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株式会社朝日相扶製作所

会社概要

・ 社名:株式会社朝日相扶製作所
・ 本社所在地:〒990-1442 山形県西村山郡朝日町大字宮宿600番地15
・ TEL:0237-67-2002 FAX:0237-67-3156
・ 設立:1970年8月
・ 資本金:4,970万円
・ 代表者:代表取締役社長 阿部 佳孝
・ 従業員数:140名
・ 事業概要:家具製造業(イス、テーブル、ソファー、ベッド等)

会社HP

本事例についての問い合わせ先

 ・ 担当:総務管理課課長 阿部千恵美 (連絡先は上記記載のとおり)




デンマークのワンコレクション社から受注した国連本部ビル会議場の椅子「UNチェアー」


 

今回は株式会社朝日相扶製作所の阿部佳孝社長にお話をお伺いします。御社の沿革を拝見しますと、設立当初はビニール縫製から始まっていますが、家具を製造するようになったきっかけは何だったのでしょうか。

 弊社は、オフィス家具のビニールレザーの縫製の仕事をするところから始まりました。というのは、弊社が岡村製作所様の出資により設立されたことから、その下請けとして事業を始めたのが設立のきっかけです。
 戦時中、岡村製作所様の創業者である吉原謙二郎氏のご家族がこの朝日町に疎開をしていまして、その縁で、同社が神奈川県横須賀市追浜にある同社工場に朝日町からの出稼ぎ労働者を100名以上受け入れてくれていた、ということがありました。その関係がもともとあったのですが、当時、朝日町では出稼ぎをしないため、農閑期の仕事を創出すべく企業誘致をしており、岡村製作所様にお声がけしたところ、ご協力のお返事をいただきました。ただし、協力の代わりに、①自前で工場を準備すること、②経営者を用意すること、という条件を提示されたことを受け、当時、企業誘致を担っていた町議会議員の阿部宗一郎、私の祖父が社長に就任し、出稼ぎ者が中心となって弊社を立ち上げました。
 設立以降、バブルがはじけるまでの20年間は、岡村製作所様からの仕事が8~9割を占めていました。その時代は、岡村製作所様からの仕事を行っていれば、十分に雇用が維持できていました。営業をせずに黙っていても仕事がきた、というのが当時の状況でした。


 

御社の事業の方向性を大きく変える転機は何だったのでしょうか。

 直近ではバブル崩壊です。その後、岡村製作所様からの仕事も、内製化や海外生産などといった変化の中で、少なくなりました。
 また、それ以前にも、オイルショックの後から、岡村製作所様のみに頼っていたのではリスクが高過ぎるという危機感を持っていましたので、弊社としても新しいお客様を開拓していました。ただ、オフィス家具分野での新規顧客開拓は岡村製作所様と競合関係にあるために難しいので、ホームユース家具分野で新規顧客の開拓を始めました。


 

全く異なる分野に事業展開されるにあたって、どのようなご苦労がありましたか。

 オフィス家具とホームユース家具とでは、技術面、設備面では、全く異なります。技術面では、人材を一から育てました。というのは、弊社には、経験者を採用しない、という方針があります。それは、経験者を採用すると技術の水準は一気に上がりますが、逆にその経験者ができないと言ったことはできない、つまり自らで成長の限界を設定してしまうことがあるからです。できるかどうか分からないけれども、とにかくやってみて試行錯誤する、という姿勢がなければ、技術は進歩しません。
 弊社はオイルショックの際に倒産の危機に見舞われました。従来のビニールレザーの縫製だけでは食べていけないため、木工を始めました。その時も敢えて経験者を採用せずに、ずぶの素人が始めました。その時には、工場の敷地内に木工の職業訓練校を設置し、県から技術者を3ヶ月間だけ派遣してもらいました。全社員が入校し、木工のイロハを教わったのが最初のスタートでした。その後は仕事が終わった後、毎日、県の工業技術センターに通って、お客様のご要望に応えるべく、相談に行っていました。


 

なぜ、社員一丸となって危機に臨むことができたのでしょうか。

 倒産の危機に陥った時、当時の社長、創業者が全社員を集め、「このままでは会社が存続できない。」、という話をしました。その時、従業員の一人から、「2、3ヶ月ぐらいなど給料などなくたて、何とか喰うぐらいはするえべがらよ、何とか金になるごと考えてみだらなんたや、俺だの会社俺だで守らんなねべ。」という言葉がありました。その背景には、家族がバラバラになってしまう、過酷な出稼ぎ生活に戻るのが嫌だという、従業員の切実な思いがありました。
 そういう現実的な危機感が、積極的に新しいことを覚えていこうという原動力になったのだと考えています。


 

