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デリーター株式会社

会社概要

  商 号:デリーター株式会社
  所在地:神奈川県川崎市高津区久地4-26-28
  資本金:4,000万円
  従業員:35人
  事業概要:画材の製造販売

会社HP

本事例についてのお問合せ先

  info@deleter.jp 金子


まず、御社の成り立ちからマンガ用画材を開発されるまでのことを教えていただけますか。

 当社は先代(金子 寛一氏)によって1984年(昭和59年)に設立されました。以前は配電設計や工業用フィルムの製造を事業としていました。しかしながら、このような仕事は発注元の意向に左右されるものですし、海外を含めた他社に仕事を持って行かれる可能性も常にあります。
 先代は行動力と挑戦心が高かったこともあり、事業の多角化、自社ブランド商品の開発に乗り出していきました。
 そして、フィルムやラベルシール製造の技術を活用して、マンガ用のトーン(※)開発を進める等、1987年頃には自社ブランド商品を多く取り扱うマンガ画材メーカーへと姿を変えたというところです。

※「トーン」とは、ドットや柄が印刷されたシール状の画材です。マンガ制作の現場では、背景や衣服の柄等の表現に使われます。



どのような観点から、マンガ用画材に着目されたのでしょうか。

 新たな事業に挑戦していくにあたって、市場性を考慮していくのは大切なことです。一方、あまりに大きな市場を狙うとなると、競合企業も多くいますし、当社の立ち位置を確立していくのも容易ではありません。そこで、先代が目に着けたのがマンガ用画材の分野でした。
 一般向けの画材、文房具と違ってマンガ用画材はマニアックな分野です。また、趣味性が強く、マンガ家の作風・嗜好によって商品が選択される要素も大きいですので、当社でも市場に参入し、独自の立ち位置を築いてくことが出来るのではと考えました。特にトーンに関しては、当社が持つフィルムやラベルシールの製造技術を活用が可能です。こうして、マンガ用画材の世界に飛び込んでいったわけです。
 

御社にとっては全く新しい分野への挑戦だったと思います。具体的な商品開発はどのように進められたのでしょうか。

 マンガ制作に携わる方々の意見を徹底的に集めました。実際、商品化したばかりのトーンは、ダメだしばかりいただきました。しかし、何度も足を運び、マンガ家のアシスタントの方と定期的にお会いする機会も設け、提案いただいた点について、ひとつずつ改善していきました。
 また、トーンの製造については、これまでの事業で使っていた機械を転用できるように作り替えました。これで、自社で臨機応変に試作製造を繰り返す環境を整備することが出来ました。
 

現在は、トーン以外にも様々な商品を展開されていますね。御社では、商品としてのマンガ用画材の特徴をどのように捉え、対応されているのでしょうか。

 商品とは使い手がいてこそのものです。単純に作りたいもの・作れるものを提供するのではなく、「わかりやすい」「使いやすい」と使い手が求めているものを提供していくことが重要と考えています。
 マンガ用画材の特徴として、使い手の嗜好が多種多様である、一度選ばれた商品は長く愛用いただけるといったところがあります。使い手によって求めるタッチは異なりますし、また、それを実現できるツール(画材)に強いこだわりを持たれています。
 当社ではトーンだけでも600種類以上のラインナップです。これは、使い手が求める柄を揃えていた結果です。そして、一度商品化したものはよほどのことがない限り、廃番にすることが出来ません。例えば、廃番にした柄が連載マンガのキャラクターの衣服に用いられていたとします。そうすると、ある日を境にキャラクターの衣服が変わってしまいますし、作風にも影響が出てしまうかもしれません。
 他の商品についても同様です。自らが求めるタッチを実現するために、主線、効果線によって、ペン先(※)、ペン軸、インクを変えることはよくあることですし、このメーカーのこの品番のペン先でなければダメだと強いこだわりを持たれている方が多いです。
 マンガ用画材は、一度お使いになっていただき、それがお眼鏡にかなえば、長期的に愛用いただくことになるのです。このため、当社では「高品質」「不変」であることを強く意識して商品展開しています。自社工場を含め国内に生産基盤がありますので、高品質かつ多品種少量生産といった課題にも対応できています。

※マンガ制作に用いられるペン先には、「丸ペン」「Gペン」「サジペン」等の種類があり、それぞれ線の太さや書き味が異なります。



 

パソコンを使ったデジタル作画も普及していますが、アナログな画材の需要は変化されていますか。

 マンガ制作に携わる方々が必要とするものを提供していくことが大事ですので、デジタル作画が普及したのであれば、それに対応した商品を出していくだけだと思います。当社でも制作ソフトやペンタブレットを取り扱っておりますし、このような商品にもアナログ画材と同様に使い手によって嗜好が異なるところです。
 しかし、一時期に比べて、アナログ画材で描かれる方々が盛り返しているようにも感じます。マンガやイラストを描くということの出発点は手描きであることが多いですし、自らが確立したタッチ、画風に仕上げるためには手描きが一番と考える方が多いのかもしれません。また、丸ペン、Gペンと使い分け、トーンをカッターで切り貼りしてという手作業の工程そのものが創作の実感に直結しているのではないでしょうか。
 このため、アナログ画材の需要が急激に減少するとは考えていません。ただ、メーカーとして、マンガを描く層の維持と裾野を広げていく活動は重要だと思います。

