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株式会社マルモ印刷

会社概要

  • 株式会社マルモ印刷
  • 本社所在地:〒769-1502 香川県三豊市豊中町笠田笠岡3915-5
    TEL: 0875-62-5856  FAX:0875-62-5861
  • 創業年月日:大正8年7月
  • 代表者:奥田 章雄
  • 事業概要: 商業印刷物(ポスター、パンフレット、カタログ、チラシ)、包装資材(パッケージ、包装紙)、文具製品(メモ帳)、樹脂製品(クリアファイル、ファイルdeメール、ファイルdeバッグ)、自社ブランド製品(geografia、REALFAKE、まるもの)

会社HP

本事例についての問い合わせ先

担当者名: 山本 沙也香
電話番号:0875-62-5856
メールアドレス: info@marumo-print.co.jp


 

御社は地元でも歴史ある印刷会社ですが、近年になって自社製品の開発も進められています。その狙いを教えてください。

 当社は1919年(大正8年)に石版印刷業を創業し、1957年(昭和32年)にオフセット印刷移行後は長らく地元の一般的な印刷等を行ってきました。印刷技術には自信を持っていますし、お客様からも高い評価を得ているものと自負しています。しかし、ペーパレス化の流れ、紙媒体による広告の減少と時代の流れは変わっており、当社としても事業形態の変革が必要と考えるようになりました。
 また、印刷業は、相手方の仕様や要望に基づいて製品を仕上げていく受注型の産業と言えます。価格についても、相手方の予算の中で決まっていくことが多く、攻めの営業が難しい分野です。
 印刷需要の減少、そして、中長期的な会社の未来を考えていく中で、受注型企業から提案型・ものづくり型企業へと変わっていくことが必要不可欠です。このため、自社で価格を設定し、制約の無い自由に展開ができる自社製品の開発を進めるようになりました。 

事業形態を変えていくのは大きなエネルギーがいると思います。自社製品の開発を進めていくにあたって感じられたこと、認識した課題はどのようなものがありますか。

 自社製品の開発を進めると言っても、具体的に何から始めれば良いのかと試行錯誤の時期はありました。受注型企業から変わっていくには、求められた仕様を満たすにはどうすれば良いのかという思考から、自社技術をどのように商品として形付けて、消費者に魅力的な製品とは?を考える思考に変えていく必要があります。
 最初の自社製品は2004年に開発したクリアファイルにしてリユースできる封筒(ファイルdeメール)なのですが、茶封筒を開封して書類入りのクリアファィルを取り出した時に発案しました。取引先やお客様宛てに商品カタログ等の資料をお送りする際に封筒を用いて発送すると思いますが、どれほどデザインや紙質にこだわった封筒を使ったとしても、中身の資料を抜き出すとすぐに捨てられてしまいます。これはもったいないことです。当社にはフィルム印刷もできる特殊な設備がありましたので、クリアファイルと封筒を掛け合わせると面白いのではとアイディアが浮かび、実行に移しました。封筒としての用途を終えた後も、クリアファイルとして手元に残れば広告効果も高まると思います。そして、開発した製品を業界紙に発表したところ、すぐに受注に結びつきました。自社製品の営業経験などなかったため、すぐに反応があったことに驚きました。
 こうしてファイルdeメールは順調に売上を伸ばしたのですが、次の一歩に踏み出す時間はそう長くありませんでした。但し、当社はまだ受注型企業の思考から抜け出せていなかったのです。
 ファイルdeメールはありそうでなかったアイディア商品ですが、事業形態としては従来の封筒印刷と同じものです。どのようなデザインにするか、何部作成するかを決定するのは発注元です。まだ、ゼロからのものづくり、自社ブランドとして直接売り出すといった経験は出来ていませんでした。新商品を開発しよう、マルモ印刷として商品を展開しようと考えても、ここから先がなかなか形になりませんでした。
 

現在は様々な自社製品を展開されていますね。次の一歩を踏み出すことができたのは、どのようなきっかけがあったからでしょうか。

 企業向けのセミナーで中小企業基盤整備機構の専門家と話す機会があったのですが、そこで、外部の目、デザイナーの意見も参考にしては? とアドバイスを受けたのがきっかけでしょうか。そこで紹介されたDRILL DESIGNの林裕輔氏、安西葉子氏との出会いが「ジオグラフィア」という次の一歩につながりました。
 印刷の技術に自信は持っていたものの、何を作ったらいいか分からない、素直な気持ちを両氏にぶつけ、打ち合わせを重ねていく間に、印刷技術を生かした紙製の地球議というアイディアが出てきました。林氏が地理好きということもあり出てきたアイディアです。当社だけで考えていてもとても思いつかなかった製品だと思います。
 こうして2007年に誕生したのが、地理・地形・地球をテーマにしたプロダクツシリーズ「ジオグラフィア」です。マルモ印刷製として直接店頭に並ぶことになった初めての製品です。

B to B製品とB to C製品では販路開拓の方法も異なるかと思います。どのようにして販路を広げていったのでしょうか。

 ジオグラフィアが形となった時に「売り出していくには目標は決めなければならない。どのお店に置いてもらうのを目標にしますか」と林氏から問われました。思い浮かんだのが、文具の一つとして銀座の伊東屋の店頭に並ぶ風景、デザイン雑貨としてSpiral Market、SEMPREで扱われる未来でした。そして、ニューヨーク近代美術館のミュージアムショップであるMoMAにも置かれたらいいなと思いました。こうした目標を言葉にすることによって、展開のビジョン、出展していく展示会のイメージが明確になりました。
 地球儀は文具でもあります。そして、ジオグラフィアは紙製の組み立て式地球儀という発想の新しさがあり、インテリア用品としても通用します。これをアピールすべく、2008年には国際文具・紙製品展(ISOT)、翌年2009年はインテリアライフスタイルに出展することにしました。ここでバイヤーの目にとまり、台湾の書店、オーストラリアの文具商社への販路が開拓できました。
 基本的には展示会で商品の魅力を説明していくとのスタンスだったのですが、目標として強く意識していたMoMAには、こちらからサンプルを送り、商談へとこぎ着けました。
 こうして、2009年秋には、目標としたMoMAとの取引開始を達成することができました。