バブル崩壊前後で新しい顧客を開拓する際に、どのような営業をされましたか。

 80年代中頃からです。当時の社長が、ホームユース家具の分野で、日本で一番の会社を調べました。そこで海外ブランドの家具メーカーが挙がりました。そこに当時の社長が飛び込みで営業をしました。偶然にもその会社の専務と会うことができ、話を聞いてくれました。そこで話をしているうちに、先方から「うちの代表作の商品を作れるか」と聞かれました。そこで「作れます。」と答え、会社に戻るやいなや、その商品の製作に入りました。その商品は今まで弊社で作ったことのないものでしたが、試行錯誤の上、ようやくできるようになりました。それを受け、その家具メーカーから生産を受注することに成功しました。
 そのように、最初に「一番」を攻略したことから、後は比較的簡単に仕事を取ってくることができるようになりました。朝日相扶という会社の名前は知られていませんが、先述の家具メーカーの代表作たる商品は、この業界であれば誰もが知っていますから、その商品を作っている会社であることを説明することで、「では、うちのこの商品は作れる?」と言われるように、営業はし易くなりまし、一気にお客様を広げることができました。


 

自社製品を作って、自社の名前で世の中に出していこうというご判断はなかったのでしょうか。

 実は、過去に自社ブランドを持ったことはありました。しかし、結果的に上手くいきませんでした。自社でデザインをし、製品を作り、カタログを作ったものの、流通の仕組みが分からずに誰に売ればいいのか分からず、都市圏の市場に受け入れられませんでした。
 その経験を踏まえ、自社製品を売るという弊社の苦手な部分にこだわるのではなく、むしろ作ることだけに徹して、作ることだけは誰にも負けないようにしよう、というように方向転換をしました。それにより、ヒト・モノ・カネの全ての経営資源を作ることだけに注いできました。


 

新たな顧客を開拓する際に、その他に工夫されたことはありますか。

 弊社独自の「棚前制度」です。今まで家具屋の常識としてはロットで作ってロットで納めるというものでしたが、弊社は1品から、かつ、様々なオーダー内容にお応えしてきました。また、エンドユーザー様のところまで直接弊社がお届けしますので、二次配送費もかかりません。ただ、少々高いですが。
 この制度によって、お客様にとっては、通常であれば売れるかどうか分からない商品をロットで仕入れ、倉庫代を払い、在庫を抱えていたものが、より売れる見込みのある商品を、倉庫もいらず、在庫を抱えないで仕入れることが可能となりました。今までロットで仕入れるしかなかった全国各地の方々が、どんどん弊社にご依頼いただくようになりました。
 90年代に国内にインテリアショップがたくさんできた時がありましたが、そのような時代の潜在的な要請に対して、弊社は応えることができたのだと思います。


 

御社が、お客様に対して、また自分たち自身に対して、約束していることは何だとお考えでしょうか。

 まず、弊社は100%OEM生産をする、つまり自社ブランドを持ちません、お客様と同じ土俵には上がりません、ということです。ですから、お客様は弊社を信頼して、色々な情報を教えていただいたりしますし、生産を任せていただけています。一回でも自社で直接仕事をとってしまえば、今までのお客様を一気になくすことになります。したがって、100%OEM生産は守り続けなければなりません。
 また、先ほど申し上げた「棚前制度」について、あらかじめ決められた棚前数があるのですが、この棚前数以内であれば、お客様との間で決められた納期を必ず守ります。お客様が安心してお取引していただくためには必要です。


 

ここまで技術力を高められたのは、なぜだとお考えですか。

 まさにOEM生産を続けてきたからだと考えています。自社ブランドだけを作っていたのでは、自分たちの持っている技術の範囲内でできるものしか作りません。現在、弊社では約80社のお客様とお取引させていただいております。そのお客様からのご要望を実現するために、知恵を絞ることはもちろん、新たに機械を買ってみたり、海外に職人を派遣して技術を習得したり、という積み重ねをしてきました。その結果として、現在の技術力があるのだと思います。
 また、社員のモチベーションを上げるための社内制度があります。マイスター制度を始めとする様々な表彰制度や、何らかの改善を提案した場合にその効果に応じて報酬を与える提案制度があります。これら制度により、社員は自発的に技術力や作業環境を向上を図るようになっていると思います。


 

御社の今後の課題、展望はございますか。

 日本の少子高齢化は進展するので、今までと同じやり方ではいずれは事業が縮小していくことになると思っています。そのためには、さらに異分野への挑戦が必要だと考えています。
 また、いずれはエルメスからOEM生産の依頼がくることが夢です。欧米の方々は、日本人に家具が作れる訳がないと思っているところがあります。欧米では、まだまだ日本の家具は認知されていません。そのような意識をいつかは変えていきたいと思っています。
 弊社の創業目的は出稼ぎの解消と地域の雇用確保です。弊社社名の「相扶」は相互扶助の意味です。したがって、この朝日町で作り続けることに、創業から一貫してこだわっています。そのこだわりを維持しながら、これからも朝日町で生産をし、発信していきます。


 

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年10月27日
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