経済産業省
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審議会・研究会

地域経済研究会(第5回) 議事要旨

  1. 日時:平成17年3月11日(金)10:00~12:00

  2. 場所:経済産業省 国際会議室

  3. 出席者:
    (委員)大西座長、上田委員(代理)、戒能委員、末吉委員、寺田委員(代理)、土居委員、八田委員、増田委員、松原委員、藻谷委員、森田委員、八代委員

  4. 議事概要
    (1) 事務局から「地域経済の将来推計について(暫定版)」、「これまでの議論を踏まえた中間整理」を説明後、各委員による自由討議を実施。
    (2) 討論の概要は以下のとおり。

    ○ 資料中、4頁に記載されている構造方程式の失業率について、年金生活者の労働人口が増加してくる、これらの人達は年金所得があるので、多額の給料を求めているわけではなく、生き甲斐を求めた労働を行うことにより充実する。こういったものを織り込んでいくと、失業率の式は過去の就業構造を引きずっている感じがするが、その辺は、入るのか。
    ○ ご指摘のような年金生活者による労働がマジョリティをもっているのは、この試算の外にある非都市圏・郡部圏であり、都市圏に限定して計測していることから、都市圏の中で年金生活者が労働活動の主体をもつことはなく、恐らく、式の中に埋もれており、あまり、この式の構造に影響をあたえるとは考えにくい

    ○ 仮定としては、前期高齢者が働き就業率が高くなる。前期高齢者は年金を取得していることから、そこを高めるのであれば、いまのような話を少し踏まないといけないのではないか。

    ○ ご指摘のとおり。詳細に試算を行うとすると、就労者の高方途と就労者別の業種別の就労分岐比、景気の浮揚に対する労働の費用調整の在り方等を全部見ないといけない。全都市圏における時系列データが揃わないことから、出来ない。ご指摘のことは、県民経済計算で出来る。少し考えてみたい。

    ○ 評価の対象であるが、GRPを対象とするのか、失業率を対象とするのか、失業率の場合、現在水準の生活賃金を得ているかを判断基準とするのか、それとも生き甲斐を含めて、仕事をしていることを基準にするのかで変わってくる。高齢者が急激に増加する数十年間をどうのりきるかで、次のステップがみえてくる。年齢構造がかわってくる。それまで数十年はかかる。この間を、65歳以上を労働力として、生き甲斐と実質的な貢献を期待して、のりきることが必要ではないか。ここに焦点を当てる必要がある。失業率、雇用の充足、雇用のワークショアも入れて、考えるのが、地域の安定、活性化という意味では重要。

    ○ 資料中、4頁に記載している方程式に違和感を覚える。失業率がものすごく大きな役割をはたしている。普通、賃金は労働の限界生産性で決まるが、本資料では賃金イコール労働生産性みたいな定義で入っており、賃金(人口あたり域内総生産)が、失業率できまる。失業率は、総生産で決定されており、不思議な形。また普通は、生産関数で考えた場合、資本が抜けている。データが揃わないのかもしれないが、自分で自分を説明しているようであり、資本なしに人口と総生産だけで、決めるのは、投資とか資本の役割を考えなくて良いということか。教えて頂きたい。

    ○ ご指摘のとおりである。この枠組みの中では、地域別の投資の偏差が現れることを想定しておらず、これまで通り観測期間内の投資傾向が、そのまま分配して続く。人口移動と、就業行動がどんぶりで失業率に表れ、それが、自己再起的に続いたらどうなるかを試算した。ご指摘のような影響は捨象している。各地域別の資本ストックのデータを整備するには大変な作業が続くため手が及んでいない。
     前期失業率と、失業率が因果関係をもち、域内総生産は賃金と因果関係をもっているので、1期ラグ型のモデルで現状の失業率と、総生産の関係が継続した場合、それが何十年後にどういう影響を及ぼすかということをある種の完成モデル的な形で解いている。資本については従来通りの傾向が続く。特段の偏差が加速するということは考えない。

    ○ そういったことが、結果がまだ思わしくないといったことに影響していないということか。

    ○ 当然、影響はあると思う。賃金の式に対して指摘されることは、認識している。
    セオリー通りに解こうとするとマクロの全ての統計が揃ったデータセットを用意しなければならないが、そこまでは手が及んでいない。

