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丸富漆器株式会社

会社概要

  • 社名:丸富漆器株式会社
  • 本社所在地:〒916-1223 福井県鯖江市片山町3-1-2
  • TEL.0778-65-0085 FAX.0778-65-2736
  • 代表者:林 正人
  • 創業:1958年
  • 資本金:2,000万円
  • 事業概要:漆製品の企画・製造・販売など

会社HP

本事例についてのお問合せ先

 ・info@marutomi.com

 

「飯椀の郷」プロジェクトを行っておられますが、どのようなお考えでご活動されているのでしょうか。

 有限会社飯椀の郷は、私(林氏)を含めた個人の出資によって設立した法人で、その活動の根本は、「お客様に売る資格のある商品を作っているのか」、「お客様に喜んでもらえるものを作っているのか」という問いかけから始まっています。
 現在、全国で作られている漆器と呼ばれているもののうち、木地に漆を塗っているものが全体の1割程度、そのうちの伝統的工芸品とされているものがそのうちの1割程度、更にそのうちでお客様が憧れるような商品がどの程度あるかというと、ほとんど作られていないのではないかと思っています。
 そのような状況になったのは、多分に過去の経緯があると考えています。もともと漆器などの工芸品は、例えば江戸時代の大名が、自らの領地の文化レベルの高さを誇示するもの、すなわち特権階級のためのものだったのです。また、そのような工芸品は海外でも高く評価されました。例えば、マリー・アントワネットは、素晴らしい漆器のコレクターでした。しかし、そのような特権階級のための工芸品も、時代の変遷と共に、生活用品として作られるようになりました。
 また、特に越前漆器の産地は、高度成長期に、プラスチックに化学塗料を塗って漆器風に仕立てた安価な食器を外食産業に売り、潤っていました。やがて、そのような食器が日本中に波及しました。しかし、それを何年も続けているうちに漆器の評判を自ら落としてしまうことになり、また生活の中でそもそも漆器を使う場面が減ってきてしまいました。
 そのような過去の経緯を踏まえると、漆器というものは、経済合理性や必要性で判断して購入するものではなく、日本の伝統文化を学習する中で獲得した感性に訴えかけるもの、すなわち人の感性に訴えかける要素が大きいものなのではないかと考えました。そして、新たなものを作るからには、昔の日本で作られていた特権階級のための工芸品のように、世界中の人が驚くようなものを作りたいと考えました。


SKYSCRAPER : by Fumihiko Muramatsu
 

LUNA ROSSA : by Masanori Umeda
 

御社ではかなり昔からデザインを取り入れたものづくりについて研究されていたとお伺いしましたが。

 通商産業省時代に「地場産業デザイン高度化特定事業」という事業があり、その事業をから、ただものを作って売るのではなく、どこの誰にどのように使ってもらうのかを考えながら作る必要があるという事を学びました。
 その後、福井県や鯖江市の補助金を10年ほど受けながら、地元のデザイナーや自治体、製造者で勉強会を続けました。その中では、デザインを表層的なものとして捉えるのではなく、広く問題解決のための手段として捉えていました。
 我々の業界は、自分がやっていること以外、他の人が何をやっているのかを全く知らない業界でしたが、勉強会を通して、それを知ることができました。また、勉強会に参加した方々には、私(林氏)の提案を理解してくれる土壌ができました。例えば、伝統的工芸品として作るのであれば100の工程が必要だが、木工品としてなら10の工程で済むから、経費がいくらで済む、というような詳細な見積りを行うこともできるようになりました。
 その勉強会の成果が、漆塗りの電報です。初めはグリーディングカードの市場に目を付けました。海外では一般的な文化ですが、日本におけるグリーディングカードは電報です。通常の電報よりも漆塗りの電報は目立ちますし、記憶に残るということで大ヒットしました。
 この勉強会を通して、産地の実情や誰が何を行っているのかを把握することができたし、異分野に営業できるようになったし、販路の作り方を考えられるようになりました。また、今まで価値の有無と関係なく何となく作っていましたが、どのようなものを作って、誰を喜ばすのかという目的意識をしっかりと持つことができました。
 

Stacking tray - 1 : by Fritz Frenkler


Stacking tray - 2 : by Fritz Frenkler
 

海外に漆器を売ることを考えると、どのようなことが求められるとお考えですか。

 海外に漆器を売るときには、日本のどこで作っているのかは関係ありません。日本中の漆器の産地で、全行程が揃っている産地はほとんどありません。また、どこで作ったとしても、温度や湿度等の諸条件は同じになりつつあります。今は、日本全体を産地として考えないと良いものづくりはできないと思っています。オールジャパンで作り上げることが必要だと思います。
 


Gefäß : by Dieter Rams
 

直近では経済産業省のJAPANブランド育成支援事業を活用されていましたが、事業を実施してみていかがでしたでしょうか。

 漆器は陶器やガラスや金属の工芸品に比べて、世界的に見て評価が低いと感じておりましたので、漆器で世界最高のものを作って、あらためて世界中の人々に認めさせたい、という思いがありました。
 事業実施の初年度は、パリのフォーシーズンズホテルで、漆器の花器を作って展示会を行いました。1点ものですが、新たな設備投資や製品ロスが発生せず、数を作るよりも良いと考えたからです。また、日本でのものづくりは必然的に高くなりますから、そうであれば感性価値を思いっきり高めて、一部の買える人に訴えるという方法にならざるを得ません。デザインはインターフローラ・ワールドカップチャンピオンの村松文彦氏にお願いしました。その展示会をドイツから見に来られたIFデザイン賞で審査委員を務めるフリッツ・フレンクラー氏に2年目以降のデザインをお願いし、事業は大きく発展しました。
 2年目は、フランクフルトの美術館やハノーファーメッセのVIPラウンジ等で展示しました。3年目にはミュンヘンの王宮レジデンツで展覧会をしました。そこへ世界最大の現代美術館ピナコテークのキューレターが来られて、作品の素晴らしさを認めて頂き、美術館側から申出があり、2012年のピナコテーク主催の展覧会が実現しました。
 ピナコテーク現代美術館での展示は3ヶ月間でしたが、のべ12万人の来場者がありましたし、美術館側からも大変評価していただいて、製造工程や職人の名前も載せた図録を作ってくれました。展覧会終了後には展示品を2点、美術館の代表的コレクションとして購入して頂き、常設展示をして頂いております。JAPANブランド育成支援事業が終わった後は、伝統的工芸品産業支援補助金等を活用し、事業を始めて6年目に至り、ようやく世界一になれたという実感がありました。
 

KIRITSUBO : by Ettore Sottsass


UTSUSEMI : by Ettore Sottsass
 

今後の展開をどのようにお考えですか。

 今までは見てすごいと思わせるようなものを作ってきましたが、その作品の中で日常的に使えるようなものを商品化します。また、日本食や日本酒の文化と一緒にPRしようと考えています。
 一方、今後は、美術館での展示と町のギャラリーでの企画展を行うことを中心に考えています。大きな展示会では、我々の商品の価格帯に合いません。
 ギャラリーのお客様を呼んでもらったり、自身の人脈に声をかけたりして、人を集めていますが、本当に来てもらいたい方は数人です。高額な商品を購入される方は、じっくり話を聞いて、少し時間をおいてから購入を決めます。そういう方を見つけるにはとにかく現地に足を運び、関係者や来場者とコミュニケーションをするしかありません。商談するにも、ヨーロッパなら流暢な英語は求められません。
 とにかく現地に足を運び、現地の空気感を肌で感じ、そうやって現地での信用や独自の人脈を築くことが大事だと考えています。

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年2月24日
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