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株式会社マルニ木工

会社概要

  • 社名:株式会社マルニ木工
  • 本社所在地:〒738-0512 広島県広島市佐伯区湯来町白砂24番地
  • TEL.0829-40-5095
  • 創業:昭和3年
  • 事業内容:住宅家具、コントラクト家具等の企画、製造、販売、リフォームなど

会社HP

本事例についての問い合わせ先

  • 株式会社 マルニ木工 パブリックリレーションズ 橋爪  press@maruni.com



Miami Partner (写真前方椅子/「HIROSHIMA」)


今回は株式会社マルニ木工で海外販路の開拓をご担当していらっしゃる神田様にお話しをお伺いしております。まず、神田様のことについて教えてください。

 私は当社に所属する前には、大手商社の子会社で、インテリア、デザインに特化した商社にいました。そこでは海外の著名な家具ブランドの日本代理店も行っていました。また、それ以前にも、家具・インテリア等の小売の経験もあったことから、常に、国内の商品と輸入品の動向を見ていました。
 

そのような環境で働く中で、国内の家具について、どのようにお考えでしたでしょうか。

 国内の商品と輸入品とを比べると、作り方には差はなく、むしろ国内の商品の方が技術のレベルが高いと感じていました。また、そのような商品なのであれば、なぜ、海外に展開するということがないのかと疑問でした。今から10年ほど前ですが、当時は国内の家具メーカーが海外と取引する例は極めて稀でした。しかし、確かに北欧の家具は技術、デザインのレベルは高いものの、それでも国内の家具メーカーの技術をもってすれば、海外進出は可能ではないかと考えていました。
 ただし、そのためには、国内の家具メーカーは、3つの条件を克服しなければならないと考えていました。1つ目はデザイン力です。国内の商品は、圧倒的にデザイン力が欠けていましたし、インハウスデザイナーの力では、その壁を乗り越えることには限界があると感じていました。そして、2つ目はコストです。同じ先進国の欧州と比べても、日本の人件費は高い為です。そして、(これが最大の問題点でしたが)3つ目がブランド戦略です。
 

現在のお勤め先であるマルニ木工様との出会いは何だったのでしょうか。

 05年にマルニ木工が発表した「nextmaruni」のプロジェクトを見ました。建築家・プロダクトデザイナーとして著名な黒川雅之氏の提案により始まったプロジェクトで、世界中の12人のデザイナーにデザインを依頼し、それぞれの椅子を製作し、世界に発信するというものでした。そのプロジェクトを見たときに、3つの課題のうち、デザイン面の課題はクリアできる可能性を秘めていると感じました。
 自身でマルニ木工のショールームに行った縁で、その後、マルニ木工の幹部の方から、海外展開に関する協力について依頼がありました。それを受け、私も積極的に当時の勤務先の会社内部で働きかけ、本格的な海外展開プロジェクトの創設を検討していましたが、結局、リーマンショックが起こり、プロジェクトは中止となりました。しかし、その時には私自身、マルニ木工に強い思い入れを抱いており、その後、09年の春にマルニ木工に転職いたしました。
 残念ながら、「nextmaruni」プロジェクトは、最初の打ち出し方は良かったのですが、それを継続させることができませんでした。ただし一方で、成果もありました。ミラノ・サローネに05年から3年間出展したこともあり、世界中のメディアから注目を集めたことです。






(上写真3枚) Milano Salone 2013 展示の様子
 

マルニ木工様としても「nextmaruni」プロジェクトは思い切ったご決断だったのではないでしょうか。

 当社はもともとヨーロッパ調の装飾家具の製造・卸を行っておりましたが、経営が立ち行かなくなってきたことと、当社社長が、商品やモノづくりが変わらなければ会社は変わらないと考え、社長が音頭を取って何か新しいことをやってみようと始めました。
 そこで、デザイナーの黒川氏と協業し、「日本の美意識」をコンセプトにnextmaruniプロジェクトを立ち上げたのです。また、発表するのであればグローバルにと考え、家具の世界一の展示会であるミラノ・サローネで発表し、3年間継続して新商品を発表し続けました。そこで、当社は世界の市場の広さと面白さというものを、肌で感じることができたと考えています。
 ただし、「nextmaruni」プロジェクトは前述のとおり一時中断し、一人のデザイナーと真摯に向き合い、工場を生かしたモノづくりをしたいと考え、次のステップに進むことになります。
 なお、経営状況については、社長自身が銀行出身だったという経験を活かして、資金繰りに奔走し、それで乗り切りました。
 

