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SHUSHU Contemporary Japanese Design

会社概要

  • SHUSHU Contemporary Japanese Design
  • (Operated by Sa:Su Network GmbH  所在地:Ledererstr.10, 80331Munich, Germany)
  • 店舗所在地:Neuturmstrasse 2, 80331 Munich, Germany (ドイツ・ミュンヘン)
  • TEL: +49 (0) 89 / 255 490-61     FAX +49 (0)89 / 255 443-69
  • 代表取締役:サトミスズキ
  • 創業年月日:2011年3月16日
  • 従業員:4人
  • 事業概要: 日本製コンテンポラリーデザインプロダクト販売、卸売業

会社HP

本事例についての問い合わせ先

担当者名:Satomi Suzuki
電話番号:+49-89-255 490 61(店舗直通)
メールアドレス:kontakt@shushu-online.de


 

今回は代表の鈴木里美様にお話を伺っています。まず、鈴木様の活動についてお聞かせください。

 私のこれまでの活動は、3つのステージに分けることができます。 
 第1ステージは、国際見本市サービスです。1995年から、フリーでドイツ全国で開催される国際見本市で様々な活動を行ってきました。 ドイツの各国際見本市の現場で、日本法人企業や、ドイツ法人企業のブースの中で、唯一の日本人スタッフとして働いてきた経験を生かし、のちに運営マネジメントも行えるようになりました。そして、2001年にSa:SuNetwork(サスネットワーク)を立ち上げ(2005年法人化 Sa:SU Network GmbHとなる)、日本企業に向けて、ドイツやヨーロッパでの国際見本市の総合サービスを提供するようになりました。国際見本市スペシャリストとしての始まりです。
 同社の活動の中で、あらゆる産業の国際見本市で活動しておりますが、消費財の見本市においては、関わるうちに歯がゆさを感じていくようになりました。日本の企業は素晴らしい技術を持っているにも関わらず、国際見本市に出展してもあまり引き合いになっていないことを目のあたりにしてきました。製品そのものとしては素晴らしいものですが、高い値段で創ってしまっており、現地で求められている価格と合わずに、商売になっていないのです。その状況を目の当たりにし、自分が何とかしなければならない、と使命感が湧いてきました。消費財の分野(特に生活用品やインテリア部門)で、国際見本市サービスの延長線を引いていこうと決意し、第2ステージへと向かいます。
 第2ステージは、「SHUSHU」というコンセプトストアのオープンです。消費財では「惜しい」と感じることが多く、例えば国内で有名デザイナーにデザインを頼み、自分達の持っている技を惜しみなく注入し、「さあ、どうだ」といった形で海外に持ちこみ、こちらの市場で合う値段を考慮していないケースが散見されました。こちらでどういうものが求められているのかなどのニーズを勉強することなく、日本国内で考え、創ったものをそのまま出品しているのです。多額のお金をかけて展示会に出展するにも関わらず、引き合いもなく帰っていく人がいて、疑問を抱いていました。まずは、国際見本市の延長であるショールームのようなものを創ればよいのか、とも考えましたが、それでは創り手も幸せではないと思いました。スペース代を払って展示するだけよりも、実際に売れることの方が大切です。商売をすることで、海外で売れることで、創り手もはじめて幸せになれるはずです。
 そこで、2011年に一般消費者向けのお店を開店させました。日本のいい製品を、どういうコンセプトで誰に売るのかをまず考え、その結果、伝統工芸品や地場産業品、日用品などを、雑貨屋として売るのではなく、”コンテンポラリージャパニーズデザイン“というコンセプトで運営していくこととしました。私自身、毎日店に立ち、お客様のニーズを肌で感じてきました。そのような日々が3年ほど過ぎた時に、店を作って、卸売業をして、日本製品を流通させることが最終地点では無い、と考えるようになりました。 
 そして、ここからが第3ステージです。お店をしていると、色々な方から自社製品を売って欲しい頼まれますが、私はヨーロッパのライフスタイルに合うもの、という基準でセレクトさせて頂いています。売って欲しいと頼まれる製品を見ますと、サイズが海外ではと小さい、高さが足りない、などちょっとしたところにずれが生じています。また、まったく需要が無いモノであったりもします。それは、単体で見ると、デザインプロダクトとしては格好いいのですが、基準が日本国内向けになってしまっているのです。そうした製品を目の当たりにし、現地で暮らし、日々お客様に接している私が、こちらにあった製品を創らないと売っていくのは難しい、と考え、2013年に日本でヨーロッパのライフスタイルを伝授し、日本の職人・企業の皆様と共にものづくりを最初から行い、値付けも含め、一緒にモノづくりにかかわることを事業目的とした「株式会社SATOMI SUZUKI TOKYO」を立ち上げました。
 