    ○ 一番難しいのは失業率。失業率を明示的に非説明変数で扱うか、フィリップスカーブのように扱うかは、非常に難しい。最初このモデルは、昨年、行った地域経済分析で分類で、移出域外市場型で経済が成り立っているような都市圏と、公共事業と移転所得で経済が成り立っているような地方都市圏で、都市圏を2分化し、それぞれのモデルでの推定を試みようとした。地方都市圏の将来像と、ある意味公共投資に依存しない都市圏で、構造が違うことから、同じ方程式で、説明するのは難しいことから、やってみたが、出来なかった経緯がある。ただ、もう一度立ち返り、アプローチを代えてやる必要があるかもしれない。
     もう一つ、初期状態のモデルであるが、地域経済の将来像は分かるが、自立的に発展していくためには、何が必要かという政策変数がない。従来から政策シミュレーションのスタイライズされている財政支出を入れなければいけない。但し、財政支出を入れて優位にきいてしまうと将来も優位にきいてしまうことがあるので、気を付けなければならない。公共事業支出は、支出変数をいれることであるから、同時に民間投資、あるいは移出、消費データと併せて、推計しないといけない。企業所得が入っていない。分配所得の推定は難しくないので、推計する。総生産は労働需要関数と同時決定型で推計する。労働需要は推定式のウェイトが高く、影響力を小さくしたい。マクロモデルと典型的に違うのは、人口社会増減が地域経済にとって非常に大きなウェイトを占めていることから、人口増減、転出入者数を構造方程式で推定するのは、難しく9割は前期のもので推計される。しかし現実問題として工場誘致、工業団地造成等、人口の社会増減は、総生産で規定されている。労働需要から規定された方が良い。それと地域の居住水準のようなものを、指標としていれた方が良い。技術進歩を促すような、公共投資も必要、技術進歩をどこかで内政化し、地域経済の政策が考えられればよい。産業であるが、地域経済存立のために、自立的に地域の資源によって、でてくる産業と、そこの市場規模によって成立するような産業、これをいれる。

    ○ 人口増減とは前期人口マイナスできいている。一般論で言うと集積が大きいと人は来にくくなる。

    ○ これは、都市圏であり、地方圏をいれた県民経済計算で時系列というパネルデータを汲んで図ると、プラスになる。よって、地方部では強烈にプラス、都市圏においては、域内総生産が同じなら、人口が多いほど伸び率が落ちることを示している。

    ○ 今後、2030年を考えると、高齢化が進み、就業構造が変化する。域内産業と域外産業をどうすればよいかといった理論もあったが、高齢化により支出方法も変化するし、ライフスタイルも変化する。もう少しセミマクロ的なものがみえるようなものができないか。この後の政策をどうするかといった議論の際にマクロの労働生産性とか、域内の人口減等だけで議論するには、推計と議論の中で足りない。実際の推計等、難しいことは理解しているが、この辺は何か考えはあるか。

    ○ ご指摘の通り、政策変数として何を政策とするかということを考えると、クロスセクションの将来像だけでは不十分であり、どうしたらそれを回避できるか、改善できるかということに投入できる変数があまりない。
     ここの議論をすると、投資、消費者の行動、その時点の地方公共団体の行動はどうかといった、GDPの三面等価のような、データが揃ったものでないと難しい。県民経済計算では揃っているが、そこでもうまくいっていない。これだけの都市圏の数では限界がある。都市圏の将来像の考え方と、都市圏ほどにブレークダウンはできないが、県単位で見た場合にどんなことがいえるのかといったセミマクロ面なアプローチをやっていくしかない。県民経済計算を使って、三面等価も考えてみるのはおもしろい研究結果がでているので、次回紹介させて頂きたい。

    ○ 先生方の指摘はもっともであり、気づかない訳ではないが、失業率が非常に不安定であり、当該モデルは安定性がなく、もう少しインプルーブする、政策変数を色んな形にする、域外と域内を区分する、こういったことを行い、もう少し安定性があって、世の中に活かせるようなものを目指したい。

    ○ 「中間整理」についてのポイントは都市圏で政策を展開するということであり、ベースは都市圏であるが、現実可能性はあるのか。金融政策と財政政策が市レベルだとどうなるのか。

    ○ 都市雇用圏以外のところ、図面で言うと白地のところをどうするか、今後の政策展開を問われる。都市圏については、一定の政策誘導により方向性を見いだすことが可能、千差万別ではあるが、まだ可能性がある。
     一定規模以上の都市圏となることを政策目標とするのか、10万人規模の小さな都市圏で成立することを選択するのか、例えば小さな都市圏であれば、出来ることと出来ないこと等、選択と集中の範囲から外れることを首長は住民に伝えたうえで、最終的に住民の判断に委ねることになるのではないか。産業では外貨を稼ぐ域外産業と、域内循環でまわす域内産業とをどのようにしていくのか、また、高齢化に伴い増大する医療・福祉負担にどのように対処していくのか。医療負担の増加は財政支出だけで賄えないことから、予防部分に力をいれるなど、大胆に行政の質を転換し、医療・福祉の支出を抑える等の政策を行ったうえで、方向性を考える必要がある。加えて、産業に携わる人材をきめ細かく見ていく必要がある。産業人材の育成については、義務教育から高等教育まで含めて、教育の質を転換していかなければならない。このあたりを政策展開していくときに気をつけていかないと、政策的に誘導していく方向が絵にかいた餅になってしまうことから、議論をそれぞれの立場で深めていく必要がある。

