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審議会・研究会

地域経済研究会(第3回) 議事要旨

  1. 日時:平成17年1月28日(金)10:00~12:00
     

  2. 場所:経済産業省 国際会議室
     

  3. 出席者:
    (委員)大西座長、上田委員(代理)、戒能委員、末吉委員(代理)、寺田委員(代理)、土居委員、中村委員、八田委員、増田委員(代理)、松原委員、藻谷委員、森田委員、八代委員
     

  4. 議事概要
    (1) 藻谷委員から「今地域で起きていること」、土居委員から「地域経済構造から見た今後の地方財政」を説明後、各委員による自由討議を実施。
    (2) 討論の概要は以下のとおり。

    ○ 大阪、名古屋に対して、福岡、札幌は就業者が多く、退職者の多い都市圏が衰退傾向を示しているというのは事実か。福岡、札幌は、90年代後半に新たな雇用の場が増えたと考える方が良いのではないか。

    ○ 今回の国勢調査においては、福岡、札幌の就業者は増加しているが、次回調査においては、大幅に減少する。今回の調査における退職者の対象は戦中派であり、福岡、札幌には、戦中派は少なく、団塊の世代が多いことから、2010年に向けて就業者はどんどん減少していく。退職・就業の方が失業・新規創業よりもインパクトが大きい。最も人口の多い団塊の世代、その次に人口の多い戦中派の就職時期と、当時の産業が日本の就業構造に大きく影響している。

    ○ 世代効果に注目するのは大事であり、産業構造の転換、新たな産業の立地は大事である。
     消費の関係において、所得水準と小売販売水準の相違を示されているが、そこで刈谷と佐世保の比較をしているが、工業化によって成長した都市というのは、商業空間が貧弱なのが多いのではないか。佐世保の場合は歴史的にも都市の中心性が高かったのではないか。

    ○ 都市の中心性は低いし、工業都市である。産炭地であり造船業都市である。


    ○ 地域経済のあり方を考える場合には、単に所得が高ければ良いといった問題ではなく、町自体の地域の中心性といったものが、しっかりしていることが重要だということか。

    ○ 佐世保が良い例というよりも刈谷のようなところが問題であることを強調するために例示した。刈谷の場合、飲食店が全くないような、特殊な町作りをしている。付加価値の高い消費対象がなく、地域全体の産業構造全体に問題があると思われる。域際収支が黒字になる地域構造の場合には、稼いだ所得が居・食・住にまわるような地域構造作りが必要であり、そのうちの一つが、拠点性作りである。

    ○ 地域は点ではなく、面、広がりをもっている空間だと思う、空間構成をどう考えるかというのが大事ではないか。

    ○ その通りである。空間構成が消費を喚起しない空間構成になっているのではないか。配置の問題である。消費を喚起しない配置があるのではないか。

    ○ 他の工業都市でも、消費が喚起されないような同様の傾向にあるのか。又、消費行動を起こさせるような施策の事例があれば、教えて頂きたい。

    ○ 工業都市一般に言えるが、ひとつの産業のキャッシュフローが非常に大きく、社会保障的な面まで、面倒を見る程の巨大な町、コンビナート都市、旧産炭地等が同じような傾向にある。産業が回っている時には問題ないが、産業が撤退していく際に、新たな小セクターも育たず、だめになっているケースが非常に多い。むしろ、大きな産業が存在しない地域の方が、栄えもしないが、滅びもしないというケースが多い。
    施策について、佐世保は施策の結果によるものではなく、たまたま、都市型開発が難しかったこと、財政赤字により公共投資が出来なかったことから、偶然、開発が進まなかっただけだと思われる。

    ○ 大都市等においても大変との説明であるが、どのような解決策があるのか教えて頂きたい。

    ○ 1点目は、付加価値額を高めることを意識すべきである。付加価値額を増やすことにより、生産性が向上されGUCCIのように生き残れる。そのためには単価UPをする。大量生産ではなく、単価の高いモノでも十分売れるというモノを志向する産品をきちんともっていれば、キャッシュフローはいくらでものばせる。
    2点目は、どこかに密度の高い空間をきちんと作る。行政コストの削減とともに消費が喚起され、色々な意味での生活が充実する空間を作るべき。郊外再編集。都市空間の原則中層化、容積率を削減し高密度化する。そして貯蓄をアメリカ国債ではなく建物ストックに代える。このようなやり方により消費が喚起される空間が作れるのではないか。

    ○ 大都市圏と地方都市と同じ考え方でよいのか。

    ○ 既存の大規模生産の企業はこれに当てはまらない。例えばトヨタであれば、今の大企業路線を徹底的に推し進めていき生き残っていくのではないか。問題は、三菱等のように大規模路線を追求するには中途半端であり、ブランド戦略を行うには体力がないようなところ。東京の雇用の95%がこれらに該当すると思われることから、地方よりも厳しいと思われる。