「nextmaruni」プロジェクトの次のステップについて教えてください。

 まず、メインのデザイナーの選定をしました。「nextmaruni」プロジェクトに参加したデザイナーの中から、社内でも協議した結果、深澤直人氏に依頼することになりました。決め手となったのは、生産本部からの強い推薦があったからです。現場の職人から、デザイナーの中で、深澤氏が最も木のことを理解していると定評があったことと、深澤氏も、木のことを知り尽くした職人に対して、あっと驚くような提案をしてくることがあり、暗黙の信頼関係ができていました。
 また、ブランディングについても、徹底的に追求しました。家具で海外に進出するのであれば、椅子やソファといった家具の中でも主役になるものを作らないとブランドとしては見られません。当社は輸出をしたいのではなく、ブランドを構築し、海外で認知されたいので、単なる周辺アイテムの輸出ではだめなのです。
 そこで、当社「らしさ」を追求しました。海外での当社製品の印象をヒアリングし、海外向けのウェブ、広報ツールといった伝え方の部分で、ブランドのイメージとマッチし、統一感が出るように編集しました。海外の企業は、そういった部分をしっかり取り組んでいます。
 また、我々にとって幸運だったのは、当社の技術を正しく理解し、その可能性を限界以上に引き出してくれる優れたデザイナーとコラボレーションが組めた事だと思います。
 そのような取組の中で、新たなシリーズとして発表した「HIROSHIMA」は、まさに当社のキーアイコンとなり、世界中から高い評価を集め、世界各国で売れ続けています。
 

商品開発の場面で、御社のブランディングはどのように貫かれていますか。

 当社とデザイナーである深澤氏、モリソン氏の間で、それぞれのブランディング、デザインの方向性についての合致と深い相互理解がなされていますので、基本的に、デザイナーからの提案を信じています。それを踏まえ、例えば私自身が海外で収集してきた市場の情報を共有し、海外のニーズに合うよう調整を加えたりもします。
 海外市場の情報は積極的に収集する様心がけており、その為、欧米の著名デザイナーや有名ディーラーのバイヤーとの付き合いは盛んにしています。
 

シンプルな作風というと北欧家具が想起されますが、御社製品と北欧家具との違いをどのように考えていますか。

 当社製品と北欧家具との違いは、北欧家具は製作過程においてハンドクラフトに頼る部分も多いのですが、当社ではそのハンドクラフトの技術を最大限、工業化しているということが違いとして挙げられます。当社には工作機械の機能を120%、150%引き出せる職人やプログラマーがいます。その分、通常は手作業でないとできないことを機械作業で実現しています。そのため、当然、コストは下がりますし、より丁寧な仕事ができていると考えています。
 

御社の海外販路の開拓手法について教えてください。

 最も重要としているのは、その国や都市において業界の人々から最も信頼を集める企業や相手とパートナーシップを結ぶという事です。彼らに対して当社商品が好評を得れば、彼ら自身が重要な取引相手となることはもちろんですが、影響力のある彼らが、彼らのクライアントに当社商品をプレゼンテーションしてくれることが最大の効果です。その市場においては彼らの影響力は絶大ですので、加速的に当社ブランドの認知が進んでいきます。
 ですので、そのような相手とは、何とかコネクションを作るまで、とにかく頑張って活動します。




(上写真2枚)ノルウェー・オスロ国際空港内カフェテリア「W.B.SAMSON」に採用された「Lightwood chair」


カンタス航空のシンガポールラウンジに採用された椅子「Roundis」

海外事業は神田様のご尽力が大きいと思いますが、現在の課題はありますか。

 09年に当社に転職後、4年間で25ヶ国にパートナーを有するようになっています。また、その国のバイヤー、ディーラーにブランドを認知させることは私一人でも何とかできました。しかし、そこから先の消費者に当社をブランドとして認識してもらわないと、本当にブランドとして確立はしません。そのためにはマンパワーの問題も含めて、海外市場へのPR戦略が必要になります。
 また、海外向けに構築してきているブランドを社内に浸透できていないため、国内と海外とでブランド戦略の統一ができていない事も課題です。徐々に海外事業の成果を国内に波及する取組をし、足場を固めることが必要と考えています。
 このような課題はありますが、海外事業の成功をより大きく、確実なものとするため、地道に取り組んでまいります。

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年3月10日
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