    ○ 白地として残している背景としては地域経済政策という範疇であり、福祉等はそれぞれが行うと考えられ、地域経済政策となると、市場との応答が必要であり、労働力市場とか、経済力市場とかが存在するような場所で成立していることから、白地地域はそこにくっついているといった仮定がある。


    ○ 白地地域の医療費、福祉費の高騰が問題になる。都市圏についてはある程度、解決できると思うが、それ以外の地域に引っ張られ、都市圏も崩れてしまうのではないかと危惧している。中心市街地の議論があったが、都市圏を想定した場合でも、多様な観点でみなくてはいけない。コンパクトシティにつながる話があったが、県立病院、市立病院等、公共施設が郊外に流出した後に、社会資本を整備し、道路も整備されるとそこに後追いで大型店が出来て、その結果、中心市街地がすたれる。この構造をどうするか。中心市街地の問題自体についても、総合的な観点から分析を加えることが必要。

    ○ 市街地は、不便な所にくる人はいなく、それなりに合理性がある。現実を踏まえて部分的改善はするとしても、大きな流れとしては、何も都心に全部集めなくても良いではないかといった割り切った考えは、現場的にはこまるのか。

    ○ 今の中心市街地とか街の状況によって、パターンが分かれると思う。

    ○ 街作りの件であるが、6,7年前にも街作り3法という形で、国としても施策体型の変換を行って、それ以降、色々取り組んできたが、変厳しい状態にある。昨年の夏以降経済省としても、別の審議会において検討をしており、国土交通省においても検討をしている。個々の主体についてそれぞれの利害に基づいて行動してしまう。結果、中心市街地は大事であり支援するが、結局、個別の地域、地域で、必ずしもうまくいっていない。我々の議論も検討の途中であるが、今後の方向性として国の役割と地方自治体の役割、実際に街作りに現場で取り組んで頂いている方々の役割としっかりと分析をして、在り方を見直していきたいと思う。こういった議論を参考にしながら、具体的な施策を考えていきたいと考えている。

    ○ 市街地についてコンパクトにということであるが、市街地の場合、商情対策の観点から論じれば、郊外にあればいいのではないかといったことになるが、インフラコストで考えると道路上下水道の初期投資が国庫補助で整備されるが、その後の維持負担コスト、具体的に市町村にかかってくるコストを計算してみると本当に、固定資産税とみてペイするのか。推測するにペイされないのではないか。トータルで人口が増加せずに、開発面積が増えると、総合的に考えると無理がある。自治体がきちんと管理会計を行っていないことから損な投資を大量に行っている状態。

    ○ 白地地域の人を都市部に移していくことで、相乗効果があるのではないか。白地地域から人を撤退させることで、福祉コスト、遊休する資本の稼働率の問題がなくなる。また、都市部に人口が集中することによって、労働生産性が上がる。郊外のショッピングセンターに対抗して中心市街地にデパートを建てることは考えずに、ケア付き介護住宅建設し、その周辺で零細商店もペイするのではないか。介護の生産性を考えると、一カ所に居住すれば非常に生産性があがりコストが下がる。人のあるところに商店を展開するのではなく、商店のあるところに人を引っ張ってくるといった政策、ものを作らない商業政策があっても良いのではないか。郊外にショッピングセンターが出来ることを罪悪視することはない。むしろ都市部に住み、郊外に買い物に行くというのは、どうなのか。中心市街地再開発ということに関しても、これらが非常識がどうか教えて頂きたい。

    ○ 期待通りに動くかどうか。結構集落が残る。行政としては、むしろ人がいる所に併せてサービスをするという一方で宿命があると思うが。


    ○ それは過去の人口が増えているときのサービスの在り方であり、人口が減少し、経済成長も低いときには、そのモデルは成り立たないということを、明確に示すことが、大事ではないか。

