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審議会・研究会

地域経済研究会(第2回) 議事要旨

  1. 日時:平成17年1月21日(金)15:30~17:30
     

  2. 場所:経済産業省 第1特別会議室
     

  3. 出席者:
    (委員)大西座長、上田委員(代理)、戒能委員、亀井委員、末吉委員(代理)、寺田委員(代理)、土居委員、八田委員、増田委員(代理)、松原委員、八代委員
     

  4. 議事概要
    (1) 事務局から「将来推計に向けた試算について」、戒能委員から「地域経済の予測モデルの考え方について」を説明後、各出席者による自由討議を実施。
    (2) 討論の概要は以下のとおり。


    ○ 地域経済の現状としては本社が東京に集中し、生産拠点は地方に集中していることから、企業立地を考慮する必要があるのではないか。地域経済を考えるにあたっては、投資決定主体が地域内にあるのか、地域外にあるのかが、重要となってくる。新たな設備投資が行われる工場と、閉鎖・海外移転が決定された工場とでは、全く労働生産性自身の予測が違ってくる。難しい予測になるとは思うが、立地主体の意志決定等、主体の意志決定・行動といったものを考慮できないか。
     大都市圏の近辺では、域外に消費が漏出する傾向が考えられるが、昔から消費行動の商圏はそれ程、変化していないのではないか。商品の購入場所等の違いはあると思うが、圏域自体は広域化していないのではないか。各都道府県が行っている買い物調査等、過去と現在の比較等を都市圏毎に行い、検討する必要があるのではないか。

    ○ 当該枠組は、製造業の立地パターンは変更しないものとして、2030年を見通すとどうなるか、といったことを前提としている。ご指摘を踏まえた意志決定のメカニズムを考慮することは可能。但し、事務局がまとめている統計からは、まれなケースとされている。
     域外の消費支出への投資は消費動向調査等、各県庁所在地の調査例等を分析しており、東京・大阪からかなり遠い地域においては、ご指摘のとおりあまり変化していないが、高付加価値品は東京で消費するといった傾向にある。恐らく高速鉄道網や空港の整備と関係があるのではないか。この10年の傾向でありエビデンスは乏しいが、分析するに値する現象。

    ○ 今後、人口減少と高齢化が進んで行く中で、地方自治体がどういう地域政策を行っていけばよいか、今後、域内でどういった自立の道があるのかといったモデルを出して頂けると参考になる。
     北九州市はモノ作りの町といわれているが、実際には就業者は製造業よりも、サービス業にシフトしているといった結果が出ている。北九州市は他の市に先駆けて過去に5市の合併を行っており、人口が減少していく中で、都心部にどのように集中投資していくかといったことを考えてきており、こういった経験が検討においては参考になるのではないか。

    ○ 地域政策を考える際に、全都市の人口を増やす、国土の均衡ある発展をもとに、今の状態を保つといった考えはどうかと思う。長期的な国民生活の水準上昇の観点から、伸ばすところは伸ばし、少なくするところは少なくするといった正しい不均衡発展を考えることが必要ではないか。そのためには、東京は都市間交通費の低下とともに大阪の本社機能を奪って大きくなってきたこと、現在は不況であり低迷しているものの、地方中枢都市も伸び続けてきたこと、また、50万人以下の小さな都市はどんどん小さくなってきていること、を都市構造モデルの基本として、将来予測をすべき。
     東京、中枢都市、地方の役割分担を考え、高齢化の度合いが違いながらも進行していく中で、人口移動はどうなるのか、各都市の社会増はどうなるのかを予測することが必要。
     現在、大都市近郊から離れたところで、成功している工業立地の要因等について統計・分析を行い、工業立地成功のための条件、失敗の条件についてのモデルの構築が必要。例えば、企業誘致のためには補助金よりも交通整備の方策を講じる方が有効、あるいは、全く方策がない等、策2次産業の採算モデルがあると良いのではないか。

    ○ 事務局としては各都市圏の経済規模を一定に保つことを前提としている訳ではなく、分析を通じ、今は成り立っている都市圏においても、今後は、特別の事由がない限り、成り立たなくなる都市圏が沢山、存在することを示すという方に意図がある。
    地域の総生産を保つというのは、その経済圏はどのような努力をしなければならないのか、その努力は可能なのか。といったことを考える材料を提供する、といった意図である。

    ○ 地域格差について、全て均一、現状維持にする必要はないが、どこまで、下がるとどんな問題が噴出するか、又、どのくらいの格差は格差でないか等、知っておく必要があるのではないか。

    ○ 過疎を急になくすわけにはいかないが、展望無き過疎の維持というのはあり得ない。過疎コミュニティをシステマテックにいかに安楽死させていくかといったことも地域政策である。

    ○ 県民所得の格差だけで格差を図るのはどうか。格差をならす指標として、域際収支がある。東京は域際収支が黒字であり、過疎地域等は恒常的に域際収支が赤字である。同じ国の中で域際収支の不均衡の拡大・経済格差が生じないように是正することは必要。産業立地等での解消も可能かもしれないし、必要であれば財政的措置で格差をならすことも今後は必要ではないか。
     地域経済の指標としては、域内総生産が妥当な部分もあるが、もう一つの概念として、域民総生産・地域のGNPという考え方もある。必ずしも、地域経済は自給自足という必然性はなく、他の地域で所得を得て、他の地域で生産品を買うこともあり得る。このような場合には、その地域のGNPという考え方も有用ではないか。地域の住民がどれくらい所得を稼いでいるかが重要なポイント。
     GDPでもGNPでもどちらでも良いが、総生産を増やす際には、資本も生産要素にあげられる。資本集約的な生産プロセスにして、労働生産性をあげることも可能だし、更には、生産ラインをいじらなくとも、高付加価値の商品を生産するということが出来れば、1人当たりの労働生産性が高まるという可能性もある。色々な労働生産性を高める方策を当研究会でも、各委員の方から出して頂けると有意義に成るのではないかと思う。又、公共事業の減少を考慮することも重要なポイント。