 SHUSHUではどのようなお客様が多く、また日本製品に対するイメージをどのようにお持ちなのでしょうか?

 SHUSHUのターゲットは、基本的には、“とある富裕層”としています。”とある富裕層”といっても、ただお金に余裕がある方々、というわけでもなく、人と違うものを求め、多少値段が張ったとしても、素晴らしいモノや、好きなものに囲まれて、ライフスタイルを楽しみたい、という層です。
 店舗も一流ホテル前にあり、実際にお金持ちで、目の肥えた方やデザインプロダクトに対しては喜んでお金を払ってくださる方々にご来店いただいています。また一度ご来店いただきましたお客様は、リピーターとして、また戻ってきてくださるケースが非常に高いです。 
 優れた日本製品を集めているというだけで喜ばれますので、日本のモノづくりの良さはわかって下さっていますし、その商品の背景にあるストーリーをお話しすれば、よりその製品の良さをわかって頂けます。日本製品に対するイメージはとても良いです。お客様がお店を出る時に、「Congratulation!(おめでとう)」とおっしゃってくださいます。「おめでとう」と言われるのは不思議な感じもしますが、”よくここまで素晴らしいプロダクトを集めたね”、” 実にいいお店だ  “という意味でそういう言葉が出るのです。そう言って頂けるのも、日本製品への評価や理解が高く、ひとつひとつの商品が素晴らしいからだ、と確信しています。


 

 日本製品の弱みや、日本企業に足らない部分はどのような点にあるとお考えですか?

 ドイツや売りたい国の消費者の好みやライフスタイルをまだまだわかっていないところです。モノを作ってから、値段を設定してしまうことがよくあります。創る前に、「ここまでのスペックは消費者に求められないので、その分値段は下げよう」等、現地でどこまで求められているのかを見極めなければなりません。誰に対して売るのかという明確な設定をしないまま、日本国内でものを作ってから海外に持っていってしまうと、ヒットしないことも多々あります。もちろん、日本と同じ仕様でも売れるものもたくさんありますが、日本で売れているのだから海外でも売れる、という認識は大きな間違いです。
 以前、糸切りハサミを紹介されたことがあり、全て手作り工程のハサミと、工程のうち一つは機械を使用したハサミの二種類でした。その差は、毎日糸切りハサミを長時間使うようなその道のプロでないとわからないレベルだそうです。私は、このハサミの良さを知ってもらいたい、ドイツの流通に乗せたいと思った時に、全ての工程が職人の手によって作られた高価格のものを誰かの目に留まるまで待つのか、それとも、価格を抑えた方を一般の人に広く知っていただき、購入していただき、実際に使ってもらうのか、その二つの選択肢を前にして、まずは価格を抑えた方で糸切りハサミの存在を知ってもらって、消費者にとって買いやすいものをより多く流通させる、という道を選びます。
 持っているすべての技術を注入することが全てではありません。一番に考えないといけないことは、流通させ、一店舗でも多くのお店に商品を入れてもらうことです。「モノから流通を考えるのでなく、流通からモノを考える」、これは、消費財を一般消費者に売るなら必要なやり方です。
 ただし、最高峰の技術をわかってもらえるプロ向けに商売をしたいのであれば、その道の専門国際見本市に出すなど、一般消費者向けへのアピールをしないやり方ももちろんあります。消費財国際見本市に来ているバイヤーが、プロ向けのものに精通しているとは限りません。広く流通させるならアンビエンテなどの国際見本市、プロ向けであれば、専門分野に特化した見本市に出展するなど、色々なやり方があります。誰に売りたいのか、どんな人に使ってもらいたいか、そこを明確にすることが何よりも大切です。例えば筆記具であれば、書くことを専門にしている相手と一般消費者相手では、求められるスペックが違ってきます。どのくらい生産できるのか、デザイナーや売ることに精通した方々などに相談し、外からの視点を取り入れることが必要です。また、機能は筆記具であっても、売り場は必ずしも、ステーショナリーのコーナーでなくてよいのです。たとえ高額商品の筆記具としての機能を持った道具でも、それは、女性が男性にプレゼントしたいNO.1のプロダクトにもなりえるのです。一方で、書くことを仕事とするプロをもうならせる素晴らしい機能を持ち合わせた筆記具、つまり、ステーショナリーでもあるわけです。



