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株式会社大直

会社概要

  • 社名:株式会社大直
  • 本社所在地:〒409-3606山梨県西八代郡市川三郷町184-3
  • TEL:055-272-0321 FAX:055-272-0323
  • 代表者:代表 一瀬 美教
  • 設立:1974年1月
  • 事業概要:和紙製品、障子紙製品の企画、製造、販売等

会社HP

本事例についてのお問合せ先

(上記の連絡先を参照してください。)



山梨県市川大門の風景

 

今回は和紙を用いた商品ブランド「SIWA」のプロデューサーの一瀬様にお話しをお伺いします。まず「SIWA」というブランドの立ち上げについて教えてください。

 私どもの会社は、和紙の産地、山梨県市川大門の一事業者です。
 2つの事業部で構成されており、1つは障子紙の事業、もう1つは日本の歳時記をテーマにした和紙製品ブランドの「めでたや」の事業です。
 障子紙は近年、お客様から、強くて低価格の障子紙を求められており、その開発の途上で様々な素材ができていました。その中で、和紙のしなやかさを持ちながらも、耐久性があり、水に濡れても破れない特徴がある「ナオロン」という素材もありました。
 「SIWA」の立ち上げ前には、既に「めでたや」という和文具、和小物のブランドがありました。60代から70代の女性のお客様には好評をいただいておりました。一方、お客様の層も、若い方々をターゲットとした新規開拓が必要だと思っていましたが、自分自身が営業をする中で、「めでたや」の商品は、自分を含めた若い層の人にはなかなか受け入れていただけないな、と思っていました。現代の暮らしの中に自然にあるような。若い人が訪れるインテリアショップのようなお店に卸せるような商品が作りたいと思っていました。
 そのような思いで、07年頃から1年間ほど、社内で新しい顧客開拓の出来る新ブランドを作るべく、試行錯誤をしましたが、どうしても「和」というイメージから抜け出せないでいました。そんな中、デザイナーの深澤直人氏と知り合うことができました。同氏も地元である山梨県で、かつ和紙の素材に興味をお持ちだと伺い、お話が出来る機会を作ることが出来たのです。そこから同氏との協業が始まりました。
 「現代の暮らしにあう和紙製品ブランド」をテーマに掲げ、海外も輸出も視野に入れて、ブランディング、商品開発が始まりました。
 なお、当時はゼロからのスタートでしたので、資金的にも厳しい状況でした。
 そんな中、丁度経済産業省の地域産業資源活用事業計画の第一号の募集を行っていることを周りの人からアドバイスを受け、認定を申請したところ、申請を受理いただき、補助金を活用することができました。後になって考えてみると、申請のために細かい事業計画を作成することが求められましたが、そこで計画を練ることができたので、その後の事業活動の方針がブレなかったと思います。
 

ブランド立ち上げ時の社内の協力はいかがでしたでしょうか。

 社内では異例のプロジェクトでしたが、比較的社内では商品も新しい雰囲気でしたので、期待を持ちながらも背中を押してくれる人が多かったです。
 


障子紙などの和紙の製造設備


「SIWA」製品の縫製の様子
 

ブランディング、商品開発についての経緯を教えてください。

 新しいブランドを立ち上げるにあたり、毎日の暮らし、今の暮らしに合った和紙ブランドを作りたいと考えていました。しかし社内のアイデアだけでは和紙そのものに関わり過ぎている人材ばかりで、昔からの和紙のイメージから飛躍する事が出来ず具体的に形にすることができませんでした。そこで、まずは深澤氏にそのままテーマをお伝えし、アウトプットを見てみようと思いました。最終的な商品決定に関しては私自身が使いたいものかどうかという視点で絞り込んでいきました。
 「SIWA」というブランドとは何かと聞かれても、客観的に示せるような明確な基準はありません。基準となっているのは、現代の暮らしに沿った商品なのかどうか?です。
 その現代の暮らしにあっているかどうかをジャッジするには、私自身の感性が基準になっているとも考えられます。そのジャッジを基準の高いものにするための努力は自らのライフスタイルから生み出されるとも感じていますので、海外で色々なものを見たり、色々な方とコミュニケーションをとったりしながら、自分自身を磨くこともブランドプロデュースする立場としては大事な事の1つだと考えて、心がけています。
 また、コミュニケーションツールには力を入れています。深澤氏の名前を使わせていただく以上、ビジュアル面でのクオリティは落とせません。一方、あまり予算もありませんから、如何に低予算で良く見せるか、という工夫をしています。
 結果としてよいものに見えれば良いので、その方法は出来る限り探して行く努力をしています。
 
