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長谷川工業株式会社

会社概要

  • 社名:長谷川工業株式会社
  • 本社所在地:〒550-0002 大阪府大阪市西区江戸堀2丁目1-1 江戸堀センタービル14F
  • Tel. 06-6446-1845(代)
  • 代表者:代表取締役社長 長谷川泰正
  • 創業:昭和31年12
  • 設立:昭和38年6月
  • 資本金:4億6,750万円
  • 従業員:196名
  • 事業概要:脚立、はしご等の総合仮設機器、家庭用作業用品、イベント機材、自動車用品、園芸用品等の企画、製造、販売
     

会社HP

本事例についての問い合わせ先

  • 長谷川工業 マーケティング本部 Tel.06-6446-1838




創業当時の取扱い製品


現在の取扱い製品(一例)
 

今回は脚立、はしご等の企画、製造、販売を行っている長谷川工業株式会社の長谷川副社長にお話しを伺います。御社では「lucano」を始めとするデザイン脚立をお作りになられていますが、そもそものどのような想いがきっかけとなったのでしょうか。

 私(長谷川氏)は、他社で営業経験を積んだ後、05年に当社に入社しました。当時は当社をはじめ業界自体が低迷している時期でした。どの会社も同じような商品を作っており、価格競争に巻き込まれているという状況です。社員みんなが一生懸命仕事をしているのに利益が上がらないというのは不健全な状況ですし、長谷川工業という名前だけでは商品は売れませんので、何とか現状を打破したいと思ったのが最初の動機です。
 まず差別化を図ろうと考えました。当社は歴史があり、商品の品質が良く、プロ用の商品として認知されるに至っていました。しかし、そこにあぐらをかかずに脱却していかなければなりません。
 私自身、格好いいものが好きです。ところが、当時の当社商品の中で、友人など人に贈るものがありませんでした。格好良くて、人にプレゼントをしたら喜んでもらえるような商品を作りたい、という思いがありました。
 また、販路を広げていかなければならないという思いもありました。従来の販路は、金物屋やホームセンターといったチャネルです。新しいチャネルを得るためには、新しい商品が必用になります。

 
デザイン脚立 「lucano」

御社の商品はプロ用のものが多いですが、それらと比べて「lucano」はデザイン性に富んでいます。「lucano」の開発当初から、どのようにターゲットを想定していたのでしょうか。

 チャネルを増やすことを考えた時に、まず初めにインテリアショップに商品を置きたいと思いました。脚立をインテリアショップや百貨店に置くということは誰も考えていなかったと思います。お客様の声を聞いても、脚立は金物屋かホームセンターで買うという方がほとんどでした。家庭用の脚立についてお客様の声をお聞きすると、必ずしも満足して使っていないということが判りました。昇れて安ければ良いという方もいらっしゃいますが、一方でどうせだったらオシャレなものが欲しい、空間に合うようなものが欲しいと思われている方がいらっしゃいました。
 さらに調査をすると、一般の家庭で7割以上の方々が、一家に一台は踏み台、脚立、はしごといったものを所有していることが判りました。しかし、電球を交換する時に踏み台や脚立を使うでしょうか。実際には皆様、椅子をお使いでした。
私どもメーカーとしては、椅子の上に昇ることは転倒の危険があるので、踏み台や脚立を安全に使っていただきたいと考えています。なぜ、踏み台や脚立が使われないのかを検証した結果、保管場所に問題があることがわかりました。多くの方は押入れや物置などにしまいこんでおり、取り出すのが面倒なのでちょっとしたことでは使われません。私どもとして、お客様に安全に家庭内で脚立を使っていただくためには、部屋や空間になじむようなデザインが必要である、という結論に至りました。したがって商品のコンセプトとしては「隠さなくていい脚立」ということにしました。
 

「lucano」の開発当初から世界で売ることは想定されていたのでしょうか。

 想定はしていませんでした。まずは、世の中に無いものを作って驚かせたい、友人に贈って喜んでもらえるような商品を作りたい、という想いで動いていました。世の中に無いものですので、国内で又は海外でどれだけ売れる見込みがあるか、という数字を当てはめることはしませんでした。
 

「lucano」の企画時、社内の反応、協力の姿勢はいかがでしたでしょうか。

 私が入社して数年で始めたことなので、社員は、何を始めたんだろうと様子を見ていたと思います。ほぼ私が単独で動いていました。
 社長の応援もあり、意思決定も早くいただいていたので、精神的な支えにもなり、何とか結果を出したいと思いました。企業の中でこのような新しいことを始める時には、トップの強力な意思決定が必要だと思います。
 

「lucano」使用イメージ
 

なぜ、デザイナーのムラタチアキ氏と協業することにしたのでしょうか。

 私どもの会社にはデザイナーはいませんので、商品のコンセプトを共有できるデザイナーの方を探していました。
 その中で私がたまたま大阪のデザイン展示会に行った時、ムラタチアキ氏の作品に出会いました。そのデザインがシンプルで良かったということと、「METAPHYS(メタフィス)」というコンソーシアムブランドを運営しているということが鍵でした。
 私どもの会社は、プロの方々には知られていますが、インテリアショップ、百貨店、一般の方々には全く知られていません。そのため、最初の取っかかりとして、「METAPHYS」のブランドを活用できる、と思いました。実際にムラタチアキ氏にお会いしてお話ししたところ、同氏からも脚立は一度やってみたということでしたので、協働をすることにしました。
 