    ○  成長率が無い若しくはマイナスの場合には、現状の人口構成が東京の人口規模を決めていくと思うが、基本的な成長が行われる場合には人口の流入が予想される。現状の人口ピラミッドを前提に今後どうなるのかというのは経済が成長していないときには有効な手段であるが、成長しているときには有効ではないのではないか。現に60年代の日本の都市の人口構成は、人口流入によっておきているのではないか。
    こういったことにも係わらず、東京で高齢化が進むというのは事実であり、彼らが何処にいくのかということが大都市でも中都市でも大きな問題になるのではないか。米国のように大量の老人が大都市に移ったときに受け入れるところがあるのか。東京の郊外に、老人があまり移動をしないで利用できるような病院、スポーツクラブ、図書館、マンション等、都心の産業用の土地以外に集中した拠点を作るといったことが、今後の地方振興策の柱となるのではないか。

    ○ 後段についてはその通りであるが、その場合には介護保健財政の問題等が有る。老人の消費・売上税で成り立っているフロリダとは違い、老人の消費が直接、地方財政に繋がらない日本の制度においては、フロリダモデルは使えない。
    前段については、他の世代に比べて出生率が2倍もある団塊世代が老人になった時のことも含めて議論することが必要。このとき企業の対応はどうあるべきか。製造業の場合には、賃金の高い団塊の世代が退職をしても既に同様の生産性が上げられるようになっており、国際競争に生き残れるよう考えている。サービス業は雇用がフラットであり、若い雇用を増やして生産性を上げることは行わないのではないか。

    ○ 日本が今抱えている大きな問題としては、若者が少ないということに加え、地域に背を向けて生きている若者たちが増えているという問題がある。これは恐らく経済では解決できない問題を含んでいると思われる。
    中心市街地の賑わいは、稼いだ所得が結果的に適正に所得に回っていると思うが、それを支えているのは経済ではなく「無益であるからこそ、助け合う」ようなものが、地域の拠点・中心のベースにあるのではないか。必ずしも稼いだ所得が適正に消費に回っていれば良いということではないのではないか。
      現在、二極化している域際収支について、財政に依存しない形での可能性として、各地域が比較優位のある産業に特化・集約していくという可能性を示唆されているが、これで、域際収支の不均衡を是正する方向に働くのか。場合によっては逆に働くのではないか。

    ○ 地方財政からみると地方の産業政策は自治体が担っており、財政支出等を講じているが、全産業で旨く立ち上がることに拘わらずに、有る程度、産業政策として自治体が関与していく分野を選び、実態に根ざした産業を目指していくといったことが必要である。

    ○ 極端な例だが、説明にあった自治体の再建団体は、民間の不良債権処理のスキームとは似て非なるもので、誰も責任を取らなくてよいシステムになっている。これを是正するためには少なくとも、地方再建制度をできるだけ民間の再建スキームに近づけて行く必要があると考えるが、その場合どのような問題が発生するのか。

    ○ 一番の問題は、自治体を解散させられないことで、如何に自治体を解散させずに再建に持って行くか、債務者たる自治体にどれだけ負担を強要できるかが問題。現在の地方財政再建促進特別措置法では、債権放棄を要請しないし、住民に負担してもらう条項もないので、何らかの法律に然るべき増税をすべき旨、記載することが必要。応益原則に従って、利益を享受した住民に負担をしてもらうよう、国が行政的に枠組みを作る必要があるのではないか。

    ○ 地域のISバランスの計算は、貯蓄超過の部分が非常に難しい。また、貯蓄超過が何を意味しているかが非常に重要なことで、域外から資本が入ってきているのか、大都市圏に出て行った後、地域に貫流しているのか、そこがブラックボックスで、それを見極めることが必要。
    両委員の結論である地域内・地域間で資金循環を回すというのは、地域か動脈硬化を起こさないためにも大事。しかし、循環できるような供給条件があるかというのが問題で、品質、スピード、供給の安定性、技術面等の問題で供給条件が揃っていないため、ハコモノを作ってもうまく使われないといったケースが見られる。産業政策としては、需要条件だけではなく、供給条件について十分考える必要がある。
    比較優位の概念に関して、外性条件のみで考えるのは危険。交通費の低下に伴い、内性的なもので比較優位性が決まることもあれば、今まで外性条件だと思っていたものが内性条件に変わる場合もあり、それらを勘案して自治体や地域は、常に競争優位性を作り出さなければならない。
    今後の地方都市の高齢化を考えると、生産年齢人口の概念をもっと引き上げるべき。当然高齢者が働く時代になると労働生産性は下がるが、その中でいかに広く薄く小さい産業を作っていくかが課題。