    ○ 議論を詰めていくと日本の中でいくつ労働力を吸収する拠点が出来るのかといった議論になってくる。それが東京一つでいいのか、少なくとも中枢都市は頑張ってもらって、労働力雇用を吸収する拠点に成っていくべきだという議論になる可能性もある。この辺りを中枢都市圏はスケールは少し小さいが、東京に匹敵する成長拠点になりうるのかどうかといったような議論もして頂きたい。その意味では、ケースを選ぶときに福岡のような今伸びているような中枢都市圏も一つ、入れて頂くことも必要ではないか。

    ○ かつての政策のように労働生産性が低いところに公共事業や資本を無理矢理つぎ込んで生産性を上げるのではなく、過疎地域から労働者を移動させることにより、地域として総体的に労働生産性を確保すればよいのではないか。つまり、自然と一定規模のサービス業が成り立つようなところに人が集まっていくようなことを誘導するような政策を取れば、結果的に労働生産性の格差を是正することに繋がるのではないか。
     人口移動に対する政策の中立性が必要。現在の政策は今のところに住み続ける人に対しての支援はあるものの、移動していこうとする人に対しては何ら支援がない。仮に一定の支援額を両方どちらに使ってもよいとした場合、経済原則に従えば、移動する方に力を注ぐこととなり、自然に地方に集積ができる。個人の行動に出来るだけ中立的に地域政策を行うと、ある程度地域の格差を是正しうる規模の集積ができるのではないか。

    ○ 企業誘致以外で特色のある工業振興策で成功しているモデル・地域があれば参考にしたい。
     所得格差の意識について、自治体レベル内での格差はよく議論されるが、東京との意識格差についてはあまり議論されておらず、データもないように思うので、この辺についても調査してみてはどうか。
     労働生産性の向上は、基本的には製造業による労働生産性の向上を図るしかないと考えている。地域ごとに特色のある工業振興策を考えていかなくてはいけない。
     地方財政の再建については、今後の地方経済を考える上で重要であり、その中で、公共投資の増減が地域経済に与える影響を見てみたい。
     県外資本の大型店により、域内の所得が東京等の域外に流出しており、地域政策を考えるに当たって、地域における大型店在り方を考える必要がある。

    ○ 県外資本でも労働分配率は6~7割あり、それはほとんど地方での雇用である。
    また、賃金所得以外の部分について全て東京に流出しているかというとそうではなく、地域に資本所得として帰っている部分があるということに注意すべき。

    ○ 郊外の大型店に買い物に行くのは、価格が安い等消費者に利益があるわけで、それを無視して、駅前商店街の損害だけを計上するとおかしくなる。両者のバランスを考えると地域としてそれほど大きな損害はないのではないか。

    ○ 最近、都市圏をまたがって客を集める超大型店も出てきており、今回の269の都市圏の単位をもっと大括りしなければいけないかもしれない。

    ○ 大型店は、労働生産性が非常に高く、中小商店については、労働分配率は大きいが、労働生産性の伸びは極めて小さい。地域において第3次産業の構造がどうなっているかを考えることが重要で、現状のままで現在の労働生産性の伸びを今後維持していくことは不可能であり、どういう再秩序を構築するのかが課題。
     労働生産性の向上や地域圏としてのクリティカルマスを割っているにもかかわらず、それを維持させようとする無理な政策に資源を投入している事例がまだ多く見られるので、そこをどう考えるかが問題。当然、その答えが出てしまえば、人口の移動による調整なのか、産業の分布による調整なのか、その地域の選択になってくる。

    ○ 超大型店が増えてはいるが、実際はそれ程商圏が広域化しているというわけではない。地方の大型店は、特に地域への密着性、情報の提供が大事。地方での地元の雇用率は、500人いれば400人以上は地元のパートやアルバイトであり、地域への貢献度は高く、資本の全てを東京に持って行っていたら、大型店はとても成り立たない。

    ○ 大型店の地域の貢献は大きいのは確か。ただ、地方の議論として、中心商店街との関係も無視できず、大型店について議論する場合、地域内循環の中で、どれだけ大型店が貢献しているのか、あるいは影響しているのかについて、整理していくことも必要。

    ○ 福祉分野については、2025~30年には今の約2倍にあたる500~600万人の雇用が創出されているということが言われているが、現状では制度の関係もあって、変わってきつつあるものの消費者が自費で福祉介護の費用を支出する意識はまだ薄く、産業としてはまだまだ。現在はどこの地域でもある程度の水準はあるが、今後ある程度地域間の格差が出てくる中で、これからは各地域に合ったサービスを提供していくようになると考える。
     生活圏、雇用の範囲を超えてということはあまりないと思うが、今後介護・福祉産業としては、団塊世代の移動の動向が分かれば面白い。

    ○ 高齢者は、今まで福祉や生きがい施策の対象であったが、これからの高齢者はまだまだ元気な方が多い。そういった方がこれから地域に戻ってきた時、地域でどういった役割を果たすか、地域産業の中でどのように活かしていくのかが問題。
     熊谷圏域には未分譲の工業団地が多く残っており、業態・業種・雇用創出効果等様々なケースが想定出来るが、今回のシミュレーションでどのような結果が出るか興味がある。
     

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