 

 日本らしさとは何だとお考えでしょうか?

 日本でOKとされる考え方と世界を視点に置いた考え方には違いがあります。海外では当たり前に考えられていることが、日本ではタブーであることもよくあります。海外で受け入れられそうだと思い、格好いいものを創ったといって持っていっても、海外の人にしたら、なぜ日本らしさが無いのかと受け入れられないこともあります。そうしたものは、日本人が思う海外で受けるであろうという格好良さであって、日本国内ではクールかもしれませんが、外国人にとっては、“新しく”はないのです。
 日本らしさを商品に入れることは大切です。日本らしさを入れるというと非常に抽象的ですが、その会社にしか無い技術を生かしたものを創れば、それで十分日本らしさになります。具体的には、手先の器用さが現れた商品、小さいが機能が詰まっている商品、素材も日本特有なものなどです。
 一番良いのは、他の国の人がそう簡単に真似できないような技が施されている、ということが、海外展開で一番の強みになるのではないのかと思います。技、素材、歴史、代々繋いできた家業の秘密、などなど、簡単に見ただけではコピーできないものを創れる職人さん、企業はまだまだたくさんあるかと思います。例えば、包丁などは、その存在だけで“日本らしい”という代表作ではないでしょうか。 
 日本らしさの関連で言いますと、最近、かんなやのみ等を製造している企業と共に、鉛筆削りを創りました。その鉛筆削りでは、通常の削り方をせず、かんなで木を削る時のように鉛筆を削ります。習字をする前の墨を擦る動きを連想させ、日本の文化や習慣を鉛筆を削るという動作に入れ込んでいます。同時に、仕事の道具である鉛筆を、仕事をする前に、使う前に、心を整え研ぎ澄ませませんか、という提案もしています。また、この鉛筆削りは蓋を閉めてすっきりと収納することができます。これは、綺麗に収納することが好きで、それが当たり前のドイツ人の習慣や習性を考慮しての工夫であり、日本らしさと売り先現地でのライススタイルをうまくデザインの中に組みこませて海外向けに意図的に商品開発したプロダクトとして、今年2月にドイツのAmbienteという世界最大の消費財国際見本市で発表しました。世界中の方々から大反響を受け、出展一日目からたくさんの受注をいただくことができました。


 開発した鉛筆削りShin (角利製作所 新潟県三条市)

  一方で日本人はとても器用貧乏だと思うのです。ですので、同じデザインで、こんな技術もある、こんな機能もある、カラーバリエーションもこんなにある、とあるものを全て出し尽くしてしまうので、受け手側から、何を選んだらよいかがわからなくなってしまうことが多々あります。作り手側が得意としているものをもっとピンポイントで攻めることも大切だと思っています。カラーバリエーションにしても、多すぎるのです。これでは、選ぶほうも、いいなコレ、という第一印象から、結局何を選んでいいのか、訳がわからなくなり、迷った挙句、買わない・・という結果を導いてしまっています。
 あれもできる、これもできる、というのは、コレクションにして増やしていけばいいと思います。同じデザインで色違いなどにするのではなく、同じ統一感を保ったまま、シリーズ化して、デザインの違うものを増やしていけばよいのではないでしょうか。
 

 日本製品の良さを海外に伝えるためには、何をすべきでしょうか?

