経済産業省
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審議会・研究会

地域経済研究会(第7回) 議事要旨

1.日時:平成17年5月20日(金)10:00~12:00
 
2.場所:経済産業省第1特別会議室
 
3.出席者:
(委員)大西座長、上田委員(代理)、岡部委員、戒能委員、
寺田委員(代理)、土居委員、中村委員、松原委員、藻谷委員
 
4.議事概要
(1)事務局から「人口減少下における地域経営について」を
   説明後、中村委員、戒能委員からの補足説明の後、各委員      
   による自由討議を実施。
(2)討論の概要は以下のとおり。

  • 一本の式で全国約270の都市圏を扱っているが、類型化した式を幾つかで処理することは可能か。
  • 最初にこのモデルを作るときに、公共事業依存型、製造業、大都市型のサービス業と地域の特徴を大きく3つに区分し、更に自立型に成長できる地域と、移転所得依存型の地域にわけることを考えたが、全て推計作業が倍になることから、地域のダミーを入れることにより回避することとした。地域を類型化して行うことは、大事なことであり、影響力を代えることから望ましい。
  • 人口社会純増率の決定係数が低いのはなぜか。また、労働生産性に高齢化率を入れていることについて説明頂きたい。全て資本整備率と高齢化率、有形固定資産、こういった形で労働生産性そのものを考えられなかったのか。実態値としての関係はどうなっているのか。都市圏毎にみてみると、全体として、大都市圏、地方中枢都市圏、高い伸びを示しているが、工業化で伸びているような都市はあまり高くない値になっているのは何故か。人口移動との関係についても御説明頂きたい。
  • 決定係数が低いのは、地域別のダミーを入れてないからである。人口の社会純増率は、前期の労働力人口等をいれている。高齢化率は基盤産業の就業者に対する高齢化率を説明変数にしなければならず、不可能ではないが、基盤産業の高齢化率を説明する説明変数を作ることになってしまい連鎖効果を及ぼしてしまうので、単純に高齢化率とした。厳密にいうと、基盤産業の高齢化率を入れた方が良い。労働生産性を変数として動かすというシミュレーションも可能だが、本モデルでは行っていない。
  • 就業者で按分した生産関数になっていると思うが、定数公はその率でその分だけ増えているというような解釈もできる。シミュレーション時に労働生産性の伸びを外政的に与えるのであれば、そういった項を式(7頁一番上の式)に入れると対応できるのではないか。タイムトレンドで対応しているのであれば、処理済みだとは思うが。
  • 経済と社会の関係は、最近の論調では社会のあり方をより重視した、社会経済圏といった社会を重視した言い方が多いが、本資料では経済社会圏という言葉を使用しているが、この考え方を教えて頂きたい。
  • 本モデルでは、雇用圏、中心市に1割以上の人が通勤している通勤圏という概念で始めた。しかし、通勤だけではなく、買い物や通学等を無視するべきではないといったことが本研究会でも議論となった。結局、人口減少下においては、人がどこに住むかといったことが重要であり、かつ住都地域が減っていくに従って産業地域、商業地域を作り替えていかなければならない。作り替える際には学校、病院、介護施設等のロケーションの問題等、縦割りではなく一体で考えて、初めて人口減少下において最適な地域の経営が出来る。このような考えに従うと、通勤だけでは狭く、買い物、通学等、生活レベルを含めた形で、政策論として行う場合に経済社会圏といった考えが良いと考え、この言葉を使用した。
  • 圏域そのものは都市雇用圏と同じか。
  • 生活圏でいうと都市雇用圏と周辺の白地地域までを含んだ地域が、現実には経済社会圏のエリアとして考えられるのではないか。269の都市圏は雇用圏の考え方で行っている。
  • A3の最終ページの合計欄に記載されている変化率は年率に直すと殆どゼロ成長になっている。何かしら生産でとりこぼされているところがあると感じられ、これは輸出ではないか。輸出産業がある地域をこういった観点からみると理解できる。変化率を見るときに生産額の関係は、年率にブレークダウンして書いた方がわかりやすい。