    ○ 程度問題ではないか。

    ○  これからの中心市街地を考えるにあたっては、商業的側面も重要だが、地方都市においては医療・福祉の問題が非常に大きな問題。今後の医療・福祉は、財政に依存しない地域の介護力と介護施設をうまく組み合わせていくこと重要がであるが、今まで地価の問題等で郊外に出ていっていた介護施設を如何に中心市街地に呼び戻すかが課題。それを実現するためには、国の補助金の在り方を変える必要がある。

    ○  広域的な連結ベースでの都市経営を考える上で、資料にある「3つのC」に加えて、ハード・ソフトを含めた地域のストックの部分も重要な要素。

    ○  今まで産業政策のほとんどは都道府県が行ってきており、一部の政令市を除いて大部分の市町村は産業政策を行ってこなかったのが現状。しかし、大きな県になればなるほどどこを向いて産業政策を行うか判断が難しくなる一方、市町村単位では小さすぎて有効に行うことが出来ていない。こういった意味では、都市圏単位で産業政策を行うことは範囲としては非常に合理的。実際は都市圏単位で産業政策が行われている事例はほとんどないのが現状であるが、補助金等を有効活用しつつ、人を得れば静岡県の沼津市、富士市、三島市のようにうまく機能している事例もある。

    ○  白地地域については、公共部門と社会給付の移転で成り立っているが、この地域が都市圏・都市部の足を引っ張るような政策はやめるべき。都市部の生産を支えているのは第3次産業で、その生産性は人口密度の関数になっている。また、都市の中心部に労働生産性の低い産業が多くあると、生産性は全体として低下する。したがって、中心市街地の最大の問題は、労働生産性の低い高齢者が問題。今後、土地の再利用を促進し再開発と人口密度の再構築を、地価を上げずにどうやっていくのかを真面目に考えない限り、国全体の第3次産業の生産性は上がらない。

    ○  厚生労働省の統計をベースに考えると、白地地域の人口は現在約1000万から2030年には約700万になり、その比率は約8%から約6%になると予測され、この日本全体の数%にしか満たない地域にどれだけのコストをかけるのかが問題。
    中心市街地を含め、地域振興を考えるにあたって、意志決定主体の範囲がどの程度が適性か考える必要がある。
    集住が生産性に与える影響がどれほどのものか、シュミレーションしてみるのも面白い。

    ○  日本の人口の1割にも満たない白地地域について、都市部のお荷物だという議論は、公共投資の面からはそうかもしれないが、民間経済から考えると必ずしもそうでないと考えている。白地地域は、日常的な公共サービスを自前で負担できない地域がほとんどだが、それ以外の所得面においては、集客交流産業等により自立的に補填出来る地域が結構ある。しかしながら、そのような地域でも成り立っていないところが多いのは、集客交流産業から直接市町村が課税できないことが原因で、その部分が解消されれば一部の白地地域はやっていけるのではないか。

    ○  中心市街地における高齢者の問題で、単純に外に持っていくとなると、今まであった地域の福祉力がなくなり、逆にコストが顕在化してくる可能性がある。今後、行政として、居住の形態、年齢構成、福祉コストの低減について、陰に隠れている数字も含めてどう考えるかが問題。

    ○  域外から雇用と定住人口を呼び込む産業の典型例はサービス産業。サービス産業は、労働生産性が伸びづらいため、GRPは低いが雇用があるのが特徴。製造業は技術革新によって労働生産性を上げることにより、賃金を上げることができるため、成長した都市部もあれば、製造業の賃金上昇に第3次産業がついて行けず、都市圏があまり成長しない例も見られる。いくつかの事例について統計を交えて次回お示ししたい。

    ○  市町村合併の副産物として自立を選んだ白地地域の中で、林業や農業といった地域の産業の移出産業化、あるいは役所の職員が積極的に地域をケアする等、自助努力あるいは新たな自立のタイプを見せ始めている。
     市町村合併が経済社会圏域で行われていないケースがほとんどで、そのようなところは、地域の広域行政を行うべきで、そのために各予算の例えば1割をプールして産業振興や農業政策といった共同目的で使えるような仕組みにしていく必要がある。
     これまで地域を診断するということをしてこなかったのが大きな問題。これからはこのようなフレームワークの中で、自治体は自己診断すべき。

    ○  合併を選択せず、自主的に自立を選んだところは、地域資源を活かし重点化した特徴ある政策を行うようになってきており、今後非常に面白いのは確か。また、現在行われている市町村合併は、経済圏の考え方とは違うところがほとんどで、当面、自治体の格差を広げることとなると思う。そのような中で、今後は広域連合でやっていかなければならない場面も多くなってくるし、加えてそこに都道府県も入るような事例が増えていくのではないか。

     

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