ムラタチアキ氏と協働するに際して、同氏との関係はいかがでしたでしょうか。

 一番大事なのは、企業側が最後の決定をする、ということだと考えます。デザイナーの方から言われる通りに作ったところ、売れない、価格が合わないといった結果を周りからよく聞いていました。それは企業がデザイナーに対して、必要なことをしっかり言えていない、ということが原因だと考えます。最後は企業がリスクを負うのだから、デザイナーの方には言うべきことは言う必要があります。
 ムラタチアキ氏との間では、何回もデザインのやり取りをし、結局、デザインが固まるまでに2年ほどかかりました。最初から良いデザインの提案がなされましたが、安全性の問題やコストの問題があったので、商品化をしませんでした。また、時代の少し先を行き過ぎているデザインの提案もありましたが、現状のお客様の脚立のイメージは旧来のものであり、そのようなデザインではお客様が認知できないので、従来の脚立から離れ過ぎず、一歩半くらい先を目指すくらいのイメージでお願いしました。
 私としても社内的にも失敗できませんでしたし、プロデューサーとして市場に受け入れられるかどうかという観点では妥協できません。したがって、ムラタチアキ氏とこのように何回もやり取りをしたことが、結果的に良い商品作りに繋がったと思います。
 

販路の開拓についてはどのような方法を考えていましたか。

 展示会に出展することです。「METAPHYS」ブランドの商品として、国内の展示会に出展していました。最初は海外に展開することは全く考えていませんでした。
 

インテリアライフリビング(日本)への出展風景
 

現在では海外に販路を持つに至っておりますが、そのきっかけを教えてください。

 国内ではグッドデザイン賞などをいただいていましたが、海外に進出するきっかけとして、ムラタチアキ氏から、ドイツのレッドドット賞への応募を勧められたことがあります。チャレンジのつもりで応募したところ、2010年のベストオブザベストを受賞することができました。この受賞をきっかけに、欧州で展示会に出展してみようという動きになりました。受賞により勢い付いたというところです。
 しかし、受賞したからといって、国内外の小売店に置いてもらえるようになったということではありません。そこから、「lucano」という商品の何を伝えていくか、ということを考え、形にしていく作業を始めました。
 最も伝えなければならないことは、「lucano」があることによってライフスタイルがどのように変わるのか、「隠さなくていい脚立」というコンセプトをどう伝えていくか、ということです。「lucano」は、第一に安全であり、部屋に置いておけるように自立することができます。また、デザインが良く機能性が高いので、椅子のように座ることもできるし、お花を置いたり、色々なこともできることを伝えていきました。
 また、商品のカタログや写真、キービジュアル、パッケージには相当こだわりました。というのは、この新しい取組を上手く外に伝えていくことによって、当社の企業価値が上がると考えました。長谷川工業は歴史のある会社だけれども、新しいことに挑戦していると取引先やお客様にご期待いただけると思いました。


「レッドドットデザイン賞」授章式の模様

 
レッドドットデザイン賞のイヤーブック
 

海外ではどのようなご活動をしていますか。

 基本的に海外の展示会に継続出展し、来ていただいたお客様に丁寧にアフターフォローをするということを地道に続けています。
 その際、現地のニーズに合わせるため、ブースや広報等は現地のクリエイターにお願いしています。また、商品自体も、安全性は海外の安全基準に沿ったもの、サイズも海外仕様にしています。
 

ドイツ アンビエンテ展示会への出展風景
 

海外での評価はいかがでしょうか。

 海外では、まず形が美しいと言っていただいています。デザインに関しては、海外のデザイン賞を受賞したことによる信頼と、他に無いデザインであるということで評価いただいています。そこを入り口として興味を持ってもらい、その後に「隠さなくていい脚立」のコンセプトによって選ばれていると感じます。
 実際に、海外のラグジュアリーブランドの方々と取引していますが、デザイン性だけで「lucano」が採用されている訳ではありません。あるブランドの店舗では、今までのシルバーの脚立ではお客様の前では使えない、または見えないように使っていたものが「lucano」であればお客様の前でもすぐに使えるようになります。そのように、「lucano」のコンセプトによって今までの行動が改善されるところが評価されています。
 

「lucano」の躍進により、社内外に与えた影響はありますか。

 社内の意識が変わりました。「lucano」は通常の脚立よりかなり値段が高いですが、良い商品を作ることによって値段が高くても売れるんだ、挑戦し続けなければいけないんだ、という意識になってきていると思います。また、お客様から「lucano」を褒められることによって、自信がついていると思います。価格競争に陥っていた当社にとって、すごく良い効果です。
 また、社外に対しては、長谷川工業に伝えれば何か面白いことをやってくれるのではないか、という期待感を持ってもらえていると思います。
 コモディティ化している業界の中で、当社を差別化し、企業価値を上げる、という当初の目標にはだんだんと近づいているのではないかと感じています。
 

「lucano」に関して、お客様との約束として考えられていることは何でしょうか。

 一つは販売チャネルです。「lucano」のようにデザイン商品を取り扱う店舗に置いていただくようにしています。もう一つは定価販売です。商品価値を統一してエンドユーザー様に供給するようにしており、販売チャネルの選定は慎重に行っています。
 また、商品の改良を常にし続けるとともに、バリエーションを増やしていくことです。お客様の声をできるだけ商品に反映して、より洗練された商品をお客様にお届けすることが大事です。
 

今後の展望を教えてください。

 「lucano」をずっと売れ続けるロングセラー商品にしたいと考えていますので、そのためにも地道な活動を続けて、より洗練させていくことが必要だと考えています。
 脚立は成熟商品とよくいわれ、皆が脚立はこのようなもの、という固定概念があります。事実、海外でも「lucano」のような脚立はありません。だからこそ、受け入れられているのだと思います。私は、成熟商品にこそチャンスがあると考えています。
 

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2015年2月9日
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