 

マンガやイラストを描く層をどのように増やしていこうと考えているのでしょうか。

 デジタル作画の普及もそうですが、技術の進歩によって、創作を巡る環境は大きく変化しています。アマチュアが作品を発表するには、雑誌に投稿するか、同人誌を制作してイベントに出るぐらいしかなかったのですが、最近ではWEB上で作品を公開して感想を求めることが出来ます。描かれる方のチャンスと画材の潜在需要は以前よりも増えているのではないでしょうか。
 画材メーカーとしては、マンガやイラストを描くことの楽しさを知ったライト層に対して、いかにして専用の画材の良さを理解していただくかが重要だと考えています。このため、新たな取組として、テレビアニメや出版社とコラボレーションしたマンガ入門セット商品の展開を始めたところです。これまでの画材のイメージは、あくまでもプロが使うものであり敷居が高いということと、そもそもどの道具を使えばよいのか、どのように使うのかがわかりづらいということから、一般の人が気軽に買えるものでは無かったと思います。
 そこで、小学生でも買い求めやすい価格設定で、執筆に必要な基本のセットを組むこととしました。マンガ制作に特化した画材を早くから知ってもらうことにより、ライト層からコア層へと底上げを図れるのではないかと考えています。また、販売店側にとっても、売り場に割ける人員が限られた中で、一つ一つの商品説明をすることは難しいため、こうしたセットがあることによってお客さまに説明しやすくなると思います。
 本物を気軽に使って欲しいという思いから、子供だましで終わらせず、プロも使う製品をそのまま、トーンのサイズを小さくする等の工夫をして、セットの中に組み込みました。
 描くことにも興味を持ってもらうことにより、よりマンガを深く好きになって色々なマンガを読んでもらえるようになれば、出版社にとってもプラスになると考えています。

 

海外市場にも目を向けられているようですね。

 海外市場には20年以上前から挑戦しています。日本はマンガの歴史も長く、絵やストーリーの質に優れた作品も数多くあります。このような作品が海外でも評価されていることに伴い、日本のようなマンガを描きたいという層が海外にも生まれています。
 海外には、日本のようなマンガ制作に特化した画材がありませんし、Made in Japanの技術に裏打ちされた商品を求める声が多いです。日本の有名作家も愛用しているという点もPR効果が大きいと思います。
 大きな市場としては、アメリカ・フランスであり、韓国、台湾、タイなどでも販路を拡大しています。5年前には海外通販サイトを立ち上げましたが、現在までに73ヶ国のお客さまからご購入いただいています。


 

海外との取引でご苦労されたこと、取引維持に向けて気を遣われていることを教えていただけますか。

 右も左もわからなかった海外展開を始めた当初は、社員一人で製品をスーツケースに詰めて、展示会で飛び込みの営業を行っていました。マンガやアニメに特化したイベントは海外では少ないので、一般向けの文具・画材の展示会から、はたまた食品関係の展示会と、日本文化に関心を持つ方が訪れそうなものに体当たりでぶつかっていきました。営業を行っていた社員は英語も流ちょうではありませんでしたが、自社の製品は素晴らしいものだと信じて、アピールを繰り返しました。Made in Japanのブランド力もありますし、一度でも使っていただければ良さを分かってもらえるとの自信もありました。
 私(金子 一郎氏)も先代の意向でアメリカ留学をしたのですが、その間も商品を片手に様々なところを回りました。特にアメリカでは、誰かが使っているからではなく、自分が良いと思えば買ってくれますので、良さを説明し、一度使ってみてもらうということをこつこつ積み上げていきました。効率は悪いかもしれませんが、長く付き合っていけるパートナーを見つけることが出来ています。
 海外の取引先は、町の画材店や文具店等が多いです。マニアックな商品ですので、大手ですと説明が難しかったりロットの問題があったりすることから、商品の良さや回転率を理解してくれる専門店をターゲットとしています。
マンガ用画材は種類が多くありますし、進出国市場ではまだ馴染みの薄い商品でもありますので、「トーンはこの柄がよく動く」「地域の客層から見て、まずは初心者向けに限定した方が良い」といったアドバイスも行っています。取引を長く継続していくためには、ただ大量に商品を売ろうとするのではなく、正直なことを話して、信頼関係を築いていくことが大事です。
 

海外市場について、今後の展開はどのように考えていらっしゃいますか。

 海外にもマンガの専門学校が出来つつあります。今後は、そういった学校向けにも営業をかけていこうと考えています。
 また、これまでは当社単独で海外展開を進めてまいりましたが、これからは同業他社との連携、業界全体で取り組んでいく必要があるとも考えています。各メーカーが一定の技術力を持ち、それぞれ高品質の画材を提供している国は日本ぐらいではないでしょうか。このような日本の画材の魅力を広めていきたいですね。
 

最後に、御社の将来的な目標を教えてください。

 先代は、マンガ用画材という世界に飛び込み、販路を切り拓きました。これをさらに生活に密着したもの、文化にまで昇華していきたいです。マンガを日本の文化として確立させ、学校の美術の授業の一コマにマンガが取り扱われるようになれば良いなと思っています。そして、その授業で当社の画材が使われる日が来れば嬉しいです。

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年7月7日
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