経済産業省
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竹山木管楽器製作所

会社概要

 商号:竹山木管楽器製作所
 住所:大阪府大阪市住之江区安立 3-8-12
 代表者:竹山 宏之
 創業:1953年(昭和28年)
 事業内容:リコーダーの開発、製造、販売


会社HP

本事例についてのお問合せ先

 Tel: 06-6678-1000
 

御社がリコーダーの開発にかかわることとなったきっかけを教えていただけますか?

 当社は昭和28年に紡績用のボビンの製造を行うために創業いたしました。リコーダー開発にかかわるようになったのは、今から50年ほど前のことです。学校の音楽教育楽器としてリコーダーが普及していく中で、国産木製リコーダーを導入したいとの声が教育現場からあったそうで、楽器商社からリコーダーを製造できないかとの声がかかりました。当時は学校教育用に木製リコーダーを製造する国内企業がなく、製造技術を持っているであろう他産業の会社に色々と声をかけていたようです。
 ボビンとリコーダーの構造は、木材を丸く加工し、中心に穴を開けていくという点で共通しています。木製ボビンについては徐々に需要が減り始めた状況でもありましたので、ここで新たな分野に挑戦しようとリコーダー製造を引き受けました。
 当時、木製リコーダーは輸入に頼っていました。当然、リコーダー製造用の機械もなく、機械設備から自社で製作する必要がありました。ボビン製造に用いていた機械設備を改良したり、当社で新しく考案・発明したりと、先代(故竹山幸晴)が生産体制を構築し、今につながっています。
 

当初は学校教育用リコーダーがメインだったとのことですが、現在の商品傾向を教えていただけますか?

 リコーダー製造にかかわるようになったきっかけが学校教育用でしたので、最盛期は月に200~300本の学校教育用リコーダーを製造していました。しかし、学校教育現場では徐々に木製リコーダーの供給が行き届き、加えて少子化による全体需要の減少もあり、事業の路線変更が必要になりました。また、当社としても、学校教育用のみならず、プロ奏者にも受け入れられるハイクオリティな商品を作ってみたいという思いがありました。
 このような経緯から、30年ほど前よりプロ奏者向けの高級リコーダーの製造を手がけるようになりました。現在取り扱っている商品は、プロ奏者、一般のリコーダー愛好家向けのものであり、3万円から30万円前後の価格帯となっています。国内だけではなく、世界各国で販売され、多くのお客様にご愛用いただいています。
 
 (タケヤマリコーダー)
 

小学校で使われることもあり、リコーダーは子ども向けの楽器というイメージもあります。一般消費者(大人)向けの商品としてのリコーダーの魅力を教えていただけますか?

 現在使用されているリコーダーの構造は、ほとんどが300~400年前に成立したと言われています。その後、音楽史の表舞台から姿を消した時期もありましたが、100年ほど前(19世紀末)から始まった古楽(アーリーミュージック)復興の動きが日本にも浸透し、学校教育用の需要も生まれて、現在の隆盛につながっています。
 楽器としてのリコーダーの最大の特徴は、トレーニングをしなくてもとりあえず音を出すことができるというところです。フルートや尺八といった他の木管楽器は、楽器に合ったアンブシュア(口の形)を作らなければ音が鳴らず、音を出すにはある程度の訓練が必要です。そのため、リコーダーは比較的容易に始められる楽器だと思います。
 また、リコーダーによる合奏は、音の重なり、一体感を楽しめるため、愛好者同士の交流も盛んです。
 リコーダーといえば、確かに「子ども向けの楽器」というイメージがありますが、反面、どなたにとっても身近な楽器であるとも言えます。当社では事務所の一部をホールに改築し、そこでコンサートや教室を開催していますが、お子さんから主婦の方、定年退職された方々まで、幅広い年齢層の方々にご参加いただいています。
  演奏においても幅の広い楽器です。小中学校で用いられているソプラノリコーダー、アルトリコーダーの他にも、テナー、バスなど多くの種類がありますし、バロック以外の演奏にも対応できます。
 どなたでも楽しむことができ、演奏すればするほど奥深さを感じられる楽器がリコーダーだと思います。
 
(タケヤマホールでのコンサートの様子-ダン・ラウリン氏リサイタル)
 

工房にたくさんの木材が保管されていますね。やはり使用する木材によっても音色が変わるのでしょうか?