 「SIWA」ブランドの初の発表は、08年6月のIFFT(東京国際家具見本市)でした。その時は、商品はもちろんですが、モノがある環境を整えることに力を入れました。海外ではインスピレーションに訴えるようなプレゼンテーションが必要です。始めての展示会でも、バイヤーの興味を惹くブース作りをしました。例えば壁紙の貼り方、照明の強さ、当て方、などにおいても、製品が最大限によく見えるように丁寧に仕上げていきました。
 結果、最初の展示会では、予想以上の反響があり、また日経デザインアワードを受賞させていただくことができました。

 
「SIWA ランチバッグ」
 

デザイナーの深澤氏とは、どのような関係を築いているのでしょうか。

 ブランドの立ち上げのすぐは、本当に何もわからずにスタートしていましたので、深澤さんの厳しい教えをいただきながらブランドを育てて行きました。
 ブランドを立ち上げてから2年目には、商品に関してバイヤーの方やお客様の具体的なご意見を収集し始めました。その情報を基に、深澤氏からの提案に対して調整していく、というコミュニケーションができるようになりました。現在でも、お客さまからの意見を吟味しつつも商品開発に活かすようにしています。

 
「SIWA 小物ケースS」
 

海外でも積極的に事業展開されていますが、どのような思いから始められたのでしょうか。

 海外は、JETROの支援を受けて09年1月のパリのメゾン・エ・オブジェ展に初めて出展し、以降、ほぼ毎年出展しています。現在、「SIWA」の売上の30%は海外売上です。海外に出て最初の年からイタリアやニューヨーク等、数カ国との取引が成立しました。現在は17カ国に輸出しています。「SIWA」の商品は、海外の方からは、伝統的な和紙だけれども日本の新しい技術である点を評価されていることが多いと考えています。それに手工業性、歴史性などのストーリーが加わって評価されていると思います。海外の方に商品の説明を詳細に行うことはとても難しいですが、だからこそ効果的な見せ方をして、感覚的な面で選んで買い付けていただいた時には、とても嬉しいです。国によって商品に対する反応が違うのも面白いです。また、商品があれば、海外の著名なショップの方や世界各国のデザイナーなどとも対等に話せますので、貴重な経験になります。また、海外と取引をする上では、貿易実務などが必要となりますが、JETROや中小機構の勉強会に参加したり、バイヤーに聞いたり、専門書を読んだりして勉強するのも、良い経験になりました。一方、商品の作り手の方々も、海外で自分たちが作った商品が売られていると思うと、モチベーションが上がります。
 このように、海外で事業を行うことは、自分や会社にとって、とても良い経験になりますし、良い効果をもたらしています。何より、自分自身が楽しいと思っているので、これからも続けていこうと考えています。
 逆に、これから海外に出て行こうとしている方は、特別な思いが無い限り、安易に海外に出ない方が良いと思います。新しく行わなければならない業務も多いですし、簡単には利益が出るようにはなりません。海外展示会に毎年出展して思うのは、日本からの出展者の方で、商談に向かう準備や姿勢ができていなかったり、貿易実務に関する知識がなかったり、海外で商売をするための前提が揃っていない方が多いという気がします。バイヤーも忙しいので、如何にスムーズに買い付けられるか、ということは商談が成立するための大事な要素です。十分な動機付けもなく、十分な準備や想定をせずに海外に出るのであれば、やめるべきだと思います。
 

「SIWA ひも付き封筒」
 

今後の課題はありますか。

 「SIWA」の直営店が必要だと思っています。お取引先には商品の一部しか置いていませんので、全ての商品が見られて、ブランドの空気感や雰囲気が伝えられるような場所が必要だと思っています。
 

最後にブランドを維持するために大事にしていることを教えてください。

 商品管理やクレーム対応をしっかりすることだと思います。商品自体がいくら良くても、検品がしっかりできていなくて返品が多かったり、商品の梱包が雑だったりすれば、お取引先との信用を失ってしまいます。クレームについても、丁寧に対応し、フォローすることで、お取引先やお客様の信頼を失わずに済むだけで無く、商品の改良や業務の改善にも結びつけることができます。表に見える部分だけではなく、裏方の仕事をどれだけこだわれるかというところが、ブランドのクオリティを保つために必要なことだと考えています。
 また、商品開発については、、バイヤーの方の意見を聞いて開発した商品と、敢えて全く聞かないで作った商品を出しています。後者の商品は、バイヤーの方やお客様を驚かそうと思って作っています。そのような商品作りをしないと、結局、マンネリ化してしまうと考えているからです。発表する時は怖いですが、敢えて「SIWA」らしくない商品を出していくことも必要だと思っています。
 

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年9月16日
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