     今後のあり方について、建設業の生産額を落としていることは公的な財政制約を加味しようということで良いと思うが、15頁にあるフルセット主義からの脱却、重点的な産業振興等についても財政依存から脱却しないと、自立的な地域経営は無理なのではないか。シミュレーションでも公共投資が減少していくとされており、工事に依存しない地域経営を作らなければならない。財政負担を強いれば地域経済にネガティブな影響を与えることから、できるだけ工事に依存しない形で自立的な経済を構築していくようなトーンが出るとよい。市町村合併が最近進んでいるが、市町村合併をしたからには、1人当たりの行政経費を節約する効果を発揮すべき。人口減少に併せて、歳出額の水準も下げなければならない。1人当たりの行政経費を効率化し安上がりで良い行政サービスができるよう、財政運営をしていくことが必要。
  • 構成比でみれば東京にさらに集中することになる。それに対応する問題として、若い世代が住んでいる地域から高齢者が住んでいる地域への財政移転は今よりさらに進むだろうが、それでも十分でない場合には、高齢者が大層を占める地域でどうやって地域経済を維持していくかといった問題が別途生じる。その際、できるだけ生産の効率性を阻害しないようにするためには、財政に財政移転をする負荷をかけるべきでない。財政移転は社会保障でやり、人口減少化の経済のもとでできるだけ財政負担をかけないようにしていくことが必要であると思われる。
  • このモデルは、どこかで移動がおこらない均衡状態に到達するのか。もしそういうことが計算上想定されているとすると、5年ごとでどのくらい調整されるかというのはどこにインプットされているのか。
  • 推計の対象となっているのは、差分、人口の自然純増率・社会純増率であり、飽和に達するという構造は持っていない。率が仮に超えていても、過去の90、95、2000年の計測
    データを超えて動くことのないよう実績から図っている。また、差分は白地地域の人口が都市へ下りてくることで調整されている。あるいは、皆が山へ帰っていくことで調整されている。
  • 30年間で起こることが、どうして5年間で起こることにはならないのか。
  • あり得る。ここでは、過去の実績値の9ページの下のフォー
    ミュラの中で観測される事象以上のスピードでは物事変わらないだろうに与件として置いている。
  • 数字が全体に収まっているのは、白地地域では人口が3割ぐらい減ることになり、そこで調整され全体の中に収まっているという構造になっているからである。
  • 産業政策や雇用政策を広域圏でやる必要があるという議論と、生活の利便性確保、生活基盤の充実がどういう単位で行われるべきかというのは少し違うように思う。経済活動について、あまり自分の自治体の範囲に捉われてはいけないというのが重要なメッセージであり、それを促すというのは良いことだと思うが、最終的には基礎自治体でなければならないというところまで言えるかどうか。
  • 広域連合と書いており、必ずしも基礎自治体でなければいけないというところまではいかない。産業だけでも広域化する必要はあるが、どこに住むか、どこに商業があるか、どこに保育所があるか、どこに学校があるかというのも一体的に考えたほうがいいのではないか。
  • 人口が減少すると、一人当たりの生産性が向上していくことによって、産業は生き残るわけだが、トータルアウトプットはほとんど伸びない。つまり、産業が継続するからといっても、その地域の一般人の生活向上にはまた別のことを考えなければならない。ヨーロッパ等で起きている地産地消とからめた集客交流は、日本でもトータルアウトプットが増える産業ではないか。ただし、現状では集客交流は自治体財政にはとんど寄与していない。東京の一人当たりGRPが下がるので、大都市圏にもっと人口を集中させろという意見が当然でてくるであろう。しかし、出生率が1.00をきってしまった東京に若者をさらに集中させるということは、目の前の経済成長にとっては非常に良いかもしれないが、人口減少という経済成長の根源の問題をさらに深刻化させるだけである。つまり、生産性が非常に高いところに若者を投入して、経済成長を維持することが仮に可能なら、人口再生産性が非常に低いところに若者を投入して日本の人口を更に減らすということと同じことである。
  • 前期高齢者の就業率が高まる、あるいは女性の就業率が高まるというような仮定をおくと社会流入が緩和される。内部に存在する労働力が増えれば、その分、外から入ってこなくても良いということにはならないか。
  • 地域ごとの労働力率で今はじいている。その数字を変えればできると思う。首都圏で生産性を上げるためには若者をよばなければいけない。普通、若者が来たら出生率が高齢者よりも増えるはずだが、東京の場合、地域特性によってそれ程出生率が上がらないとすれば、逆に言うと、地方で若者を転入させる施策をとると、出生率は上がると考えてよいか。