 木材はリコーダーの音色を決める大きな要素です。リコーダーに用いる木材として好まれるのは、堅く重い材質であり、ツゲ、カエデ、ローズウッド等が使われています。使用する木材によって、透明感のある音色、柔らかい音色など様々な特徴が出てきます。
 ローズウッド、黒檀は世界的に流通量も少なくなっているため、他の木材も積極的に試しています。最近では、国産ヒノキでの製造も始めています。本来、ヒノキという木材はリコーダー製作に向かないのですが、鳥取県の企業が産学連携で開発したヒノキの圧縮材は目も詰まっていて良い音色を出してくれます。香りも良いですし、間伐材の利用にもつながります。
 また、木のゆがみや割れを防ぐために、当社では木を製材した後、5年以上寝かせ、落ち着かせてからリコーダーへと加工しています。完成後のゆがみ等を避けるため、加工の途中にも乾燥の工程を加え、細心の注意を払って製造しています。
 
    
   (楽器の最終調整-ヴォイシング)
 

新商品の開発には「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金(平成24年度補正予算)」もご活用いただいているそうですね。

 リコーダーは大小、様々なサイズがあり、大きいものには、指孔を塞ぐために金具(キー)が取り付けられています。そのキー付きのリコーダーの開発を検討していたとき、この補助金の情報を知り、活用させていただきました。自社資金だけで開発できるかという不安もありましたので、背中を押してもらったような感じです。併せて、当社の機械設備の改良も進めています。
 当社は木工技術には自信がありますが、キーのような金属加工は未経験の分野です。このため、大阪の町工場の方と相談を重ねつつ、一からキーの試作を始めました。町工場の方にとっても初めての仕事だったのですが、難しい仕事ほど面白いととても意欲的に取り組んでくださっています。補助金の活用がなければ、この案件には挑戦しなかったかもしれないですし、町工場の方との出会いもなかったかもしれません。
 テナー・バスリコーダーのような大きな楽器は指孔の間隔が広く、特に小さな手の方には指孔を押さえにくいと言われていましたので、ようやくキー付きのリコーダーを求めるお客様の声にお応えすることができそうです。
 

御社は、リコーダーの品質だけではなく製作姿勢も含めて国内外の奏者にも高い評価を得ていると聞いております。楽器製作家として奏者の方々とどのように関わられているのでしょうか。

 奏者の方々が求める音色はそれぞれ異なりますので、求める音色を奏者の方と共有し、リコーダー製作を進めています。リコーダーは定期的なメンテナンスが必要な楽器ですので、その面でも手厚く対応しています。


リコーダー教室のために来社されていた秋山滋氏にもお話をお聞きしました。

 竹山さんは奏者と一緒に音を作ってくれます。特に、奏者にとって楽器製作家に自分の要望を伝えるのはハードルが高いのですが、竹山さんは、たとえ相手が若手の奏者であっても、名だたる巨匠であっても同じように演奏家の声に耳を傾けてくれます。タケヤマ製品に限らず他のメーカーにもそれぞれの良さがありますが、私にとって竹山さんのリコーダーは、自分の音を出すことができる貴重な存在です。
 また、竹山さんは奏者にとって非常に頼りがいのある方で、竹山さんを慕う演奏家は数多く、昨年のAsian Recorder Festivalでは、各国の奏者がボランティアで出演したほどです。


 (Asian Recorder Festival-4か国の奏者による演奏)
 

Asian Recorder Festivalの開催の他にも様々な形で奏者の育成、音楽そのものの楽しさを発信されていますね。

 ここ数年、アジア各国のリコーダー製作家、奏者、愛好家の方々との交流が深まり、当社の工房やショールームにも海外からのお客様が増えています。国を超えた音楽の楽しみとリコーダーの素晴らしさを伝えるために、Asian Recorder Festivalを開催しました。開催にあたっては、リコーダー製作家をはじめ、奏者、安立商店街など地元の方々等、多方面から多大なご協力をいただきました。
 また、リコーダーの良さを次世代につないでいきたいと考えています。前述のように、当社ではリコーダーを製作するだけでなく、40人程度収容可能なタケヤマホールを併設しています。当ホールの提供も含めてプロ奏者、愛好家の演奏活動を支援していきたいと考えています。
 

最後に、今後の事業展開、御社が目指していく方向性を教えてください。

 リコーダー製作家、奏者の方々とともに次世代の育成を進めていきたいと考えています。最近では、リコーダーの製作体験も行っています。この企画はたいへん好評で、国内はもとより香港や台湾でも実施しています。ものづくりの道へと進む方が減っていますので、このような取り組みを通じて興味を持っていただきたいと思っています。
 これからも、国内外を問わずリコーダーの良さをもっと広めたいですし、ものづくりの楽しさも伝えていきたいと考えています。

 
 (リコーダー製作体験の様子)


お問合せ先

商務情報政策局 日用品室
電話:03-3501-1705(直通)
FAX:03-3501-6974

(伝統的工芸品産業について)
商務情報政策局 伝統的工芸品産業室
電話:03-3501-3544(直通)
FAX:03-3501-6974

最終更新日:2014年6月30日
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