活保護等について、低所得者のために使用しなければならないという範囲で、使い方は自由に決めてよいといった方法にしてはどうか。

    ○  基本的に地方間の所得格差を少なくする最大の要因は人口移動。貧しいところから、豊かなところへ人口が移っていく。人口移動を促進する施策が必要。高齢者には何か対策が必要であるが、それ以外の人には移動しやすいように住宅を都市部に手当てするなどの措置が必要。地域間の人口移動が低下することと、成長率が低下することは軌を一にしている。

    ○  日本全体の人口集中については、中枢都市が伸びており、50万以下の都市は減少。財政とは関係なく基本的には交通費の低下を反映しているのではないか。日本は多極集中した国であり、政令指定都市は全て大きくなっており、その周辺の人口が減少している。これは、政令指定都市への交通が便利になり、周辺の町、郊外に事務所を置いておく必要がなく、政令指定都市に事務所を移せば良いう状況にあるからである。これをまずい状態と考えるか、むしろ、そういう方向を助けて、政令指定都市と田舎の行き来を楽にする、渋滞をなくすといったような方策に力を注ぐべきなのかといった見方もあると思う。

    ○  人口移動抑制策をとったために成長率が止まったということについて、又、多極集中型であるということについて異論がある。人口移動促進策を採るとどこに問題があるかというと、極端な人口移動、人口減少社会を促進すると、廃棄されたコミニティが過疎地ではなく都市部に激増するという現象が起きる。人口移動のための投資はやるべきであるとは思う。過疎地から人がいなくなる分にはインフラもないから構わないが、ストックを非常に投入した郊外から人が抜けていくといった問題が全国的に起きないか。

    ○  多極集中の考えについては、集中が起こっているのではなく、現象として、各県を見た場合に、県庁所在地に人口が集中している。日本全体であれば東京に集中しているが、地域経済単位で見た場合にそのユニットが多極集中しているといったコンセプトであるとの認識ではないか。

    ○  配布資料P.1に記載されている県民所得の変動係数推移であるが地方交付税の存在がクローズアップされている。経済成長があったときはあまり交付税に依存をしていなかったが、バブル崩壊後、どんどん大きくなってきているということは、地方自治体が交付税に依存した形で所得の地域間の均衡がなされている。交付税はこういった意味からも考え直す必要がある。

    ○  中期的な予測を考えた場合、退職者が増えることは間違いなく、地方への回帰意識が強まり、県庁所在地及びその周辺に帰ってくるのではないか。高齢化率が伸びるのは地方の県庁所在地ではないか。これらの人たちの就業機会の提供が次の問題。失業率が高いとその地域の地域経済は必ず不安定要因になる。率の他に失業期間も問題。

    ○  地域経済を安定させる必要がある。高い成長率と、高い分散はハイリスク、ハイリターンの世界であり、地域によってかなり違う。リスクを低くするためには、多様性(色々なジョブ、材、サービスの数)。多様性が達成できるのは東京しかない。多様性が達成出来ない地域でどのように安定性を求めるのかというのを考えると、互いに長期変動の中で、相互に基盤産業が打ち消し合えるような産業構成を作っていく必要がある。もう一つは、一つの大きな産業に対して地域内における産業内の産業連関を出来るだけ強くする。これが出来るようにするために、交付税を使えるようにすべきではないか。高齢化が進んできた場合にリスクが小さくなるような産業構成をこれから考えて行く必要がある。

    ○  従来、所得の格差、あるいは人口の増減、分布等の視点で地域間の格差を測ってきたが、「どこで消費されているか」という視点で見ることも非常に重要。所得の状況、人口増減に加え、従来あまり見てこなかった「どこで消費が起きているのか」という3点のベクトルの加速度の大きさがどうなっているかで地域経済の将来が決まってくると考える。これらのベクトルの乖離が継続すると、どのような地域経済になっていくのか、いくつかシュミレーションできれば面白い。

    ○  各委員から主に地域間格差という論点について言及があったが、もう一つの格差である地域内格差の問題がある。EUレベルの都市政策は、地域間格差の是正に終始したため、EU圏域内での地域間格差はある程度是正されたものの、地域内の格差が拡大していくという問題が発生し、都市部に人口の8割が住んでいる状況。地域の中の中身を見ていく必要がある。

    ○  資料にある論点に加え、グローバル化という要因を考えるべき。地域に係るグローバル化の要因は、まず産業の空洞化等経済制約という側面が大きいが、もう一つ、少子高齢化の縮小傾向にある局面においても、地域が自立的な発展をできる可能性が広がるような要因としてグローバル化を捉える視点も必要。

    ○  今回雇用圏単位で地域を見ているが、都市部においては雇用圏と生活圏が大きく乖離するケースがある。そのため、1つの地域の中に複数の核があるような地域構造について、いくつか典型的なモデルを見てみることも必要。

    ○  人口減少、少子高齢化、財政制約の状況を考えると、今までの自治体行政のやり方を大胆に変えていく必要があると感じている。これから中長期的には均衡ある発展から選択と集中による地方の再編へという流れの中で、地域を支えるシステムを変えていかなければならないし、財政難の中、少ない予算でいかに住民満足度を上げていくかを考えねばならない。このような状況を踏まえ、将来的に地域が成り立つ仕組みを検討するにあたって、本研究会での議論を参考にできればと考えている。

    ○  地域経営、都市経営、特に地方の将来展望を考えるにあたって、資料の6ページ赤の3つの囲みに加え、景観・環境ファクターである農林漁業、地方経済の多くを占める振替所得会計、国・県からの直接投資、観光・商業から生じる交流人口、現在増えている福祉雇用、地域経営の善し悪しのバロメーターである地価問題等を入れる必要があるのではないか。地域経済を考えるにあたって、今まで全く言われていなかったことだが、条例等を作り地域として環境等を守ろうとするような、すなわち地域道徳を考慮する必要があり、地域経済と地域道徳の両面がうまくいってこそよい地域経営ができると考えている。

    ○  地域としては、外から事業を投資してもらうのではなく、事業主体の創造が重要であり、国土の特色のあるまちづくり、テーマの豊かなまちづくりを行うことにより、産業連関が豊かになり、総体として社会会計が豊かになるというのが都市経営であると考えているので、その中で地域経済を考えていくことが必要。

    ○  地方道徳とナショナルスタンダードの格差の是正が必要。地域経済の活性化における中心市街地活性化をどう捉えるか。本当に地方の中心市街地は活性化させる必要はあるのか。

    ○  これまで投資したインフラを地域としてどのように活用していくか、また、今後20年、30年の地域経済を展望するにあたってグローバル化、特に中国・アジアが今後どうなっていくのかという視点は必要。

    ○  国家の在り方、行政の具体的な手法の問題点の検証を国と地方で考え直す時期に来ている。地方圏が活力を維持していくためには、担い手は「人」であり、そこに着目していくべきと考えている。また、地方にとって、農業の果たすべき役割を見直し、農業をいかに産業化させるかが大きな問題と考えている。
     

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