 

文具市場、インテリア市場にとっても新しい商品だったと思います。一方で、新しい商品だからこその説明の難しさもあったのではないでしょうか。

 ジオグラフィアの面白さは、球体ではなく紙製の多面体であること、自分で組み立てることにあります。これを伝えるためには、完成品やパッケージを展示するだけでは不十分です。組み立て途中のものや組み立ての工程を動画で紹介するなど、地球儀を組み立てるといった工程そのものの面白さを伝えることを心がけました。
 小売店に対しても、店頭でのディスプレイ方法を提案するようにしています。日本語版・英語版のPOPも用意していますし、展示用の商品も提供するようにしています。
 こうして説明を重ねることによって、小売店や消費者から新しい用途提案も聞こえるようになってきました。蓄光塗料を印刷したタイプについてイベント会場のディスプレイに使いたいなど、商品の魅力を発信することによって新しい魅力が生まれるとの好循環が生まれています。
 

展示会で販路を開拓することに成功したわけですね。最近では海外の展示会にも積極的に出展されていますね。

 ISOT、インテリアライフスタイルと国内展示会に出展していく中で、海外との取引も生まれました。海外でも充分に通用する商品だとの自信も深まりました。
 こうした中、JETROの支援を受けて、2011年からフランス・パリで開催されるメゾン・エ・オブジェへの出展を始めました。2013年は出展を見合わせましたが、それ以外は今年まで出展し続けています。この他、ニューヨーク国際ギフトフェア(現NYNOW)にも2011年から出展し、2013年まで出展しました。
 継続して展示会に出て行く中で、それぞれの性格、バイヤーが主に何を見に来場するかが分かってきました。闇雲に出展するのではなく、コストと成果とのバランス、ターゲットとしたい国や商流を勘案しながら展示会を選択する余裕も生まれてきたように思います。


 

これまでになかった新事業を展開する際には、社内体制の整備も重要だったと思います。

 新しい挑戦にはスピード感と実行力が不可欠です。このため、デザイナーとの打ち合わせは決定権限のある社長が行い、その場で即決できる体制としました。また、海外との取引が増えていく中、現地の取引先とのコミュニケーションも重要となってきましたので、2011年のメゾン・エ・オブジェ出展を機に英語堪能な海外担当を採用しました。
 会社として新しい挑戦を続けていくと、社内の空気も変わっていきます。外部のデザイナーに触発されて、社員からも自社製品開発に携わりたいとの声が生まれました。こうして「まるもの」という社員提案のブランドも誕生しました。印刷技術や紙素材の面白さを印刷屋の職人が伝えていくことをコンセプトに文具などを展開しています。
 社内体制の整備を進めていくためには、新しい事業が社員にやりがいのあるものであることを浸透させていくことが大切だと思います。誰だって、できることなら仕事は面白く進めたいと思っているはずですし、面白いからこそ自発的な行動も生まれます。

印刷会社として培ったノウハウが新製品開発につながるといった好サイクルが生まれていますね。

 受注型企業からものづくり型企業へと変わっていくことを目指していますが、これまでの当社の取組や歴史を否定しているわけではありません。印刷会社として培ったノウハウがあるからこそ、今のマルモ製品があるわけです。
印刷技術と紙素材の知識には自信を持ち続けています。例えば、デザインユニットのblancoと不織布の手触りを活かした「REAL FAKE」を展開していますが、このような動物の柄を不織布に再現するのには特殊な印刷技術が必要となるので、当社以外では製造が難しいでしょう。また、「まるもの」のアニマルメモにも紙のインラインダイカット技術が活かされています。
 マルモだからこそできることが製品化につながり、そして、それによって、製品全体にマルモらしさが生まれています。
 

今後の展望をお聞かせください。

 転機のきっかけとなったジオグラフィアについて、その魅力をさらに広めていきたいです。消費者のニーズや感性に応じて、教材にもオブジェとにもなりうるものですので、教材用の地球儀が欲しいと思ってジオグラフィアにたどり着いたところ、オブジェとしての魅力を発見した、という広がりもあるでしょうし、その逆もあり得ます。両方の観点から、さらにジオグラフィアの販路拡大をしていきたいですし、発展途上国の子供達にジオグラフィアを通じて地球をもっと知ってもらいたいと考えています。
 また、ジオグラフィア以外の「まるもの」「REAL FAKE」も通じて、紙という素材の良さを伝えていきたいです。事務分野・広告分野でのペーパーレス化は進んでいますが、感性の分野ではまだまだ紙の用途を提案する余地が残っているのではないでしょうか。
 会社全体としては、「守り」である受注型だけではなく、「攻め」として自らものづくりの姿勢を取っていきます。現在では、自社開発製品の全体の売上げに占める割合は5%程度ですが、受注型で足元を固めながら「攻め」の割合を将来的に半分にはしたいです。また、現在の印刷需要がどこまであるかわかりません。付加価値を付けるだけでは戦っていけない上につまらないですし、価値をゼロから創らないといけないと思っています。現在の市場だけではなく、市場を作っていくべきです。受注を「創注」に変えて、新たな印刷ビジネスを展開していこうと考えています。


 

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6794

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6794

最終更新日:2014年10月14日
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