  • 仮説の域を出ないが、東京で出生率が低い理由として、家の大きさと通勤時間が大きいのではないかと思う。東京に若い人を入れると東京の出生率も向上するのではないかという意見については、封鎖系で考えると、今の生産性を仮に固定して考えるのではあれば、出生率も固定して考えるのがフェアな考えではないかと思う。
  • 都市に集めたから、住宅が狭いから、育児施設が足りないからというのは少子化のひとつの理由かも知れないが、それは既に結婚している、または既に1人子供をもっている人が更にもう1人産むときの理由であって、1人目の子供を産むときの理由とは違う可能性がある。都市での人口の男女比の歪みや、未婚率の問題が大きいのではないか。
  •  30年後に、今までどおり、経済政策を上位にした地域の運営、地域政策の上位に経済や産業政策をおくことの限界、政策の余地の狭さが際立って見えてきたように思う。経済社会圏というものから、社会経済圏としての政策が求められる方向にむかっているというふうにも見える。 また、一年で考えると実感できない程度の経済成長にとどまるわけで、ほとんど定常状態に近いものに収束していくにもかかわらず、このモデルが飽和するという方向には想定されていないところに少し違和感が残る。人口の社会増については、個々の経済社会圏同士で差が出てくる。あるところは制度的な改善によって社会増をひきつける可能性はあっても、全体の人口が大きく変わらない状況では、淘汰が起きてくる。その際、なくなっていく町があってもいいという方向に政策をもっていくのか、それとも、互いに競い合うことで小さな町が残り、安定した状態に至るような政策誘導を行うのか。
  • 人口の変化率は東京がかすかにプラスで、あとは赤字であるが、その赤字の幅が少ない沖縄県をみると、域外市場産業の生産額がものすごく大きい。この中身は観光か。
  •  商業関係である。観光は産業分類の中に入っていないが、それに附随した商業や接客業関係だと思う。
  • 沖縄は出生率が非常に高い。ここに人が大勢来ることで人口の自然増の可能性はないか。
  • 沖縄は急速に都市化しており平均寿命が急に下がったが、出生率も下がるのではないかという危惧がある。ただ、人口ピラミッドが50歳以前がほとんどフラットであるというのは、期待を抱かせる。
  • コミュニティー存立の是非の議論はあり得ると思う。北海道の深川市は、域内GRP変化率マイナス41.4%、域外市場産業マイナス57.3%、域内市場産業マイナス37.3%、人口マイナス44.8%。30年で44.8%人が減るということは、年率でいうと、2%ぐらいのオーダーで人が減っていくということであり、この状態の自治体が通常の公共サービスを提供することはおそらくできないであろう。
  • 深川は、同じ条件(道庁の支庁はなくて基本的に農業地帯の小中心地であったところ)の遠軽あるいは名寄と比べても状況が悪い。深川の場合は、単に条件が悪いのではなくて、やるべき努力をしていないのではないか。もう少し努力することで、コミュニティーの崩壊を後送りできるのではないかと思う。
  • この軌跡をたどらないところがでてくれば、このシミュレーションを発表するひとつの成果かもしれない。
  • このモデルの結果は、それぞれの地方の都市圏がこのままでもやっていけるというメッセージにはなっていない。むしろ、経済社会活動が行われない落ち着いた生活圏になる地域も出てくる可能性があると書いてある。経済活動の主体としては崩壊していって、ある程度人は住んでいるが、それは経済活動でない単位になるところも出てくるという意味であり、全ての経済圏が活性化していくということを前提としてはいない。だが、これはあくまでもシミュレーションであり、ひとつの参考である。頑張るところはもっと伸びる余地がある。
  • 人口について、東京都市圏だけがプラスになっているが、人口問題研究所ではマイナスで出ている。この差はなにによるものか。
  • 我々の試算は産業活動を入れているので、それに伴い、東京都市圏というのは非常に広く神奈川や埼玉も一部入っているが、その都市圏には相当程度人が集まってくる。産業活動とリンクした人口移動を考えていることの結果だと思う。
 

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