 愛されるプロダクトを作り、そのプロダクトの熱烈なファンとなってくれるその国のパートナーを見つけることです。売れるモノとは、今までに世の中になかった革新的なもの(新製品)、既に世の中に存在するが、それを超えるような革新的なもの、不平不満を改善したもののどれかだと思いますが、その3つに共通することとして、”誰からも愛されるプロダクト“、であることが必要です。
 そのプロダクトの熱烈なファンになってくれるパートナーと出会うためには、一回外にて、世界がどうなっているのか、見てみると良いと思います。何がトレンドで、どんな市場があり、何が無くて、何がすでに存在するのか、などなど、心をオープンにして、外を見ることだと思います。そして、外からの意見を取り入れることです。自分ができる技術で別なことができるかもしれない、別の世界に参入できるかもしれない、という新たな可能性を知ることができるかもしれません。自分自身が熱烈にそのモノを愛し、アピールしないと、パートナーは現れません。産地の中で閉じこもっていては世界は広がりませんし、売ってくれる人がいるからこそ、そのプロダクトの販路は広がるのです。日本の、とある産地から、世界へ、と。
 また、日本製品の使い方の可能性についてはユーザーに委ねることも必要です。ユーザーがどのように使うかを決めればよいのです。これは例ですが、このプロダクトは、日本で古来より、こういう使い方をしていて、こういうシーンで用いる、という説明やストーリ―を話してあげれば、本来の使い方を知ることが面白く、また、ヨーロッパでは、それを知ったうえで、新しい用途をご自身で見つければいいのだと思います。同時に売る側も、ヨーロッパでは、こんなシーンにも使え、こんな用途にも使えますね、というような提案をすることが大事だと思います。


 店内でのイベントの様子
 

 国際見本市で心がけないといけない点をご教示ください。

 プライスリストは、きちんと現地の通貨で用意することです。円のまま商談をする方もいらっしゃいますが、円はゼロが多いこともあり、買う気も失せてしまいます。また、ミニマムオーダーの金額や数量が多すぎるケースも散見されます。バイヤーは色々なところで買い付けをしているはずですので、1ブース当たりに使えるお金は限られています。自分が売りやすいようにではなく、相手が買いやすいように設定すべきです。国際見本市出展の最終目的は、海外に流通させることであるはずです。美術品を展示しに来たのではありませんので、彼らと商売をする準備を十分に行ってから出展するようにしなければなりません。
 また、見本市での見せ方ですが、説明をしたいという気持ちが前に出てしまい、文字だらけのパネルをブースに掲げたり、商品の横にパンフレットをごちゃごちゃと積んだり、情報を詰め込みすぎていると感じています。商品だけ置くなどもっとシンプルに、わかりやすく伝えることを心がけた方が、現地のバイヤーに響くと思います。


 

 ドイツで小売り・ディストリビューションをしている立場から伝えたいことはありますでしょうか?

 自己満足では無い、皆に愛されるプロダクトを作って頂きたいと思っています。私は伝道師として、ニッポンの皆様が創っているものを伝えていきたいと思っています。「自分規格」から「世界規格」にしていかないと。日本だけで売れる、のでは非常にもったいないです。皆様のモノづくりに対する熱意を感じて、その背景、ストーリー、製作工程を知り、お店を通してその素晴らしさを伝えているつもりです。海外に住んでいる一人の日本人として、日本人の手先の器用さや、プロダクトの素晴らしさ・優良さを自慢したいですし、もっと知ってもらいたいのです。そして、海外にいるのお客様(ユーザー)がその商品を使うことによって生活が豊かになり、心も豊かになり、それを創っている日本の職人さんも、企業も、両方がうるおい、幸せになれるように願って、日々活動をしています。
 これからも、海外に住んでいる日本人として、日本のモノづくりの味方、そして役に立てる存在でありたいと思っています。ドイツにおりますが、私のことをもっと身近に感じて頂き、こういう人間が日本の外にいる、そしてモノづくり関係者みなさんの、“だれにも負けない熱き応援団長”がいる、ということを是非知って頂きたいと思います。


サトミスズキ

お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6794

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6794

最終更新日:2015年5月18日
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