    ○ 我が国の地方分権や地方自治を考える際、一番問題なのはいわゆる中山間地域といった小さな町村。ある地域では、住民の最大の所得が年金であるところもあり、そういった年金・交付税・補助金で成り立っているようなところで地域振興、産業の活性化をどうやっていくのかは難しい問題。今後は、地域が自立できるように制度を変えていくところと、再配分によって支えていくべきところと制度を分けて考えなければならない。
    今後、高齢者がどういう行動するのかについては、様々な議論があるところだが、前期高齢者はまだ自立できるものの、後期高齢者については医療・介護を相当手厚くする必要がある。団塊世代がいなくなった後は、その負担が相当なものになることが予想される中で、地域がどういう役割を担っていくのかが難しい問題。全国一律の制度では解決は困難と思われるので、何らかの形で仕組みを変えていく必要がある。
    赤字再建団体について、地方自治体は潰すことは無理であるし、公務員がいくら頑張ってもなかなか税収が増えないといった前提の中で、単純に民間企業的なインセンティブシステムが入れていくのは、非常に難しいと考えている。

    ○ 自治体の破綻防止スキームは、メカニズムとしてはそのとおりだと思うが、ボリュームとしては、県・市とも財政規模が50兆円の中で、70兆の負債を抱えており、年間のフローで今後10兆円の負債を返していかなければならない。言い換えれば、名目で約1割の事業規模の縮小を抱えながら地域の経営をしていかなければならず、今後は、どの産業を延ばすかという産業政策ではなく、どの事業をやめるかということになると思う。 
    所得水準と小売販売の相違については、これを都道府県レベルで見た場合、その変化率の方が面白い。消費流出は都市圏周辺でかなり起きていて、この10年で都市圏の近郊で、かつ高速交通網の発達や空港ができている都市は、強烈な流出が起きている。そこでは人口の移動がなく、地域内で第3次産業の消費が地域から抜け落ちているため、再循環できず、機能不全に陥っているというメカニズムがあるのではと考えている。

    ○ 2007年以降、高齢者となった団塊世代が地域に帰ってきて、そこにとどまっているのか、拡散していくのか、どのような行動を取るのかについて考えた上で今後の行政運営を行っていく必要がある。
     行政として、税収と雇用の確保を重要課題としており、比較優位な産業に特化・集約すべく、今後、各地域で成長が見込める産業を中核とした企業誘致や地域の産業興しを行っていこうと考えている。

    ○ 資料の中に東京都の福祉医療が置き去りになっているとあるが、施設は地価の問題等もあり、確かにそのような現状であるが、住宅介護については比較的充実している印象。
     医療・老人施設・教育施設の三点施設を整備する動きが以前からあるが、今後、団塊世代が地域や土地にこだわらず移動するようなことになれば、そのような施設の整備が促進されるのではないか。また、今後、元気な高齢者がどのような行動をしていくのか、非常に興味がある。

    ○ 国と地方の議論をするにあたって、東京はこれから急激な高齢化に直面し、労働生産性の低下に伴い停滞し、逆に既に高齢化してしまっている地方が総体的に豊かになる、という議論が最近よく聞かれるが、今日の議論を踏まえると、高齢化に伴う労働生産性の低下以外にも様々な要素が考えられ、東京と地方の差は必ずしも縮まっていかないのではないか。

    ○ 内部循環が必要で、域際収支がプラスの場合でそれがものづくりの街の場合、それに乗れる人は極わずかで、大部分の人が乗れない傾向がある。乗れない人で、かつ労働意欲のある人たちに対して、小さいサービス業や福祉サービス等の産業の規制緩和を行って、早く経済ベースに乗せ、貯蓄を使ってもらうのが、ひとまずの突破口。観光等の集客産業で全ての人が救えるかといったらマクロ的には分からないが、救える人は救うべきと考えている。
     地域間格差について、移出産業を持っている地域であっても、その中では格差は存在しており、至る所で多重的に格差が存在している。東京と地方の関係においては、どちらかが上がればどちらかが下がるといった天秤構造ではなく、今後は一緒に落ちていくという認識。
     連結ベースについて、道州制の中で都市圏ベースに合わせて市町村合併をすることも考えられるが、ひとまずその前提として、都市圏統計として日常的に使えるインフラにすることが必要なのではないか。

    ○ 財政に依存せずに域際収支の不均衡の是正について、自給自足でやるべきだということではなく、他地域から稼いだものを使って他地域で消費する構造であれば、域際収支を改善できると考えており、それを推進するための構造が必要。
     高齢化が進むことにより、地方財政が悪化するということに関して、社会保障は、国が財政的に都道府県横断的にケアする必要がある。その際、再分配という形は必ず出てくると思うが、それは社会保障の範囲内であって、高齢者が多い自治体だからといって、無理矢理公共事業や地域興しといった形で国から再配分を行うべきではない。
     都市部はこれから急速な高齢化を迎えるから大変で、地方は既に先行的に高齢化の経験があるので問題はないということではなく、現状は、高齢化の中で財政的に大赤字の状態であり、それを都市部の税収で支えていたということに注意すべき。今後、今までのように振り分けられないことが予想され、地方の高齢化も今後も引き続き問題であり、財政の健全化が必要。

     

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